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核兵器廃絶を訴える活動家たち、世界に「平和を想像すること」を呼びかける
【パリ=AD マッケンジー】
世界平和と人類の未来について議論をする上で、核兵器の問題は避けて通れない。そして、その問題は今、対処されるべきである。
これは、9月22日から24日にかけてフランスの首都パリで開催された「イマジン・ピース(平和を想像する)」会議において、多くの代表者たちが発信したメッセージである。この会議は、1968年にローマで設立され、現在は70カ国に広がっているカトリックの信徒団体「聖エジディオ共同体」によって主催された。
「祈り、貧者への奉仕、平和への取り組み」を基本理念とする同共同体は、これまでに38回にわたって国際的な多宗教間の平和会議を開催しており、世界中の活動家を一堂に集めてきた。今回の会議は初めてパリで開催され、核兵器保有国であるフランスに数百人が集まった。
https://www.youtube.com/watch?v=Dqs6IZR9xJE
世界各地で続く残虐な紛争や、一部の国による核兵器の「強化」を競い合っているという状況を背景に、この会議は緊迫感に包まれていた。戦争指導者たちによって核兵器が使用されるのではないかという懸念が強まっているのだ。参加者たちは、現在および過去における残虐行為を強調し、世界の指導者たちに過去の教訓から学ぶよう呼びかけた。
「広島と長崎の後、私たちは多くの『ノー』という声に恵まれてきました。何百万回もの『ノー』が、運動や条約、そして意識を生み出してきました。 核兵器の開発と使用から学ぶ唯一の合理的な教訓は、『ノー』ということです。」と、米国のニューヨークを拠点とする「平和と対話のための聖エジディオ財団」のアンドレア・バルトリ会長は述べた。
23日に開催された「ヒロシマとナガサキを忘れない ー 核兵器のなき世界を想像する」と題したフォーラムに参加したバルトリ会長や他の講演者たちは、核兵器のある世界で生きるとはどういうことかを分かりやすく説明し、第二次世界大戦後の核兵器に関する歴史の発展について詳しく話した。
「広島と長崎に2発の爆弾が投下された後、人類は7万発以上の核兵器を製造し、2千回以上の核実験を行いました。現在でも12,500発以上の核兵器が存在しており、その一つ一つの威力は1945年8月に使用された2発の原爆をはるかに上回っている。」とバルトリ会長は述べた。
これらの兵器の壊滅的な可能性が広く認識されているにもかかわらず、また、国連の条約がその使用を禁止しているにもかかわらず、一部の政府は核兵器の保有が抑止力であると主張している。しかし、この主張は欺瞞的であるとフォーラムのスピーカーたちは強調した。
「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のディレクターであり、2000年代初頭にオーストラリアで発足し、2017年にノーベル平和賞を受賞した運動の指導者であるジャン=マリー・コラン氏は、抑止力を主張する指導者たちは国際人権を「侵害する可能性を認めている」と述べた。
「核兵器は都市を破壊し、人口全体を殺傷することを目的として設計されています。したがって、核抑止力に基づく防衛政策を実施し、その命令を下す責任を負う全ての大統領や政府首脳は、これを認識しているのです。」とコラン氏はフォーラムで語った。
ICANは2017年に国連で採択され、2021年に発効した核兵器禁止条約のキャンペーンを展開してきた。この採択は、1970年に発効した核兵器不拡散条約(NPT)から約50年後に実現したものである。
6月に発表したICANの報告書によると、これら9カ国による2023年の核兵器関連支出が推計で914億ドル(約14兆4千億円)であった。不道徳かつ容認できないとICANは批判している。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、会議の開会式で、平和について一般論を述べていたが、フランスの支出は約61億ドルに上ったと推計されている。
「抑止力の維持」と「相互性の確保」という政策は、本質的には「相手が武器を廃棄すれば我々も廃棄する」というものであり、ICANや他の軍縮活動家たちから強い批判を受けている。
「絶え間なく流れる情報によって、私たちはしばしば数字の現実を見失いがちです。」とコラン氏は平和会議で述べた。「この数字には注目してほしい。広島と長崎への原爆投下で、8万8千人以上の子どもたちが命を落としたと推定されています。子供たちです!」
