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教育を奪われたアフガン女性の命綱、オンライン大学
【カブールIPS=匿名】
カテラさん(仮名)は幼い頃から、大学で医学を学び、医師になることを夢見ていた。
「白衣を着た医師を見るたびに、いつか私も同じような白衣を着て、人びとのために働きたいと思っていました。」と、彼女は振り返る。
年月を重ねるにつれ、その夢に一歩ずつ近づいているように感じていた。少なくとも5年前、タリバンがアフガニスタンで再び権力を掌握し、彼女の生涯の夢を打ち砕くまではそうだった。
カテラさんはこう語る。「学校を卒業したら、大学入試を受けるはずでした。そのために、万全を期して準備していました。ところが不幸にも、タリバンがアフガニスタンで権力を握り、すべてがひっくり返ってしまいました。彼らが最初に行ったことは、少女や女性から教育を奪うことでした。」
「その瞬間、子どもの頃から抱いてきた夢がすべて塵になってしまったように感じました。疲れ果て、希望を失い、人生が急停止してしまったようでした。教育を奪われるということは、真っ暗闇の中で生きることを強いられることなのです。」と彼女は言う。
26歳のカテラさんは、バダフシャン州の遠隔地の村で、両親、2人の姉妹、2人の兄弟と暮らしている。教育を続けられないと悟ったとき、彼女は深い失意に陥った。
「日がたつにつれて、心の状態は悪くなる一方でした。憂うつ、疲労感、苦しさは日ごとに深まっていきました。タリバンは女性への制限を次々と強化し、ついには私たちは自由に移動することすら許されなくなりました。私は少しずつ、生きる希望を失っていったのです。」
しかし突然、地平線の先に一筋の光が差した。ある日、かつての同級生から電話がかかってきた。女性向けに設けられたオンライン大学課程で学べる可能性があるという知らせだった。
経済学者のアブドゥル・ファリド・サランギ氏は、2022年にオンライン・ザン大学を創設した。現在は国外から同大学の運営責任者を務めている。このプロジェクトは、教育を奪われた少女たちを支援することを目的としている。サランギ氏にとって、教育を提供することは責務である。教育を受けた女性なしに、アフガニスタンの発展はあり得ないからだ。
カテラさんはすぐにオンライン大学の心理学課程に出願し、入学を認められた。
しかし、彼女の村ではインターネット接続が悪く、学業を続けるためには都市部に住む姉のもとへ移らなければならなかった。
カテラさんは現在、第4学期で学んでいる。教員はアフガニスタン国内のほか、国外からも参加しており、授業の質は専門的だと彼女は語る。
カテラさんにとって、オンライン大学は単なる学びの場ではない。彼女はそれを「暗闇の中の光」だと表現する。
とはいえ、オンラインで学ぶことに困難がないわけではない。インターネット接続は不安定で、費用も高い。カテラさんの母親は、彼女の費用を賄うため、村で牛乳を売っている。
「オンライン・ザン大学は、私を深い絶望感から救い出し、もう一度、人生に意味を与えてくれました。」とカテラさんは語る。授業は夜に行われ、彼女は家族の多くと離れ、都市部の姉の家で暮らさなければならない。それでも、彼女はそのすべてに価値があると言う。
サランギ氏は、このプロジェクトを始めた動機をこう説明する。
「大学を設立した目的は、教育を奪われた少女たちを支援することでした。学校や大学が閉鎖されると、何千人もの少女たちから希望と意欲が失われました。この状況が続けば、一世代全体が失われ、社会は深刻な危機に直面すると分かっていました。」
「私にとって、これは人間としての責任でした。」と、モスクワ国際大学で金融経済学を学んだサランギ氏は締めくくる。
オンライン・ザン大学は、小さな一歩から始まった。予算もなく、組織的な支援もなかった。サランギ氏は同僚や教授らに協力を呼びかけ、その多くがボランティアとして参加した。活動は次第に広がっていった。
現在、同大学には複数の学部があり、アフガニスタン国内外の数百人の教員と事務スタッフがいる。ほぼ無償で、何万人もの女性に教育を提供している。
授業は、多くの教員が日中は別の仕事に従事しているため、夜に行われることが多い。対面形式の授業が難しい場合には、講義を録画し、その動画を配信している。
授業は夜に行われるが、カテラさんは懸命に学び、欠席しないよう努めているという。
