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AIはすでに数十億人の現実を書き換え始めている―しかし、その「現実」は女性を正しく映していない

【UNWOMEN/INPS Japan】 133の人工知能(AI)システムを対象とした調査では、44%でジェンダーバイアスが確認され、26%ではジェンダーと人種の双方に関する偏見が認められた。一方、AIが生成した広告やコンテンツを公開前に人間が確認しているマーケティング担当者は、わずか51%にとどまっている。|英語版| 7月6~7日にスイス・ジュネーブで開催される「国連AIガバナンス・グローバル対話(United Nations Global Dialogue on Artificial Intelligence Governance)」、続く7~10日の「AI...

広島からの問い―核の影の下で生き続けるのか

【広島INPS Japan=浅霧勝浩】 被爆81年の平和宣言と国連事務総長メッセージは、崩れつつある核秩序の先に二つの未来を描いた 広島市長による今年の平和宣言は、追悼の言葉だけでは始まらなかった。最初に置かれたのは、核兵器を威嚇の道具に使う軍事侵攻、国際法を軽んじる大国の振る舞い、そして3回続けて成果文書を採択できなかった核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議であった。|英語版| その順序には意味がある。81年前の惨禍は、過去に閉じ込められた記憶ではない。核兵器が再び国家の力を誇示し、相手を屈服させる手段として語られる現在と、直接つながっているからである。 松井一實市長は、不信が報復を生み、報復がさらなる暴力を正当化する世界を描いた。その先にあるのは「第三のヒロシマ・ナガサキ」かもしれない、と警告した。 https://www.youtube.com/watch?v=NMn3bE6JGg4 同じ式典で、中満泉・国連事務次長(軍縮担当上級代表)が代読したアントニオ・グテーレス国連事務総長のメッセージは、その警告を一つの問いに凝縮した。人類は広島から何を学んだのか。平和な未来を選ぶのか。それとも、核による破滅の影の下で生き続けるのか。 これは、式典のための修辞的な問いではなかった。直後に示されたのは、核兵器削減の流れの逆転、核実験禁止規範の動揺、急増する軍事費、そして核による威嚇が横行する世界の姿であった。 一つは被爆者の記憶から語り、一つは国際制度の危機から語った。だが二つのメッセージがたどり着いた場所は同じだった。恐怖によって維持される秩序を安全と呼び続けるのか。それとも、対話、外交、国際法、信頼という、時間のかかる手段を再び安全保障の中心に戻すのか、という選択である。 個人の記憶を、世界の現在へ 平和宣言の中心に置かれたのは、核戦略ではなく人間だった。...

