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カザフスタン―アゼルバイジャン間フェリー、2026年前半に運航開始へ

【ローマThe Astana Times=ナジマ・アブォヴァ】 カスピ海で、カザフスタン西部のクルィク港とアゼルバイジャンのアラト港を結ぶフェリー航路が、2026年に開設される見通しとなった。貨物取扱量の拡大と地域の海上連結性強化が期待されるとして、カザフスタン国営通信カジンフォルムが12月23日に報じた。 マンギスタウ州のヌルダウレト・キリバイ州知事(アキム)は、中央コミュニケーション・サービスでの会見で、「2026からジョージア側の企業と協力し、クルィク港とアラト港の間でフェリー6隻の就航を計画している。すでに2隻がカスピ海に入り、2026年前半に運航を開始する。その後は毎年2隻ずつ追加し、2028年までに6隻すべてが運航する。」と語った。 キリバイ知事は、この取り組みがカザフスタン独自のフェリー船隊の形成につながるほか、貨物量の増加と、カスピ海域の海上輸送の発展を後押しするとの見通しを示した。 また、中国から中央アジアとカスピ海経由で欧州までを結ぶトランス・カスピ国際輸送ルート(TITR、ミドル・コリドー)について、今年マンギスタウ州を経由する貨物輸送は前年比20%増の250万トンに達したという。 運航会社セムルグ・インベストは船隊を2027年までに6隻へ拡充する計画で、今年は積載能力7000トンの船舶1隻を同ルートに追加投入した。 マンギスタウ州では新港の建設も計画されている。着工は2026年で、投資協定は最終段階にあり、2025年内または26年初めの署名が見込まれる。建設は2026年第2四半期に開始予定で、港湾用地はすでに指定され、登録手続きが進められている。 新港整備は、中国、カザフスタン、アクタウ、バクー、ポティを経て欧州へ至る新たな国際輸送回廊の形成を後押しすると期待されている。 INPS Japan/The Astana Times Original URL: https://astanatimes.com/2025/12/ferries-between-kazakhstan-and-azerbaijan-to-launch-in-2026/ 関連記事: 中央アジア・日本首脳会合、トランス・カスピ回廊を後押し トカエフ大統領は核リスク再上昇に警鐘 カザフスタン共和国大統領直属カザフスタン戦略研究所(KazISS)副所長にダウレン・アベン氏が就任 トカエフ大統領とトランプ大統領、170億ドル規模の協定で関係を深化

トカエフ大統領が懸念する「核の脅威の増大」はどこまで正当化されるのか

【ロンドンLondon Post=ラザ・サイード】 国際安全保障と中央アジア地政学を取材する立場から、また、ソ連時代にセミパラチンスク核実験場の被害を受け、1990年代に世界第4位規模の核兵器を自発的に放棄したカザフスタンの経験に照らせば、カシム=ジョマルト・トカエフ大統領が繰り返し発してきた「核の危険が高まっている」との警告は、十分に正当化される。カザフスタンは450回を超える核爆発を経験し、長期にわたる環境破壊や健康被害、社会的トラウマを抱えてきた。この歴史は、核不拡散を訴えるうえで同国に道義的な重みを与えている。 トカエフは一貫して核リスクの高まりに警鐘を鳴らしてきた。とりわけ2025年9月の国連総会演説では、軍備管理条約体制の崩壊に強い懸念を示し、破局を回避するため核保有国間の高官級対話を呼びかけた。さらに同年12月、東京の国連大学での講演では、世界の安全保障を核抑止に依存させることはできないと改めて強調し、日本と共有する核の惨禍を踏まえつつ、核の脅威を低減するための多国間行動を訴えた。カザフスタンの立場から見れば、これらの懸念は扇情的な警鐘ではない。ロシアと中国という核大国に隣接し、経済的相互依存を抱えつつ、核不拡散条約(NPT)や中央アジア非核兵器地帯条約(セミパラチンスク条約)にコミットしてきた国としての現実に根差すものである。 世界の核情勢も、トカエフの警告を裏づけている。2025年には、誤算や意図的使用の危険を高める具体的なエスカレーションが顕在化した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の『年鑑2025』によれば、核兵器保有9カ国の核弾頭総数は約12,241発にのぼり、そのうち9,614発が軍用備蓄に含まれる。さらに、軍備管理体制が弱体化するなか、各国は一斉に核戦力の近代化を進めている。これは、冷戦後の削減局面から、新たな軍拡競争へと転じつつあることを示している。 また、「原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)」は2026年1月、終末時計を「午前零時まで85秒」に進め、史上最短とした。理由として核リスクの高まりを挙げ、ウクライナなどの紛争における核使用を示唆する発言の増加にも警鐘を鳴らしている。 東西の架け橋を自任するカザフスタンにとって、この趨勢は地域の安定そのものを脅かしかねない。セミパラチンスク核実験で放射線が土地と人々を世代を超えて汚染した記憶は、いまも国家の安全保障観に強い影響を及ぼしている。トカエフが提唱する「生物学的安全保障・安全に関する国際機関(International Agency for Biological...