「家事と、教授たちから課されるウェビナーの準備を両立させています。正直なところ、昼も夜も、どう過ぎていくのか分からないほどです。でも時間がたつにつれ、かつて抱えていた不安や否定的な考えはすべて薄れていきました。今は、自分の明るい未来を思い描きながら、夢と希望を持って前に進んでいます。」と、カテラさんはうれしそうに語った。(原文へ)
INPS Japan/IPS
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鉱物から製造業へ―カザフスタンのレアアース推進策
本稿はThe Astana Timesの許可を得て、日本語翻訳を掲載している。カザフスタンのレアアース開発は看過できない動きである。半導体や電池、電気自動車、再生可能エネルギー機器に不可欠な重要鉱物の安定確保は、日本の経済安全保障に直結しているためだ。供給の中国集中が続くなか、カザフスタンが採掘のみならず加工能力の拡充にも力を入れ始めたことは、日本にとって新たな協力の可能性を示している。(INPS Japan 浅霧勝浩)
【アスタナThe Astana Times=ナジマ・アブオワ】
世界のレアアース生産量は、デジタル技術とクリーンエネルギー需要の高まりを背景に、この20年でほぼ4倍の37万9900トンに達した。カザフスタンでは、この分野は依然として工業生産全体の中では小規模だが、急速に拡大する世界市場の中で、発展の初期段階にある新興部門として浮上しつつある。
レアアース元素は、マイクロチップから風力タービンに至るまで幅広い技術に不可欠な17種の金属群であり、世界経済における重要性を一段と高めている。その独特の物理・化学的性質により、高性能磁石、電池、電子機器に欠かせない材料となっている。
一方、世界の供給網は依然として中国への集中が著しく、採掘の70%超、加工の約90%を中国が占めている。こうした偏在はサプライチェーンのあり方を大きく左右しており、供給源の多角化を戦略課題として浮上させている。
こうした中、レアアースは地政学ならぬ「地経学」上の影響力を左右する手段としても認識されつつある。生産と加工を誰が握るかによって、重要技術へのアクセスや産業発展そのものが左右され得るからである。
「レアアースの世界的な需要は非常に大きく、今後も着実な拡大が見込まれる。主な需要分野は、電気自動車、再生可能エネルギー、電子機器、コンピューター、スマートフォンである。デジタル経済への移行は、レアアース市場の拡大と密接に結びついている。」こう語るのは、Solidcore Resourcesで操業地質部門を統括する工学地質学者、セリク・コナクバエフ氏である。
同氏によれば、中国の優位性は、比較的低い労働コスト、発達した産業基盤、そして技術の蓄積が組み合わさっていることによる。このことが同国に、この分野の発展で大きな優位を与えている。その一方で、世界市場では供給先の多角化を求める動きが強まりつつあり、カザフスタンを含む新たな生産国にとっては好機となっている。
資源基盤と産業面での下地
カザフスタンは、世界有数の鉱物資源基盤を有する。産業・建設省によると、国家バランスシートには9000を超える鉱床が登録されており、そのうち100超が希少金属およびレアアース元素を含んでいる。
同国では、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム、レニウムといった主要金属の生産・加工が行われている。さらに、セレン、テルル、ゲルマニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウムといった副産元素も回収されている。これらの多くは、ウラン、非鉄金属、貴金属の採掘に伴う副産物として得られるものであり、効率的な回収には高度で複雑な処理技術が求められる。
現時点で、希少金属部門が工業生産に占める割合は約0.3%にとどまる。ただ、その小さな基盤とは対照的に、希少金属・レアアースに対する世界需要は拡大を続けている。
地域的な生産能力と技術的なギャップ
産業能力は、既存の冶金拠点に集中している。ウスチ・カメノゴルスクのチタン・マグネシウム工場は、航空宇宙産業や冶金向けにチタンとマグネシウムを供給している。ウルバ冶金工場は、原子力や電子機器に用いられるベリリウム、ニオブ、タンタルを処理している。ジェズカズガンでは、Zhezkazganredmetが高温合金や化学用途向けにレニウムとオスミウムを生産している。
