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Exclusive articles:
なぜ「集合的癒やし」が平和構築の中核なのか
Goal5(ジェンダー平等を実現しよう)
デジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)
ニュース
貧困撲滅のための国際デー
Goal1(貧困をなくそう)
Goal5(ジェンダー平等を実現しよう)
なぜ「集合的癒やし」が平和構築の中核なのか
editor
-
2025年10月19日
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デジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)
Goal1(貧困をなくそう)
貧困撲滅のための国際デー
Breaking
なぜ「集合的癒やし」が平和構築の中核なのか
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2025年10月19日
デジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)
ニュース
2025年10月18日
0
【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】 私は長年、抗議行動を間近で見てきた。タハリール広場からタイムズスクエアまで。そして、時間が経つにつれ「定型」が見えてくる。労働者がストを起こし、学生が集会を開き、政党が動き出す。指導者が現れ、逮捕されるか、妥協する。やがて疲労と沈黙が訪れ、しばらくしてまた新たな抗議が始まる。 しかし、何かが変わった。リズムが違う。新世代―Z世代―は抗議の作法そのものを書き換えたのだ。彼らの運動は、かつてない速さで発火し、広がり、国家が息をつく暇もなく消える。 彼らが築いているのは革命ではない。デバッグ(不具合修正)だ。 無視できないパターン かつては孤立していた動きが、いまや世界的な反響となっている。ネパールでは、若者たちが政府によるSNS禁止令に逆らい、首相を退陣に追い込んだ。モロッコでは「GenZ212」が不平等と崩壊した医療制度に対してオンラインで抗議を組織。マダガスカルの若者は、停電への怒りをアニメのイメージに託して表現した。ケニアでは、TikTok発の「税反乱」が政府に撤回を迫った。 国は違えど、怒りもテンポも同じ。私はこうした蜂起を研究してきたが、そこに見える繰り返しの精度はあまりに高い。どの国も同じプロセスをたどる——デジタルの火花、ウイルスのような拡散、分散型の動員、世論の圧力、そして政府の狼狽。 自然発生的に見える。だが同時に、どこか設計されているようにも感じる。 シグナルの中の疑念 記者として、研究者として、私は「きれいすぎる拡散」には疑いを持つようになった。そして気づいたのは、純粋な声とともに、同調するように動く無数のオンラインページ、インフルエンサー、「活動家」系サイトが存在することだ。 確かに一部は草の根だ。しかし他は? もっと曖昧だ。匿名アカウントや連動するハッシュタグ、数時間で仕上げられたプロ品質の動画がそれを増幅している。政府はこれを「操作」と呼び、活動家は「デジタル戦略」と呼ぶ。真実は、その中間の緊張関係にある。 このことは、街頭の怒りを否定するものではない。むしろ、情報戦と市民運動が融合している証拠だ。Z世代の抗議は政治的であると同時にアルゴリズム的でもある。本物の怒りと仕組まれたノイズの境界はますます曖昧になり、権力者たちはその不確実性に不安を感じている。 「異議申し立て」というOS この世代の運動を定義づけるのは、次の三つの特徴である。 分散化 —— 指導者も階層もない。逮捕の的がない。ピラミッドではなくネットワークとして設計されている。 ミーム化 —— 従来の活動家がマニフェストを掲げたのに対し、Z世代はユーモアと皮肉を武器にする。政治演説よりもTikTokのリミックス動画の方が人を動かす。 速度 —— 深夜のDiscordチャットが翌朝には全国規模の抗議になる。官僚的な政府は、このスピードに対処できない。 しかし、ミームやハッシュタグの背後には現実の絶望がある。