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ベネズエラ、岐路に立つ
【ウルグアイ・モンテビデオIPS=イネス・M・ポウサデラ】
米特殊部隊は1月3日、カラカスの大統領公邸でニコラス・マドゥロ大統領と妻を拘束し、連行した。その過程で、ベネズエラの治安要員少なくとも24人と、キューバの情報要員32人が死亡した。
これを受け、ベネズエラの反体制派の一部は一瞬、希望を抱いた。2024年7月の選挙で敗れながら権力に居座り、民主的移行が阻まれてきた状況を、米国の介入がついに動かすのではないか――との見方が出たためだ。
だが、その期待は数時間で打ち砕かれた。トランプ大統領は、米国が今後ベネズエラを「運営する」と発表し、副大統領のデルシー・ロドリゲスが後任として宣誓就任した。主権は一度ならず二度、踏みにじられた。民意を簒奪した権威主義体制によって、そして国際法を意図的に破った外部勢力によってである。
冷笑的な介入
トランプ政権の下で、米国は民主主義を掲げる建前すら後景に退けた。介入は「麻薬対策作戦」を名目に正当化されたが、トランプはベネズエラの石油埋蔵量やレアアース(希土類)鉱床、投資機会への関心を隠さなかった。優先順位は一貫して、米国の地域覇権である。ベネズエラ国民の自己決定権への軽視も露骨だった。反体制派指導者マリア・コリナ・マチャドについて問われると、トランプは「敬意」や「指導力の器」に欠けるとして退けた。ベネズエラの民主化運動に対し、米国の関心は原則ではなく利害にある――そう受け取らざるを得ない発言であった。
皮肉にも、この介入は、マドゥロが長年の宣伝でも作り出せなかった効果をもたらし、反帝国主義の言説に再び勢いを与えた。ラテンアメリカの権威主義体制は従来、米国介入の脅威を口実に弾圧を正当化してきたが、それは主として過去の歴史に根差す主張でもあった。ところが今回、トランプはその「過去」を現在の現実に変え、独裁者たちに権威主義支配を継続するための格好の口実を与えた。
国際社会の反応も同様に示唆に富むものだった。国家主権を最も強く擁護したのは、中国、イラン、ロシアといった権威主義国家である。自国民の権利を日常的に侵害しているにもかかわらず、これらの国々は「ベネズエラの人々との連帯」を表明し、国際法の擁護者を自任した。戦後(1945年以降)の国際秩序の基礎原則を公然と踏みにじったのはトランプであり、その結果、世界でも最も抑圧的な体制の指導者たちが、相対的に理性的な存在に見えてしまう状況が生まれた。こうしてラテンアメリカ全域で政治議論の焦点も大きく移り、いまや問われているのは「ベネズエラの民主主義をいかに回復するか」ではなく、「次なる米国の軍事介入をいかに防ぐか」となっている。
権威主義は続く
一方で、ベネズエラの権威主義体制は崩れていない。マドゥロはニューヨークの法廷に立っているかもしれないが、彼を支えた構造――腐敗した軍、キューバ情報機関の浸透、恩顧主義のネットワーク、抑圧装置――は手つかずのままだ。ロドリゲスは選挙を避けるため、「マドゥロがいつでも戻り得る」との含みを口実に時間を稼ぎつつ、米企業との石油取引を水面下で進め、権威主義的支配の再強化を図る可能性が高い。ロドリゲスにとってもトランプにとっても、民主主義は資源権益の確保にとっての障害に映る。
ベネズエラの市民社会にとって、これは深刻なジレンマである。宣誓就任の場でロドリゲスは、自身を権力の座に押し上げた作戦を非難し、ベネズエラは「いかなる帝国の植民地にも二度となることはない」と誓った。国旗を前面に掲げ、体制の継続を「西側帝国主義への愛国的抵抗」と位置づけたのである。
