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勝利ではなく持久―イランの消耗戦略が鮮明に
【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】
イランは、この戦争に古典的な意味で「勝つ」ことを目指しているのではないのかもしれない。むしろ、生き延び、戦争を長引かせ、その代償を他のすべての当事者にとってより高くすることを狙っている可能性がある。
米国とイスラエルとの紛争が、大規模攻撃による初動の衝撃を越え、より消耗的な段階へと移るなかで、イランから浮かび上がってくる論理は、どうやらそこにあるようだ。ロイター通信は火曜日、イランが決定的な戦場での勝利ではなく、持久力、ミサイルによる圧力、地域のエネルギーの流れへの攪乱を通じて、米国とイスラエルの双方を疲弊させようとする消耗戦を追求していると報じた。(Reuters)
これは、強さというより計算に基づく戦略である。イランは軍事的に大きな損失を被り、核関連施設や指揮インフラの一部にも深刻な損害を受けた。それでもなお、戦争を継続させ、そのコストを高く保つのに十分なミサイル能力、国内の結束力、そして地域的な影響力を保持しているように見える。ロイター通信によれば、革命防衛隊は戦場での意思決定に対する統制を強め、イランはさらに戦時体制へと移行しており、少なくとも現時点で国内に大規模な不安定化の兆候は見られない。(Reuters)
それは、イランが安心していることを意味しない。危険のかたちが変わったということである。
消耗戦とは、自国が敵を圧倒できないことを理解しながらも、それでも相手を疲弊させることはできると信じる国家の戦略である。イランの現在の計算は、攻撃を耐え抜き、攻撃を続けるのに十分な能力を維持しつつ、戦争の代償を拡大させることで、他方でさらなるエスカレーションを支持する政治的意思を揺るがせることにあるようだ。その構図においては、生き延びること自体が戦略的成果となる。
エネルギー戦線は、その発想の中核にある。AP通信は、この戦争によって、湾岸地域の主要なパイプライン、製油所、輸出ターミナル、海上輸送路が危険にさらされており、世界の原油のおよそ5分の1と液化天然ガスの大きな割合が通過するホルムズ海峡が深刻に混乱していると報じた。地域の供給インフラに長期的な不安定化や損害が及ぶ可能性が市場に織り込まれるなか、ブレント原油は急騰している。(AP News)
このことは、弱体化した立場にあっても、イランに一定のてこを与える。イランは、空軍力や精密打撃能力において米国やイスラエルに対抗できないかもしれない。だが、それでもなお、この紛争を世界にとって不快なものにすることはできる。石油市場、海上保険、ガス供給、そして遠く離れた各国の首都におけるインフレ計算を揺さぶる戦争は、もはや単なる軍事的対決ではない。国際的な帰結を伴う圧力戦へと変わるのである。
これは、戦場だけでは、より大きな戦略的争点に決着がつかない可能性があるからこそ重要である。攻撃後であっても、イランの核計画に何がどれだけ残っているのかという重要な問いは残ったままだ。ロイター通信によれば、国際原子力機関(IAEA)は、60%まで濃縮されたイランのウランのかなりの部分がおそらくイスファハンに残っているとみており、査察官はいまだ被害を受けた施設の状況を完全に検証できるだけの立ち入り権限を得ていない。核計画は大きな打撃を受けたが、なお重要な不確実性が残っている。(Reuters)
その不確実性は、政治的にはテヘランに有利に働く。イランが残存的な核能力を保持し、ミサイルによる圧力を維持し、さらに広範な経済的コストを課し続けることができれば、敵対国は損害を与えはしたが、決定的な最終結果には至らなかったと主張できる。この地域特有の冷厳な戦略言語においては、それは国内的・政治的には、敗北ではなく「包囲下での持久」として売り込むことが可能になる。
またそれは、イラン国内の体制崩壊が間近に迫っているという外部の期待が見当違いである可能性を説明するものでもある。米国をはじめ外部には、十分な軍事的圧力をかければイラン体制は内側から崩れるはずだという、繰り返し現れる見方がある。だが、外部からの攻撃は、逆に国内規律を強化し、指揮系統をより引き締め、戦時下で異議申し立てをさらに困難にすることもある。ロイターの報道は、革命防衛隊が支配力を強め、爆撃下で国民的連帯が高まるなど、現在の局面がまさにその方向へ進んでいることを示唆している。(Reuters)
もちろん、これはイランが勝っているという意味ではない。そうではない。イラン経済は、この戦争段階に入る前からすでに圧迫されていた。軍事的損失も現実のものである。核インフラも損なわれた。だが、消耗戦は、すべての戦線での優位を必要としない。必要なのは、痛みを与え続けるだけの能力と、立ち続けるだけの政治的意思である。
