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カザフスタンと日本、戦略的パートナーシップ深化を誓う

【アスタナThe Astana Times】 カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は8月25日、日本の岩屋毅外相と会談し、両国間の拡大戦略的パートナーシップの強化について協議した。 アコルダの発表によると、両者は貿易、投資、輸送・交通、さらに文化、人道、国際多国間分野における協力について意見を交わした。 トカエフ大統領は、岩屋外相の訪問が二国間関係に新たな弾みを与えるとの期待を表明した。「日本はアジアにおける我々の信頼できる緊密なパートナーです。日本政府との包括的な協力の深化を重視しています。石破茂首相に私の温かい挨拶をお伝えください。カザフスタンへの公式訪問を楽しみに準備しています。我々の関係は着実に発展していると言えます。」とトカエフ氏は述べた。 岩屋外相は温かい歓迎に謝意を表し、日本が緊密な協力に取り組む姿勢を改めて示した。「カザフスタンと日本は、国際秩序の強化に関心を寄せる戦略的パートナーです。今回の訪問が二国間関係のさらなる発展への道を開くと確信しています」と述べた。 会談では、国際的および地域的な課題についても議論が行われた。(原文へ) INPS Japan/ The Astana Times Original URL: https://astanatimes.com/2025/08/kazakhstan-japan-pledge-to-deepen-strategic-partnership/ 関連記事: 国連SDGs地域センター、アルマトイに設立 トカエフ大統領とグテーレス事務総長が協定署名 核兵器廃絶展を通じて絆を深める日本とカザフスタン 「グローバル・ヒバクシャ:核実験被害者の声を世界に届ける」(寺崎広嗣創価学会インタナショナル平和運動総局長インタビユー)

米国は“ブラックリスト”で国連創設80周年サミットから政治指導者や代表を排除するのか?

【国連IPS=タリフ・ディーン】 193加盟国からなる国連総会が9月中旬、創設80周年を記念するハイレベル会合を開催するにあたり、1947年の米国・国連本部協定が存在するにもかかわらず、どれだけの政治指導者や代表団が米国への入国を拒否されるのだろうか。 米国のドナルド・トランプ大統領は6月、「外国人の入国を制限し、外国テロリストやその他の国家安全保障上の脅威から米国を守る」と題する大統領布告を発表した。ホワイトハウスのこの布告は、実質的な「ブラックリスト」として19か国からの国民に米国ビザを発給しないというものである。 このリストには、アフガニスタン、ミャンマー、ブルンジ、チャド、コンゴ共和国、キューバ、赤道ギニア、エリトリア、ハイチ、イラン、ラオス、リビア、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、トーゴ、トルクメニスタン、ベネズエラ、イエメンが含まれており、さらにエジプトも審査対象となっている。 だが、この措置は国連代表や政治指導者の入国禁止につながるのだろうか。ビザの発給拒否は、加盟国代表や国連職員らが本部地区に支障なくアクセスできることを保証した本部協定第11~14条の違反となる。協定はまた、国連関連の渡航に必要なビザを米国が円滑に発給することを義務付けている。 この協定および「国連の特権および免除に関する条約」は、米国における国連の存在と運営の法的枠組みを定めており、代表や職員、その家族の特権と免除、紛争処理などの実務的事項を網羅している。 これまでに米国は、イスラエルに批判的な報告を行ったパレスチナ人権状況担当国連特別報告者フランチェスカ・アルバネーゼ氏に制裁を科している。これについて国連報道官ステファン・ドゥジャリック氏は7月、特別報告者への制裁は「危険な前例」を作ると警告した。 