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「発展の権利」40年―成長が人々を取り残すなら、それはなお開発と呼べるのか
【国連/ジンバブエ・ブラワヨIPS=ブサニ・バファナ】
世界の指導者たちは、「発展の権利」が掲げてきた約束に現実が追いつかず、最も脆弱な立場にある人々が取り残されていると警告した。開発の恩恵が、超富裕層や権力を持つ人々に偏っているかのような状況が広がっている。ニューヨークで開かれた第81回国連総会の関連会合では、「発展の権利に関する宣言」採択40周年を記念し、世界の不均衡な発展によって生じている深刻な格差を是正するため、さらなる行動を求める声が相次いだ。|英語版|
1986年12月に国連総会で採択された同宣言は、「発展の権利は不可譲の人権であり、すべての人間およびすべての人民は、すべての人権と基本的自由が十分に実現される経済的、社会的、文化的および政治的発展に参加し、これに貢献し、その恩恵を享受する権利を有する」とうたっている。
人類の発展のあり方を根本的に転換するものとして期待されたこの宣言だが、その約束はいまだ十分に果たされていない。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は世界の指導者たちに対し、「世界中の何百万人もの人々にとって、宣言に盛り込まれた約束はいまだ実現していません。しかし、それを現実のものにする方法を、私たちは知っています」と語った。
そして、宣言採択40周年は行動を求める機会であると強調し、「誰一人取り残さない」ための青写真として持続可能な開発目標(SDGs)を挙げた。
「開発、人権、平和は、それぞれ別個の目標ではありません。これらは相互に連動しながら前進するものです。分断が深まる今日の世界においても、このビジョンはなお私たちを結び付ける力があります。そして、持続可能な開発目標(SDGs)は、その実現に向けた道筋を示すものです」
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の下に掲げられた17のSDGsには、人々を貧困から脱却させ、その権利を守るための目標と具体的なターゲットが盛り込まれている。
しかし、139のSDGターゲットのうち、達成に向けて順調に進んでいるか、一定の進展を示しているものは36%にとどまっている。
グテーレス事務総長は、今日、開発という約束が新たな試練に直面していると指摘した。拡大する格差、根強い食料不安、膨張する債務、紛争、経済的不安定などが、開発と経済成長を妨げているためだ。
「気候危機は年を追うごとに壊滅的な水準に達しつつあり、劣化し、不健全になった地球の上では開発など成り立たないということを世界に突き付けています」
さらに、デジタル革命や人工知能(AI)には人々の生活を大きく改善する可能性がある一方で、排除や分断を助長する要因にもなり得ると警告した。
「この宣言は、発展を明確に一つの権利として位置付け、人間を発展のプロセスの中心に据えています」
一定の前進、それでもさらなる取り組みが必要
第81回国連総会議長のハリルール・ラーマン氏は、発展とは単なる経済成長ではなく、人々が積極的、自由かつ意味のある形でそのプロセスに参加することを通じて、人間の福祉を継続的に向上させていくことだと述べた。
「私たちは進歩を、単に経済成長の総量だけで測るのではありません。人々が尊厳を持って生き、権利を行使し、自らの未来を形づくることができるかどうかによって測るのです」
そして、宣言の理念を行動によって実現し、過去40年間に苦労の末に勝ち取ってきた成果を守るとともに、今なお残る格差や構造的障壁に取り組む必要があると強調した。
「多国間主義を、より代表性が高く、より人々のニーズに応え、すべての人に成果をもたらすことのできるものにしていきましょう」
ラーマン氏は、世界の平均寿命が延び、多くの人々にとって教育や保健医療へのアクセスも改善し、過去40年間に15億人が貧困を脱したと指摘した。
一方で、多くの国々が持続不可能な債務負担を抱え、世界的な意思決定に平等に参加できていないと指摘した。そして、過去40年間の経験から得られた教訓として、発展は包摂的でなければならず、人権、環境、平和、安全保障と切り離すことはできないと強調した。
開発途上国が負う債務コストは1兆4000億ドルに上り、現在、34億人が、教育や保健医療よりも債務の利払いに多くの資金を充てている国々で暮らしている。