このほか、クズロルダ州でのバナジウム精鉱生産や、アルマトイ州で進むタングステン関連事業も、この分野を支えている。
もっとも、こうした個別の加工施設が存在する一方で、カザフスタンにおける希少金属・レアアースの高度加工の水準は依然として限定的である。コナクバエフ氏は、技術不足と相対的に弱い技術基盤のため、同国はなお主として原料の採掘と輸出に依存していると指摘する。同氏は、国内技術の育成、加工能力の拡充、そして国内で完結するフル生産体制の構築が優先課題だと述べた。
「実際、わが国には相当な埋蔵資源があり、その多くはソ連時代に探査されたものである。だが、資源を最大限に活用し、国内で完結する生産体制を築くには、加工インフラを積極的に整備し、投資を呼び込み、最新技術を導入する必要がある。」と、コナクバエフ氏は語った。
さらに同氏は、モリブデンやタングステンの鉱床について、2000年代以前には開発が進められていたものの、需要構造の変化に伴い、現在では開発があまり進んでいないと指摘した。リチウム、タンタル、ベリリウムについても状況は同様で、埋蔵資源はあるものの、国内需要はなお限られているという。
投資と加工重視への転換
国家政策は近年、産業能力の拡大と、より高度な加工の発展に重点を移しつつある。政府が承認した2024~2028年の包括計画では、少なくとも5つの新規生産施設の立ち上げ、既存企業の近代化、高度抽出技術の導入が盛り込まれている。
すでにいくつかの事業が始動している。アルマトイ州のボグティ鉱床ではタングステン生産施設が稼働を開始し、硫酸マンガン一水和物の生産も確立された。さらに今後の事業は、新たな技術連鎖の構築を目指している。2026年には、ルクセンブルクに本拠を置き、カザフスタンで大規模事業を展開する鉱業・金属企業ユーラシアン・リソーシズ・グループ(ERG)の参加を得て、年産15トン規模のガリウム生産ラインが計画されている。このほか、リチウムイオン電池のリサイクル、金属レニウムの生産、電池材料の開発といった取り組みも進んでいる。
事業はバリューチェーンの新たな領域にも広がっている。カザフスタン中部では、電池材料の生産を支える黒鉛プロジェクトが前進している。同時に、パブロダール州では、蓄電技術に用いられる電解マンガンと二酸化マンガンを生産するマンガン加工クラスターの整備が進められている。
特にカラガンダ州を中心とするカザフスタン中部は、有望な探査地域として浮上している。2025年には、同地域で新たなレアアース鉱区が確認され、現在、その資源ポテンシャルを確定するための地質調査と試験分析が続けられている。
「クイレクティコル鉱区のレアアース資源の推定埋蔵量は、約93万5400トンに上る。現在、Tau-Ken Samrukが固体鉱物の探査ライセンスを取得しており、埋蔵量の確認に向けて詳細な地質調査と室内分析が進められている」と、産業・建設省のイラン・シャルハン副大臣は語った。
政府はまた、この分野を支える投資枠組みの拡充も進めている。具体的には、16の特別経済区、アスタナ国際金融センター(AIFC)、デジタル・プラットフォーム「Minerals.e-Qazyna.kz」、そしてカザフスタン開発銀行を通じた10億ドルの資金供給などが含まれる。最大の目的は、国内で完結するフル生産サイクルを確立することにある。
「新たな投資サイクルを形成するため、2029年までの投資政策構想が実施されている。投資契約の締結により、優先分野の企業は税制・関税上の優遇措置に加え、現物による支援も受けられるようになる」と、シャルハン副大臣は語った。
2月に開かれた政府拡大会合では、カシムジョマルト・トカエフ大統領も、重要鉱物に対する世界的需要の高まりと、カザフスタンの資源基盤に対する投資家の関心の強まりを強調した。
「西側諸国をはじめとする先進国の投資家は、カザフスタンでこうした事業に強い関心を示している。これはわが国の国際競争上の強みであり、国益のために有効に活用しなければならない」と、トカエフ大統領は語った。
探査・開発事業にはすでに、米国、ドイツ、オーストラリア、中国の海外パートナーが関与している。産業・建設省によれば、米国のCove...