この構図では、かねて民主化のための国際的圧力を訴えてきた反体制派の活動家は、外国勢力と結託する「反逆者」として描かれやすくなる。だがその一方で、ロドリゲス自身は、キューバ情報機関の関与やイランの石油関係者、ロシアの軍事顧問を受け入れてきた体制の中枢にいた人物でもある。しかも今や米国との石油取引を交渉し、民間投資を可能にする法改正まで約束することで、自ら掲げた「越えてはならない一線」を踏み越えつつある。
ベネズエラのためのベネズエラの解決策
ただし、体制には綻びの兆しもある。マドゥロの不在によって、与党内の摩擦が表面化した。たとえば、800人を超える政治犯の釈放要求にどう応じるかをめぐり、対応方針の対立が見えている。これは民主化勢力にとって、状況を動かし得る余地になり得る。
いまこそ民主的反体制派は、主導権を取り戻すべきだ。介入直後、政治犯の家族は収容施設の前で夜通しの抗議行動を行い、釈放を求めた。政府が応じたのは一部にとどまっている。市民社会はこうした声を増幅し、移行に必要なのは単なる「顔ぶれの交代」ではなく、抑圧装置の解体であることを明確にしなければならない。
市民社会組織の幅広い連合は、民主的移行への道筋を示す10項目の要求を発表した。求めているのは、政治犯の即時・無条件の釈放、不正規武装集団の解体、人権監視団と人道支援の制約のない受け入れ、そして何より、国際監視団の下での自由で公正な大統領選挙である。これらは石油契約の条件としてではなく、ベネズエラを代表すると名乗るいかなる政府にとっても譲れない最低条件として、国際社会が支持すべき要求である。
ベネズエラの民主勢力の前には、二つの道がある。トランプとロドリゲスが資源を切り分けるのを傍観し、周縁化を受け入れるのか。あるいは、この混乱の局面を利用して、真にベネズエラ自身の民主化の課題を前に進めるのか。必要なのは、マドゥロの権威主義とトランプの介入の双方を退け、ロドリゲス政権が主張するいかなる正統性も、米軍や石油契約ではなく、有権者の意思からのみ生まれるべきだと突きつけることである。だが、機会の窓は急速に閉じつつあるかもしれない。問われているのは、民主化運動がその瞬間をつかみ、長く希求してきた国を築けるのか、それとも他者に運命を委ねる「観客」にとどまるのか、である。(原文へ)
イネス・M・ポウサデラはCIVICUS(シビカス)調査・分析部長。CIVICUS Lens共同ディレクター兼ライターで、「市民社会報告書(State of Civil Society Report)」の共著者でもある。ウルグアイのオルト大学(Universidad ORT Uruguay)で比較政治学教授を務める。取材・問い合わせ:research@civicus.org
INPS Japan/IPS...
タンザニアの学校、クリーン・クッキング推進へ「エネルギークラブ」を設立
【タンザニア・ドドマIPS=キジト・マコエ】
白いコック帽に色あせたエプロン姿のマリア・ジョセフさんが、タイル張りの厨房の床にしっかりと足を踏ん張る。巨大なアルミ鍋から立ちのぼる湯気のなか、彼女は両手で木製のへらを握り、鍋底で焦げつきかけた米を力強くかき返していく。|英語版|
手首を返すたび、鍋底の米が上へと返され、規則正しく混ざり合っていく。米はやわらかな波のように揺れるが、鍋の縁からこぼれることはない。額には汗がにじみ、湯気が顔を包む。それでも彼女はひるまない。鍋の縁に沿ってへらを走らせ、正確な手つきで丁寧にこそげ取っていく。
だが、少し前まで、タンザニアの首都ドドマにあるブンゲ女子中等学校のこの厨房は、煙に包まれていた。空気は目を刺し、喉を締めつけた。昼になる頃には、パチパチと燃える薪の前に何時間も立ち続けたせいで、彼女の声はかすれていた。
「煙が本当にひどかったです」と彼女は語る。
「しかも、食事の準備にとても時間がかかっていました。」と振り返る。
その安堵の表情は、厨房の外へと広がる、より大きな物語を物語っている。
生徒たちによる働きかけ
