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|アフリカ| 海底ケーブルの損傷でインターネットが中断

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】  電話や長距離通話サービスやデジタル携帯電話ネットワークのない世界とはどんなものなのだろう。世界中の何十億という人々が、文字にすることなく親戚に電話をかけたり、ビジネスをしたり、情報を交換したりしているのだから、想像するのは難しい。 Netblocksによると、コートジボワールが最も深刻な障害に直面し、リベリア、ベナン、ガーナ、ブルキナファソが大きな影響を受けた。インターネット企業のCloudflareは、自社の監視アカウントを通じて、ガンビア、ギニア、リベリア、コートジボワール、ガーナ、ベナン、ニジェールで大規模な障害が続いていることを確認した。 午前8時までに、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナで銀行閉鎖が報告された。 ケーブルの損傷によるネットワークの混乱は近年アフリカで発生している。しかし、「今日の混乱はもっと大きなものを示唆しており、これは最も深刻なもののひとつだ」とNetblocks社のリサーチ・ディレクター、イシク・メーテル氏は語った。 いくつかのケースでは、シャットダウンは意図的なものだった。たとえばセネガルでは、活動家グループが企画したサイレント・マーチの直前、火曜日に通信省が携帯電話会社にインターネット・アクセスを停止するよう指示した。 このデモ行進は、2月25日に予定されていた大統領選挙の突然の延期に抗議するためのものだった。先週の激しい衝突では3人が死亡し、多数の逮捕者が出た。 ナイジェリア、コートジボワール、リベリア、ガーナ、ブルキナファソ、南アフリカは、10カ国中最悪の被害を受けている。マイクロソフトは顧客に対し、ケーブルの修理が長期化する可能性があると警告した。西アフリカのデータセンターおよび接続プロバイダーであるMain Oneは、海底ケーブルシステムの断線によるインターネット停止を非難した。 比較的良好な位置にある南アフリカ 南アフリカは比較的良い位置にあるように見えるが、シエラレオネやリベリアを含むいくつかのアフリカ諸国では、実際に国に入ってくる光ファイバーケーブルは1本だけである。これらの国からのインターネット・トラフィックは、ケーブルが断線すると基本的に停止する。ナミビアとレソトも影響を受けた。 「当然ながら、これは生活、ビジネス、そして政治のあらゆる側面に大きな影響を与える」とジャハジーア氏は続けた。「衛星を経由して迂回できる通信もありますが、衛星トラフィックは世界のデジタル通信の1%程度にすぎません」。 デジタル植民地主義 "と呼ばれるものに対する疑問が浮上している。「以前は、ケーブルは公共部門と民間部門のパートナーシップの組み合わせによって資金を調達していましたが、現在ではアルファベット、メタ、ファーウェイなどの大手民間企業がケーブルインフラに資金を提供することが増えています。このことは、デジタル・インフラの管理と監視に深刻な影響を及ぼしている。」 「貧しい国々は、しばしば裕福な企業体の条件を受け入れるしかない。これはアフリカのデジタル主権にとって信じられないほど危険なことであり、もっと公に議論されるべきことである。」(原文へ) INPS Japan 関連記事: 巨大ハイテク企業がコンゴの炭鉱で横行している児童労働に加担しているとして訴えられる。 ソーシャルメディアと「#ENDSARS」を駆使し、ナイジェリアの階層主義的長老支配の解体を目指す |視点|経済と社会のデジタル化を加速させる新型コロナウィルス(カヴェー・ザヘディ国連アジア太平洋経済社会委員会事務局次長)