トランプ氏の終末論的言辞は核による殲滅を想起させる
【ニューヨークIPS=アロン・ベンメイアー】
トランプ氏が4月7日、トゥルース・ソーシャルに投稿した内容の深刻な含意は、いくら強調してもしすぎることはない。彼は、イランとの合意が成立しなければ「今夜、一つの文明が滅び、二度と戻ることはない」と述べた。こうした断罪されるべき発言は、脅しを実行するために「大量破壊兵器」、すなわち核兵器の使用も辞さない姿勢を示唆している。|英語版|
言うまでもなく、通常兵器だけでイランのような広大な国を破壊し、人口9500万人を殲滅することはできない。トランプ氏が実際にその脅しを実行する可能性は低かったとしても、この発言はイラン国内でも国際社会の多くでも、深刻に受け止められた。
トランプ氏の脅迫に対する国際的な怒り
トランプ氏の常軌を逸した発言は、テヘランからバチカン、さらには国際人権団体に至るまで、異例の非難の波を引き起こした。
アムネスティ・インターナショナルの事務総長は、トランプ氏の投稿を「終末論的な脅迫」と非難し、「一つの文明全体」を終わらせるという発言は、「人命に対する驚くべき残虐性と軽視」を露呈するものであり、残虐犯罪を防ぐため、国際社会は緊急に行動すべきだと警告した。
教皇レオ14世は、この言葉を「到底容認できない」と述べた。英国のスターマー首相もトランプ氏の脅迫を非難し、「私なら決して使わない言葉だ。英国の価値観と原則に基づいてこの問題に向き合っているからだ」と述べた。
こうした数々の反応は、トランプ氏の言辞が単なる大言壮語としてではなく、国際法の基本規範を踏みにじるジェノサイド的脅迫として受け止められていることを示している。
トランプ氏の発言に対するイラン当局者の反応
在パキスタン・イラン大使館は、アレクサンドロス大王やモンゴルの侵攻を生き延びた文化をトランプ氏が消し去れるという考えを嘲笑し、文明は「一夜にして生まれるものではなく、一夜にして死に絶えるものでもない」と強調した。
トランプ氏がイラン人を「石器時代に戻す」と誓い、「一つの文明全体が死に絶える」と述べたことは、テヘランでは単なる暴言として受け止められていない。イラン指導部は、この言葉を戦争犯罪を実行する意図を公然と認めたものと見なし、すでにワシントンとの存亡をかけた対立の物語の中に位置づけている。
革命防衛隊にとって、「石器時代」という脅しは格好の宣伝材料となる。それは、米国が単にイラン体制に反対しているだけでなく、イラン国民全体を消し去ることを望んでいる証拠だと主張できるからである。
イスラム革命防衛隊の反応は、怯えるどころか挑戦的だった。同隊は「より強力で、より広範で、より破壊的な」報復を約束し、米国がいかなる形で緊張を高めても、それに相応する対応を取ると示唆した。
確かに、イラン指導者の多くは、トランプ氏の投稿を、実行できもしない核による殲滅をちらつかせる、追い詰められた瀬戸際戦術―校庭のいじめっ子の虚勢―と見ている。この解釈は国内の不安を和らげるかもしれないが、同時にテヘランに対し、彼のはったりを試してみようという誘惑を与え、誤算の危険を高める可能性もある。
いずれにせよ、トランプ氏はイランの支配者たちに、こうした終末論的圧力のもとでワシントンから引き出したいかなる譲歩も、降伏ではないと主張する機会を与えてしまった。それでも、千年を超えるイランの歴史は、豊かな文明を誇るこの誇り高き人々が、いかなる脅迫にも屈しないことを物語っている。
イラン国民の反応
トランプ氏が「イランを極めて激しく攻撃する」と約束したことは、すでに疲弊した社会に対する心理戦としても機能している。それは、長年にわたる制裁、経済崩壊、抑圧の上に、物理的破壊の恐怖を重ねるものだ。
多くのイラン人、とりわけ親世代や高齢者にとって、米国大統領が「一つの文明全体が今夜、死に絶える」と平然と警告するのを耳にすることは、抽象的な地政学を、自分たちが具体的に想像し、実感できる身近な恐怖へと変えてしまう。電力を失った病院、食料も水もない子どもたち、飢え死にする人々、廃墟と化した都市――そうした光景である。
このことは、彼らの不安と懸念を深め、ジェノサイド的な口調を強める狂気の権威主義者の決定によって、自分たちが集団的に罰せられているという感覚を強める。体制を嫌悪するイラン人でさえ、この脅迫を3000年の歴史をもつ文化への攻撃と見なす。彼らは国旗のもとに結集するだろう。なぜなら、トランプ氏自身が示した代替案は、文明の消滅であり、その闘いの中で自分たちの命が消耗品として扱われていると受け止めるからだ。