国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルク氏は、発展という目標はより広範なものであると指摘し、その実現を妨げるさまざまな障壁を取り除くよう求めた。
テュルク氏は、現在の国際金融システムは「著しく不均衡」であり、人権のために充てられるべき予算を圧迫していると指摘した。
また、予算削減は最も貧しい人々により大きな打撃を与えるとして、際限なく拡大する軍事力や経済力の一方で続く人々の苦境をなくしていかなければならないと訴えた。
さらに、2025年の世界の軍事支出は2兆8000億ドルに達し、その規模は世界の貧困を終わらせるために必要な費用の8倍に相当すると述べた。
「発展は公平であり、かつ環境的に持続可能でなければなりません」
「持続可能性を、人々や地球を犠牲にしてでも追求される経済成長と同一視してはなりません。私たちは、より大きな平等、参加、尊厳、自由、相互尊重へと大きく舵を切る必要があります。そして、『発展の権利』の核心にある国際協力の原則に改めて立ち返らなければなりません」
富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しく
オックスファムが発表した2026年版報告書『富裕層による支配に抗して―億万長者の権力から自由を守る』によると、超富裕層のかつてない資産拡大によって、世界の格差は一段と深まっている。
億万長者の保有資産は昨年、2兆5000億ドル増加した。これは、資産保有額で世界の下位に位置する41億人の資産総額とほぼ同じ規模である。
オックスファム・インターナショナルのアミタブ・ベハール事務局長は、「発展の権利」という原則は今も維持されており、1990年代から2000年代にかけて一定の前進が見られたものの、ここ数年は一部で後退も生じていると指摘した。
例えば、教育や医療を受ける権利が商品化され、民営化されるようになったことで、「発展の権利」そのものが揺らいでいるという。
ベハール氏は、国際的な場で合意された権利を各国レベルで具体化し、人々が自らの権利を理解し、その実現に向けた動きにつなげていく必要があると訴えた。
「いかなる権利も、本当の意味で権利として定着するためには、草の根から積み上げていくことが極めて重要です。そこに時間、エネルギー、資源を投入しなければ、こうした権利の実現は不十分なままに終わってしまいます」
さらにベハール氏は、「発展の権利」は人権が不可分であることを示すものであり、政府もこうした権利の実現に向けて一定の政治的意思を示してきたと指摘した。
しかし、本格的な前進が可能になるのは、人々自身が権利を要求し始めたときだという。
「私たちが目にしているのは、資金が上へ上へと流れ、ごく一部の超富裕層の億万長者の手に集中していく経済システムです。ですから政府は彼らに課税し、人々のための財源を確保し、『発展の権利』をすべての人にとって現実のものにするために投資しなければなりません」
「Fill the Fund」キャンペーンのグローバル・コンビーナーを務めるハルジート・シン氏は、「私たちは不都合な真実に向き合わなければなりません。支配的な世界経済モデルは、この40年間、宣言の核心を裏切り続けてきたのです」と警告した。
シン氏は、サタット・サンパダ気候財団の創設理事であり、化石燃料不拡散条約イニシアチブのエンゲージメント・ディレクターも務めている。
「発展とは本来、人間を中心に据えた解放を目指す営みであり、すべての人が積極的、自由かつ意味のある形で参加し、経済的・社会的進歩の恩恵を公平に享受する権利を確認するものでした」とシン氏はIPSに語った。
「しかし今日、それはグローバルな金融資本に乗っ取られ、小規模農家や先住民族、都市労働者ではなく、多国籍企業や民間の債券保有者に奉仕するものとなっています」
シン氏はさらに、気候変動への寄与が最も小さい開発途上国が、災害からの復旧のために国家予算のかなりの部分を振り向けざるを得ず、その結果、さらに深刻な債務へと追い込まれていると指摘した。
「40周年を迎える今、グローバル・サウス諸国とその協力国は、法的拘束力のある化石燃料条約を求め、化石燃料を公平な形で段階的に廃止し、新たな化石燃料開発の拡大を終わらせ、世界規模の公正な移行に必要な資金を確保するための明確な国際的枠組みを構築すべきです。」