ブンゲ女子中等学校は、クリーン・クッキング・エネルギーの普及を進めるより広範な取り組みの一環として、生徒主導の「エネルギー・クリーン・クッキングクラブ」を立ち上げた。これは、汚染をもたらす燃料からの脱却を目指す国の取り組みの中で、10代の女子生徒たちをその担い手の前面に据える試みである。この取り組みは、日々の暮らしの経験と政策改革を結びつけるものであり、持続可能な開発目標(SDGs)の理念とも密接に結びついている。
手頃でよりクリーンな燃料の普及を通じて、このクラブは目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を後押ししている。毎年数千人のタンザニア人の命を奪っている室内空気汚染に取り組むことで、目標3「すべての人に健康と福祉を」にも貢献する。また、薪集めや煙にさらされる負担が女性や少女に偏っている現状を和らげることで、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を支えている。
さらに、学校生活の中にエネルギー・リテラシーを取り入れることは、目標4「質の高い教育をみんなに」の達成にもつながる。木炭への依存を減らすことは、森林破壊の抑制を通じて目標13「気候変動に具体的な対策を」と目標15「陸の豊かさも守ろう」に資する。政府、学校、民間の連携によって進められている点で、この取り組みは目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」も体現している。
このクラブの際立った特徴は、これまで省庁の会議室で語られてきたクリーン・クッキングの議論を、10代の少女たち自身の実践へと移した点にある。
バイオマス依存の高い代償
リチャード・ムサナ校長は、旧来の方式がもたらしていた負担をよく覚えている。
「薪を使っていた頃は、わずか3カ月で1050万タンザニア・シリング(約4000米ドル)を支出していました。学校にとって大きな負担でした」と彼は語る。
負担軽減を求めて、学校は改良型木炭へと切り替えた。煙はやや減ったが、費用は依然として高かった。
「改良型木炭でも、毎月約275万3334タンザニア・シリング(約1000米ドル)かかっていました」とムサナ校長は言う。「それでも高すぎました。」
転機となったのは、政府のクリーン・クッキング推進策であった。エネルギー省の支援を受けた官民連携により、学校は液化石油ガス(LPG)システムを導入した。現在では、1トンのガスで2カ月間まかなえるという。
「ガスを使うことで、月々の費用は275万3334シリングから135万5300シリング(約500米ドル)にまで減りました」とムサナ校長は話す。「大きな節約になっています。このエネルギーは利用者に優しく、特に調理師たちにとって助かっています。」
改修された厨房の内部では、すすで黒ずんでいた壁がきれいにされ、鍋はパチパチと燃える炭火ではなく、制御された青い炎の上で煮立っている。
再びコンロの前に立つマリアさんは、鍋のふたを持ち上げ、さらに勢いよく立ち上る蒸気を逃がした。
「この近代的なコンロで料理するのが好きです」と彼女は言う。「煙が出ないし、もう目がかゆくなりません。」
国家目標
クラブ発足式で、サロメ・マカンバ・エネルギー副大臣は政府の目標を明らかにした。
「私たちの目標は、2030年までにすべての家庭とすべての施設がクリーン・クッキング・エネルギーを利用するようにすることです」と彼女は述べた。「クリーン・クッキング・エネルギーの利用率は、2021年の6.9%から、2025年現在では23.2%にまで伸びています。」
この取り組みは、まさに時宜を得たものである。2024年に開催された「アフリカ・クリーン・クッキング・サミット」では、汚染燃料からの転換を加速させるため、世界の指導者たちが過去最高となる22億米ドルの拠出を約束した。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界では依然として推計23億人が汚染燃料で調理している。サハラ以南アフリカでは、バイオマスへの依存が依然として支配的であり、森林破壊、室内空気汚染、炭素排出の増加を招いている。