イラン国内の街頭でも、ディアスポラの間でも、トランプ氏の言辞が、恐怖、怒り、軽蔑が入り混じった不安定な反応を引き起こしていることがうかがえる。そして、その感情は体制によって容易に武器化され得る。一部のイラン人にとって、「文明」が死に絶えるという言葉は、苛烈な制裁と戦争によって刻まれた心の傷を再び開き、米国の脅迫を比喩ではなく、恐ろしく現実的なものに感じさせる。
また別の人々にとって、それは米国より数千年も古い文化に対する耐えがたい侮辱であり、国民的誇りを強め、聖職者支配に批判的な人々の間にさえ支持を生み出すものとなる。
米国の権力を指揮する適格性
こうしたイラン側の反応は、米国内政治にも跳ね返る。海外でジェノサイド的、常軌を逸した、あるいは明らかに正気を欠いたものと解釈される脅しを発する大統領は、決意を示しているのではなく、不安定さと戦略的一貫性の欠如を世界にさらしているにすぎないからである。
それは必然的に抑止力を損ない、イランに対して、動員のための材料と、必要とあれば緊張を高める口実の双方を与えることになる。
国内では、制御不能な人物という印象が、米国の権力を指揮するトランプ氏の精神的適格性をめぐる、すでに激しい議論に直結している。彼の終末論的言辞は道徳的に忌まわしいだけでなく、実務上も考えられないものだと主張する批判者たちに、格好の材料を与えている。
その結果、一部の共和党員や国家安全保障を重視する保守派でさえ、「文明」を破壊すると気軽に口にし、核のボタンに指を置く最高司令官に、米国が最終的に依拠する判断力、規律、国家安全保障を委ねることができるのかと問い始めた。
米国大統領が、一つの文明全体が死に絶えると脅すとき、世界は耳を傾けなければならない。その脅しが必ずしも現実味をもつからではない。抑制のない言葉が国際社会の現実を形づくることの危険を露呈しているからである。
トランプ氏の言葉は、権力の座を離れた人物の癇癪ではない。それは、絶滅を外交手段として用い、劇場型の支配とむき出しの権力誇示のために文明そのものを賭ける世界観を反映している。
数百万人が命を落とすかもしれないというトランプ氏の宣言は、単に均衡を失った精神の妄言ではない。それは、世界最強の軍事力を指揮する人物の口から発せられたとき、言葉がいかに容易に平和を危険にさらし得るかを示す、身も凍るような証左である。
文明の死に言及する彼の姿勢は、政治的無謀さの域を超えている。それは道徳的崩壊を露呈するものであり、米国の権力と国際秩序に影響を及ぼす立場にある者として、彼が不気味なほど不適格であることを示している。
トランプ氏が受け入れない恥辱の水準など、もはや存在しないように見える。ある日には一つの文明全体を消し去り、9500万人のイラン人を殲滅すると脅す。その翌日には、AI生成画像の中で、自らを病人を癒やすイエス・キリストのような救世主として描く。これはトランプ氏にしかなし得ない冒涜であり、キリスト教の高貴で崇高な価値を貶め、自らの病んだ魂を満たそうとする行為にほかならない。
かつては虚勢として片づけられていたものを、いまこそ本質に即して認識しなければならない。すなわち、危険な虚偽と底なしの自尊心が結びつくとき、人類そのものが巻き添えとなるという警告である。世界は、狂人の物語が国家運営の言葉となることを許してはならない。
アロン・ベンメイアー博士は、国際関係論の名誉教授。直近ではニューヨーク大学グローバル・アフェアーズ・センターに所属し、国際交渉および中東研究に関する講義を担当した。
INPS Japan / IPS UN Bureau
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アスタナと東京、スマートシティ・エネルギー安全保障・核軍縮を軸に未来への絆を強化
【東京/アスタナINPS Japan=浅霧勝浩】
中央アジアの広大なステップに築かれたカザフスタンの首都アスタナは、しばしば「未来都市」と呼ばれる。ガラスと鋼の高層建築、広々とした大通り、記念碑的な都市景観は、21世紀における自国の進路を切り開こうとする若い国家の志を映し出している。|英語版|アラビア語|