1945年末までに推定21万人が死亡したとされるが、そのすべてが恐ろしい方法で命を落とした。生存者やその他の人々が証言している。代表団は、この事実こそが真の「抑止力」であるべきだと述べた。
フォーラムで、創価学会インタナショナル(SGI)国連事務所軍縮プログラム・コーディネーターであるアナ・イケダ氏は、広島の原爆生存者である山田玲子氏の証言を紹介し、それが忘れられないものであると述べた。
「山田さんはこう語りました。『近所に住んでいた仲良しの友人が、4人の兄弟姉妹と一緒に母親が帰宅するのを待っていました。後で聞いた話では、原爆投下の2日後に、動く黒い塊が家に入ってきて、最初は黒い犬だと思いましたが、すぐにそれが母親であることに気づきました。母親は子供たちのところへたどり着いたときにはすでに気を失っており、そのまま息を引き取りました。子供たちは母親の遺体を庭で火葬にしました。』」と、イケダ氏は感情を込めて聴衆に語った。
「誰がそのような死を迎えるにふさわしいのでしょうか?誰もいない!」とイケダ氏は続けた。「それでも私たちの世界は、核兵器の維持に何十億ドルも費やし、時にはそれを使用する準備があることをほのめかす発言をします。これは全く容認できません。」
「生存者、すなわち日本では「被爆者」として知られる人々が、なぜ核兵器を廃絶しなければならないのかという根本的な答えを持っている。それは、『私たちが経験したような苦しみを、他の誰にも味わせたくない』ということです。」とイケダ氏は語った。(原文へ)
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国連の未来サミット:核兵器廃絶と気候危機に取り組むために必要な若者主導の行動
【国連=ナウリーン・ホセイン】
国際的な連帯と果断な行動という「国連の未来サミット」の核となるメッセージを推進するのは、今日世界が直面する複合的な危機に取り組むことを決意した若者たちである。
そして彼らは、2024年9月20から21日にかけて開催された同サミットのアクション・デイズでは、国連本部内外で、意味のある参加を増やし、定義づけるための対話を主導した。
また、9月22日(日)に国連で採択された「未来のための協定」においても、若者と未来世代は世界の指導者たちの関心の最前線にある。史上初の「未来世代に関する宣言」において、彼らの役割が明確に定義され、意思決定において未来世代を考慮するための具体的な手段が提示された。その中には、未来世代のための特使を任命する可能性も含まれている。これに、「特に世界レベルにおいて、若者たちが自分たちの人生を形作る決定に参加する有意義な機会」を増やすことへのコミットメントも含まれる。
未来をつくる:創価学会インタナショナル(SGI)と未来アクションフェス実行委員会が共催し、国連大学(UNU)と国連広報センター(UNIC)の支援を受けたサイドイベント「未来を築く:核危機と気候危機に関する相乗的なコラボレーション」では、若手活動家が一堂に会し、2つの異なる危機が交わる局面について、また若者の意味のある参加を定義するものは何かを議論した。
国連広報センターの根本かおる所長は、サミットのアクション・デーの議題が若者の参加者によって主導・組織されたことは「画期的」であり、総会議場の大半の席が若い活動家たちによって埋め尽くされたと述べた。
また、「若者たちには、この世界をより良い場所にする力があるという共通のメッセージがある。気候変動、核軍縮、不平等との戦い、どの議題に取り組んでいても、若者に関する問題は、あらゆる分野にまたがる非常に重要な問題である。」と根本所長は言う。
さらに根本所長は、国連は若者の意味のある参加を促すために、さらに努力する必要があると付け加えた。これは、青少年が意思決定において協議し、指導的立場に立つことを認めることを意味する。若者の存在を形だけのものにしてはならない。
気候変動と核危機は、深く結びついた存亡の危機である、と国際連合大学学長のツシリッツィ・マルワラ博士は言う。気候の不安定さは、紛争や避難民の発生を引き起こす要因を助長する。スーダン、イスラエル、パレスチナ、ウクライナで起きているような紛争は、核のエスカレーションのリスクを高める。現代のリーダーたちがこれらの問題に取り組む中で、マルワラ博士は若者たちに、声を上げ続け、権力者たちに責任を問うよう呼びかけた。
