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|視点|権力継承から生存へ:ベネズエラ危機は2013年にすでに見えていた

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】 https://www.youtube.com/watch?v=3fWJ-kbk_Mk 2013年4月、私はRTアラビアのカメラの前で、落ち着かない移行期にあるベネズエラ情勢を論じていた。ウゴ・チャベスは亡くなり、ニコラス・マドゥロは僅差で勝利した。国は、ある決定的な問いの前に立っていた。カリスマの後に、何が続くのか―。私は予言をしたのではない。当時の状況を読み解いただけである。 それから10年以上が過ぎ、私はあのインタビューに改めて向き合う。目的は自分の「予測」を誇ることではない。時間という試金石に照らし、何が当たり、何が外れ、そして当時は誰にも合理的に見通せなかったものは何だったのかを確かめるためである。 当時、私は「僅差の勝利では確かな正統性は得られない」と述べた。これは決定的に正しかった。2013年には政治的な対立に見えたものが、のちに国家の存立そのものを揺るがす亀裂へと変わった。ひとつの国に、正統性をめぐる二つの主張が並び立ち、社会はその狭間に閉じ込められ、展望を失っていった。分極化は一時的な現象ではない。統治の土台そのものになった。脆さは崩壊へ向かったのではなく、硬直として固定化していった。 私はまた、チャベスとマドゥロは同じタイプの指導者ではない、と当時から指摘していた。マドゥロには前任者のようなカリスマがなく、街頭の支持をそのまま引き継ぐのは難しい――そう率直に述べた。この見立て自体は、今も変わらない。変わったのは、彼がその弱点をどう埋めたかである。治安機関の掌握、制度の運用、そして時間の使い方。ここで私は現実に突き当たった。私は「弱い政権は崩れやすい」と見込んだが、弱さが統制によって「持ちこたえる力」に作り替えられる可能性を、読み切れていなかった。 経済でも、危険信号は2013年の時点ですでに出ていた。私は、石油産業の弱体化、汚職の蔓延、改革を先送りしながらスローガンだけを積み上げる政権の姿勢に警鐘を鳴らした。その後に起きた金融の崩壊、制御不能なインフレ、そして大規模な人口流出は、予想外というより、壊れ方の激しさが衝撃だった。市場は冷酷な論理を突きつけたが、それは教科書にあるような整然とした調整過程ではなかった。 そこで起きたのは「移行」ではなく、むしろ過酷な“適応”だった。影の経済が広がり、事実上のドル化が進み、社会が疲弊する一方で、政治はその上で生き延びる仕組みを固めていった。 では、私の見立てが外れたのはどこか。最大の誤算は「時間」だった。2013年当時、「マドゥロは任期を全うできるのか」という問いは自然に思えた。だが現実は、もっと厳しい教訓を示した。いったん硬直化を選んだ体制は、分析者が想定する以上に長く持ちこたえる。統制は耐久性を生み出し、選択肢が塞がれると、時間そのものが統治の道具になっていく――その点を私は十分に織り込めていなかった。 私は軍の位置づけも軽く見ていた。軍はクーデターの担い手としてではなく、体制を支える柱として機能した。大きな断絶が起きなかったのは中立だったからではない。むしろ統治構造に組み込まれていたからだ。権力は奪い取る必要がなかった。すでに分け合われていたのである。 さらに、多くの人々と同じく、危機がどれほど急速に国際化するかも読み違えた。国内の正統性をめぐる争いとして始まった問題は、やがて地政学的な対立へと姿を変える。制裁、相反する承認、断続的な交渉、そして緊張が高まる局面――。2013年には想像しづらかった形で、ベネズエラは何度も国際的な見出しの中心に引き戻されていった。 今日、あのインタビューを振り返るのは、当たり外れを競うためではない。分析ジャーナリズムの原点を確かめるためである。細部を追うだけではなく、何が起きつつあるのかという「流れ」を見抜くこと。私は大枠の構造は読み当てた。脆弱な正統性、カリスマ後の指導者、そしてじわじわと痩せ細る経済基盤。だが、見誤ったのは速度だった。