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暴力、気候ショック、飢餓がサヘルを崩壊の瀬戸際に追い込む
【国連IPS=オリトロ・カリム】
ここ数年、アフリカのサヘル地域における人道危機は大きく拡大している。その主因は、特にサヘル中央部で急増する暴力である。国連は、この危機について、2012年に顕在化して以来「見出しから大きく消え去った」と指摘しているが、地域全体では今なお数百万人が人道支援を切実に必要としている。民間人の避難、気候ショック、広範な飢餓は国境を越えて急速に広がっている。|ENGLISH|
「サヘルの人々は世界的危機の傍観者ではない。彼らは、世界で最も深刻かつ見過ごされている緊急事態の中心にいる。」と、国連人道問題調整事務所(OCHA)西・中央アフリカ地域代表のシャルル・ベルニモラン氏は語った。「あらゆる資金不足には人間の犠牲が伴う。事業が削減されれば、子どもは一食を失い、女性と少女は保護を失い、家族は希望を失う。資金崩壊を、数百万人にとっての死刑宣告にしてはならない。」
OCHAは6月3日、サヘルに関する「2026年人道ニーズ・対応概要(HNRO)」を発表し、チャド、マリ、ニジェール、ブルキナファソ、ナイジェリア北東部、カメルーン極北州に広がる深刻かつ悪化する人道危機の実態を示した。OCHAによると、同地域全体で約2430万人が人道支援を緊急に必要としている。国連児童基金(UNICEF)によれば、このうちサヘル中央部だけで750万人の子どもが含まれる。
国連西欧地域広報センター(UNRIC)の統計によれば、世界のテロ関連殺人の大半はサヘルで発生している。さらにOCHAは、2025年を通じて一部地域で民間人に対する搾取が急増し、地域経済に深刻な混乱が生じ、コミュニティ全体が住む場所を追われたと記録している。
支援ニーズの規模が最も大きいのはサヘル中央部で、国内避難民は約300万人に上る。その内訳は、ブルキナファソが約200万人、ニジェールが54万8000人、マリが41万5000人である。さらに、周辺諸国には約100万人の難民がいる。UNICEFの統計では、今年、暴力の直接的影響によって360万人以上が強制的に避難を余儀なくされた。
4月下旬、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、首都バマコを含むマリ各地の複数の自治体を標的とした大規模攻撃を記録した。これにより多数の民間人被害が発生し、避難はさらに拡大した。その後数日間にも、マリ警察と武装勢力の間で相次ぐ衝突が報告された。
OHCHRはまた、これらの攻撃後、超法規的殺害や拉致など、重大な人権侵害に関する多数の申し立てがあったと報告している。5月には、マリの政治家で弁護士のムンタガ・タル氏が自宅から拉致され、妻も暴行を受けた。タル氏と妻、そして複数の拉致被害者の所在は現在も分かっていない。
さらに、国連人種差別撤廃委員会(CERD)は5月6日、ブルキナファソでフラニ民族に対する人権侵害が大幅に増加しているとの所見を公表した。フラニの人々は、国家主体および非国家主体によって、超法規的殺害、拉致、拷問、強制失踪、恣意的拘禁、財産の破壊にさらされているとされた。
OCHAによれば、武装集団はサヘル中央部とチャド湖流域で影響力を拡大し、コミュニティ全体から保護サービスや統治機能を奪っている。不安定化の拡大により、推定1万2900校が閉鎖され、230万人以上の子どもが教育を受けられなくなっている。その結果、子どもたちは武装勢力による徴用や搾取に一層さらされやすくなっている。
この危機で特に深刻な影響を受けているのは子どもたちである。UNICEFは、子どもに対する重大な人権侵害を1500件以上記録している。学校は引き続き攻撃の標的となっており、5月にはマリのモプティにある学校が爆発物の存在と武装活動の影響を受け、約300人に被害が及んだ。同じ時期、UNICEFはガオの地域保健施設への攻撃も記録しており、これにより約2700人の子どもが医療を受ける機会を妨げられた。