マルワラ博士は、国連大学は「若者の意味のある参加」を全ての関係者で実現することにコミットしていると述べた。若者たちは意欲的で、より深い社会問題への関心を示す一方で、自分たちの声を聞いてもらったり、行動を起こすための活力を感じたりすることに課題を抱えている。マルワラ博士は、政治活動に関与していない、あるいは参加することを躊躇している若者たちに手を差し伸べることが重要だと指摘した。
未来サミットの主要な議題の一つは、意思決定プロセスへの若者の参加を増やすことである。若い活動家や市民社会の関係者が、より大きな社会的変化を推進し、複雑な問題に対して意欲的に行動をしてきたことは、以前から認められてきた。しかし、彼らは自国の政策決定に参加する際にしばしば課題に直面している。
これらの課題の中には、政治システムにおける構造的な問題が潜んでいる。日本の政治においては、若者層は国政および地方政治で、十分な存在感を発揮できていない。日本では若い有権者の間で、自分たちの声が国や地方公共団体に届かないという考えが広まっていると、日本若者協議会で活動するセリガノ・ルナ氏は述べた。
これは投票率に示されており、20代の有権者はわずか37%、自分の一票が重要だと考えている有権者は54%しかいない。対照的に、70代の人々の71%が選挙で投票している。30代以下の人々は、政府の委員会やフォーラムで働く専門家のわずか1%に過ぎない。日本若者協議会は現在、来年の新しいエネルギープランに取り組む委員会メンバーとして若者が直接参加するよう呼びかけ、国の気候変動政策への積極的な若者の参加を提唱している。
ジェンダーの視点から核兵器の廃絶を目指すNGO団体「GeNuine」の共同創設者である徳田悠希氏は、若者たちが意思決定の場から遠ざかっていると語った。若者の声は届くかもしれないが、それだけでは十分ではない。彼女がIPSに語ったように、気候変動と核の危機は日本の若者の関心事である。そして、何ができるのかというアイデアはあっても、どのように行動すればいいのかは知らされていない。
参加を増やすための希望はある。徳田氏は、原子力問題に関する政策立案者たち(そのうち30%が女性)は、こうした議論に若者たちを参加させる取り組みを始めていることを共有した。
「若者がこれらのプロセスに意味のある参加ができるようにシステムを再構築する時です。核兵器禁止や気候危機の解決に取り組むためには、世代を超えた参加が必要なのです。」と徳田氏は言う。
このイベントでは、若者の意味のある参加とはどのようなものかが話し合われた。若者の視点に配慮した取り組みがなされていることは認められた。若者を議論に含めることは重要な一歩である。しかし、それだけでは不十分であり、今後は、複雑に絡み合う問題を解決するために必要な行動を起こす権限を持てるようにすることが求められると提案された。そうでなければ、若者たちが参加する意味がない。
「平和の構築と維持という課題に取り組むためには、未来志向の若者がこれまで以上に必要とされている。」とSGIユース共同代表の西方光雄氏は述べた。
「未来アクションフェスのように、若者の連帯は問題を解決し乗り越えるための出発点となり得る。」と同氏は語った。
来年の2025年は第二次世界大戦の終結と広島・長崎の原爆投下から80年目を迎える。西方氏は、核兵器禁止条約第3回締約国会議と国連気候変動会議(COP30)を前に、核軍縮と気候変動対策の議論を進める重要な機会となると指摘した。
さらに、同氏は、「私たちは平和への願いで一致団結し、次世代への責任を分かち合い、草の根レベルの行動を日本、そして世界に広げていきます。」と語った。
未来のための協定では、核軍縮に向けた多国間のコミットメントを10年以上ぶりに再確認した。これは、核兵器の完全廃絶という目標に向けた明確なコミットメントも伴う。
また、1960年代以来の国連安全保障理事会の改革を約束し、優先事項としてアフリカの歴史的な代表不足の是正を含め、理事会の実効性と代表性の向上を計画している。
この協定では、持続可能な開発目標(SDGs)の実施を「加速」させるコミットメントがあり、開発途上国の代表性を高め、これらの国により資するものになることを目指す国際金融アーキテクチャーを改革することが含まれている。
「私たちは、祖父母世代のために構築されたシステムで、私たちの孫にふさわしい未来を築くことはできない」とアントニオ・グテーレス国連事務総長は述べた。(原文へ)
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世界で進行中の紛争は核戦争の危険にさらされているのか?