タンザニアでは、施設部門の遅れが際立っている。学校、病院、刑務所など、1日100人以上に食事を提供する3万を超える大規模施設のうち、クリーン・クッキング・システムを導入しているのはわずか1136施設にすぎない。残る施設の多くは、依然としてバイオマスに頼っている。
教科書から台所へ
学校の中庭では、エネルギー・クリーン・クッキングクラブのメンバーたちが日常的に集まっている。ノートと計量カップを手に、木炭とガスでの沸騰時間を比較し、家庭で木炭にかかる費用を計算し、換気の悪い厨房で煙がどのようにたまるかを示す図を描いている。
「両親は、ガスは高すぎると思っています」と話すのは、5年生のレヘマ・マリヤさん。「でも、毎週木炭にいくら使っているのかを見せると、考え方が変わり始めます。」
16歳のリリアン・マサウェさんにとって、この問題は個人的な意味を持つ。
「もし祖母がもっと良い調理用コンロを使っていたら、毎晩せき込むこともなかったはずです」と彼女は言う。
政府統計によれば、タンザニアでは伝統的な調理法に起因する家庭内空気汚染によって、年間推計3万3000人が命を落としている。最も大きな影響を受けるのは女性と子どもたちである。
薪集めは、女性や少女を暴力の危険にさらす。母親の背中におぶわれた乳児は、換気の悪い台所で有害な煙を吸い込む。多くの家庭にとって、木炭は好みではなく、貧困と限られたインフラによって選ばざるを得ない現実なのである。
転換を支える資金調達
当局者らは、鍵となるのは手ごろな価格だと指摘する。マイクロクレジットや従量払い方式を通じて、各家庭は改良型コンロやLPGシステムを、初期費用の全額を一度に支払うことなく導入できる。
この転換はまた、特に女性にとって、クリーン・クッキング技術の販売や整備に携わる経済的機会とも見なされている。
「クリーン・クッキングへの移行は、政府だけの事業ではありません」と、クラブ発足後にマカンバ副大臣は語った。「市民、学校、宗教団体、地域の指導者たちの参加が必要です。」
一歩を踏み出す世代
再び学校の中庭。午後のベルが鳴っても、議論は続いていた。
「エネルギーは、単なる電気のことではありません」と、ある生徒は言う。「健康や森林、気候、そして私たちの母親たちに関わることなのです。」
クラブのメンバーたちは各家庭からデータを集めており、その結果を地元当局に提示する計画である。多くの生徒にとって、この活動は極めて個人的な意味を持つ。
「煙がなぜ危険なのかを母に説明すると、母はこれまでとは違う受け止め方をしてくれます」と、クリーン・クッキング推進役の一人であるスザンナ・キボナさんは話す。
タンザニアのクリーン・クッキングへの移行は、単にコンロを置き換えることではない。それは、習慣を変え、知識を広げ、日々の暮らしを形づくる意思決定への参加を広げることでもある。
ブンゲ女子中等学校では、かつて政策決定者だけのものだった議論に、10代の少女たちが加わり始めている。彼女たちは、台所の煙を気候変動への公約と結びつけ、家庭の支出を国家の改革へとつなげている。
「私たちは、明日のより良いリーダーになるための準備をしています」とマリヤさんは語った。
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氷河湖拡大、決壊リスクの下で暮らすヒマラヤの村々
マナンの村々は、決壊の危険を抱える氷河湖の直下に暮らす
【マナンNepali Times=ドゥルガ・ラナ・マガル】