グローバル・サウスの指導者たちが国際協力の新たな設計図を描く

【タイ・バンコクIPS=ベン・フィリップス】 国際協力を支えてきた従来の資金供給システムが突然崩壊した影響は甚大であり、世界各地に被害の連鎖をもたらした。その結果、世界はさまざまな危機に対してこれまで以上に脆弱になり、それに対応する力も低下している。その破綻の爪痕は誰の目にも明らかだ。問題は、次に何をすべきかである。|ENGLISH| こうした損害に警鐘を鳴らすグローバル・ノースの一部の論者は、壊された国際協力の仕組みを元に戻すべきだと主張している。 しかし、それは実現しないだろう。 国際協力の資金危機は、単なる財源不足ではなく、そのモデルへの支持が揺らぎ、さらにそのモデルが体現していた父権主義的な援助観への支持も失われていたことの表れだったからである。 旧来の仕組みがこれほど急速に崩壊したのは、その構造自体がもともと不安定だったからにほかならない。 一方、グローバル・ノースでは、「現実主義者」を自称する別の論者たちが、今後の国際協力について、展望に乏しい二つの案を提示している。 しかし、そのどちらも明るい未来を描くものとは言い難い。 一つ目は、共有すべき世界的課題に投入できる資金が今後も減少し続けることを前提に、「より少ない資源でより多くを実現する(Do more with less)」という発想である。 だが、この考え方は失敗するだろう。 実際には、パンデミック、エネルギー不安、自然災害など、地球規模の脅威に対する共同対応に十分な資源を投入できなくなるからである。 その結果は、人類の存続そのものを脅かしかねないほど危険であり、共有された脅威に早い段階で対処する場合に比べ、すべての国に桁違いのコストを強いることになる。 もう一つの考え方は、これまで政府間で担ってきた責任を民間部門に委ねるというものである。 しかし、このアプローチも失敗するだろう。 世界共通の脅威に対応するための資金が決定的に不足するだけでなく、極端な格差をさらに加速させ、説明責任と権力を寡頭支配に明け渡す結果になりかねない。 こうした三つの実行不可能な発想― 旧来の秩序を復活させようとし続けること。 衰退を管理しながら受け入れること。 民間部門に責任を委ねること。 ―が、現在のグローバル・ノースにおける国際協力論の大半を占めている。 しかし幸いなことに、グローバル・サウスの多くの政府は、共有された地球規模課題のための新たな資金調達の仕組みづくりに着実に取り組んでいる。 「世界公共投資」連合の誕生 セネガルとコロンビアの外相が共同議長を務める「世界公共投資(Global Public Investment)政府連合」には、すでに30か国以上が参加している。 その目的は、現在の世界的な転換期を、新たな国際協力体制を築く契機へと変えることである。 ウルグアイ国際協力庁のマルティン・クラビホ長官は、こう語る。 「私たちの課題は共通であり、リスクも共通です。そして、それに対する解決策も、ますます共有されるべきものになっています。」 「今必要なのは、協力の考え方そのものを進化させることです。各国が能力に応じて貢献し、必要に応じて恩恵を受け、資源の使い道について対等な立場で意思決定に参加する枠組みへ移行しなければなりません。」 コロンビア外相であり、同連合の共同議長を務めるロサ・ヨランダ・ビジャビセンシオ・マピ氏は、次のように述べる。 「世界公共投資は、各国政府が協力して地球規模の課題や危機を乗り越えるための、21世紀型の最も理にかなった答えです。」 「公共資金を大幅に拡充することが不可欠です。そして、その資金は、より代表性が高く、より効果的な仕組みの下で運営されなければなりません。」 また、セネガル外相で共同議長のシェイク・ニアン氏は、こう強調する。 「私たちは、従来の『援助する国』『援助される国』という発想を超え、対等で包摂的なパートナーシップへ移行しようとしています。」 「開発段階に関係なく、すべての国には貢献できることがあり、同時に正当な要求もあります。」 「国家、地域、世界が抱える課題を解決するために、慈善だけに頼ることはできません。また、民間企業だけが私たちを救ってくれると期待することもできません。必要なのは、より多く、そしてより質の高い公共資金です。」 2030年へ向けたロードマップ この連合は、2025年7月、第4回開発資金国際会議で発足した。 同年9月には、国連総会の機会に第1回会合を開催した。 2026年には、3月にボゴタ、5月にナイロビで会合を開き、9月にはニューヨークで再び会合を開く予定である。 グローバル・サウスを基盤としながらも、グローバル・ノース諸国にも参加を呼びかけている。 ガーナの外相サミュエル・オクゼト・アブラクワ氏は、次のように語る。 「私たちが求めているのは慈善ではありません。求めているのは対等なパートナーシップです。」 レソト外相リンフォ・タウ氏も、こう述べる。 「これからの国際協力は、責任の共有と共通の利益をよりよく反映した仕組みへと進化しなければなりません。」 市民社会とも連携 各国政府は、市民社会とも密接に連携している。 クラブ・デ・マドリード(Club de Madrid)の事務局長、マリア・エレナ・アグエロ氏は次のように評価する。 「ここに結集している指導者たちは、多国間主義を再生し、つくり直そうとする先駆者です。」 「彼らがともに築こうとしている仕組みは、前世紀から引き継がれてきた手法よりもはるかに公平なものになるでしょう。すべての国が発言権を持ち、当事者として関与できるからです。」 「それはまた、世界中の人々の暮らしを改善するうえで、はるかに効果的な国際協力にもつながるでしょう。」 「危機の管理」ではなく「転換」を 参加国の指導者たちは、現在の混乱を単に和らげるだけでは不十分だと強調している。 彼らは、従来の手法はもはや戻ることはなく、戻るべきでもないと明確に認識している。 その代わりに目指しているのは、危機を突破口へと変え、相互依存が深まる世界にふさわしい国際金融の仕組みを、各国が対等な立場で再設計することである。 ケニア外務省のコリル・シンゴエイ筆頭次官は、次のように述べる。 「今日の世界の現実により即した、より包摂的で、より代表性が高く、より適切に機能する新たな国際金融アーキテクチャーが、緊急に必要とされています。」 また、パナマ外相のハビエル・エドゥアルド・マルティネス=アチャ・バスケス氏は、こう問いかける。 「私たちは、危機を管理した世代として記憶されたいのでしょうか。それとも、国際協力の流れを変えた世代として記憶されたいのでしょうか。」 「世界公共投資は、国際協力を変革するだけでなく、人類の未来そのものを変える力を持っています。」 各国の指導者たちは、2030年までに国際協力を変革するためのロードマップも策定している。 セントルシア外相のアルバ・バプティスト氏は、次のように述べた。 「適切なモデルを提示するために、長年にわたり多大な知的努力が積み重ねられてきました。」 そして最後に、こう締めくくった。 「今、私たちはそれを実行に移す責務を負っています。」 ベン・フィリップス氏は、『How...