「1986年の宣言は、解放と正義のための憲章として構想されたものでした。国連総会が発展を、人権、気候変動による損失・損害への賠償、化石燃料の段階的廃止、そして経済システムそのものの改革に明確に結び付けない限り、この40周年は、約束が果たされなかった40年間を刻むだけの節目となってしまうでしょう。」
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カザフスタン、ユーラシアの地の利をAI時代の強みへ
【アスタナINPS Japan=浅霧勝浩】
カザフスタンは長年、欧州とアジアの間に位置する地理的条件に活路を見いだしてきた。戦争によってエネルギー供給や交易路が揺らぐなか、同国はその地の利と電力資源、産業面の経験を、人工知能(AI)時代の強みに転換しようとしている。|英語版|
10月1日にアスタナで開幕した「AI & Digital Bridge 2026」で、カシムジョマルト・トカエフ大統領と国際的な経済界の指導者らは、計算基盤、投資、通信、教育を結びつける構想を示した。翌日の説明会や展示会場で見えてきたのは、それを産業の高度化、若者の仕事、国際協力へとつなげようとする取り組みだった。
天然資源への依存からの脱却を目指すカザフスタンは、海外の技術を受け入れるとともに、国内で研究者や起業家を育て、新たな経済的価値を生み出す拠点を築こうとしている。
地政学的な背景が、この構想に一層の意味を与えている。ロシアによるウクライナ侵攻を機に、中国・中央アジアと欧州をカスピ海と南コーカサス経由で結ぶ「中央回廊(ミドル・コリドー)」への関心が高まった。ロシアを迂回する鉄道・海上輸送網であり、カザフスタンはその重要な結節点に位置する。
今年の米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴うホルムズ海峡の海運混乱も、エネルギー供給経路の多様化の重要性を改めて示した。カザフスタンは、カスピ海を横断してアゼルバイジャンへ原油を運び、バクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプラインを通じて地中海へ送る輸出経路を活用している。
この原油輸送経路と中央回廊全体は別個のものだが、いずれも、より強靭な供給網を求める国々に選択肢をもたらしている。既存の主要ルートを全面的に代替するものではないものの、カザフスタンの接続拠点としての役割を広げる動きだ。
6月には、欧州連合(EU)とカザフスタンがカスピ海横断輸送回廊の戦略的重要性を再確認した。日本も、アクタウ港税関への貨物検査機材整備を通じ、カスピ海ルートの円滑化を支援している。
今回のフォーラムで示されたのは、こうした接続性をデジタル経済へ広げる構想だった。モノや資源を運ぶ役割に、データが行き交い、計算基盤と専門知識が集まる役割を重ねようというものである。
米投資会社ジェネラル・アトランティックのウィリアム・フォード会長兼最高経営責任者(CEO)は、AIをパソコン、インターネット、モバイル技術、クラウドに続く大きな技術の波と位置づけた。そのうえで、AIは特に多額の資本とエネルギーを必要とすると指摘し、人材と安価な電力をカザフスタンの強みに挙げた。
その見方は、資源国としての蓄積を新たな産業へつなぐ道筋を示している。電力を生かして計算基盤への投資を呼び込み、その周辺で研究、ソフトウエア、サービスを育てるという道だ。
エキバストゥズの「データセンター・バレー」構想は、その展望を体現するものだ。10月2日の記者説明会で、ジャスラン・マディエフ副首相兼AI・デジタル開発相は、電力、通信、投資家支援、規制上の仕組みを組み合わせて誘致を進める方針を説明した。
提示資料では、最大1ギガワットの電力容量と、1キロワット時当たり2.5米セントの電力料金を掲げている。これらは構想上の規模と誘致条件を示す数字であり、施設の全面稼働を意味するものではない。
同相はまた、既存のスーパーコンピューターを大学、政府機関、銀行、IT企業が利用できると説明した。大規模な計算基盤の整備と、国内の研究・事業開発を結びつける取り組みである。利用条件の整備や、安定した電力供給、冷却・環境対策は、この基盤を持続的に発展させるうえで重要になる。
米エヌビディア(NVIDIA)のレブ・レバレディアン副社長は、製造、物流、農業、エネルギーなど、物理的な世界へのAIの応用を論じた。