1月の淡い陽光を受け、湖面を覆う淡い緑色の氷が鈍くきらめく。半透明の凍結面の下には、暗い水が透けて見える。ネパール中部、マナスル山麓に広がるトゥラギ氷河湖(Thulagi Glacial Lake)である。気候温暖化の影響で拡大しており、ヒマラヤの氷河湖の中でも危険度が高い湖の一つに数えられる。
標高は4,050メートル。息をのむような景観が広がる一方で、その美しさは、拡大する湖が下流のマルシャンディ渓谷にもたらし得る脅威を覆い隠している。湖は全長4・5キロのトゥラギ氷河の末端に位置し、地元グルンの人々は「ドナ・タル(Dona Tal)」と呼ぶ。出現は1960年代にさかのぼるという。47歳の地元ガイド、チャンドラ・バハドゥル・グルン氏は、約20年にわたりトレッカーをここへ案内してきた。
マナンのトゥラギ氷河湖は、気候変動の影響による決壊洪水(GLOF)の危険が指摘され、ネパールでリスクが高いとされる47の氷河湖の一つに数えられている。
「ドナは昔は小さかったが、いまは大きくなった。」グルン氏は、後退し縮小した氷河を指さしながら説明する。かつてはトレッカーも氷河の反対側へ回り込むことができたが、現在は氷河が池状の水たまりに覆われ、モレーン(堆積地形)から落下する岩も増え、危険が増しているという。
そして、淡々とこう付け加える。「この湖はいずれ、遅かれ早かれ決壊するだろう。」
カトマンズに本部を置く国際総合山岳開発センター(ICIMOD)は、過去20年にわたりトゥラギ湖を調査してきた。1960年代の地形図や初期の衛星画像を見ると、当時の湖は現在よりはるかに小さかったことが分かる。
1994年、マルシャンディ水力発電プロジェクト建設時に、ドイツ地質・天然資源研究所とネパール水文気象局が湖を測量したところ、すでに湖の長さは2kmに達していた。近年の調査では、その後も拡大を続け、面積は現在1平方kmを超えたとされる。
ICIMODは2020年、湖の規模、地すべりや雪崩の可能性、そして「氷を核に持つモレーン堤」が徐々に崩壊していくリスクなどを理由に、ネパールとチベットにまたがる危険な氷河湖の一つとしてトゥラギを挙げた。
2018年には、ウメシュ・K・ハリタシャ(Umesh K Haritasya)氏が率いる氷河学者チームが、トゥラギ、ロウアー・バルン(Lower Barun)、イムジャ(Imja)の3つの氷河湖の変遷を扱った学術論文を発表した。1976年時点でも、トゥラギはクンブ地域のイムジャ氷河湖の2倍、ロウアー・バルンの6倍の規模があったという。チームは湖の深さを79mと測定し、水量は3,610万m³に達すると推計した。
その後、トゥラギは他の2湖に比べると増加ペースが緩やかだとされる。周囲の山の影で日射が抑えられること、狭い谷地形のため氷河の崩落(カービング)が相対的に少ないことが理由に挙げられている。
それでも、トゥラギが決壊洪水(GLOF)を起こせば、マルシャンディ川沿いの4つの水力発電事業と、ベシサハール(Besisahar)やドゥムレ(Dumre)などの集落に重大な危険をもたらすとして、科学者や専門家は長年警鐘を鳴らしてきた(地図参照)。
湖の水はドナ・コラへ流れ込み、やがてマルシャンディ川へ合流する。そのドナ・コラでは、49.9MWのドナ・コラ水力発電プロジェクトが、総事業費100億ルピーで建設中である。さらに同じ川で、42MWの「スーパー・ドナ・コラ」プロジェクトも計画されている。
「氷河湖決壊の引き金になり得る要因の一つは、急峻な側方モレーンだ。急速に融解する永久凍土によって弱体化する可能性がある」。2018年研究チームに参加したリーズ大学研究者スコット・ワトソン(Scott Watson)氏はそう話す。
住民は、まさにワトソン氏が指摘する変化を目撃している。数年前まではトゥラギの源流部に比較的容易に到達できたが、いまは氷や落石が増え、危険が高まっているという。
GLOF(氷河湖決壊洪水)警報
氷河学者のリジャン・バクタ・カヤスタ(Rijan...