国連事務総長が映画『オッペンハイマー』は核の終末の厳しい現実を示したと警告

【国連IDN=タリフ・ディーン】 々の賞を受賞した映画『オッペンハイマー』は、原子爆弾の開発に貢献したとされるロバート・オッペンハイマー博士の生涯を題材にしたもので、核軍縮を求める長年の運動と、世界で最も破壊的な兵器のひとつである核兵器のもたらす死と破壊に再びスポットライトを当てることとなった。 米国が1945年8月に広島・長崎に2発の原爆を投下した際、世界はこれほど甚大な人的災害を経験したことがなかった。両原爆による死者は14万人~22万6000人と推定されている。 「世界芸術科学アカデミー」理事で「グローバル安全保障研究所」所長であるジョナサン・グラノフ氏はこの映画について、今日の数千発の核兵器の持つ破壊力は我々の想像力をはるかに凌駕していると語った。 「この映画は、原爆を作る過程における個々の人間の行為に焦点を当てることで、このような装置を作ったのが人間の手であるならば、それを廃絶するのもまた人間の手によるものだということを私たちに思い起こさせてくれます。この任務を無視するのかそこに向かって努力するのかは、私たちの良心にかかっています。」と語った。 グラノフ氏の発言は、アルベルト・アインシュタイン博士からの強い警告を想起させる。「解き放たれた原子の力は、われわれの思考様式以外のすべてのものを一変させてしまった。こうして私たちは前代未聞の破滅へと突き進んでいる。」 こうしてアインシュタインは1955年、バートランド・ラッセルや他9人の著名な科学者らとともに強力な宣言を発し、人々にこう選択を迫った。「もし人々が皆その気になれば、人類の前には、幸福と知識と知恵の不断の進歩が横たわっている。それなのに争いを忘れることができないという理由で、死を選ぼうとするのか。私は一個の人間として人間に向かって訴える。『人間性』を想い出しなさい。それ以外を忘れなさい。それができれば、新しいパラダイスヘの道が開ける。さもなければ、人類の絶滅しかないだろう。」 現代の偉大な英雄の一人、ジョセフ・ロートブラット博士 映画『オッペンハイマー』は現代のヒーローであるジョセフ・ロートブラット博士を無視しているとグラノフ氏は指摘した。ロートブラット博士もアインシュタイン=ラッセル声明の署名者の一人であり、ナチスの原爆開発は不可能だと悟った時点でマンハッタン計画から降りた人物でもある。 ロートブラット博士は、同計画を主導した軍人グローブズ将軍に対してその事実を告げたが、原爆は単にナチスを抑止するためだけではなく、ソ連の力に対抗する意味合いも込めて開発が進められていることを知った。 「ロートブラット博士は、もし米国が原爆を開発・使用すれば軍拡競争の危険があると見ていました。」とグラノフ氏は語った。ロートブラット博士は、科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議を創設し、1995年にはノーベル平和賞を受賞した。 オッペンハイマー博士も同様に軍拡競争の危険は感じており、きわめて破壊的な水素爆弾の開発には反対した。代わりに、核兵器の危険性を封じ込めるために、国際レベルでの外交や法、協力を促した。 オッペンハイマー博士はこうした政治的主張によって迫害され、セキュリティクリアランスを剥奪された。「映画は、実際には原則的なことが問題になっているのに、代わりに個人間の反目をゆがんだ形で強調している。」とグラノフ氏は指摘した。 世界芸術科学アカデミー(WAAS) 最終的にオッペンハイマー、ロートブラット、ラッセル博士は1960年、世界芸術科学アカデミー(WAAS)という著名な組織の設立に尽力し、世界から核兵器の脅威をなくし、生命の破壊ではなく改善に科学をより広範に使用しうるような近代的な取り組みを導くことになった。 WAASは今日でもその遺産を保っており、「継続的な進歩」、そして究極的には人間の安全保障という約束を果たすために活動している。 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は3月18日に安保理で行った演説で映画『オッペンハイマー』に言及した。同作は10日、ハリウッドのアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞など7部門で受賞していた。 グテーレス事務総長は「世界終末時計は誰にも聞こえるぐらいの音でカチカチと音を鳴らしています。学界から市民社会に到るまで、この核の狂気を終わらせる呼びかけがなされています。」と語った。 「ローマ教皇は、核兵器の保有は『不道徳』だと述べました。自らの将来について懸念する世界中の若者たちは、変革を要求しています。広島・長崎の被爆者は、権力に対して真実を語り、時代を超えた平和のメッセージをたゆみなく送り続けています。」そしてハリウッドでは「核による終末という厳しい現実を世界の多くの人々にまざまざと見せつけました。」とグテーレス事務総長は指摘した。 ブリティッシュコロンビア大学(バンクーバー)グローバル公共政策グローバル問題大学校「軍縮・グローバル・人間の安全保障」プログラムの責任者を務めるM・V・ラマナ教授は、映画『オッペンハイマー』は「それ以前の兵器よりもはるかに大きな破壊力を持つ原爆の発明と使用によって世界がいかに変えられてしまったかを示している。」と語った。 ヒロシマ・ナガサキ オッペンハイマー博士が広島・長崎を破壊した原爆の創造を1940年代に監督して以来、核兵器の破壊力は格段に大きくなった。 ラマナ氏は、「核兵器を人間と都市の上に運ぶ方法は、射程・精度・数のいずれの面においても進化してきました。」と指摘したうえで、「資源と権力をめぐる終わりなき競争に駆り立てられて、核兵器保有国は他国の民衆を攻撃する軍事力の一方的な使用に常日頃から関与してききました。」と語った。 「ロシアのウクライナに対する攻撃や、イスラエルのガザに対する全面的な爆撃はその最新の一例に過ぎません。」とラマナ博士は語った。 米国は、朝鮮やベトナム、カンボジア、アフガニスタン、イラクなどのはるか遠方の国々への軍事攻撃で世界を主導し、数えきれないほどの人々を殺害してきたとラマナは指摘する。 「気候変動の危機が厳しさを増し、『血と土地』の論理を振りかざす国家主義的な運動が各国で激しくなる中、軍事的な対立の危険が増しており、核兵器がいつかどこかで使用されてしまうリスクも高まっています。」 ラマナ博士は最後にこう指摘した。「核兵器を廃絶する緊急性が高まっているだけではなく、オッペンハイマー博士や、とりわけアインシュタイン博士のような人々を熱狂させた別のアイディアについて真剣に再考すべき時だと思います。すなわち、(アインシュタインの挑発的なフレーズを使わせてもらうならば)「視野の狭い国家主義という時代遅れの概念」から脱却して『ひとつの世界』へと到るという道のことです。」(原文へ) INPS Japan 関連記事: |視点|映画『オッペンハイマー』が見落としたもの(浅霧勝浩INPS Japan理事長) 核廃絶を求める私たちこそがグローバル・マジョリティーだ。(ジャクリーン・カバッソ西部諸州法律財団事務局長) 「グローバル・ヒバクシャ:核実験被害者の声を世界に届ける」(寺崎広嗣創価学会インタナショナル平和運動総局長インタビユー)