しかし日本にとって、アスタナは単なる遠い異国の首都ではない。この都市のマスタープランには、日本を代表する建築家の一人である故・黒川紀章氏が関わっていた。黒川氏は、カザフスタンの遊牧文化の遺産、厳しい自然環境、国家建設への意志、そして未来志向の都市設計を結び合わせようとした。今日、その歴史的なつながりは、スマートシティ、グリーン技術、エネルギー安全保障、そして核兵器のない世界を目指す共通の取り組みへと広がっている。
5月22日、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領はアスタナで小池百合子東京都知事と会談し、スマートシティ開発、デジタル技術、金融、教育、緊急対応、持続可能な都市運営などの分野での協力について協議した。東京は、世界有数の人口密集都市でありながら、安全、防災、交通、行政サービスの各分野で高度な都市システムを築いてきた。急速に発展するアスタナにとって、東京の経験は貴重な指針となる。
トカエフ大統領は、東京を世界で最も安全かつ効率的に運営されている都市の一つと評価し、日本のスマートシティ構想に対するカザフスタンの関心を示した。東京とアスタナの協力は、気候変動、災害リスク、行政効率、エネルギー利用といった共通課題に都市同士が直接取り組む、新たな都市外交の可能性を示している。
しかし、日・カザフ関係の深化は、都市協力だけでは説明できない。その背後には、より差し迫った地政学的現実がある。中東情勢の不安定化と、それに伴うエネルギー安全保障への懸念である。
日本は長年、原油の多くを中東に依存してきた。イラン情勢やホルムズ海峡をめぐる緊張は、日本経済と市民生活に直接影響を及ぼすリスクである。日本にとって、エネルギー供給源、重要鉱物の供給網、輸送路の多角化は、もはや単なる通商上の課題ではない。経済安全保障の中核をなす問題となっている。
この文脈で、カザフスタンの重要性は改めて高まっている。同国は石油、天然ガス、ウラン、重要鉱物に恵まれた資源国であると同時に、中央アジアと欧州を結ぶ物流の要衝でもある。2025年12月に東京で開かれた「中央アジア+日本」首脳会合では、重要鉱物の供給網強化と、ロシアを経由せずに中央アジアと欧州を結ぶトランス・カスピ回廊への支援が、地域協力の中心に据えられた。
日本にとって、レアアースやリチウムなどの重要鉱物は、蓄電池、電子機器、再生可能エネルギー関連設備、次世代産業に不可欠である。供給源と輸送路の多角化は、エネルギー政策であると同時に、産業政策であり、安全保障政策でもある。こうした国際環境の再編の中で、アスタナは日本の中央アジア関与における重要な拠点として浮上している。
アスタナの都市景観そのものも、国家のビジョン、資源戦略、技術革新が交差する場となっている。バイテレクタワーはカザフスタンの独立と未来への希望を象徴し、2017年アスタナ国際博覧会の遺産である球形建築「ヌル・アレム」は、再生可能エネルギーと持続可能性の象徴として知られる。
小池知事の訪問に合わせて開かれたカザフスタン・日本ビジネスイベントでは、脱炭素化、再生可能エネルギー、ドローン技術、カーボンクレジット関連のソリューションを手がける日本企業が参加した。カザフスタン側では、再生可能エネルギー、人工知能、デジタルトランスフォーメーション分野で日本の専門性への関心が高まっている。都市開発、環境技術、資源協力、物流インフラは、より広範な戦略的枠組みの中で結びつきつつある。
だが、日・カザフ関係には、さらに深い層がある。核被害の記憶である。
日本は、広島と長崎への原爆投下を経験した唯一の戦争被爆国である。一方、カザフスタンは、旧ソ連時代にセミパラチンスク核実験場で繰り返された核実験によって深刻な放射線被害を受けた。1949年から1989年にかけて同実験場では450回以上の核実験が行われ、地域社会と住民の健康に長期的な影響を及ぼした。
1991年、カザフスタンはセミパラチンスク核実験場を閉鎖した。ソ連崩壊後には、自国領内に残された世界最大級の核戦力を放棄し、非核兵器国としての道を選んだ。この決断は、カザフスタン外交を特徴づける重要な柱となっている。
日本とカザフスタンはいずれも、核兵器が人間、地域社会、環境、そして未来世代にもたらす被害を、抽象的な安全保障論としてではなく、歴史的経験として知っている。この共有された記憶は、両国関係に独自の倫理的基盤を与えている。