カザフスタンには、こうした応用を支える産業の経験がある。鉱業、エネルギー施設、輸送網で働く人々は、複雑な設備や厳しい操業環境に精通している。その知見を技術開発に生かせれば、国内の技術者が産業の実情に即した製品を生み出す機会が広がる。
トカエフ大統領が提案した「AIチャレンジ」も、その方向を目指す。経済の実際の需要から課題を抽出し、国内外のチームに解決策を募り、効果を実証したプロジェクトを生産現場へ導入する構想だ。技術開発を、企業や産業が必要とする成果につなげようという試みである。
10月2日のパネル討論では、組織そのものを変える必要性も論じられた。カザフテレコムのバグダト・ムシン氏は、AIによって個人の作業が速くなっても、提案が長い承認手続きに阻まれれば、企業全体の生産性向上にはつながらないと指摘した。AIを業務改革の契機として捉える議論だった。
トカエフ大統領は、こうした転換を支える中心に人材を据えている。最近開学した「カザフAI研究大学(Qazaq AI Research University)」に、教育と産業の需要に応える研究を結びつける役割を期待し、医療、エネルギー、金融、行政などにAIを応用する「AI+X」の手法を強調した。
大統領が同時に訴えたのは、AIを使いこなす人間の能力の重要性だった。AIは人間の知的能力を代替するものではなく、学習と知識の獲得を助ける道具であり、技術が進むほど、批判的思考、判断力、責任感が重要になるという。
その人材育成を身近な学びから始める拠点が、球体の旧EXPO施設を活用した「Alem.AI」だ。マディエフ氏は、一般の人々がAIに触れる場から、子どもの学習、専門教育、起業、研究、産業への実装へとつなぐ仕組みを説明した。
提示資料によると、12~18歳を対象とする無料のTUMOプログラムには4500人が登録している。18歳以上を対象とするTomorrow...
|アスタナ|カザフスタンの未来都市が2026年11月に日本からの直行便就航で観光客を歓迎
【アスタナ/ 東京INPS Japan=浅霧勝浩】
カザフスタンの首都アスタナは、前衛的な建築群、文化の多様性、豊かな歴史を体感できる観光地として急速に注目を集めている。2026年春には日本とカザフスタン間の直行便が開設される予定で、アスタナの魅力はさらに高まるだろう。アスタナは「中央アジアのドバイ」としても知られ、現代的な都市計画と伝統が融合した独自の魅力を持っている。10月、私は国際ジャーナリストたち(フランス、キルギス、トルコ、アゼルバイジャン、インド、パキスタン、べラルース、中国、韓国、ベルギー、セルビア、アルメニア)とともにプレスツアーに参加し、アスタナの最も象徴的な観光スポットをいくつか訪れる機会があった。|英語版|
日本人建築家が描いた未来のビジョン
アスタナが急速に近代的な首都へと変貌を遂げたのは、1990年代後半に都市のマスタープランを作成した日本人建築家、故黒川紀章氏の先見性のある設計によるところが大きい。黒川氏の未来的なビジョンは、洗練された現代的な建造物とカザフスタンの遊牧民の過去を反映する要素を組み合わせたもので、都市のスカイラインと都市全体のレイアウトを形成している。彼の作品は伝統と現代性の相互作用を際立たせ、アスタナを世界の首都の中でも際立った存在としている。
日本の旅行者にとって、アスタナとこの偉大な日本人建築家とのつながりは、さらに魅力的なポイントとなるだろう。アスタナの街を歩くと、黒川氏のモダニスト的なアプローチが、カザフスタンの未来を象徴する都市にどのように実現されているかを直接目にすることができる。
文化のモザイク
この多様性は、地元の料理シーンにも反映されている。プレスツアー中、私たちは市内のレストランで様々な料理を楽しんだが、カザフ、ロシア、カフカス、韓国、そして、ウズベキスタンなど中央アジアの文化の影響が感じられた。
伝統的なカザフ料理であるベシュバルマック(茹でた肉と麺で作られる料理)や、ユーラシアの多彩な味を楽しむことで、アスタナでの料理体験はその人々の多様性を豊かに映し出している。特に日本からの観光客にとって、アスタナの料理はその多文化的なアイデンティティを体感できる貴重な機会となるだろう。
未来的なスカイライン
アスタナのスカイラインは、大胆で未来的な建築によって形作られ、「中央アジアのドバイ」としての評価を得ている。その中でも最も象徴的な建物の一つが、カザフスタンの独立と未来への希望を象徴するバイテレクタワーである。ツアー中、私は他のジャーナリストと共にバイテレクを訪れ、地上97メートルの展望台からの眺めは息を呑むほどの美しさだった。アスタナのスカイラインのパノラマビューは、ガラスの高層ビルと広々としたオープンスペースが融合した都市の姿を映し出している。