「『ディープフェイクによる虐待は虐待だ』―生成AIが広げる新たな児童搾取危機にユニセフが警鐘」
【国連IPS=オリトロ・カリム】
国連児童基金(ユニセフ)の新たな調査で、生成型人工知能(AI)を用いて、何百万人もの子どもの画像が性的に加工・改変される被害が広がっている実態が明らかになった。ユニセフは、強固な規制枠組みと、各国政府とテック・プラットフォームの実効的な協力がなければ、この拡大する脅威は次世代に壊滅的な影響を及ぼしかねないと警告している。
独立機関で、児童の性的搾取・虐待を追跡する「チャイルドライト(Childlight)・グローバル子ども安全研究所」の2025年報告書は、近年、テクノロジーを介した児童虐待が急増していることを示した。米国では、2023年に4700件だった関連事案が、2024年には6万7000件超へと跳ね上がった。これらの相当部分に、ディープフェイク(現実に見えるよう精巧に生成されたAI画像・動画・音声)が関与していたという。なかでも「ヌーディフィケーション(nudification)」と呼ばれる、AIツールで写真の衣服を剥いだように見せたり改変したりして、捏造の裸体画像を作り出す行為が広く拡散している。
ユニセフ、国際刑事警察機構(インターポール)、そしてECPATインターナショナル(End Child Prostitution in Asian Tourism=子どもの性的搾取に反対する国際組織)による共同研究は、11か国におけるオンライン上の児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の流通状況を調査し、過去1年だけで少なくとも120万人の子どもが、性的に露骨なディープフェイクに画像を加工される被害に遭ったと推計した。これは、およそ「子ども25人に1人」―「教室に1人」―が、すでにこの新たなデジタル虐待の犠牲になっていることを意味する。
「子どもの画像や身元が使われた場合、その子どもは直接、被害者である」とユニセフの担当者は述べた。「たとえ特定可能な被害者がいない場合でも、AI生成の児童性的虐待コンテンツは、子どもの性的搾取を『当たり前』のものとして正当化し、虐待コンテンツへの需要をあおり、支援が必要な子どもを特定し保護するという点で、法執行機関に重大な困難を突き付ける。ディープフェイクによる虐待は虐待であり、そこにもたらされる害は、決して『偽物』ではない」
英国の全国警察本部長協議会(NPCC)による2025年の世論調査は、2019年から2024年の間にディープフェイク虐待が1780%増加したと報告した。クレスト・アドバイザリーが実施した英国全土の代表性を備えた調査では、回答者の約59%(3人に2人近く)が、自分がディープフェイク虐待の被害者になることを懸念していると答えた。
さらに34%は、知人の性的または親密なディープフェイクを作成した経験があると認め、14%は、面識のない相手のディープフェイクを作成したと答えた。調査はまた、女性と少女が不均衡に標的にされていること、そして拡散の場として最も多いのがソーシャルメディアであることも示した。
研究では、ある人物が恋人の「親密な」ディープフェイクを作成し、本人にそれを明かしたうえで、口論の後に第三者へ拡散する、という想定事例も提示した。驚くべきことに、回答者の13%がこの行為を「道徳的にも法的にも容認できる」とし、さらに9%が「どちらでもない」と答えた。NPCCは、この行為を容認する傾向が、ポルノを積極的に消費し、「一般に女性蔑視とみなされ得る」信条に同意する若年男性ほど強い、とも報告した。
受賞歴のある活動家でインターネット著名人のキャリー=ジェーン・ビーチ氏はNPCCに対し、次のように語った。「私たちは極めて憂慮すべき時代に生きている。デジタル空間で早急に決定的な行動を取らなければ、娘たち(そして息子たち)の未来が危機にさらされる。安全策も、法律も、ルールもないまま育った子どもたちの世代があり、その『自由』が生んだ暗い波及効果を、いま目の当たりにしている」
ディープフェイク虐待は、子どもに深刻で長期的な心理的・社会的影響をもたらし得る。強い羞恥、不安、抑うつ、恐怖を引き起こすことが多く、ユニセフは新たな報告書で、ディープフェイク虐待によって子どもの「身体、アイデンティティ、評判」が、遠隔から、見えない形で、しかも恒久的に侵害され得ると指摘した。加害者による脅迫、恐喝、金銭要求につながるリスクもある。侵害の感覚に、デジタル内容の恒久性と拡散性が重なることで、被害者は長期的トラウマや不信感、社会的発達の阻害に直面しかねない。