忘れられた牛疫根絶の偉業―その教訓を生かさない代償

【ブリュッセル(ベルギー)IPS=アルミン・ヴィースラー】 家畜の感染症は、もはや農家や獣医師だけの問題ではない。その影響は、私たちの日々の家計にも及んでいる。近年の鳥インフルエンザの流行では、世界の卵価格が60%以上も高騰した。南アフリカでは、口蹄疫の発生によって牛肉価格が34%上昇した。これらは単なる価格変動ではない。予防が十分に機能しなかったとき、その代償を支払うのは、消費者である家族、農家、そして食料システム全体であることを示している。|英語版| ちょうど15年前の今日、世界は別の道があることを証明した。2011年6月28日、国連(UN)は「牛疫(リンダーペスト)」の根絶を正式に宣言した。牛疫は、人類史上、地球上から完全に根絶された唯一の家畜感染症である。 何世紀にもわたり、このウイルスは数百万頭もの家畜を死に至らしめ、牧畜を壊滅させ、世界各地で飢饉を引き起こしてきた。 この根絶事業が成功したのは、科学、物流、そして政治的な意思が一体となったからである。世界規模の予防戦略は、継続的な監視体制、国際的な連携、そして冷蔵設備がなくても熱帯の遠隔地まで届けられる耐熱性ワクチンによって支えられた。その結果、人類を長年苦しめてきた脅威は、まず予防可能な病気となり、最終的には歴史上の病気となった。 この成功から得られる教訓は、科学的なものだけではない。経済的な教訓でもある。 国連食糧農業機関(FAO)の推計によれば、牛疫対策に要した費用は約6億1千万ドルだった一方、アフリカだけでも年間約10億ドルの経済効果をもたらした。つまり、予防は家畜を守っただけでなく、人々の生計を支え、食料安全保障を強化し、その投資額をはるかに上回る利益を生み出したのである。 しかし、この15年間、世界はその教訓を十分に、あるいは一貫して生かしてきたとは言い難い。 感染症が発生すると、依然として殺処分、家畜の移動制限、貿易停止といった緊急対応に頼るケースが多い。一方で、監視体制の強化、バイオセキュリティ対策、ワクチン接種、国際協力といった予防的な手段は、迅速に活用されているとは言えない。 現在問題となっているランピースキン病(牛伝染性皮膚病)は、その典型例である。診断技術やバイオセキュリティ対策、そして有効なワクチンは既に存在しているにもかかわらず、多くの国では、それらを十分な速度で活用できず、感染拡大や被害の抑制に苦慮している。 その背景には構造的な問題がある。国際貿易ルールがもたらす経済的リスクへの懸念が、必要な対策であっても各国の意思決定を難しくしているのだ。 各国は、「家畜と農家を守るか、それとも輸出市場へのアクセスを守るか」という、ほとんど不可能な選択を迫られる。その結果、世界の家畜衛生体制は、常に後手に回る「事後対応型」のままとなっている。 その間にも感染症は拡大を続けている。 昨年には、ランピースキン病や小反芻獣疫(PPR)が初めて新たな地域へ広がり、貿易に混乱をもたらし、農村社会に打撃を与え、食料安全保障を脅かした。 家畜を食料や収入、生計の糧としている世界10億人以上の人々にとって、これらは決して遠い国の出来事ではない。生活や地域経済に直接影響を及ぼす深刻な問題なのである。 だからこそ、牛疫根絶15周年は単なる回顧の日であってはならない。 予防は、次の危機が起きてから即興的に行うものではなく、危機が起きる前から計画されて初めて機能する―そのことを改めて思い起こす機会であるべきだ。 各国の備えはもちろん重要だが、感染症は国境を越えて広がる。どの国も単独で家畜衛生上の脅威を完全に制御することはできない。 そのためには、監視体制を強化し、ワクチン接種を後押しする制度を整え、予防を妨げている貿易や政策上の障壁を取り除くための国際協力が不可欠である。 こうした課題に取り組む上で、世界動物保健機関(WOAH)の「PREVENTフォーラム」のような取り組みは重要な役割を果たし得る。各国政府、国際機関、民間企業が協力し、個々の国だけでは解決できない障壁を取り除くための場となるからである。 しかし、協力は議論だけで終わってはならない。 監視体制や診断能力への投資拡大、ワクチン接種の活用や国際的な承認制度の明確化、感染症発生時にこれらの手段へ迅速にアクセスできる体制づくりなど、具体的な制度改革につながる必要がある。 目指すべきなのは、危機への対応能力を高めることだけではない。危機そのものを未然に防ぐことである。 この3年間だけを見ても、鳥インフルエンザ、ブルータングウイルス感染症、口蹄疫、ニューカッスル病などが世界各地で相次いで発生している。 次に世界へ大きな衝撃を与える家畜感染症が何になるのか、そしてどこで発生するのか、私たちにはまだ分からない。 しかし、牛疫の根絶は、科学、政治的意思、そして国際協調が結集すれば、世界は行動できることを証明した。 問われているのは、予防が可能かどうかではない。 次の危機が訪れる前に、それを最優先課題として取り組む意思が、私たちにあるのかどうかなのである。 アルミン・ヴィースラー博士は、HealthforAnimals(ヘルス・フォー・アニマルズ)会長。 INPS Japan 関連記事: サバクトビバッタ大発生:「アフリカの角」地域への脅威続く 地球を救うために、私たちは牛と車とどちらを残すべきか 4年を経てもなお不明確 WHO報告が浮き彫りにした国際協力の欠如