高まる水危機で紛争の危険が高まり、SDGs実現も危ぶまれる

【国連IDN=タリフ・ディーン】 中東の激動の政治と言えば、石油というたったひとつの宝の商品がもたらす不確実な富の問題に長らく集約されていた。 中東のある外交官はかつて「水を求めて乾いた砂漠を掘れば、必ずと言っていいほど石油が出てくる。」と語ったものだ。 しかし、水危機の高まりはそれを凌駕しており、途上国の数十億人の生活に影響を与えている。そして彼らの手には、残念なことに、石油も水もないのである。 3月22日に国連が発表した最新の報告書は、水をめぐる緊張が世界全体で紛争を悪化させていると警告した。 国連の水問題フォーラム「UNウォーター(国連33機関で構成)」を代表して国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が発行した『国連世界水開発報告2024年版』は、平和を維持するには各国が国際協力と国境を越えた合意を促進しなくてはならないと指摘している。 世界で30億人以上の人々が国境を越えた水資源に依存している。しかし、すべての共有水について協力協定を結んでいるのは24カ国にすぎない。 今日、22億人が依然として安全に管理された飲み水を手にすることができず、35億人が安全に管理された衛生サービスを利用できない。 17項目の持続可能な開発目標(SDGs)の中では、第6目標が「すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する」ことを謳っている。水資源や下水処理、生態系の持続可能な管理に焦点を当て、人々の可能性を広げる環境の重要性を謳っている。 しかし現在のところ、この第6目標を含むSDGsのどれもが順調に進んでいるようには見えない。 安全に管理された衛生を巡る状況は暗く、35億人が衛生サービスを利用できていない。都市や自治体は、加速する都市人口の増加に対応できていない。 「2030年までにすべての人が水を利用できるようにするという国連の目標は達成に程遠い。」と報告書は述べている。 国連総会(加盟193カ国)のデニス・フランシス議長は、3月22日の「世界水の日」いおける発言で、「水は生命の本質であり、水には本来国境などなく、境界線や文明を超えて自由に流れるものだ。今日ニューヨークに降る雨は、雄大なナイル川や美しいセーヌ川から流れてきたものかもしれない。私たちの生態系や水循環、ひいては私たちの世界の相互関係を鮮明に示している。」と語った。 水の過剰、不足、汚染、そのいずれであれ、水を巡る複雑に絡んだ状況は、気候変動の容赦ない影響によってさらに複雑化している。 フランシス議長は、水を巡るこうした状況が、社会的緊張や経済格差、政治的不安定の問題をさらに悪化させ、紛争と社会的不安定のリスクを高めていると指摘した。 だが、こうした過去の難題の中には、集団的な解決や協調のヒントが潜んでいる。水を巡る協力は、水が確保された平和な社会を作るうえで、単に利益をもたらすというだけではなく、不可欠なものなのである。 「気候変動の影響が増大し、人口が増加する中、最も貴重な資源の保護と保全に向けて各国内および各国間で団結することが緊急に必要とされている。」とフランシス議長は語った。 ユネスコのオードレ・アズレ事務局長は、「水資源への負荷が強くなる中、地方や地域での紛争のリスクも高まっている。ユネスコのメッセージは明確だ。すなわち、もし平和を守りたいのなら、水資源を守るだけではなく、この領域において地域と世界全体での協力を強化するために緊急に行動しなくてはならない。」と語った。 国際農業開発基金(IFAD)とUNウォーターで代表をそれぞれ務めるアルバロ・ラリオは「水は、持続可能かつ公正な形で管理されれば、平和と繁栄の源になりうる。また、文字通り農業の血液ともなり、多くの人々にとって社会経済的な原動力になる。」と語った。 ユネスコの報告書によると、2001年から2021年までの間に、干ばつによって影響を受けた人々は14億人に上る。 2022年時点で、世界人口の約半数が少なくとも一年の一部で深刻な水不足に見舞われており、4分の1は年間再生可能な淡水供給量の8割以上を使用する「極めて高い」レベルの水ストレスに直面している。 