地域全体で繰り返される気候ショックも、危機をさらに悪化させている。サヘルの気温上昇は世界平均を大きく上回る速度で進んでいる。OCHAの統計によれば、2025年だけで約59万人が激しい洪水の影響を受けた。また、長期化する干ばつと広範な砂漠化が地域の農業を破壊し、数百万人の生計を脅かしている。
長引く気候ショックと武力紛争により、サヘルは世界で最も深刻な飢餓危機の一つとなっている。OCHAは、6月から8月にかけて、約1540万人が「危機的」水準以上の食料不安に直面する可能性があり、このうち150万人は「緊急」水準に陥る恐れがあると予測している。
UNRICによれば、マリでは食料配給の削減により、複数地域で飢餓が64%増加し、150万人が深刻な食料不安に陥っている。さらにサヘルでは肥料価格の上昇が農業生産の低迷に拍車をかけ、燃料価格の上昇が食料や支援物資のコストを押し上げている。
支援ニーズが広範かつ拡大しているにもかかわらず、サヘル向けの人道資金は近年急減している。国際社会からの支援は過去10年で最低水準に落ち込み、2025年には必要資金の29%しか確保されなかった。その結果、援助団体は対応規模の縮小を余儀なくされ、最も脆弱な人々への支援を優先せざるを得なくなっている。
「サヘル全域で、人道支援関係者は『人道対応の再編』を進めている。最も差し迫ったニーズに重点を置き、対応を簡素化し、限られた資源で最大限の効果を上げるための取り組みである。」とベルニモラン氏は語った。
同氏はさらに、「これは困難な選択を迫られながらも、効率性を高め、意思決定を被災コミュニティにより近づけることを意味する。また、予測に基づく早期対応、現金支援の拡大、そして、とりわけアクセス困難地域で人々に支援を届ける上で重要な役割を担う国内・地域団体への支援強化も含まれる。」と語った。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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|視点|AIは民主主義を生き残らせることができるのか?(イアン・ブレマー国連AI高級諮問機関執行委員会委員)
民主主義国家に優位性をもたらしてきた「開放性」が、逆にその衰退の原因となるのだろうか。
【カトマンズINPS Japan/Nepali Times=イアン・ブレマー】
デジタル技術は本来、権力を分散させるはずだった。初期のインターネットの先駆者たちは、自らが引き起こした革命によって個人が力を得て、無知や貧困、圧政から解放されることを期待していた。そして実際、少なくとも一時期はその通りになった。
しかし今日では、ますます高度化するアルゴリズムが私たちのあらゆる選択を予測し、さらには誘導するようになっている。その結果、中央集権的で説明責任を伴わない監視と統制が、かつてないほど効果的な形で実現されつつある。
これは、到来しつつあるAI革命によって、閉鎖的な政治体制の方が開放的な体制よりも安定的になる可能性を意味する。急速な変化の時代においては、透明性、多元主義、抑制と均衡といった民主主義の中核的特徴が、むしろ弱点となり得る。長年にわたり民主主義国家の強みであった開放性が、その没落の原因となるのだろうか。
私は約20年前、国家の開放性と安定性の関係を説明するために「Jカーブ」という概念を提示した。要するに、成熟した民主主義国家は開放性ゆえに安定し、強固な独裁体制は閉鎖性ゆえに安定している一方、その中間の不安定な領域に位置する国家は、圧力にさらされると崩壊しやすいという考え方である。
しかし、この関係は固定的なものではない。技術の進歩によって形を変える。私がこの理論を提唱した当時、世界は分散化の波に乗っていた。情報通信技術(ICT)とインターネットは世界中の人々を結び付け、かつてない量の情報へのアクセスを可能にし、市民と開放的な政治体制に有利な方向へと力の均衡を傾けていた。ベルリンの壁崩壊やソ連の解体、東欧の「カラー革命」、中東の「アラブの春」などを経て、自由化の流れは不可逆的に見えた。