体制がどれほど長く持ちこたえ得るのか、そして生き延びるためにどこまで踏み込むのか――その見通しは甘かった。 ベネズエラは一夜にして崩れたわけではない。転落は、ゆっくりと、そして意図的に進んだ。2013年のあの落ち着かない春から、段階を追って。始まりに耳を澄ませる者は、結末の輪郭をつかむことがある。たとえその結末が、想像より遅く、想像より苛烈な姿で訪れたとしても。(原文へ) Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/world-reacts-as-u-s-strikes-venezuela-un-sounds-alarm INPS Japan/ATN 関連記事」: 米国がベネズエラを攻撃、国連が警鐘 世界は賛否分かれる 長崎原爆から80年──唯一の道徳的選択肢は廃絶である(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長) 核のない世界への道は険しいが、あきらめるという選択肢はない。(寺崎広嗣創価学会インタナショナル平和運動総局長インタビユー)

米軍、劇的な急襲作戦でベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束

【ベネズエラ・カラカスLondon Post】 米国はベネズエラで一夜にして大胆な軍事作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領と妻のシリア・フローレス氏を拘束した。これは、1989年のパナマ侵攻以来、ラテンアメリカにおける米国の直接介入として最も重大なものになるという。 ドナルド・トランプ大統領は未明に発表し、「大規模な攻撃」を成功裏に実行し、マドゥロ氏と妻を「拘束して国外へ移送した」と宣言した。 ■マドゥロ大統領と大統領夫人を拘束 米当局者は米主要メディアに対し、急襲作戦を米陸軍の特殊部隊デルタフォースが実施したと明らかにした。作戦に詳しい関係者によれば、マドゥロ氏夫妻はカラカスの自宅でヘリコプターによる急襲を受けて拘束され、主要軍事施設への空爆が作戦を支援したとされる。 夫妻はニューヨークに移送され、麻薬テロなどの罪状で起訴されている事件について、米国で裁判にかけられる見通しだ。パム・ボンディ司法長官は、夫妻は「まもなく米国の地で米国の司法の裁きを受ける。」と述べた。 ■デルタフォースの役割 デルタフォースは米陸軍の特殊作戦部隊の一つで、正式名称は「第1特殊部隊作戦分遣隊デルタ(1st Special Forces Operational Detachment–Delta, 1st SFOD-D)」とされる。対テロ、人質救出、重要人物の拘束などを任務とするが、部隊運用の詳細は機密性が高い。 同部隊は1977年に創設された。性格上、個別作戦への関与が公式に明らかにされない場合も多いが、米メディアなどでは、イラク戦争期のサダム・フセイン元大統領の拘束(2003年)や、「イスラム国」(IS)指導者アブ・バクル・アル=バグダディを標的とした急襲作戦(2019年)などで投入されたと報じられてきた。 拠点はノースカロライナ州のフォート・ブラッグに置かれているとされる。隊員は米メディアなどで「オペレーター」と呼ばれることもあり、精密さと秘匿性が求められる任務に備え、厳しい選抜と訓練を受けるとされる。今回、同部隊が投入されたとすれば、作戦が高いリスクを伴うことを示唆する。 ■背景と緊張の高まり 今回の攻撃は、米国がマドゥロ政権について「麻薬国家」を運営し、選挙不正を行っているなどと主張して圧力を強めてきた流れの中で起きた。報道によれば、最近の動きとして、カリブ海での海上阻止行動や、麻薬関連施設と疑われる拠点への無人機攻撃、地域での軍事態勢の増強などが挙げられている。 トランプ大統領は繰り返し「決定的な行動」を示唆し、麻薬カルテルに対する「武力紛争」の一環だと位置づけてきた。 ■ベネズエラと国際社会の反応 ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、マドゥロ氏の所在について政府として把握していないと述べ、「生存確認(proof of...