「特別報告者やその他の国連専門家に対する一方的制裁は受け入れられない」と述べ、各国が報告に異議を唱える権利はあるものの「国連の人権制度と建設的に関与すべきだ」と強調した。 フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官も、米国に制裁撤回を求め、アルバネーゼ氏や他の人権理事会任命者に対する攻撃と脅迫は「直ちにやめるべきだ」と訴えた。 一方で米国は、イスラエルとの和平努力を妨害したとしてパレスチナ自治政府やPLOの幹部にも制裁を科している。西側諸国の一部がパレスチナ国家承認に動く中での措置である。 こうした経緯から、米国が本部協定を順守するのか、それとも無視するのかが問われている。 ニューヨーク大学グローバル問題センターの元国際関係学教授アロン・ベン=メイル氏はIPSに対し「トランプ氏は話題の中心に居座るためなら制度や法律を操作することをいとわないだろう」と述べた。彼は米国内で権威主義的統治を押し付けるだけでなく、世界の指導者として外国首脳に頭を下げさせようとしている、と指摘する。 「誤った関税政策を含む多くの行動は、他の指導者より優位に立つことを示すための権力行使の一環だ。9月の国連総会でも問題を引き起こす可能性がある。」とベン=メイル氏は警鐘を鳴らした。 トランプ氏はイスラエルを批判する安保理決議やパレスチナ国家承認に関する決議を阻止するだろうとも付け加えた。 ただし同氏は、大統領令には外交ビザ保持者を対象外とする例外規定がある点を指摘。「特段の介入がない限り、19か国の外交官が国連総会などのために米国を訪れる際、この入国禁止措置の影響を受けることはない。」と述べた。 世界市民社会連合(CIVICUS)のマンディープ・S・ティワナ事務総長も「米国は国連本部をニューヨークに置くことで莫大な経済的・政治的利益を享受している。政府代表や市民社会代表の入国を制限すれば極めて不合理だ」と警告した。 インスティテュート・フォー・パブリック・アキュラシー事務局長でルーツアクション・ドットオーグ全国代表のノーマン・ソロモン氏は「国連に対する米国の軽視は目新しいものではない」と指摘。歴代政権も国連を自国の意向に従わせようとしてきたが、一定の誠意を持って関与した大統領もいたと述べた。 「現政権は国連原則への軽蔑を隠そうとせず、国連を弱体化させることしかしていない。外交官を国連会議から締め出すことは傲慢の極みであり、国連の基本理念を踏みにじる行為だ」とソロモン氏は強調した。 同氏はさらに、リストから外れているイスラエルについて「パレスチナ人民に対するジェノサイド的戦争を展開しており、その背景には米国からの絶え間ない武器供与がある」と指摘した。 米国は安保理で拒否権を行使できる一方、総会では各国の不信と反発が高まるだろうと同氏は述べている。 過去にも米国は国連外交官に不当な渡航制限を課してきた。2000年8月にはロシア、イラク、キューバが「差別的扱い」に抗議。いわゆる「テロ支援国家」とされた国の外交官には、ニューヨーク市から25マイル圏外への移動に国務省の許可が必要とされた。 2013年9月、戦争犯罪で起訴されていたスーダンのオマル・アル=バシール大統領が国連総会出席のための米国ビザを拒否された際、スーダン政府は国連法務委員会に強く抗議した。 1988年にはPLOのヤセル・アラファト議長が米国ビザを拒否され、総会は異例にもジュネーブで開催された。アラファト議長は演説冒頭で「1974年以来2度目の総会演説が、友好的なジュネーブで行われるとは思わなかった」と皮肉った。(原文へ) 本記事は、国連を題材にした著書『No Comment - and Don’t Quote on That』からの抜粋を含む。同書はIPS国連局シニアエディターで元国連職員、スリランカ代表団元メンバーであるタリフ・ディーン氏の著作で、Amazonで入手可能(著者サイト経由:https://www.rodericgrigson.com/no-comment-by-thalif-deen/)。 INPS Japan/IPS...