経済の停滞、腐敗したエリート、そして「自分と同じ年齢でも、生まれた国が違うだけで人生がまるで違う」という苦い自覚だ。 強みと脆さ Z世代の強みは機動力だが、弱点は持続力である。構造を持たない運動は、一瞬の光で世界を照らすことはできても、すぐに消えてしまう。組織がなければ、勝利もまた霧散し、混乱の中に消える。 そしてAIによる監視やデジタル潜入が進む中、国家も進化している。それでも彼らはやめない。何度でも、どの大陸でも、同じパターンが繰り返される。にもかかわらず、政府は毎回驚いたように振る舞う——まるでこの「タイムライン」がすでに書かれていることを知らないかのように。 広い視野で見れば Z世代を「未熟な理想主義者」と見くびるのは誤りだ。彼らはスローガンを叫ぶ夢想家ではない。「なぜ何も機能しないのか」と問う現実主義者だ。彼らは壊れた制度を受け継ぐつもりはない。その場で修正(デバッグ)しようとしている。 ただし、私たちも注意を怠ってはならない。すべてのトレンド化した抗議が本物とは限らない。あるものは真の怒りから生まれ、あるものは誰かが「燃やしたかった」から燃え上がる。 活動家サイトや匿名の「主催者」、インフルエンサー型アクティビストが乱立し、何が本物で何が仕組まれたものかを見分けるのは難しくなっている。インターネットは誰にでも拡声器を与えるが、その音は歪むのだ。 だが、もし一部の火種が仕組まれたものであっても、炎そのものは本物であり、そして広がり続けている。 権力への警告 政府はアプリを禁止し、プラットフォームを検閲し、ユーザーを投獄することはできる。だが、つながることを前提に育った世代の「接続」を止めることはできない。 Z世代は、許可を待ってはいない。すでに動いている。安定という幻想を揺さぶりながら。 彼らは「未来の指導者」ではない。今日の危機の株主であり、すでに「非常取締役会」を街頭で開いている。 これは混乱ではない。リアルタイムで自己検証を行う未来のベータ版だ。 もしあなたが今の抗議を「ただのノイズ」と思うなら——次のアップデートを待つといい。(原文へ) Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/gen-z-and-the-new-operating-system-of-protest INPS Japan/ATN 関連記事: 南アジアにおける若者主導の革命は懸念すべきか? バングラデシュは「アラブの春」と同じ運命をたどるのか? インドネシア民主主義の岐路
貧困撲滅のための国際デー
Goal1(貧困をなくそう)
2025年10月17日
0
【INPS Japan/IPS】 貧困とは、単なる欠乏ではない。それは排除であり、スティグマ(烙印)であり、不可視化である。貧困は個人の失敗ではない。 それは制度の失敗であり、尊厳と人権の否定である。 貧困の中で暮らす家族は、侵入的な監視や煩雑な適格性チェック、支援ではなく「審査する」制度にさらされている。 シングルマザー、先住民の家庭、周縁化された人々は、より厳しい監視と疑念、そして分断に直面している。 現在、6億9000万人以上が極度の貧困の中で暮らしており、世界人口のほぼ半数が1日あたり6.85ドル未満で生活している。 約11億人が多次元的貧困に苦しみ、極度の貧困層の3分の2はサハラ以南アフリカに集中している。進展は鈍化しており、2030年までの道のりは脆弱である。 https://www.youtube.com/watch?v=4yTySVsVxUE 社会的・制度的な虐待は構造的なものであり、ルール、日常的慣行、制度の仕組みに根を下ろしている。人々が恐れから支援を避けるようになったとき、その制度はすでに失敗している。 本年の「貧困撲滅のための国際デー」(10月17日)は、次の3つの根本的転換を呼びかけている。 管理からケアへ:– 疑念ではなく信頼に基づく制度設計を行うこと。– 懲罰的な条件を減らし、書類手続きを簡素化すること。 監視から支援へ:– 所得支援、保育、住宅、メンタルヘルス、司法を含む家族支援を優先すること。 トップダウンから共創型の解決へ:– 家族を制度設計、予算、実施、評価のすべての段階に参加させること。 家族を支援することは、多くの目標を同時に強化する:– 貧困削減– 健康と福祉– 質の高い教育–...