【国連IPS=タリフ・ディーン】
ロシア、イスラエルの右派政治家、そして北朝鮮から発せられる核の脅威は、終わることのない一定の鼓動のように続いている。これらの脅威はまた、一つの疑問を提起している。つまり「核兵器を使わずに第三次世界大戦は起こり得るのか。」という疑問だ。
ロイター通信は8月27日の報道で、ウクライナに西側諸国のミサイルでロシア深部を攻撃する許可を検討するのは、欧米諸国が火遊びをしているようなものだとロシアの高官が語ったと報じた。また、米国に対して、第三次世界大戦は欧州に限定されていないだろうと警告した。
ロシアの長年の外相であり、元国連大使でもあるセルゲイ・ラブロフ氏は、欧米諸国はウクライナでの戦争をエスカレートさせようとしており、外国から供給された兵器の使用制限を緩和するよう求めるウクライナの要請を検討していることは「自らトラブルを招いているようなものだ。」と述べた。
ワシントンに本部を置く軍備管理協会(ACA)は先週、この状況を正しく捉えて、「世界の核安全保障環境はこれ以上ないほど不安定になっている。」と指摘した。
ACAの主要刊行物である『Arms Control Today』誌の編集長であるキャロル・ジャコモ氏は、「米国で次期大統領が選出される数週間前、世界の核安全保障環境はこれ以上ないほど不安定になっている。」と述べた。
「ロシアは、ウクライナに対する戦争を核兵器使用にエスカレートさせるという脅威を依然として高めています。イランと北朝鮮は核開発計画を推し進め、中国は着々と核兵器の拡張を進め、米国とロシアは費用のかかる近代化計画を進めており、ガザ地区での戦争は、イランや核保有国イスラエルをはじめとする他の国々を巻き込み、地域全体に広がる大惨事へと発展する恐れがあります。」とジャコモ氏は指摘した。
一方、ロシアと中国は米国との軍備管理協議への参加を拒否しており、新たな国々が核兵器保有の可能性を模索し、数十年にわたって続いてきた軍備管理条約が崩壊しつつある。
こうした状況を受け、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、8月26日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、世界的な核拡散防止体制は冷戦終結以来、かつてないほど大きな圧力にさらされていると警告した。
「米国の大統領選挙キャンペーンでは、いずれの候補が勝利しても、就任後ただちに米国の核兵器を発射する唯一の権限を継承することになるにもかかわらず、これらの問題のほとんどについて、真剣に公の場で議論されていません。」と、ニューヨーク・タイムズ紙の元論説委員(2007年~2020年)であるジャコモ氏は記している。
ブリティッシュ・コロンビア大学公共政策・グローバル・アフェアーズ学部教授で、軍縮・グローバル・ヒューマンセキュリティシモンズ講座の教授である、同大学MPPGA大学院プログラムディレクターのM.V.ラマナ博士はIPSの取材に対して、「核兵器がもたらす危険性と、この大量破壊兵器を保有する非常に強力な機関や政府が、かつてないほどに強大になっている」と語った。
「この16ヶ月間、ロシア前大統領メドベージェフ安全保障会議副議長とイスラエルのネタ二ヤフ首相が、それぞれウクライナとガザ地区に対して核兵器の使用をほのめかしたり、使用を呼びかけたりしている。」とラマナ氏は指摘した。
これらの国の指導者たちはすでに、何万人もの民間人を殺す意思を示している。ラマナ氏は、「さらに遡れば、ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮を「完全に破壊する」と威嚇したことも思い出される。トランプ氏のような人物や、戦争で核兵器を使用した唯一の国である米国から発せられたこの脅威を、最大限に深刻に受け止めるべき十分な理由がある。」と語った。
さらにラマナ氏は、「このような大きな危険は、偉大なビジョンによってのみ緩和できると主張した。それは、人々が自分たちの名の下で、核兵器の使用に限らないがとりわけ核兵器を使って誰もの命を奪うべきではないと要求することである。」と主張した。