「スタートアップ・ネーション・フォー・グッド」:イスラエルのテクノロジー革新がSDGsに沿って世界的課題に挑む

イスラエルは「スタートアップ・ネーション」と呼ばれ、特に水不足や再生可能エネルギーの必要性といった喫緊の地球規模課題に対して、革新的な技術的解決策を見出す世界的リーダーのひとつであり、国連持続可能な開発目標(SDGs)の複数分野に大きく貢献している。 【テルアビブINPS Japan=ロマン・ヤヌシェフスキー】 イスラエルが「スタートアップ・ネーション」と称されるのは、その活気あるイノベーション・エコシステムのためである。しかし近年、多くのイスラエル発ベンチャーは世界の最重要課題の解決に軸足を移している。単なる利益追求型技術にとどまらず、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に照準を合わせ、水不足、食料安全保障、再生可能エネルギーといった地球規模課題に取り組むスタートアップが増えている。これは、イスラエルの起業精神が国境を超えて世界に影響を拡大していることを示している。 Watergen 水技術は注目分野のひとつである。Watergenのように、大気から安全な飲料水を生成する装置を開発した企業は、SDGs 6「安全な水とトイレを世界中に」に直接貢献している。 2009年、起業家アリエ・コハビ氏により設立されたWatergenは、1リットルあたり250ワット時の電力で空気から飲用水を生成できる「大気水生成機(AWG)」を開発した。当初は軍隊への供給を想定していたが、現在では災害地域やアメリカ大陸、アジア、アフリカの遠隔地など、水不足に苦しむ民間地域にも広がっている。 こうしたソリューションは、安全な水へのアクセスが限られている地域で即効性のある救済策を提供し、長期的な強靭性の構築にも貢献している。2020年には、Watergenがガザ地区の小児病院に現地の水道事業者と協力して機器を設置し、人道危機下での有効性を示した。 NETAFIM 1965年にネゲブ砂漠で設立されたNetafimは、近代的な点滴灌漑技術のパイオニアとして世界的に知られている。水不足に直面した農業者と技術者が、最小限の資源で効率的に作物を栽培する方法を探す中で誕生した。 根元に必要な水と養分を直接届ける点滴灌漑は、従来の方法と比べて最大60%の節水を実現しながら収量を大幅に増やした。蒸発や流出による水の損失を抑え、一滴の水も無駄にしない農法は、干ばつや気候変動に直面する地域で特に重要である。 現在Netafimは110か国以上で事業を展開。インドでは政府と協力して数百万人の小規模農家に安価な点滴灌漑システムを普及させ、食料増産に寄与。アフリカではケニアや南アフリカで食料安全保障プロジェクトに技術を提供し、半乾燥地でも栽培を可能にしている。 ラテンアメリカではブラジルやメキシコでコーヒーやサトウキビ、野菜生産に導入され、オーストラリアや米国ではブドウ園や果樹園に活用されている。こうした取り組みにより、作物の品質向上と水資源の保全を両立させている。 同社はSDG2「飢餓をゼロに」とSDG6「安全な水とトイレを世界中に」に直結する取り組みを推進し、農業の未来を形づくる世界的リーダーとなっている。 Tethys Solar Desalination(TSD) TSDは太陽エネルギーを利用して海水を低コストかつ持続可能に淡水化する画期的技術を開発した。従来の化石燃料依存型の淡水化施設に比べ、維持費が低く、温室効果ガス排出を削減できる。 同社の技術は、太陽熱で海水を蒸発させ、凝縮して真水を得る自然の蒸発・凝縮プロセスを模倣したもの。完全に再生可能エネルギーで稼働するため、送電網が未整備の沿岸部や乾燥地でも利用できる。 TSDのソリューションは、従来型の施設を持つ余裕がない途上国に特に有効であり、小規模な漁村から大都市まで規模を柔軟に調整できる。アフリカやアジアでの試験導入では、家庭や農業に不可欠な水供給を実現した。 TSDはSDG6(安全な水)、SDG7(エネルギーをみんなに)、SDG13(気候変動対策)に寄与し、脆弱地域における気候レジリエンスを高めている。 Solaredge 2006年創業のSolaredgeは、スマートエネルギー技術の世界的リーダーであり、革新的なソーラーインバーターとエネルギーマネジメントシステムで知られる。同社が導入したDC最適化インバーターシステムは、各ソーラーパネルが独立して最大効率で稼働できるようにし、発電損失を大幅に低減した。 その後、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)充電、バックアップ電源、スマートホーム統合へと事業を拡大。世界130か国以上で導入され、欧州や米国の大規模発電所から、アジア・アフリカの住宅屋根、途上国の農村電化プロジェクトまで広がっている。 Solaredgeは電力網の安定化と再生可能エネルギーの統合にも貢献し、SDG7(エネルギーをみんなに)とSDG13(気候変動対策)を支援している。 H2PRO 2019年にテクニオン(イスラエル工科大学)からスピンオフしたH2Proは、グリーン水素の製造効率を飛躍的に高める「E-TAC(電気化学―熱活性化化学分解)」技術を開発した。水を水素と酸素に同時分解する従来の電解法と異なり、段階を分けることで効率を改善し、消費電力とコストを削減、安全性も高めた。 この技術により、化石燃料由来と競合可能なコストで水素を供給でき、輸送・製造・エネルギー貯蔵分野の脱炭素化を促進する。水素はトラックや船舶、航空機の燃料、あるいはグリーンスチールや肥料生産に活用可能である。 H2ProはBILL GATES、HYUNDAI、ARCELORMITTALなどの投資家から支援を受け、欧州、アジア、北米で実証実験を進めている。SDG7(エネルギー)、SDG13(気候変動対策)、SDG9(産業と技術革新)に寄与している。 https://www.youtube.com/watch?v=JGe8R0N20ps まとめ イスラエルには約1300の気候関連企業があり、そのうち946社はクリーンエネルギー、水インフラ、エコ農業、持続可能な移動、革新的素材などに特化したスタートアップである。政府の助成、PLANETechのようなプログラム、1億3000万ドル以上の学術投資が、持続可能なイノベーションをさらに後押ししている。 イスラエルのスタートアップは、空気から水を取り出し、マイクログリッドを稼働させ、グリーン水素や新たな蓄電技術を提供することで、SDG6(安全な水とトイレ)やSDG7(エネルギーをみんなに)に資する実践的かつ拡張可能な技術を生み出している。こうして「スタートアップ・ネーション」は、世界的課題に意味ある解決策を提示し、持続可能な未来への道を切り開いている。(原文へ) This article is brought...