だからこそ、この局面は初動の段階よりも危険になりうる。最初の段階が衝撃の段階だったとすれば、今は持久の段階である。もしイランの戦略の中心がいまや持久にあるのだとすれば、真の勝負を決めるのは、どちらがより強く打つかではなく、どちらが先に疲れるかかもしれない。そして、そうした戦争こそが、しばしば誰もが当初語っていたよりも長引き、より大きな代償を伴い、そしてより不完全なかたちで終わるのである。(Reuters)
INPS Japan
Original URL:https://www.amerinews.tv/posts/not-victory-but-endurance-iran-s-attrition-strategy-comes-into-focus
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|2026年国際女性デー|今年の国際女性デーは、次期国連事務総長に女性を選出するよう訴えている
2026年国際女性デー―今年の国際女性デーは、次期国連事務総長に女性を選出するよう訴えている
【ニューヨークIPS=アンワルル・K・チョウドリー】
今年の国際女性デー(IWD)を迎えるにあたり、国際社会はなお続く混乱、紛争、そして地球の未来に対する不確実性のただ中にある。こうした時代だからこそ、女性の平等とエンパワーメントは、女性だけに関わる課題ではなく、人類全体、すなわち私たちすべてに関わる問題であることを、改めて思い起こさせられる。この極めて重要な点は、私たち一人ひとりが深く胸に刻まなければならない。
・今年の国際女性デー(3月8日)は、国連が次期事務総長として女性を選出することが期待され、またそうあるべき年であるという意味で、特別なものとなった。
・ここで強調しておきたい受け入れがたい現実がある。国連は創設から80年を経たいまなお、一度も女性の事務総長を選出していないのである。80年、9人の男性、そして女性は一人もいない。何という恥ずべきことか、何という情けない現実か。
平等をあらゆる演壇で語る機関が、その頂点において不平等を体現し続けてよいのだろうか。国連の唱える平等の信頼性は、自らを鏡に映したときの姿にかかっている。
・今日の世界における厳然たる否定しがたい現実は、家父長制と女性蔑視がいまなお、平等と平和と正義の世界を目指す人類の願いを遠ざける災厄としてはびこっていることである。世界のどの国も、女性と少女の完全な法的平等を達成していない。
・世界の多くの地域で、女性の権利とジェンダー平等のために何十年にもわたる運動の末に勝ち取られてきた成果を切り崩そうとする新たな動きが見られている。
・女性団体、フェミニスト活動家、そして女性の人権擁護者たちは、差別と不正義に立ち向かう勇気ある声であり続けている。人間の尊厳と人類の進歩を前に進めるうえで、彼女たちの役割は不可欠である。
・私はこれまでの仕事を通じて世界各地を訪れてきたが、そのたびに、平和で包摂的かつ強靱な社会を形づくるうえで、女性のリーダーシップと参加がもたらす変革の力を目の当たりにしてきた。
私たちは常に心に留めておくべきである。平和がなければ開発は不可能であり、開発がなければ平和も実現できない。しかし、女性なくしては、そのいずれも考えられないのである。
2026年の国際女性デーのテーマ「すべての女性と少女のために―権利、正義、行動」は、時宜を得た力強いものである。それは、進歩のためには権利の承認だけでは不十分であり、現実の中で正義と平等を実現するための断固たる行動が必要であることを思い起こさせる。
改めて強調したい。フェミニズムとは、包摂的で、あらゆる可能性を生かし、誰一人取り残さない、賢明な政策のことである。
私はフェミニストであることを誇りに思う。私たちは皆、そうあるべきだ。それこそが、私たちの地球を、すべての人にとってより良い場所にしていく道なのである。
https://www.youtube.com/watch?v=Y3KTwgrS1tU
また、この3月8日にあたり、2000年のこの日、私が安全保障理事会議長として、安保理全体による画期的な声明の取りまとめを主導したことを想起したい。それは、同年10月31日にナミビア議長国の下でコンセンサス採択された国連安保理決議1325への道を開く、概念的・政治的な突破口となった。
この国際女性デーにあたり、ジェンダー平等の世界を築くという私たちの決意を新たにしよう。私たち一人ひとりの行動、対話、そして意識の持ち方が、より大きな社会を変えていくことができる。(原文へ)
共に変化を実現しよう!!!