米国がベネズエラを攻撃、国連が警鐘 世界は賛否分かれる

【国連ATN=ATN News Team】 米米国がベネズエラに対して軍事行動を実施したことを受け、世界の指導者は(現地時間)土曜日、予想通り地政学的立場に沿って反応した。国連は警告を発し、各地域で「非難」「慎重姿勢」「支持」が交錯した。 アントニオ・グテーレス国連事務総長は、今回のエスカレーションは「危険な前例」になり得ると指摘し、国際法の尊重が弱まり、もともと脆弱な中南米地域が不安定化する恐れがあるとして懸念を示した。各国政府が、国連など多国間の手続きを経ない米国の動きがもたらす影響を見極める中での発言だった。 中南米では反応が大きく割れた。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、米国の行動はベネズエラの主権の侵害だと非難し、国連での緊急協議を求めた。軍事介入は地域をより広範な不安定化へ引き込むリスクがあるとも警告した。メキシコ政府も自制を促し、対話とベネズエラ国民自身が主導する政治的解決を訴えた。 コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、地域および国際社会による緊急協議を呼びかけ、危機を武力で解決すべきではないと強調した。一方、アルゼンチンは支持寄りの姿勢を示し、ハビエル・ミレイ大統領は今回の行動を権威主義への打撃だと位置づけ、ワシントンと歩調を合わせた。 欧州の指導者らは、政治よりも適法性に焦点を当てた。欧州連合(EU)の高官は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の正統性は認めないとしつつ、いかなる対応も国際法と国連憲章に従う必要があると強調した。EUは米軍事行動を支持するには至らず、抑制と緊張緩和を求めた。 ドイツ政府関係者は、一方的な軍事行動は国際法秩序を損ないかねないと警告し、交渉による政治解決を優先する立場を改めて示した。フランスも同様の懸念を表明し、武力によって政治変化を押し付けることは、将来ほかの大国が引き合いに出しかねない前例になり得るとして注意を促した。スペインも武力行使に慎重で、ベネズエラ危機は外部の軍事介入ではなく、民主的で交渉による手段で解決されるべきだとの立場を示した。 中東・北アフリカでは反応は比較的抑制的だった。アラブ連盟は正式声明を出さず、複数の地域政府も公の場で沈黙を保った。 イランは、米国の行動はベネズエラの主権の侵害であり国際法に反するとして非難し、この問題は国連で扱うべきだと主張した。トルコは事態の悪化に懸念を示し、主権尊重を強調するとともに、地域をさらに不安定化させかねない行動を慎むよう求めた。 エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、モロッコは、4日時点で公の声明を出していない。これは、一方的な軍事行動や体制転換(レジームチェンジ)の前例を支持することに慎重な、地域全体の姿勢を反映しているとみられる。 米国と対立する国々やベネズエラの同盟国は、相次いで非難した。ロシアは国際法に反するとして国連安全保障理事会の緊急会合を要請。中国も武力行使を批判し、一方的な軍事行動は世界の安定を脅かし、国際秩序を損なうと警告した。キューバも主権国家への侵略だとして非難した。 反応の分裂は、より大きな国際的ジレンマを浮き彫りにしている。多くの政府がベネズエラの現指導部に反対し、民主的正統性に疑問を呈する一方、国連の承認なしに直接の軍事介入を支持する国は限られている。 外交的な余波が続く中、国連は改めて自制と包摂的対話を呼びかけ、国際法の全面的な尊重を訴えた。国連は、ベネズエラをめぐる今回の展開は「危険な前例」になり得るとして警鐘を鳴らしている。(原文へ) Oreiginall URL: https://www.amerinews.tv/posts/world-reacts-as-u-s-strikes-venezuela-un-sounds-alarm INPS Japan 関連記事: 残酷さの外注化:トランプの大量送還マシン │ベネズエラ│領域画定を求めるアマゾン地域の先住民たち ベネズエラ、米国の福音派を追放