ミャンマーにおける「組織的拷問」を国連報告書が暴く

【国連IPS=オリトロ・カリム】 ミャンマーの治安状況は著しく悪化している。昨年3月に発生した大地震の被害からいまだ立ち直れない中、内戦の長期化に伴う軍事攻勢が続いている。2025年には人道危機が重大な転換点に達し、国連は軍と武装勢力による深刻な人権侵害の数々を指摘した。 8月12日、国連のマンデートに基づき設置された「ミャンマー独立調査メカニズム(IIMM)」は年次報告書を発表し、人権侵害の立証と加害者特定において大きな進展があったと明らかにした。報告書は、軍管理下の拘置施設での組織的拷問、学校・病院・住宅に対する空爆、さらにロヒンギャ難民に対する民族浄化の継続を詳述している。 「ミャンマーの拘置施設で組織的な拷問が行われていることを示す目撃証言などの重要な証拠を確認した」と、メカニズム責任者のニコラス・クムジャン氏は述べた。「施設を統括する指揮官を含む加害者の特定が進んでおり、訴追に踏み切れる司法当局を支援する用意がある。報告書は、残虐行為の頻度と深刻さが一層高まっていることを強調している」 報告は2024年7月1日から2025年6月30日までの期間を対象とし、1300件以上の証拠を収集。600件の目撃証言、膨大な写真や映像、法医学的資料を含んでいる。2021年のクーデター以来、軍は市民を大量に拘束し、多くを恣意的に逮捕、拷問にかけてきた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の2024年の統計によれば、2021年以降の市民の犠牲者は約6000人にのぼり、そのうち約2000人は軍の拘禁下で死亡している。 アムネスティ・インターナショナルのジョー・フリーマン研究員は「数千人のミャンマー人拘束者が、医療も法的支援も食料も不十分なまま、尋問施設や刑務所で苦しんでいる」と警告。「拷問や虐待は常態化しているが、訴えれば報復として暴行、独房監禁、性的暴力を受ける危険がある」と述べた。 目撃者の証言によれば、2歳ほどの子どもまでが「親の代理」として拘束されている事例もある。被拘束者は殴打、電気ショック、絞殺、爪の剥ぎ取りといった拷問を受け、殺害される例もある。さらに、強姦や集団性的暴行、異物挿入、性器の焼灼、強制的な全裸や侵襲的検査、生理用品・産後ケア用品の拒否など、性暴力が広範に行われている。加えて、同性愛嫌悪や女性蔑視の罵声、暴力の脅迫も横行している。 報告書は、こうした行為の加害者に多数の高位指揮官が含まれると明言。これに対し、ミャンマー軍は「平和と安定の確保」を優先事項と強調し、最近の戦闘を「テロリスト」のせいにした。 また、ラカイン州では軍とアラカン軍の衝突により戦闘が激化。アラカン軍による斬首や拷問、即決処刑などの人権侵害も確認された。一方、軍とその関連組織も女性、子ども、高齢者を含む民間人の無差別殺害や空爆を繰り返している。特に州都シットウェでは出入り口を封鎖し、住民の移動や人道支援物資の供給を妨げている。 さらに報告書は、2016年と2017年の「浄化作戦」に関する調査も行った。この作戦で複数のロヒンギャ集落が破壊され、数千人がバングラデシュに逃れ、深刻な治安不安と性暴力が発生した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2025年の新たな戦闘により15万人以上のロヒンギャ難民がバングラデシュへ流入している。 IIMMは、難民キャンプや被害の大きな村で証言を収集し、生存者の体験を全面的に記録するとともに、具体的な加害者の特定を目指している。現在も市民団体、NGO、メディア、各国政府と連携し、責任追及と不処罰の終結に取り組んでいる。 ただし治安上の障害に加え、国連予算削減が活動を脅かしている。2025年の予算は27%削減され、2026年には正規職員を20%削減せざるを得ない見通しとなった。特に証人保護や性暴力・児童犯罪の調査資金は年内に枯渇する恐れがある。 「加害者が『誰かが見ている、証拠を集めている』と信じることが極めて重要です」とクムジャン氏は強調した。「そうした認識こそが、犯罪の記録と訴追に資する証拠収集を継続するうえで大きな効果を持つのです」(原文へ) INPS Japan/IPS UN Bureau Report 関連記事: ロヒンギャ難民、バングラデシュにもミャンマーにも安全な居場所はない ミャンマー、「保護する責任」の履行を世界に訴える <a href="http://<!-- wp:paragraph --> <p>国連事務総長のラマダン連帯訪問、ロヒンギャ難民に希望を取り戻す</p>...