女神のように舞う
Goal5(ジェンダー平等を実現しよう)
2025年10月16日
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―宗教舞踊における女性の参加が、男性中心の伝統を少しずつ変えている―【カトマンズINPS Japan/Nepali Times=プラティバ・トゥラダー】 2025年8月10日の夜――正確には日付が変わって11日――私はカトマンズ空港に降り立つと、急いでティミへ向かった。そこでは、プラジタ・シュレスタが「ナガチャ・ピャッカン(Nagacha Pyakhaan)」を演じていた。ヒンドゥー神話に登場するバスマスルとモヒニの物語を題材にしたこの舞踊は、バクタプル県ティミのみに伝わる特有の宗教舞である。 プラジタは、モヒニ役を務めたわずか4人目の女性である。これまでこの役は、地域の男性が女性に扮して演じてきた。だが今、宗教舞踊の一部では女性が出演する新たな時代を迎えている。 彼女が最初にグティ(地域共同体)からモヒニ役を打診されたとき、両親に許可を得る前に即答したという。「お願いされた瞬間、心が高鳴りました。これをやる運命だと感じたんです」とプラジタは語る。 初舞台は2022年8月。そして2025年8月、再び選ばれた。ソーシャルメディアで拡散された彼女の舞は大きな注目を集め、観客の“人気投票”のように支持を得た。実際には急な欠員を埋めるための登板だったが、その存在感は群を抜いていた。 ティミに到着したとき、プラジタはすでに長時間踊り続けていた。悪戯っぽい笑みを浮かべながら、通りから通りへと移動し、物語の悪役バスマスルに向かって挑発的に身振りを見せる。 この舞踊の筋書きはこうだ。ヒンドゥー教の神ヴィシュヌが女神モヒニに姿を変え、魅惑の力で悪魔バスマスルを自滅に導く――。この古い舞踊は2019年に復活し、以後、女性舞踊家が少しずつ参加するようになった。最近では、バクタプルやキルティプルといった他の町でも、宗教舞踊や音楽に女性が登場するようになっている。 プラジタは、自分の前にモヒニを演じたナビナ・プラジャーパティの姿に触発されたという。両親も反対はしなかった。兄のキランがすでに「バイラ舞(Bhaila)」に参加していたからである。このバイラはヒンドゥー教の神バイラヴに捧げる舞踊で、約10年前に復興され、ティミの少年たちによって踊られている。 カトマンズ盆地の宗教舞踊は、長らく男性だけが演じるものであった。プラジタは、まだ少数ながらその「未踏の領域」に足を踏み入れた女性の一人である。24歳の彼女は学生であり、通信関連の仕事にも携わっている。自ら道を切り開き、次世代の少女たちが続くための道標を築いた。 「ネワールの女性には自由がないと言われますが、女性が踊りに参加できなかったのは、ある意味で“守るため”でもあったと思います」と彼女は言う。 その夜、プラジタと一座がティミの広場に設けられた石の舞台“ダブー”に上がると、男性たちの歓声が響いた。「ワラ、ワラ!」――来たぞ!しかしプラジタは動じず、微笑みを絶やさずに舞い続けた。腕を夜風に広げ、足を軽やかに踏み鳴らす。「モヒニを演じると、観客はからかったり茶化したりします。昔は男性が女装して踊っていたので、その名残かもしれません。だから祖母たちが“やめなさい”と言っていたのは、危険から守ろうとしていたのだと思います」と語る。 ネワールの伝統舞踊が男性専属とされてきた理由はいくつかある。頭飾りや仮面の重量、長時間の稽古、夜間の上演、断食、さらには酒や動物の血を用いるタントラ儀礼などが伴うこと。そして月経期の禁忌や、魅力と優雅さの神ナーサー・デャー(Nasaa Dyaa)から女性が距離を置かれてきたことも要因とされる。 その夜、私が彼女に同行しているうちに夜の重さを感じ始めていたが、プラジタは疲れも見せず、地区から地区へ駆け抜けた。足首には鈴が鳴り、裸足を包む飾りがきらめく。緑のスカートが旋回するたびに広がり、赤いビロードのブラウスが頬を紅潮させる。頭の孔雀の羽根飾りが揺れ、視線を上げると、バスマスルの顔に挑むような眼差しを向けた。 モヒニを演じることは、プラジタの人生に多くの変化をもたらした。彼女は「ラジオ・カトマンズ(92.1)」の記者でもある。「踊りに参加してから、仕事にも新しい自信がつきました。