労働搾取に挑み、すべての菓子で環境保護を掲げるベーカリー

飲食店での搾取経験を踏まえ、パトリシア・フィゲロアは、適正な労働条件と環境配慮にこだわるプロジェクトを立ち上げた。 【メキシコ市INPS Japan=ギレルモ・アヤラ・アラニス】 菓子づくりは創造性と情熱がものを言う営みだと語られがちだ。だが、この業界の労働環境が注目されることは多くない。長時間労働や低賃金、権利の侵害が起きることもある。|英語版|中国語|ポルトガル語|インドネシア語|スペイン語| 6年前、フランスとメキシコの高級レストランで10年以上の経験を積んだパティシエ、パトリシア・フィゲロアは、社会と環境に配慮したデリバリー型のパティスリー事業を立ち上げた。材料は「メキシコ産100%」にこだわる。国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、目標8「働きがいも経済成長も」に通じるディーセント・ワーク(適正な労働)と、目標12「つくる責任 つかう責任」に通じる責任ある生産と消費を柱に据える。 「『Ñam(ニャム)』は新型コロナのパンデミックのさなかに生まれた。私はレストランでパティシエをしていたが、辞職届に署名するよう求められた。これまでの職歴でも、権利を認められないまま長時間働かされ、賃金も低い―そんなことが少なくなかった。だから思った。なぜ、こんなに好きな仕事が、こんな形でしか成り立たないのか。変えられるなら、変えていこう、と。」 この経験を転機に、彼女は製造のあり方だけでなく、働き方そのものを見直した。注文が増える時期には、スタッフを正式な手続きを踏んで雇用するという。「契約書に署名してもらい、法律に基づき必要なことはすべて説明する」。労働搾取の連鎖を自らの事業で再生産しないための「約束」だとしている。 メキシコの風味を、ケーキとペストリーに このプロジェクトの倫理的な姿勢は、商品づくりにも反映されている。Ñamは受注生産を基本とし、食品ロスを抑えながら鮮度も保つ。メニューには、イチゴとホワイトチョコレート、ハイビスカスを組み合わせたケーキや、赤ワインを効かせたピンクグアバのチーズケーキ、バジルを添えたマンゴームースなど、印象的な組み合わせが並ぶ。 さらに、メキシコらしさを前面に打ち出した菓子も用意する。米、シナモン、砂糖、牛乳、水で作る伝統飲料「オルチャータ」を取り入れたケーキは、9月の祝祭シーズン向けに考案されたものだ。11月の「死者の日」の時期には、伝統菓子「パン・デ・ムエルト」も提供する。 こうした社会・環境への配慮は、仕入れ先との関係にも及ぶ。フィゲロアは「互いに利益を分かち合う」経済の循環を重視する。 「自分の商品と、その影響に自信を持っている。購入してくれる人が私を支え、私もまた別の人を支える。こうした互恵的な関係はとても良いものだ。人々はおいしいデザートを楽しみ、その購入が誰かの幸せにもつながる。」と、彼女はINPS Japanの取材に語った。 現在、使用する食材のおよそ70%は、環境再生型農業(アグロエコロジー)によるもので、国内各地から調達している。ベラクルス州トトナカパン地方からはシナモンやゴマ、ミカンを仕入れ、米とピンクグアバはモレロス州トラヤカパン産を使用する。地域の生産者と直接つながることが、地域経済の活性化にもつながるという。 責任ある生産・消費と、オンデマンド製造のモデル Ñamは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に通じる「責任ある生産と消費」にも力を入れる。受注生産のモデルは、食品ロスを減らすだけでなく、調理に伴うガスや水の使用、過剰な包装も抑えやすい。外食産業には、こうした廃棄や資源消費が構造的に生じやすい側面がある。 国連環境計画(UNEP)の「Food Waste Index Report 2024」によれば、メキシコでは家庭部門だけで年間約1,337万トンの食品廃棄が発生していると推計される。 プロジェクト名は、スペイン語で「おいしい」を表す擬音的な表現「ñam」に由来し、英語の「yummy」に近い意味合いだという。現在は主にウェブサイトとインスタグラムで注文を受け付け、菓子の情報とともに、事業に込めた物語も発信している。 フィゲロアはメキシコ市で事業を続ける一方、「社会・環境ビジネス管理」の修士課程で学んでいる。中期的には、店頭で菓子を味わえる拠点へ移行し、ディーセント・ワークと責任ある生産という原則を、より日常的に体現できる場にしたい考えだ。 This...