その記憶は、政府、市民社会、国際機関の間で続けられてきた協力にも反映されている。INPS Japanはこれまで、カザフスタン外務省、赤十字国際委員会、国際安全保障政策センター、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、創価学会インタナショナル(SGI)などが関わる核軍縮関連の会議やイベントを報じてきた。
その一例が、SGI、ICAN、カザフ国際安全保障政策センター(CISP)がアスタナで共同開催した反核展示「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展である。同展は2022年9月、アスタナ中心部のケルエン・ショッピングモールで開かれ、若者に核兵器の危険性を伝えることを目的に、写真、イラスト、グラフを用いて、広島への原爆投下から今日に至る核の歴史と、核兵器が社会にもたらす壊滅的影響を示した。SGIによる同展示は2012年に広島で初開催され、その後、世界各地で展開されてきた。
展示では、核兵器が人間、環境、健康、経済、そして未来に及ぼす影響を、若い世代にも理解しやすい形で提示した。カザフスタン外務省関係者は、同国で1949年から1989年にかけて456回の核実験が行われ、約150万人が健康被害を受けたとされることに言及し、核兵器なき世界の実現をカザフスタン外交の中核に位置づけた。会場では、セミパラチンスク核実験被害者の二世である活動家が、自身と家族が受けた被害について証言し、核被害が世代を超えて続いている現実を訴えた。
https://www.youtube.com/watch?v=fapgfaBfmFQ&t=1s
2023年8月29日にアスタナで開かれた地域会議でも、核兵器の人道的影響、中央アジア非核兵器地帯、核実験被害者の証言、核兵器禁止条約に基づく被害者援助と環境修復について議論が行われた。核兵器を抑止力や国家的威信の観点から語る議論とは異なり、こうした場では、被害を受けた人びと、その家族、地域社会、環境が議論の中心に据えられてきた。
カザフスタンの核実験被害者を描いたドキュメンタリー「私は生きぬく:語られざるセミパラチンスク」も、セメイ地域の第2世代、第3世代の被害者の証言を国際社会に伝えてきた。国連軍縮部(UNODA)とのワークショップや、非核兵器地帯間の協力強化をめぐる議論とともに、こうした取り組みは、核兵器の人道的影響を国際的な軍縮論議の中心に据え続ける役割を果たしている。
2025年、トカエフ大統領は東京の国連大学で講演し、核リスクが再び高まっていると警告した。広島、長崎、そしてセミパラチンスクに言及し、日本とカザフスタンはいずれも核兵器がもたらす壊滅的な被害を理解している国であると強調した。
この発言は、二国間関係の本質をよく示している。両国の協力は、資源、輸送路、技術市場をめぐる利害だけで成り立っているわけではない。核被害の歴史を背負う社会として、両国は、不安定化する時代に世界がどのような安全保障を選ぶべきかという、より深い問いを共有している。
もちろん、日本とカザフスタンの立場は同一ではない。日本は安全保障政策の一環として米国の核抑止に依存し続けている。一方、カザフスタンは核兵器を放棄し、中央アジア非核兵器地帯の一員となった。それでも両国は、核被害の記憶を国際平和のための行動へと転換しようとする共通の土壌を持っている。
この基盤があるからこそ、スマートシティ、グリーン技術、エネルギー転換、重要鉱物、トランス・カスピ回廊をめぐる実務協力も、単なる取引を超えた意味を持つ。アスタナと東京の関係は、都市間協力であると同時に、核の時代を生き抜いてきた二つの社会が、より安全で持続可能な未来を模索する取り組みでもある。
中東の危機が世界のエネルギー秩序を揺さぶり、核リスクが再び国際政治の前面に浮上するなかで、日本とカザフスタンの関係は、もはや単なる友好の物語ではない。それは、不確実な時代に、都市、資源、技術、平和をどのように結び合わせるのかという、日本自身の選択を映し出す関係なのである。(原文へ)
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