気候変動によってこうした現象の頻度と程度は強まると見られ、社会的不安定のリスクは高まっている。 他方で、オックスファムが3月21日に発表した報告書は、世界で最も影響力のある食料・農業企業のわずか28%しか水使用量を減らしておらず、水の汚染を減らす対策をしている企業はわずか23%しかいないと警告している。 「世界ベンチマーキング同盟」のデータを使用して350社を分析したオックスファムの今回の報告書は、3月22日の「世界水デー」に先立って発表された。 45年以上前に水に関する初めての大きな会議を招集した国連は、推定20億人が安全な飲み水を手にすることができず、最大30億人が年間のうち少なくとも1カ月は水不足を経験しているとしている。 分析の対象となったカルフール社やアブリル・グループをはじめとした350社は、世界の食料・農業企業の年商の半分以上を占めている。淡水利用の7割は農業向けであり、世界の産業ではこれ以上に水を使用する部門はない。工業的農業は水汚染に大きな責任を負っている。 オックスファムの分析はまた、350社中108社しか、水の少ない地域からの水利用についての情報開示をしていないと述べている。 「大企業が大量の水を汚染したり消費したりすれば、その犠牲になるのは地域社会だ。井戸は空になり、水道代は上がり、水源が汚染されて飲み水には適さなくなる。水が少なくなれば飢餓につながり、病気が増え、居住地を追われることにもなる。」とオックスファムフランス支部のセシル・ドゥフロー支部長は語った。 「企業が自らの慣行を変えるような善意に期待することはできない。政府が企業に自らの責任を取らせ、企業の利益追求に対して公共財を守らねばならない」とドゥフローは話す。 水と富は分かちがたく結びついている。富裕層は安全な飲み水を手にすることができるし、自費で高い水を買うこともできる。他方で、貧困層は、公的な上水道を利用できないことも多いし、水道代に収入の相当の部分を割かねばならない。 ペットボトル水市場の急成長は、大企業がいかに水を収奪・商品化しているか、それによっていかに不平等や汚染、害悪が加速されているかを示している。 国連によれば、巨大化するペットボトル水産業は、持続可能な開発目標の第6目標(安全な飲み水をすべての人の手に)の進展を遅らせている。 フランス当局は、2023年5月から2カ月、ボルビック地区を含んだピュイ・ド・ドーム県の干ばつ被害地域で多くの人々に水道使用制限を課している。 しかしこの制限は、多国籍企業ダノン社の子会社であるボルビック社には適用されていない。同社はこの間も、ボルビックの水ペットボトル生産のために地下水を使用し続けている。オックスファムによれば、2023年、ダノン社の利益は8億8100万ユーロに達しており、株主に12億3800万ユーロを配当している。 地球の気温上昇によって、干ばつの頻度が増し、降雨パターンや水の流出のあり方が変化することで、東アフリカや中東などの元々水資源の少ない国ではさらに水が少なくなるであろう。 人々が長い時間列に並んだり長距離を水を汲みにいったりするなど、日常的な水源へのアクセスでどれだけ苦労しているか、汚染された水を利用することでいかに健康を崩しているかを、オックスファムは長らく観察してきた。 たとえば、南スーダン・レンクにある中継キャンプでは300人以上の人々がたった一つの蛇口を共有しており、コレラなどの感染症蔓延の危険が高まっている。オックスファムは昨年、ソマリアやケニヤ北部、エチオピア南部の一部の井戸の9割が完全に枯れていると警告した。 オックスファムは各国政府に次の行動を求めている。 ・水は人権と公共財の問題であると認識すること。人間への水の提供に関しては、利益追求を優先してはならないこと。 ・水の汚染問題を含め、企業が人権や環境権・環境法を乱用・違反しないよう責任を取らせること。 ・水の確保や公的水供給への補助、持続可能な水管理、気候変動に強い水・衛生に投資すること。水と衛生に関する国家計画・政策において、女性のリーダーシップ発揮や参加、全ての段階での意思決定を確実にすること。(原文へ) INPS Japan 関連記事: 世界的な水危機-いくつかの事実 |カリブ海地域|気候変動が水危機を引き起こす アフリカでは安全な水道水は未だに贅沢品