「自分の画像が性的に加工されたコンテンツに改変されたと知ったとき、多くの子どもが急性の苦痛と恐怖を経験する」と、ユニセフの子ども保護専門官アフルーズ・カヴィアニ・ジョンソン氏はIPSに語った。「子どもたちは羞恥心や烙印(スティグマ)を訴え、それは自分のアイデンティティをコントロールできないという喪失感によっていっそう深まる。被害は現実で、長く続く。性的に加工されたディープフェイクとして描かれることは、子どものウェルビーイングに深刻な打撃を与え、デジタル空間への信頼を損ない、日常の『オフライン』の生活においてすら安全でないと感じさせる」
国際電気通信連合(ITU)電気通信開発局のコスマス・ザヴァザヴァ局長は、オンライン虐待が身体的被害へと転化し得る点も付け加えた。
「人工知能と子どもの権利」に関する共同声明で、ユニセフ、ITU、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連子どもの権利委員会(CRC)など主要な国連機関は、子ども、親、養育者、教師の間で、AIリテラシーが広く不足していると警告した。AIリテラシーとは、AIシステムの仕組みを理解し、批判的かつ効果的に関わるための基礎的能力を指す。この知識ギャップは若年層をとりわけ脆弱にし、被害者や周囲の支援者が、標的化の兆候を見抜き、通報し、十分な保護や支援サービスにつながることを難しくする。
国連はまた、責任の相当部分がテック・プラットフォーム側にあると強調し、多くの生成AIツールが、デジタル上の児童搾取を防ぐ実効的な安全策を欠いていると指摘した。
「ユニセフの見立てでは、ディープフェイク虐待が広がる一因は、法・規制の枠組みが技術の進展に追いついていないことにある。多くの国では、AI生成の性的に加工された子どもの画像が、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)として明確に認識されていない」とジョンソン氏は述べた。
ユニセフは各国政府に対し、CSAMの定義をAI生成コンテンツまで更新し、「その作成と流通の双方を明確に犯罪化」するよう求めている。ジョンソン氏によれば、テクノロジー企業には、同氏が「セーフティ・バイ・デザイン(安全性の組み込み)」と呼ぶ措置や、「子どもの権利への影響評価」を導入することを義務付ける必要がある。
ただし同氏は、法律や規制は不可欠である一方、それだけでは十分ではないとも強調した。「性的虐待や搾取を容認したり軽視したりする社会規範も変わらなければならない。子どもを効果的に守るには、より良い法律だけでなく、意識、執行、そして被害を受けた人への支援をめぐる実質的な変化が必要だ」
問題は、商業的インセンティブによってさらに複雑化している。AI画像ツールが生む利用者の関与、購読、話題性からプラットフォームが利益を得ることで、より厳格な保護策を導入する動機が弱まるためだ。
その結果、テック企業がガードレール(安全策)を導入するのは、重大な社会的批判が噴出した後―子どもがすでに被害を受けた後―になりがちだ。例として挙げられるのが、X(旧ツイッター)のAIチャットボット「Grok」である。ユーザーのプロンプトに応じて、同意のない性的ディープフェイク画像を大量に生成していたことが判明した。国際的な反発が広がるなか、Xは1月、Grokの画像生成ツールをXの有料購読者に限定すると発表した。
ただしGrokをめぐる捜査は継続している。英国と欧州連合(EU)は1月以降、調査を開始し、フランスでは2月3日、検察が、CSAMとディープフェイクの流通にプラットフォームが関与した疑いに関する捜査の一環として、Xのオフィスを捜索した。Xのオーナーであるイーロン・マスク氏も事情聴取のため召喚された。
国連関係者は、AIシステムの成長や収益創出を認めつつも、子どもをオンラインで守る規制枠組みが不可欠だと強調する。「当初、彼らはイノベーションを阻害することを懸念しているように感じられた。しかし私たちのメッセージは極めて明確だ。AIを責任ある形で展開すれば、利益も出せるし、事業もできるし、市場シェアも取れる」と、国連の高官は語った。「民間セクターはパートナーである。だが望ましくない結果につながる動きが見えたときには、危険信号を出さなければならない」(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Bureau...