しかし、その進展はその後逆転した。分散化を促したICT革命は、ネットワーク効果、デジタル監視、アルゴリズムによる行動誘導を基盤とする中央集権的なデータ革命へと姿を変えた。技術は権力を分散するどころか集中させ、最大規模のデータを保有する政府や巨大テクノロジー企業に対し、何十億人もの人々が何を見て、何をし、何を信じるかを左右する力を与えたのである。
市民は主体的な行為者から、技術的フィルターやデータ収集の対象へと変えられた。その結果、閉鎖的な体制が優位に立つようになった。カラー革命やアラブの春による成果は後退し、ハンガリーやトルコでは報道の自由が制限され、司法の政治化が進んだ。中国では習近平政権の下で中国共産党が権力を一層集中させ、約20年間続いた経済的開放の流れを逆転させた。そして最も劇的なのは、米国が民主主義の最大の輸出国から、それを弱体化させる技術の最大の輸出国へと変貌したことである。もちろん、その民主主義推進は一貫性や偽善の問題を抱えていたが。
AIの普及は、こうした傾向をさらに加速させるだろう。私たちの個人データで訓練されたモデルは、まもなく私たち自身よりも私たちを深く理解するようになる。そして、人間がAIをプログラムする以上の速度でAIが人間を「プログラム」し、データとアルゴリズムを支配する少数の主体へ、さらに大きな権力を移転させることになる。
その結果、Jカーブは変形し、むしろ浅い「U字型」に近づく。AIの普及によって、極端に閉鎖的な社会も極端に開放的な社会も、以前より脆弱になる。しかし長期的には、技術の進歩と最先端モデルの支配権の集中が進むことで、AIは独裁体制を強固にし、民主主義を弱体化させる可能性がある。そしてカーブは再び反転し、今度は閉鎖的体制に有利な「逆J字型」へと変化するかもしれない。
そのような世界では、中国共産党は膨大なデータ資産、国家による経済統制、既存の監視体制を活用し、さらに強力な抑圧装置を構築できるだろう。一方、米国は少数のテクノロジー界の大富豪が私的利益のために公共空間への影響力を強める、よりトップダウン型で寡頭支配的な体制へと向かうかもしれない。両国の体制は市民の利益を犠牲にしながら、同様に中央集権化され、支配的な存在となるだろう。
インドや湾岸諸国も同様の方向へ進む可能性がある。一方、欧州や日本はAI覇権競争で後れを取ることで、地政学的な影響力を失うか、あるいは国内不安定化に直面する恐れがある。
もっとも、こうしたディストピア的な未来は避けられるかもしれない。その条件は、分散型のオープンソースAIモデルが主流となることである。台湾では、技術者や市民活動家たちがDeepSeekを基盤とするオープンソースモデルの開発を進めており、高度なAIを企業や国家ではなく市民社会の手に残そうとしている。皮肉なことに、そのDeepSeek自体は権威主義国家である中国で開発されたものである。
もし台湾の取り組みが成功すれば、初期インターネットが約束した分散化の理念を部分的に取り戻せるかもしれない。しかし同時に、悪意ある主体が有害な能力を利用するための障壁を下げる危険もある。少なくとも現時点では、権力を集中させる閉鎖型モデルが優勢である。
歴史はわずかな希望も示している。印刷機から鉄道、放送メディアに至るまで、これまでのあらゆる技術革命は政治を不安定化させた。しかし最終的には、新たな規範や制度が生まれ、開放性と安定性の均衡が回復されてきた。
問題は、民主主義国家が今回も再び適応できるのか、そしてAIが民主主義を歴史の舞台から消し去ってしまう前に、それを成し遂げられるのかということである。
© Project Syndicate
イアン・ブレマーは、ユーラシア・グループおよびGZERO Mediaの創設者兼社長。国連AI高級諮問機関(UN High-level Advisory Body...