もう一つのハイライトは、2017年の万博の遺産である世界最大の球形建築物、ヌル・アレム(現:アレムAI)だ。この未来的な建造物は現在、再生可能エネルギーや持続可能な技術に関する展示を行っており、エネルギー生産の未来についてインタラクティブに学ぶことができる。他のジャーナリストと共にアレムAIを探索し、カザフスタンが持続可能性に対してコミットしているだけでなく、世界的なIT及びAI革新における役割も強調されていることを感じた。
歴史を巡る旅
カザフスタンの歴史に興味のある方には、カザフ国立博物館で同国の豊かな文化と歴史の変遷を詳しく知ることができる。 プレスツアー中、私たちは古代遊牧民の遺物から現代アートまで、同博物館の膨大なコレクションを探索する機会があった。 この訪問は、カザフスタンの歴史が、同国が現代の独立国家としてどのようなアイデンティティを持つに至ったかを理解する上で、貴重な洞察を提供してくれた。
直行便就航で観光促進
2026年11月30日に予定されている日本とカザフスタン間の直行便就航は、両国の関係において重要な進展となるだろう。この新しい路線により、日本の観光客がカザフスタンの活気あふれる首都を訪れることがこれまで以上に容易になり、文化交流や観光の機会が拡大するだろう。
アスタナは最先端の建築物と文化の多様性、そして歴史の深みが融合した都市であり、海外からの観光客にとって魅力的な目的地だ。日本人観光客にとっては、日本の最も象徴的な建築家の一人である黒川氏によって設計された都市であることも魅力の一つだろう。プレスツアーの一環として他の国際ジャーナリストと共にこの街を探検した経験を通じて、アスタナが伝統と革新のユニークな融合によって際立っていることを強く感じた。
直行便就航の期待が高まる中、アスタナはダイナミックに発展するその風景を体験したいと願う新たな観光客の波を迎える準備ができている。 ようこそカザフスタンへ(Казакстанға қош келдіңіз!)。
https://www.youtube.com/watch?v=DdPj-AJxhXM&t=71s
INPS Japan
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まだ存在しない経済に備える―カザフスタンの挑戦に注目すべき理由
【INPS Japan/The Astana Times=アイダ・ハイダル】
この1年、未来学者たちと対話を重ねるなかで、とりわけ驚かされたことがある。人工知能(AI)をめぐって始まった話が、最後までAIそのものを中心に進むことは、ほとんどないのだ。(英語版)
たいてい、話の出発点はAIである。生成モデル、自律型エージェント、ChatGPTの次期バージョン、そして、こうしたシステムが進化する速さについて語り合う。ところが、20分、30分とたつうちに、AIそのものは会話の中心からほぼ姿を消す。気づけば私たちは、労働市場や教育、政治制度、ガバナンスについて話している。そして最後には、技術という枠をはるかに超えた問いに行き着く。何世代にもわたって近代社会を形づくってきた経済モデルが、終わりに近づいているのではないか、という問いだ。
本題は、AIそのものではない
こうした視点の変化を、私は次第に見過ごせなくなった。
私たちはAIがもたらす変化を理解しやすくするために、しばしばインターネットやスマートフォンになぞらえる。確かに、これらの技術は私たちの暮らしを変えた。しかし、近代経済を支える中心的な前提の一つを揺るがすことはなかった。それは、人間の労働こそが、価値を生み出し、富を分配する主要な原動力だという前提である。
AIは、その前提さえ揺るがすかもしれない。
未来学者のブレット・キング氏が、あるインタビューで語った言葉が、今も心に残っている。経済の自動化が進めば進むほど、資本主義の従来の仕組みは、想定されてきたとおりには機能しなくなるというのだ。彼の言葉を借りれば、それは「私たちが知る資本主義の終わり」を意味する。
その結論に賛同するかどうかは、むしろ二次的な問題だ。より重要なのは、彼の見立てが部分的にでも正しいとすれば、政府は何をすべきなのか、という問いである。
歴史を振り返れば、制度を担う側には、構造的な変化が完了するまで待ってから対応を決める余裕など、ほとんどないことが分かる。その段階では、移行に伴う痛みは、すでに必要以上に大きくなっていることが多い。