アンワルル・K・チョウドリー大使は、元国連事務次長・上級代表。2000年3月の国連安全保障理事会議長として、国連安保理決議1325の発端を築いた人物であり、「平和の文化のためのグローバル運動(GMCoP)」創設者でもある。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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【国連IPS=タリフ・ディーン】
米国が、国連の条約や国際協定を含む66の国連関連組織から一斉に離脱したことを踏まえると、予測不能なトランプ政権が、将来、国連そのものからも脱退し、1947年の国連・米国本部協定にもかかわらず、国連事務局をニューヨークから追い出す決断に踏み切る可能性はあるのだろうか。
66組織からの離脱に加え、米国は国連人権理事会、WHO(世界保健機関)、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)、UNESCO(国連教育科学文化機関)からも離脱した。さらに、正式には脱退していない国連機関に対しても、資金拠出の大幅削減を課している。
では、厳しい批判にさらされている国連は、そう遠くない将来、同じ運命をたどるのだろうか。そうした見方を強めているのが、トランプ大統領と米政府高官による国連への強硬な姿勢である。
国連問題の研究と執筆で知られるスティーブン・ズーンズ博士(サンフランシスコ大学政治学教授)はIPSの取材に対し、国連に最も敵対的だった米大統領でさえ、ロナルド・レーガンやジョージ・W・ブッシュの時代を含め、米国の利益を前進させるうえで国連が果たす重要性を認識していたと語った。特定の事例で法原則に反する行動を取ることがあっても、国連システム全体を維持する意義は理解されていた、という。
同様に米国は、いくつかの政策や、場合によっては組織の使命そのものに同意できない場合であっても、影響力を行使するために、さまざまな国連機関に参加してきたと、ズーンズ氏は指摘する。
しかし同氏は、「トランプ政権は、第二次世界大戦後に築かれた国際法秩序そのものを拒否しているように見える。とりわけベネズエラ攻撃以降の発言は、19世紀の帝国的特権への回帰であり、現代国際法の否定に映る。」と語った。
その結果として、「トランプ氏が実際に米国を国連から脱退させ、国連をニューヨークから追い出す可能性はあり得る。」とズーンズ氏は語った。
トランプ氏は昨年9月の国連総会演説で、「国連の目的は何なのか。潜在力にまったく見合っていない」と発言した。さらに、国連を時代遅れで非効率な組織だと切り捨て、「私は7つの戦争を終わらせ、各国の指導者と直接対処してきた。合意の最終化を手伝うと、国連から電話がかかってきたことは一度もない。」と誇示した。
シートン・ホール大学外交・国際関係大学院のマーティン・S・エドワーズ准学部長(学務・学生担当)はIPSの取材に対し、こうした発言は「非効率の削減」や「多様性との闘い」を掲げながら、トランプ支持層に訴える刺激的な言葉で包まれた「疑わしい言説」だと述べた。
またエドワーズ氏は、外交問題を利用して、なお成果を示せていない国内政策から有権者の関心をそらす狙いもあると指摘した。実際、具体的なフォローアップ文書が国連事務総長のもとに届いていないことが、それを裏づけているという。大統領が最大限の要求を掲げる一方、最終的に得られる成果は限られる――そうしたパターンの繰り返しに当てはまる、と述べた。
ただし問題はそれにとどまらない。エドワーズ氏は、次の二点で深刻だと語る。① この方針は、米国の国連における影響力を高めるどころか、むしろ削り続ける。安定した外交関係は信頼性に基づくが、米国はその蓄えを浪費しており、空白には他国が入り込む。② これは有権者向けのSNS投稿としては響くかもしれないが、実務上は理にかなわない。ホワイトハウスが求めているのは、国連運営のあらゆる項目に対する「項目別拒否権(line-item veto:予算の個別項目ごとに拒否できる権限)」だ。しかし分担金はアラカルト・メニューではない、と同氏は述べた。
さらに、市民社会組織の世界連合CIVICUSの事務局長マンディープ・S・ティワナ氏はIPSの取材に対し、トランプ政権による国際機関からの離脱・後退は、第二次世界大戦の惨禍を乗り越えるため国連創設の枠組みを構想し、米国にニューディール政策をもたらしたフランクリン・D・ルーズベルト大統領の遺産への攻撃だと語った。