チャットボットとAIコンパニオン――SFの世界から日常の現実へ
【米オレゴン州ポートランドIPS=ジョセフ・チャミー】
人間らしい会話を再現し、生成AIを通じて交流や companionship を提供するAIチャットボットやAIコンパニオンは、急速な進化を遂げ、もはやSFの世界ではなく日常の一部となりつつある。|英語版|
現在、世界では約10億人、世界人口の約12%が毎月生成AIチャットボットを利用している。利用率は男女間でほぼ同水準に達している。
AIコンパニオンやバーチャルフレンドの利用者数は世界全体で5000万人から1億人に達すると推定されている。2026年の世界AIコンパニオン市場は約500億ドルと評価されており、2034年までに約9倍規模へ成長すると見込まれている。
AIアバターの普及も含め、これらの技術は家庭、学校、職場などさまざまな場面で人間同士の交流に取って代わりつつある。仮想の友人や恋愛相手、あるいはパーソナルアシスタントとして販売されるAIチャットボットやAIコンパニオンは、利用者に感情的支援や娯楽、助言、そして companionship(仲間意識)を提供している。
その能力が高度化するにつれ、多くの利用者がこれらのシステムに感情的な愛着を抱くようになっている。また、自らのAIコンパニオンやチャットボットに意識や人間に近い自覚があると信じる利用者も増えている。
ロボット工学の進歩によって、AIコンパニオンは画面上の存在にとどまらず、現実世界へと進出しつつある。外見や行動、コミュニケーション能力はますます人間に近づき、人との交流も一段と自然になっている。
AIアシスタントが主として質問への回答や作業支援を行うのに対し、AIコンパニオンは会話や人間関係そのものを再現するよう設計されている。友人や相談相手、恋愛相手として感情的なつながりを生み出すことが目的である。
こうした人工知能は、人間らしい会話を通じて孤独や社会的孤立を和らげるだけでなく、教育的支援や助言を提供し、友人や恋愛相手となり、人間関係そのものを変えつつある。
子どもや若者に広がる影響
チャットボットやAIコンパニオンは、人々、とりわけ子どもたちの人間関係や家庭生活、学校生活のあり方に社会的・心理的・倫理的な変化をもたらしている。
とりわけ生成AIチャットボットやAIコンパニオンは、友情や社会的関係の形成に新たな可能性を切り開いた。
多くの若者は、学習支援や娯楽、感情的な支えを求めてこれらの技術を利用している。その結果、友人やセラピスト、さらには恋愛相手としてAIチャットボットやAIコンパニオンと関わるケースが増え、その関係はますます複雑化し、場合によってはリスクを伴うものとなっている。
こうした感情的に深く関与するやり取りは、心理的な脆弱性を悪化させ、人間関係と機械が生み出す擬似的な関係との境界を曖昧にする可能性がある。
実際に大きく報じられた事例の中には、AIチャットボットが自傷行為を助長したり、それを防げなかったケースも存在する。また、AIコンパニオンに過度に感情移入した若者の死亡事例も報告されている。
それにもかかわらず、現在のAIに関する社会的関心は主として雇用への影響や予算削減、人間の仕事を代替する問題に集中している。
その一方で、家庭や学校などで大人や若者、子どもたちと会話し、個人的な関係を築きつつあるチャットボットやAIコンパニオンへの関心は比較的低いままである。
プライバシーと精神的健康への懸念
AIチャットボットは、プライバシーの侵害や精神的健康への影響、誤情報の拡散、有害な行動の助長といったリスクも抱えている。
さらに、チャットボットやAIコンパニオンの利用をめぐっては、子どもや若者の社会性や情緒面の発達を妨げること、ソフトウェアと現実との境界を曖昧にすること、危険な行動を助長すること、若者の感情的な欲求につけ込むこと、好ましくない思考パターンを強化すること、現実認識を歪めること、さらには疑似的な愛着や依存関係を生み出すことなど、多岐にわたる懸念が指摘されている。