おそらく、それが、私の関心がAIそのものからリーダーシップへと徐々に移ってきた理由なのだろう。ここでいうリーダーシップとは、通常の意味での政治的指導力ではない。目先の政治日程を超えて考え、まだ十分に姿を現していない経済に向けて、社会の準備を進める政府の能力のことである。
キング氏は、過去40年にわたって多くの人が当然視してきた、もう一つの前提にも疑問を投げかけた。市場におおむね任せておけば、いずれ大半の問題は解決するという考え方だ。
「自由市場は気候変動を解決していません。貧困も解決していない。住まいを失う人々の問題も解決していません。これは自由市場が解決してくれる問題ではないのです。足並みをそろえた統治の取り組みが担うべき役割です」と、彼は私に語った。
世界各国の政府が、AIをどこまで規制すべきか、どこまで技術革新の展開に委ねるべきかを模索している今、この主張は強く議論を促すものだ。
それでも、彼が示す区別には説得力がある。AIが変えようとしているのは、単一の産業ではない。医療、交通、物流、金融、製造業、教育、行政に、同時に影響を及ぼし始めている。
これまでの技術革命とは異なり、AIは一つの省庁や規制当局の所管にきれいに収まるものではない。近代国家が数十年をかけて築いてきた、ほぼあらゆる制度に関わっている。
そうであるなら、リーダーシップの意味も変わってくる。問われるのは、今日の経済を効率よく運営すること以上に、明日の経済が本格的に到来する前に、国民がそれに備えられるようにすることだ。
カザフスタンが、思いがけず興味深い事例となっている理由も、おそらくここにある。
未来が訪れる前に備える
長年、カザフスタンの将来をめぐる議論は、主にエネルギー、重要鉱物、交通・物流の連結性、そして大国の間に位置する地政学的な立場を中心に展開されてきた。
しかし近年、別の見方が浮かび上がっている。AIをデジタル政策の一施策として扱うのではなく、国の長期的な発展戦略の中心に据える見方である。
この2年間、政府は国際AIセンター「Alem.ai」を開設し、AI教育プログラム「AI-Sana」を拡充するとともに、計算基盤に投資し、行政へのAI導入を加速させてきた。
この変化は、政府の公式発言にも表れている。
カシムジョマルト・トカエフ大統領は、AI開発評議会の第2回会合で、「資源と労働に基づく従来の成長モデルは、有効性を失いつつある」と述べた。そして、AIを原動力とし、データに基づいて機能する、全面的に統合された経済へと速やかに移行しなければ、カザフスタンは世界の技術競争に後れを取るおそれがあると警告した。
すべての取り組みが成功するかどうかは、ある意味では本質的な問題ではない。技術革命を完璧に乗り切った政府の例など、歴史上ほとんどないからだ。
しかし、備えるのが早すぎることと、遅すぎることの間には、大きな違いがある。
前者には、今後必ず変化していく構想に投資するリスクがある。後者には、気づいたときには世界経済のルールがすでに変わっているというリスクがある。
キング氏が、技術ではなく時間について語ったときに指摘していたのは、まさにこのことだった。
彼によれば、現代社会は四半期ごとの決算、単年度予算、選挙の周期に縛られている。しかし、社会を大きく変える事業は、そうした時間軸で成し遂げられてきたわけではない。大聖堂の建設は世代をまたぎ、パナマ運河の建設には数十年が費やされた。アポロ計画には、一つの政権の任期を大きく超える、持続的な政治の関与が必要だった。彼は、AIもまた、こうした文明のあり方を変える変革に属すると考えている。
話を聞きながら、私は考え始めた。私たちが直面する最大の課題は、AIそのものではないのかもしれない。むしろ、政治が未来を思い描く力を失いつつあることではないだろうか。
民主主義国の政府は、今なお30年先を見据えて考えることができるのか。現在の指導者たちが退任してから、はるか後になって初めて成果が明らかになるかもしれない投資について、その意義を説明し、支持を得ることができるのか。
カザフスタンを見ていると、こうした問いがますます重要に思えてくる。
トカエフ大統領は、急速に変化する世界で競争力を維持するうえで、デジタル変革はもはや選択肢ではなく、不可欠なものだと繰り返し述べている。