「影響を受けた国際機関の多くは、米国人の血と汗と涙によって築かれてきた。そこからの撤退は、彼らの犠牲への侮辱であり、平和、人権、気候変動、持続可能な開発をめぐる数十年の多国間協力を後退させる。」とティワナ氏は述べた。
一方、国連への攻撃は止む気配がない。
米国の国連大使マイク・ウォルツ氏は、ブライトバート・ニュースのインタビューで「国連の支出の約4分の1は米国が負担している。」と述べた。「資金は有効に使われているのか。いまはノーだ。本来の目的ではなく、いわゆる“woke”(進歩派的と批判される多様性・社会正義の政策を指す俗語)的なプロジェクトに使われている。国連が本来やるべきこと、トランプ大統領が求めること、私が求めること――平和に焦点を当てることだ」
歴史的に米国は国連最大の資金拠出国であり、通常予算の約22%、PKO(国連平和維持活動)予算では最大約28%を負担してきた。
それでも皮肉なことに、米国は最大の滞納国でもある。国連総会の第5委員会(行政・予算)によれば、加盟国が未払いとしている義務的分担金は、現行予算期間の総額35億ドルのうち18億7000万ドルに上る。
ニューヨーク選出で、かつて国連大使候補にも挙がったエリーズ・ステファニク前下院共和党会議議長は、「国連について米国人が見ているのは、腐敗し、機能不全で、麻痺した組織であり、憲章にうたわれた平和・安全保障・国際協力という創設原則よりも、官僚主義、手続き、外交上の体裁に縛られている」と述べた。
また国連への間接的な批判として、マルコ・ルビオ国務長官はこう述べた。「私たちが『国際システム』と呼ぶものは、透明性に欠ける国際機関が数百も乱立し、権限が重複し、活動も重複している。成果は乏しく、財務と倫理のガバナンスも不十分だ。」
ルビオ長官は、かつて有用な機能を果たした機関でさえ、非効率な官僚機構となり、政治化した活動の舞台となり、あるいは米国の国益に反する道具になってきたと述べた。さらに、「これらの機関は結果を出さないだけではない。問題に対処しようとする者の行動を妨げている。国際官僚機構に白紙小切手を切り続ける時代は終わった。」と宣言した。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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【ロンドンIPS=アンドリュー・ファーミン】
衛星画像は、北ダルフール州エル・ファシールで遺体が山のように積み上げられ、集団埋葬や火葬を待っている様子を捉えている。即応支援部隊(RSF)の民兵は、自らの犯罪の規模を隠そうとしているという。RSFが11月にエル・ファシールを制圧して以降、市内では最大15万人の住民が行方不明のままだ。最も控えめな推計でも、6万人が死亡したとされる。アラブ系民兵であるRSFは、非アラブ系住民を都市から排除し、民族浄化を進めたとされる。今回の虐殺は、2023年4月に軍指導者同士の権力闘争をきっかけに始まった、RSFとスーダン国軍(SAF)の戦争における、最新の凄惨な局面である。
残虐行為は双方が行ってきた。処刑、超法規的殺害、性暴力などが報告されている。正確な数字の把握は難しいが、少なくとも15万人が殺害されたとの推計もある。国内避難民は約900万人に達し、さらに約400万人が国境を越えて逃れた。およそ2500万人が飢饉の危機に直面している。
市民社会や人道支援関係者は可能な限り対応しているが、支援に携わる人々自身も危険にさらされている。殺害や暴力、誘拐、拘束の脅威が常につきまとう。非常命令は、市民社会組織に官僚的な制約を課し、支援活動を妨げるだけでなく、集会・表現・移動の自由も制限している。部隊が支援物資の搬入を阻む例もある。
紛争の報道もまた、困難で危険を伴う。放送局や印刷設備などのメディアインフラの多くが破壊され、多くの新聞が発行停止に追い込まれた。さらに双方が記者を標的にしているため、多くが国外へ逃れざるを得なくなっている。大規模な偽情報キャンペーンも、現地の実態を見えにくくしている。その危険を象徴するのが、ザムザム避難民キャンプの報道官モハメド・ハミス・ドゥーダである。国際メディアに状況を伝えるためエル・ファシールに残っていたが、RSFが侵攻した際に行方を捜され、殺害された。
世界は目を背ける
スーダンは「忘れられた戦争」と呼ばれることがある。だが、より正確には、世界がそれを「無視することを選んでいる」と言うべきだ。そして、その状況は、いくつかの有力国にとって都合がよい。