米国心理学会(APA)は最近、子どもや若者とAIチャットボットとの関係が、健全な社会性の発達を妨げたり、それに取って代わったりする可能性があると警告した。
同学会は、人間同士の友情や社会的支援には、精神的幸福や身体的健康、さらには寿命の延伸に至るまで長期的な恩恵があると指摘している。
AI市場を支配する主要プラットフォーム
2026年5月時点で、生成AIチャットボット市場をリードしているのはChatGPT、Claude AI、Google Gemini、Microsoft Copilot、Perplexity、Grokなどである。
複数の業界分析によれば、ChatGPTの市場シェアは約50~55%で首位を維持しており、Claude AIが約21%で第2位に浮上している。
また、2026年3月時点でChatGPT利用者数が最も多い国は米国で、約2億500万人が利用している。これにインド、ブラジル、カナダ、フランスが続く。
孤独の解消という期待
もちろん、チャットボットやAIコンパニオンが特定の個人に対して愛情を感じることはない。
それでも世界中の何億人もの人々が、会話や情報、寄り添い、そして批判されることのない交流を求めて、こうした技術にますます頼るようになっている。
これらの技術は、慢性的な孤独や社会的孤立の軽減に役立つ可能性がある。孤独と社会的孤立は、身体的・精神的健康への悪影響や早期死亡リスクの上昇と密接に関連していることが知られている。
世界保健機関(WHO)は孤独を世界的な公衆衛生上の課題と位置づけており、世界では約6人に1人が深刻な孤独を経験していると推定している。
チャットボットやAIコンパニオンは、判断や期待を伴わない会話相手として、孤独や社会的孤立の軽減に貢献する可能性がある。
そして、これらの技術やアンドロイドがさらに高度化するにつれ、新しい形の感情的つながりや親密さを模索する人々も増えている。
規制をめぐる論争
一方で、AIコンパニオンを個人的な人間関係の代替として利用することには、重要な社会的、心理的、倫理的、政策的課題が伴う。
チャットボットやAIコンパニオンは孤独を軽減する可能性がある一方、とりわけ子どもや若者に対しては重大なリスクをもたらす可能性がある。
AIシステムは本物の共感能力を持たず、精神保健専門家として訓練や資格を受けているわけでもない。そのため、感情的支援を過度にAIに依存することは、脆弱な人々をさらに孤立させ、人間関係に対する認識を歪める恐れがある。
これらの技術をどの程度規制すべきかをめぐる議論は続いている。
一部の政府関係者やテクノロジー企業、投資家、研究者は、こうした新興のAI技術については原則として規制を最小限にとどめ、人々自身がそれらとの向き合い方を決めるべきだと主張している。
その理由として、過度な規制による停滞を防ぐこと、技術革新を加速させること、ベンチャー投資を促進すること、地政学的な競争力や国家安全保障を維持すること、市場の独占化を防ぐこと、国益の向上につながること、そして人々の生活をより豊かにすることなどが挙げられている。
一方で、AIチャットボットやAIコンパニオンには適切な規制が必要だとの主張も根強い。
その目的は、子どもや若年層の精神的健康を守ること、SNSや過度なスクリーン利用による悪影響を抑えること、リスクや偏見、差別、誤情報を軽減すること、経済的安定と公平性を促進すること、人権や知的財産権を保護すること、そして個人データのプライバシーを確保することにある。
提案されている安全対策や規制措置としては、利用者に対してAIであることを明示する義務、自傷行為への危機対応プロトコル、年齢確認措置、小学校での利用制限、なりすまし行為の禁止、未成年者保護の強化などが挙げられている。
教育現場で広がる懸念
テクノロジー企業の後押しもあり、各国政府は学校や大学などへの生成AIやチャットボット導入を急速に進めている。
しかし、こうした技術の普及は子どもや若者の発達や福祉に悪影響を及ぼす可能性があり、教育関係者や保護者、政策立案者の懸念を高めている。