今年7月、上海で開かれたAI会議で、大統領は、どの国もAI技術の単なる利用者にとどまるべきではないと強調した。そして、技術の進歩が不平等を深めるのではなく、社会に役立つものとなるよう、すべての国が自国の人材を育てなければならないと訴えた。「どの国も、人工知能の単なる利用者にとどまるべきではありません。すべての国に、人材、デジタル基盤、そして制度を整え運営する能力を育む機会が保障されなければなりません。その根底にあるのは、公正と公平の問題です」と、大統領は述べた。
AI経済を、人間の側から考える
私が興味を引かれるのは、その構想の壮大さそのものではない。今や多くの政府が、AIについて熱心に語っている。注目すべきなのは、AIを単なる一つの技術分野として捉えるのではなく、教育や国家の政策遂行能力、長期的な経済計画と結び付けようとしている点だ。こうしたつながりは、未来学者のブレット・キング氏、ロン・イミンク氏との対話でも、繰り返し浮かび上がった。
イミンク氏は、まったく異なる角度からこの問題に向き合っていた。彼の関心は、アルゴリズムよりも文化にあった。主要なAIシステムの大半は、今なお主として英語を基盤に「思考」している、と彼は指摘する。しかし、言語にはそれぞれ異なる世界の捉え方、歴史的経験、文化的背景が織り込まれている。AIが真に知的なものになるには、単に言語を翻訳するだけでは足りない。それぞれの言語を理解することを学ばなければならないのだ。
この指摘によって、私は一見ささやかなニュースを、別の角度から捉えるようになった。カザフ語が、ChatGPTで利用の伸びが最も速い言語の一つになったというニュースである。これを、ちょっと興味深い統計として受け流すことは簡単だ。しかし、そこにはもっと大きな意味があるのかもしれない。AIの時代において、言語はもはやアイデンティティーだけの問題ではない。社会への参加を左右する問題にもなりつつある。
AIシステムのなかに取り込まれた文化は、そのシステムが人類そのものをどのように理解するかを形づくるうえで、必然的により強い影響力を持つことになる。教育も、同様の課題を突き付けている。
イミンク氏は、学校教育の大部分が、今なお工業社会の経済的な要請に沿って組み立てられていると考えている。学校は、1世代後には今の形では存在していないかもしれない仕組みのなかで、安定した職業人生を送るための準備を、生徒たちにさせているというのだ。
キング氏は、さらに踏み込む。哲学、心理学、倫理、生涯学習は、工学と同じくらい重要になるかもしれないという。AI時代に決定的な意味を持つ能力は、単にコードを書くことではない。変化に適応することだからだ。
未来学者たちへの取材を数カ月続けてきた私は、AIが政府に突き付けているのは、意外にも古くからある問いだと考えるようになった。それは、他国より速く技術革新を進められるかどうか、という問いではない。まだ存在しない未来を思い描き、不確実さを抱えながらも、その未来に備えられるかどうか、という問いである。
AI経済が最終的にどのような姿になるのか、誰にも分からない。予測は分かれ、技術は政策よりも速く進化する。そして歴史は、どれほど自信に満ちた予測であっても、その限界を思い知らせるものだ。今日始められたすべての取り組みが、意図した成果を生む保証はない。しかし、おそらく大切なのはそこではない。確実になるまで待つという選択肢は、もはや残されていないのかもしれない、ということだ。
今日のカザフスタンを見ていて、私が注目するのは、技術そのものよりも、その背後にある発想の転換である。AIは、もはや一つのデジタル産業や、技術革新のための政策としてのみ論じられているわけではない。教育、制度、行政、そして国の長期的な経済の方向性をめぐる、より広い議論の一部になりつつある。AI-Sanaであれ、計算基盤への投資であれ、Alem.aiの整備であれ、あるいは最近の政府全体へのAI導入の取り組みであれ、そこに共通するのは、変革への対応が避けられなくなる前に、準備を進めようとする姿勢である。
AI時代のリーダーシップとは、これからますます、そうしたものになっていくのかもしれない。あらゆる技術的な飛躍を予測する能力ではなく、大きな不確実性に国が適応できる条件を、進んで整えていく姿勢である。カザフスタンは今、その選択に賭けているように見える。AI経済が最終的にどのような姿になるのかを、誰も確信を持って語れない段階から、制度、教育、そしてデジタル分野の能力に投資しているのだ。
INPS Japan
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