人工知能は社会への脅威

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。 【Global Outlook=ドン・バード】 筆者は数十年にわたり、人工知能の周辺で、また、時にはその領域内で仕事をしてきた。現在は、社会の有害な分極化を解消するための取り組みにおいて米国で最も効果を挙げている組織の一つ、ブレイバー・エンジェルズ(Braver Angels)でタスクフォースの共同議長を務めている。 現在AIを利用している、あるいは近いうちに利用しそうな多くの用途が、筆者の頭を悩ませている。実のところ、その一部に筆者は恐怖を覚えているし、読者も恐怖を覚えることを願うばかりだ! 考えて欲しい三つの事実がある。(日・英) (1)「ディープフェイク」は、AIで生成した音声や動画である。ディープフェイクは、詐欺や政治的不正工作、あるいはポルノ制作のために使われ得る。実際にそのような例がソーシャルメディアに登場しており、「実はデサンティスが大好きだ」とヒラリー・クリントンが動画の中で語っている。「彼は、まさにこの国が必要としているタイプの人物であり、私は本気でそう言っている」。また、ある人の顔を別人の体に貼り付けるポルノビデオは、ますます広がりつつある。 (2)米国と中国はいずれも、何らかのAI制御兵器を実戦配備しようと躍起になっているようだ。これには、自律型致死兵器システム(LAWs)、すなわち、単に敵の「資産」(ドローン、線路など)を破壊するのではなく、人を殺す判断を自力で下すことができる兵器が含まれる。 (3)ChatGPTのような「大規模言語モデル(LLM)」の開発者は一般的に、それらのモデルが偏見や危険な情報を含んでいるなどの有害な文章を生成しないようにする機能を搭載している。しかし、再三再四にわたり「ガードレール」機能の抜け穴が発見されており、LLMが公開されてから数分で発見される場合もしばしばである。テロリストがそのような抜け穴を利用して、症状が1週間現れないため感染を広げる時間がたっぷりある新しい致死的病原体を開発する方法を学習することを想像して欲しい。 市民の間の信頼は民主主義社会の不可欠な要素であるが、AIはすでにそれを損ないつつある。2023年初め、有名なAI研究者であり批評家のゲイリー・マーカスは、「われわれは、もはや何を信じたら良いか全く分からない世界に極めて急速に行き着こうとしている。それは社会にとって、例えばこの10年間で、すでに問題となっている。この先はますます悪化する一方だと思う」と述べた。音声や動画のディープフェイクは、信頼が損なわれる一つの方法である。無害に見えるが、現実と人工の境界を曖昧にするものも、しかりである。 しかし、昔ながらの言い回しを使った偽情報キャンペーン、ますます極端化し分極化する見解に基づくコンテンツをしばしば提案するソーシャルメディア、いわゆる「ハルシネーション」など、他にもいくつかの脅威がある。ハルシネーションとは、完全に間違っていることをLLMが自信たっぷりに主張してくる、驚くほどよく見られる現象である。ミシェル・ウィリアムズによる「われわれはAIをどこまで野放しにするのか?(How far will we let AI...

去るも残るも苦渋

2024年国際女性デー