AIチャットボットとの長時間にわたる密接な交流は、妄想や躁状態を引き起こしたり悪化させたりする可能性があるとの指摘もある。また、AIコンパニオンが精神的健康問題を悪化させる回答を行う場合があることも研究によって示されている。
さらに最近の研究では、生成AIチャットボットへの依存が、一部の状況において批判的思考力の発揮を低下させる可能性が報告された。
別の研究では、AIチャットボットが若者の感情的脆弱性を利用し、不適切かつ有害なやり取りへ導く恐れがあることも指摘されている。
米国教師連盟(AFT)は、小学2年生以下の児童に対しては「スクリーンなし」を推奨し、小学校でのAIチャットボット利用を制限するよう求めている。
同団体は、過度なスクリーン利用が社会性や自立的思考力、批判的思考力の発達を妨げる可能性があると警告している。
チャットボットの長期的影響については、研究が始まったばかりであり、まだ不明な点が多い。
しかし現場の教師や自治体関係者は、多くの生徒が問題解決能力や批判的思考力を養う代わりに、チャットボットによる安易な答えに頼るようになっていると報告している。
米国教師連盟は、小学校でAIチャットボットの利用を避けるべきだと提言するとともに、学校でのAI利用に関する全国的な安全基準とプライバシー基準の整備を求めている。
新たな社会的課題
研究によれば、チャットボットやAIコンパニオンは特に若者に対して複数のリスクをもたらす可能性がある。
感情的依存、精神的健康の悪化、有害な交流、さらには精神状態や性的指向などの機微な個人情報の開示が懸念されている。
また、感情的支援をAIに依存することは社会的孤立を助長し、人間同士の健全な関係形成を妨げる可能性もある。
これらの技術は感情的な親密さを模倣するよう設計されているため、本物の人間関係と人工的な関係との境界を曖昧にしてしまう。
リスク評価研究では、性、自傷行為、暴力、薬物使用、人種的ステレオタイプなどに関する不適切な対話がチャットボットから容易に引き出されることが確認されており、とりわけ子どもや若者への影響が懸念されている。
結論
チャットボットとAIコンパニオンは、SFの世界から日常生活へと急速に浸透した。
人間らしい声、過去の会話の記憶、個人情報の継続的な処理、好みを持つかのような振る舞い、常時利用可能な存在、そして個人的・社会的な問題について助言や companionship...
機械の国で、人間であること
韓国の労働倫理を、ネパール人労働者の現実から描くドキュメンタリー
【カトマンズNepali Times=シュリスティ・カルキ】
ネパールでは、人びとが移住を始めた時代から、農村から都市へ、そして国外へと向かう移動の歴史が、音楽や詩に映し出されてきた。ドホリの掛け合い歌から民謡、ガンダルバの吟遊詩、故郷や家族への思慕を歌う歌まで、その表現は多岐にわたる。|ENGLISH|
ネパール人は、愛する人との別離の痛み、新しい世界に溶け込む苦闘、遠い異国で戦い命を落としたグルカ兵、そして英領インドの「ムグラン(異郷の出稼ぎ先)」で働いた労働者たちについて詩を書いてきた。
おそらく、すべてのネパール人の心には詩人が宿っているのだろう。あるいは、郷愁を芸術へと昇華したいという願いは、人間に普遍的なものなのかもしれない。
韓国で働くスニル・ディプタ、ディリップ・バンタワ、ジワン・カトリもまた、移民としての現実を詩に託すネパール人の伝統を受け継いでいる。
彼らの詩は、現在韓国で働く、あるいはすでに帰国したネパール人たちの作品とともに、『Yo Machineko Sahar Ho(これは機械の街だ)』と題する詩集として出版された。
この詩集に着想を得て、キム・オクヨン監督(右下の写真)は、2025年の胸を打つドキュメンタリー『In the Land of Machines(機械の国で)』を制作した。同作は、ジワン、ディリップ、スニル、そして彼らと同じネパール人労働者たちの物語を描いている。2026年の...