文化活動もしているので、踊りを通じて新しい視点を得て、多くの人とつながることができました」と語る。 踊る喜びは自分のためでもあるが、彼女は観客からの称賛にも支えられている。観客の多くは親戚や近隣の人々だ。「この役を引き受けたとき、父はあまり関心を示していませんでした。でも公演の夜、観客席に父の姿を見た瞬間、胸がいっぱいになりました」と彼女は振り返る。家族からの承認を求める小さな少女のように、プラジタはその瞬間、自らに課された新しい社会的責任を果たそうと心に誓った。 存在し、参加することで円の中に引き込まれる――その体験は重要である。家父長的社会では、男性はすでにその「円」の中にいるが、女性は外側に置かれてきた。だからこそ、女性がその円に入るためには、まず男性側がその円を開かなければならない。 プラジタが感謝の言葉とともに名を挙げるのは、アルジュン・シュレスタ、ニラジャン・シュレスタ、ビレンドラ・シュレスタ、ラビ・シュレスタといった舞踊師たちである。彼らはかつてナガチャ・ピャッカンを演じ、今はその技と精神を次代へと受け継いでいる。 「以前の私は、ティミで行われる宗教舞踊をただの観客として見ているだけでした。でも踊りに参加してからは、宗教舞踊の仲間として知られるようになり、他の踊りの稽古にも参加できるようになりました。夜遅くまで練習を見たり、踊り手たちと交流したりもできる。――“受け入れられた”と感じます」とプラジタは語る。(原文へ) Suburban Tales は、プラティバ・トゥラダーが身近な人々を題材に綴る、ネパーリ・タイムズの月刊コラムである。 INPS Japan 関連記事: 世界中の人々のための音楽(民音音楽協会) |レバノン|希望と夢を響かせる文化イベント 希望を届ける放送―アフガンの10代少女、女性の声ラジオで未来を取り戻す
サウジ防衛協定は米国の安全保障への信頼低下を映す
ニュース
2025年10月15日
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【メルボルンINPS Japan/London Post=マジド・カーン】 画期的な動きとして、サウジアラビアとパキスタンが「戦略的相互防衛協定」を締結した。これは、米国およびイスラエルに対し、サウジ王国が地域の抑止力を強化するために安全保障同盟を多角化する姿勢を明確に示すものである。 地政学的な力学が急速に変化する中で結ばれたこの協定は、サウジアラビアが長年依存してきた米国の安全保障への依存からの明確な脱却を意味する。 この協定は、リヤドでムハンマド・ビン・サルマン皇太子とパキスタンのシャハバズ・シャリーフ首相の間で署名された。わずか1週間前、イスラエルがカタールに滞在するハマスの政治指導者を標的にミサイル攻撃を行い、米国の防衛支援に依存してきた湾岸諸国に深い不安をもたらした直後である。 湾岸諸国は長らく、ワシントンの予測不能な姿勢と、自国の安全を確実に保証する意思に疑念を抱いてきた。イスラエルの軍事行動が地域の緊張を高める中、その不信はさらに深まっている。サウジ高官の一人は、「一方への攻撃は、他方への攻撃と見なす」と述べ、この相互防衛協定が抑止力の中核となると説明した。協定には、脅威の性質に応じて必要な防衛・軍事手段を講じることが明記されている。 この協定はまた、中東における地政学的構図の変化を象徴している。ドーハ攻撃後、米国が「地域の安全保障の保証人」としての役割を果たしていないとの見方が広がる中で、サウジは同盟関係の再調整を進めている。イスラエルによるドーハ空爆に対する米国の反応が抑制的であったことは、湾岸諸国の脆弱性を露呈させた。ムハンマド皇太子はこの攻撃を「残虐な侵略」と非難し、アラブ・イスラム諸国、そして国際社会が一体となって対応すべきだと強調した。 ワシントンDC拠点のシンクタンク「スティムソン・センター」の上級研究員アスファンディヤール・ミールは、この協定を「両国にとっての画期的な出来事」と評した。彼は、パキスタンが冷戦期に米国と相互防衛条約を結んでいたが、1970年代までに形骸化したことを指摘した。中国とも正式な防衛協定は存在しないため、今回のサウジとの合意は地域の安全保障構造における大きな転換点であると述べた。 