アラブ首長国連邦(UAE)は、RSFの最大の支援国だと指摘されている。UAEは関与を否定し続けているが、UAEで製造された、あるいは同盟国からUAEに供給されたとみられる武器が、RSF支配から奪還された現場で見つかったと報じられている。こうした支援がなければ、RSFはすでに戦況で不利に追い込まれていた可能性がある。
近年、UAEは複数のアフリカ諸国で影響力の拡大を図ってきた。アフリカ各地で港湾整備を進め、紅海に面するスーダン沿岸にも港を建設する計画があるとされる。スーダンでは大規模な農業投資を行い、同国で採掘される金の多くがUAEに流れているとも報じられている。UAEは、人的犠牲の大きさにかかわらず、RSFが実権を握ることが影響力の確保と利益の維持につながると判断しているように見える。
これに対し、スーダン政府はロシアとの関係強化に動いている。スーダンがロシアに恒久的な紅海海軍基地の整備を認める可能性があるとも伝えられている。
UAEが国際的な圧力をほとんど受けないのは、英国や米国などUAEと緊密な西側諸国が、同国の役割を過小評価しているためだと指摘されている。英国政府は、供与した武器がRSFに移転されていることを認識しながら、UAEへの武器供給を続けているとされる。さらに内部告発者は、UAEを守るために、スーダンでジェノサイドが起きる可能性に関する警告がリスク評価から削除されたと主張している。欧州連合(EU)と英国は、エル・ファシールでの虐殺を受けてRSF幹部4人に制裁を科した。米国も追加制裁を検討していると報じられているが、措置はUAE政府の関係者には及んでいない。
英国がスーダン案件を主導する常任理事国である国連安全保障理事会も、機能不全が続いている。ロシアは、英国が提出する決議案については拒否権を行使すると示唆している。こうした中、英国は6月、非常任理事国として参加するアフリカ諸国から「主導役を引き継ぐ」との申し出を受けながら、これを拒否した。交渉の余地を広げ得た提案だったとみられる。
地域で影響力を持つ国としては、エジプトがスーダン政府を強く支持し、サウジアラビアも一定の支援姿勢を示している。エジプト、サウジ、UAE、米国は「クアッド」と呼ばれる枠組みで協議を行っている。利害は競合するが、9月には一時、希望が見えた。クアッドが「3カ月の人道停戦」と、その後の「9カ月での文民統治への移行」を含む計画を仲介したためである。双方は計画を受け入れたものの、RSFが戦闘を継続したため、スーダン政府は提案を拒否するに至った。
圧力と責任追及
戦闘停止が実現するかどうかは、米国の外交姿勢に左右される可能性がある。ドナルド・トランプ大統領は最近、紛争への関心を強めたように見える。11月にサウジの実力者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がホワイトハウスを訪問したことが、その背景にあるのかもしれない。
トランプ氏は、ノーベル平和賞を強く意識し、別の紛争を終結させたとアピールしたいのだろう。しかし、米政府がUAEに圧力をかける意思を示さない限り、進展は見込みにくい。圧力の手段としては、トランプ氏が他国との交渉で用いてきた関税がある。実際、現政権はUAEに対し、最も低い税率である10%の関税を適用しており、UAEに対して強い圧力をかけていないことを示している。
活動家たちは、紛争におけるUAEの役割により多くの注目を集めようとしている。分かりやすい焦点の一つがバスケットボールだ。米プロバスケットボール協会(NBA)はUAEと大規模で拡大傾向にあるスポンサー契約を結んでいる。活動家側は、こうした提携がUAEによる「スポーツウォッシング(スポーツを通じたイメージ向上)」の一部になっているとして、NBAに提携終了を求めている。この働きかけが、米国の政策課題の中でスーダンの優先度を引き上げる一助となる可能性がある。
国際社会には殺害を止める力がある。しかし、そのためにはまず、UAEと西側同盟国が結果として暴力を可能にしているという側面を認めなければならない。スーダン国内外の当事者は、狭い自己利益の計算を脇に置く必要がある。UAEとその同盟国、そしてクアッドの他の国々には、実効性のある停戦を仲介するため、より強い圧力をかけることが求められる。停戦を和平への第一歩と位置づけ、交戦当事者に対する影響力を用いて、合意を確実に履行させるべきである。(原文へ)
アンドリュー・ファーミンは、CIVICUSの編集主幹であり、CIVICUS Lensの共同ディレクター兼ライター、「State of Civil Society Report」の共同著者である。For interviews or more...