ESDが変える学び―サブサハラ・アフリカのSDG4への挑戦

【ナイロビLondon Post=ウィニー・カマウ】 サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)は、世界でも特に人口が若く、増加ペースも最速級の地域である。その一方で、急速な人口構成の変化(子どもや若者の急増)や経済的な圧力、深刻化する気候変動の影響(干ばつや洪水など)を背景に、教育が大きな課題となっている。持続可能な開発目標(SDGs)の目標4(SDG4)は、2030年までに「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを掲げる。だが2025年末時点でも、達成に向けた進み具合には地域や国によって大きな差がある。就学率は長年にわたり拡大してきたものの、教育の質や「学んだことが力になる」実効性、そして公平性が追いつかず、貧困や脆弱性の連鎖を断ち切れていない。|ヒンディー語版|英語| SDG4のターゲット4・7に位置づけられる「持続可能な開発のための教育(ESD)」は、学習者が持続可能性に関わる課題――環境を守ること、経済のしくみ、社会の公正さ――に向き合うための知識や技能だけでなく、価値観や態度も身につけることを目指す枠組みである。サブサハラ・アフリカでは、気候変動や食料不安、格差といった問題が日々の暮らしに直結し、教育現場にも影響する。ESDは、暗記中心になりがちな学びを、困難を乗り越える力や、自ら考えて選び行動する力を育てる学びへと転換する手がかりとなり得る。 もっとも、同地域の教育には大きな格差がある。近年のユネスコや国連の報告によれば、アフリカ全体で学校に通えていない子どもや思春期世代、若者は約1億1800万人に上り、その過半がサブサハラ・アフリカに集中しているとされる。就学前教育(幼児教育)への参加率は約48・6%にとどまり、世界平均を大きく下回る。学びの土台となる幼児期の基礎が十分に築けないまま、初等教育に入っている現状がうかがえる。初等教育の適齢期での修了率はおおむね62~65%で、中等教育ではさらに低下する。 学力面の遅れも深刻である。多くの国で、初等教育を終えるまでに、読み書きや算数・数学で最低限の水準(基礎的な到達度)に達する子どもは、10~58%にとどまる。教員不足も極めて深刻で、サブサハラ・アフリカでは2030年までに推計で約1500万人の新規教員が必要とされる。さらに初等教育教員の約40%は国内の資格基準を満たしておらず、訓練を受けた教員の割合も世界で最も低い水準(約65%)にある。 ジェンダー格差は初等段階では縮小する一方で、中等・高等段階、とりわけ理工系分野で再び拡大する傾向がある。背景には、貧困、児童労働、早婚、紛争に加え、文化的規範が女子に過大な負担を課している現実がある。 学校インフラも十分とは言いがたい。飲料水や衛生設備などは、地域によっては2016年以降に改善が進んだが、多くの学校で基礎的なサービスはなお不足している。 こうした課題に対し、ESDは教育を「社会や暮らしを変える力につながる学び」へと方向づけ、批判的思考(うのみにせず考える力)、問題解決、協働、そして持続可能性に向けた行動を促す。ユネスコの「ESD for 2030」(2030年に向けた国際枠組み)によれば、ESDはより公正な社会に向け、情報に基づいて判断し、意思決定する力を育むことを目指す。 サブサハラ・アフリカでは、気候変動の影響が就学そのものを直撃している。2024年には異常気象の影響で、数百万人規模で登校できない日が生じたとも報告されている。ESDは、干ばつに強い農業や生物多様性の保全、地域の防災力といった課題を授業に取り込み、教室の学びを現実の問題とつなぐ役割を果たし得る。 ESDを教育の中に広げる(主流化する)動きも進んでいる。2025年には、西・中部アフリカを対象にセネガルで実施された地域ワークショップなど、教育部門に限らず関係機関が連携してESDを拡大する取り組みが進展した。ボツワナ、南アフリカ、サヘル地域のプログラムでは、持続可能性を授業に取り込むための教員研修が進められ、教室の学びを、環境に配慮した農業や持続可能な産業づくりといった実社会の課題につなげる試みも広がっている。