ミールはまた、この協定が印パ関係に新たな緊張をもたらす可能性にも触れた。特にインドによる軍事的圧力が懸念される中での締結は象徴的であるという。 シドニー工科大学の南アジア安全保障研究者ムハンマド・ファイサルは、この協定がパキスタンにとって、UAEやカタールなど他の湾岸諸国との防衛協力を広げるモデルになる可能性を指摘した。これにより、パキスタンの地域的地位が一層強化されると見ている。 この合意は、政治的にも重要な意味を持つ。サウジがパキスタンとの関係を正式に再確認したことは、インドが各国に対してパキスタンから距離を置くよう働きかけている中でも、リヤドが依然としてイスラマバードとの長年の絆を重視していることを示す。ミールは「パキスタンは外交的孤立に直面しているが、この協定は同国が完全に周縁化されていないことを示す」と指摘した。 この合意の最も注目すべき点の一つは、サウジの莫大な財政力とパキスタンの核武装軍の能力が連携する構図を生み出すことである。ただし、協定の詳細は依然として曖昧であり、両国とも「核技術や核能力の移転は含まれない」と明言している。 パキスタンのカワジャ・ムハンマド・アスィフ国防相は、「核兵器は協定の射程外にある」と述べ、この協定が将来的に他の湾岸諸国にも拡大される可能性に言及した。 戦略的観点から見れば、この合意は地域の勢力均衡を変える可能性を持つ。長年米国に安全保障を依存してきたサウジが、中国およびロシアと関係の深いパキスタンを防衛の新たな柱として位置づけようとしているためである。この提携は米国の軍事的存在を代替するものではないが、サウジが西側への依存を減らし、他の戦略的パートナーシップを模索していることを明確に示している。 中東の安全保障環境が急速に再編される中で、この動きは生まれた。イスラエルの攻撃的な軍事行動と、地域における米国の影響力低下が、湾岸諸国に安全保障政策の見直しを迫っている。サウジ・パキスタン防衛協定は、サウジが米国の予測不能な外交方針に不安を抱き、地域の不確実性に備えるための戦略的転換を示している。 サウジ王室に近い政治評論家アリ・シハビは、今回の協定は「米国の軍事的役割に取って代わるものではない」が、サウジが従来の同盟関係を超えて新たな方向性を模索している象徴的な転機だと述べた。また、パキスタンとの軍事的連携を再確認することは、地域の安定維持において重要な意味を持つとも指摘した。 パキスタンにとって、この協定は好機であると同時にリスクでもある。湾岸地域での地位を高め抑止力を強化する一方で、米国との関係を複雑化させる可能性があるからだ。特にトランプ政権期以降、ワシントンとの関係が改善していたことを考えると、この新たな防衛協力は再び緊張を招く恐れがある。米国がイラン封じ込めのためイスラエルを中東安全保障の枠組みに組み込もうとする中で、サウジとパキスタンの関係強化は、ワシントンにとって厄介な要素となるだろう。 ラホール大学安全保障戦略政策研究センターのラビア・アフタル所長は、「この協定はサウジにとって通常戦力の保証を固め、パキスタンの防衛ノウハウを取り込むものであり、イスラム教徒多数派で核抑止力を有する国との連携を象徴している」と分析した。その一方で、インドとの対立を最優先するパキスタンにとっては、中東安全保障への関与が新たなリスクを伴う可能性があると警鐘を鳴らしている。 インド政府もこの協定の影響を注視している。特に湾岸地域での影響力維持を図る中で、インドは今後、外交方針を慎重に再調整する必要に迫られるだろう。サウジとインドの関係は引き続き良好であると見られるが、パキスタンとの防衛協力強化はインドの地域戦略に新たな変化をもたらす可能性がある。 この協定はただちに中東の安全保障構造を変えるものではないが、地域の同盟関係が多様化しつつあることを示している。そしてそれは、中東全体で進行する地政学的変化の一端でもある。 サウジアラビアとパキスタンの両国は、より複雑で予測不能な地域秩序に備えており、この協定は、各国が世界的・地域的変化に対応して同盟関係を再構築していることの象徴である。(原文へ) INPS Japan 関連記事: 国連事務総長「軍事費の増大は優先順位の誤りを示す」 |サウジアラビア|核武装という虚勢を張るも、現時点では空疎な響きに留まる 包括的取引でサウジアラビアへの原子力提供を検討中の米国