国連が直面するAIをめぐる新たな試練

【国連ATN=アハメド・ファティ】 私がアントニオ・グテーレス国連事務総長に対し、選挙や紛争の行方を左右し得るほど強力な技術を、いまなお各国政府が制御できているのかと問うと、返答は異例なほど率直だった。国連には、事態を左右できるだけの決定的な手段(レバレッジ)がない、と語ったのだ。つまり国連には、仕組みやプラットフォーム、プロセスはあるが、結果を強制する力はないという。 その瞬間が重要だったのは、意外だったからではなく、率直だったからだ。人工知能が政治や法律の仕組みを追い越す速さで進歩しているという現実を、事務総長がはっきりと言葉にしたからである。 事務総長は続いて、包括的な規制を求める主張ではなく、国連に何ができ、何ができないのかを冷静に説明した。そして、国連がAI分野で現実的に果たせる役割を挙げた。専門家を集め、科学パネルを設け、評価報告を作り、世界規模の対話を開く。いずれも重要な取り組みだが、国連には、ルール違反を取り締まったり罰したりする強制力はない。国連が築けるのは「統治の土台」までで、規則を押し付ける権限までは持たない。 この隔たりこそが、世界のAI議論の核心にある。国連が目指しているのは、人工知能をめぐる共通理解と共通言語をつくることだ。罰則を伴う拘束力のある国際ルールを作り、守らせることではない。これは制度の弱さというより政治の現実を反映している。AIは国家安全保障、経済競争、そして国の力の源泉と直結するため、各国は主導権を手放したがらない。その結果、国連は結論を決める場ではなく、議論の枠組みを整える場にとどまっている。 近年の国連のAI関連の取り組みでも、この「野心」と「権限」の差ははっきりしている。声明や決議は倫理、包摂、協力を強調する一方で、有力国や巨大企業を縛り得る強い約束は意図的に避けてきた。だから国連は、リスクを可視化し、社会の規範を形づくることはできても、影響力のある主体が抵抗すれば変化を強制できない。 実効的な歯止めは何かと問われると、事務総長は一つの考え方を強調した。つまり、「人間が意思決定の主導権を握ること」である。とりわけ命に関わる場面では、人間が決定権を手放してはならない。誰を、どこで、なぜ殺すのかを機械が自律的に決める「自律型兵器」を認めないという事務総長の発言は、記者会見で示された最も明確な倫理的な一線の一つだった。 テクノロジー企業の影響力拡大についての答えも、控えめながら示唆に富むものだった。事務総長は、「規制は最終的に各国政府の責任であり、国連が直接取り締まるものではない。」と語った。競争や独占を取り締まる法律は、デジタル時代に合わせて見直す必要があるかもしれない。だが、法律を実際に適用し、企業を監督し、必要なら是正を求めるのは各国政府の役割である。 こうしたやり取りの根底には、権力そのものが変わりつつあるという、より大きな問題がある。今日の権力は、領土や軍事力、経済規模だけでは測れない。データ、そしてそれを集め、処理し、活用する仕組みを誰が握っているかが、影響力を左右するようになっている。その変化は、公的機関から民間の巨大企業へと力を引き寄せ、世界の制度やルールが追いつけない速さで進んでいる。 これは規制の問題にとどまらない。社会の正当性、つまり「誰が、どのように決定するのか」という根本を問い直す。社会を形づくる重要な選択が、民主的な監視が届きにくい場所で設計されたアルゴリズムによって下される度合いが増せば、従来の説明責任の考え方は揺らぎ始める。事務総長はこれを陰謀や道徳の崩壊としてではなく、制度が理解しきれず、是正にも至っていない構造的な偏りとして捉えていた。 さらに、公平性の問題も解決していない。多くの国は、AI政策を形づくり、その恩恵を十分に受けるための資金や人材、制度を欠いている。技能、インフラ、制度への継続的な投資がなければ、国際的な議論は、すでに力を持つ国や企業に左右されかねない。資金や人材、インフラといった基盤が不足したままでは、格差は埋まらず、むしろ広がってしまう。 総じて、このやり取りは、人工知能をめぐる国連の立ち位置をはっきりと示した。国連は、リスクを明らかにし、価値を言葉にし、規範を議論する場であり続ける。だが、結果を強制する場ではない。事務総長はその現実を隠さずに語り、率直さが印象に残った。 残るのは、会合を開き、警告し、助言することを主な役割としてきた国連の仕組みが、実際に各国や企業の行動を変えられる枠組みへと発展できるのか、という問いだ。いま国連のAI対応が映し出しているのは、より広い世界の現実でもある。権力は法より速く動き、制度はそのスピードに追いつけずにいる。(原文へ) INPS Japan 関連記事: 国連のAI決議:野心あるも実効性に欠ける カリブ諸国、「殺人ロボット」禁止へ 岐路に立つ 自律型兵器システム:国際的な規制へ緊急の呼びかけ