ESDは、気候変動対策(目標13)、ジェンダー平等(目標5)、不平等の是正(目標10)など、相互に結びつくSDGsの前進を後押しする。 しかし、前進を阻む構造的な壁は大きい。最大の要因は資金不足で、サブサハラ・アフリカはSDG4達成に必要とされる世界全体の年間資金不足(約970億~1000億ドル)の相当部分を占めるとされる。債務負担が重い国々では、教育よりも債務返済に支出を回さざるを得ない。教育予算も、多くの国で「GDP比4~6%」という目安に届いていない。 制度面の制約も大きい。過密なカリキュラムや試験偏重の仕組み、教員養成の不足は、ESDを後回しにしがちである。紛争や避難、洪水や干ばつなどの気候災害は学習を中断させ、結果として数百万人規模で通学を断念せざるを得ない状況を生む。デジタル環境の格差や教材・設備の不足も、誰一人取り残さない学びや新しい教育手法の導入を妨げている。さらに文化的な障壁に対応するには、地域に受け継がれてきた知恵や実践を生かし、ESDを現実に合う形に組み直すことが欠かせない。 アフリカの教育関係者は、現地の文脈に即した解決策の重要性を強調する。ジュリアス・アトゥフーラ博士は、就学の「量」を増やす段階から、「量に加えて質」を重視する段階へ軸足を移すべきだと指摘する。そのうえで、同じ制約の中でも例外的に成果を上げている教員の実践を分析し、他地域にも広げられる工夫を見いだす必要があるという。 ジュード・チカディビア・オンウニリマドゥ教授は、大学を教員養成の中核に据え、教育学研究と地域の識字向上を牽引すべきだと訴える。アミナ・K・ムテシ博士は、ESDを持続可能な農業や水資源管理など地域の暮らしの仕組みに根ざしたものにし、学びの「関連性」(学ぶ意味)を高める必要があると強調する。タボ・ンドロヴ教授は、知識の暗記ではなく、考え方や行動の変化につながる教え方を重視し、教員が革新と適応を促せるよう支えるべきだと述べる。 前進には大胆な行動が求められる。例えば、債務負担を軽くする代わりに教育など特定分野への投資を確保する仕組み(債務スワップ)といった新しい資金手法や、途上国の教育を支える国際的な資金・協力の枠組みを通じて、重点分野に資金が回る仕組みを強化すべきだ。カリキュラムも、知識量だけでなく「考える力」や協働、問題解決を重視し、教科横断でESDを組み込む方向へ改める必要がある。 教員については、大規模採用に加え、継続的な研修と待遇改善を通じて、現場が能力を発揮できる環境を整えることが欠かせない。奨学金や学校給食、安全な校舎、衛生設備の整備などにより、女子や農村部の子ども、紛争や災害などの危機の影響を受ける子どもたちを支える政策を強化し、格差に対応する必要がある。 地域協力も重要だ。アフリカ連合の長期ビジョン「アジェンダ2063」やサヘル地域の教員育成の取り組み、教育資源を共有するプラットフォームなどを通じて、教材やノウハウを共有し、各国が互いの経験を学び合えるようにする。あわせて、学習状況のデータを的確に把握し、成果を継続的に検証する仕組みも強化したい。デジタルツールは格差を広げないよう配慮しつつ活用することが求められる。さらに、洪水や猛暑といった気候災害に強い学校づくりや、地域に根ざした学びの場を整えることも欠かせない。 技術は新たな機会ももたらす。携帯端末を使った学習やラジオ教育は、遠隔地を含め学びの機会を広げる可能性がある。ただし、端末や通信、電力、費用といった利用環境の差がそのまま教育格差にならないよう、公平な導入が鍵となる。ESDは、技術が「人を中心にした持続可能な学び」を支える方向へ向かうよう、指針を与える。 2025年末時点で、サブサハラ・アフリカは2030年まで残り5年という岐路に立っている。ESDは、単なる就学者数の拡大にとどまらず、実社会の課題に対応できる学びへと教育を結び付ける。若者が気候危機を乗り越え、グリーン経済を担い、公正な社会を築く力を身につけるうえでも重要である。地域の現実に根ざし、教員が主導し、制度として支えられるなら、ESDはSDG4の達成を現実に近づけ、アフリカの次世代と地球の双方にとって、しなやかで持続可能な未来を育むだろう。(原文へ) This article is brought to you...