そのためには、世界中の人々と共通の目的を持ち、アルバート・アインシュタインが1947年に「時代遅れの概念」と指摘していた「狭いナショナリズム」によって分断されることを拒否する必要がある。
Institute for Public Accuracyのエグゼクティブ・ディレクターであり、RootsAction.orgの全米ディレクターであるノーマン・ソロモン氏はIPSの取材に対し、「核軍拡競争の勢いはほぼ完全に間違った方向に向かっている。」と語った。世界全体および人類全体がますます悲惨な状況に陥っており、地球上のほぼすべての住民が熱核による消滅の危険に晒されていることを、核保有国の指導者たちが認めようとしないことが、事態をさらに深刻にしている。
「核超大国として、米国とロシアは核兵器の開発を推進してきました。それを正当化してきたものの、その結果は核兵器の拡散です。」
「核兵器の保有数が少ない国々や核兵器保有を望む国々は、最も強力な核保有国が何をしようとしているかを敏感に察知しています。核拡散を推進しながら核不拡散を説いても、より多くの国への核兵器の拡散を食い止めるための説得力のあるお手本にはならないです。」とソロモン氏は指摘した。
「特に、イスラエルに関する膨大な量のメディア報道や外交的言説の中で、イスラエルが中東で唯一核兵器を保有しているという事実について言及されているのを読んだり聞いたりすることはほとんどありません。イスラエルが周辺諸国を攻撃しても罰せられない現状を考えると、軍事問題に関してイスラエルが自制するだろうと信頼するのは間違いでしょう。」
ソロモン氏は、米露間の冷戦の再来が、極めて危険なレベルにまで核軍拡競争を加速させていると指摘した。今世紀に入ってから次々と米国政府によって破棄された条約により、軍備管理は過去のものとなった。オープンスカイ条約と中距離核戦力全廃条約(INF)は、トランプ大統領によって破棄された。
それ以前には、ジョージ・W・ブッシュ大統領が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)条約を破棄している。こうした条約が存在しないことで、ロシアとの核戦争の可能性が高まっている。しかし、バイデン大統領は、前政権の共和党によって破棄されたこれらの協定を復活させようとはしていない、とソロモン氏は語った。
「正気を取り戻すには、態度と政策の抜本的な転換が必要だ。現在の方向性は、人類にとって計り知れない大惨事に向かっている。」と、著書『War Made Invisible アメリカが軍事力の犠牲を隠蔽する方法』の著者であるソロモン氏は語った。
ジャクリーン・カバッソ西部諸州法律財団事務局長はIPSの取材に対して、「今日の世界を見渡すと、核武装したロシア、イスラエル、インド、中国、北朝鮮、そして米国などますますナショナリスト的な権威主義的政府と指導者が増えていることが分かる。彼らは皆、平和の名の下に戦争の準備に忙しいのです。」と語った。
しかし、そうである必要はない。この事態の緊急性を踏まえて、米国市長会議(USCM)は、人口3万人以上の全米1,400以上の都市が加盟する超党派の公式団体として、6月に「核の危機が差し迫る時代にこそ対話を」と題する決議を採択した。
この決議は、「ロシアによるウクライナに対する違法な侵略戦争と度重なる核の脅威を非難し、ウクライナから全軍を撤退させるようロシア政府に要求する」とともに、米国大統領と議会に対して「ウクライナでの戦争をできるだけ早く終結させるために最大限の外交努力を行う」よう求めている。
カバッソ事務局長は、この決議は「米国政府に対し、ロシアとの信頼関係を再構築し、2026年に期限切れとなる唯一の二国間核兵器管理条約である新戦略兵器削減条約(新START)に代わるものを目指し、米ロ間の核リスク低減と軍備管理のためのハイレベル協議の再開への尽力を努めるよう求めている。」と語った。(原文へ)
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オーストラリアの留学生枠削減:志ある学生と企業への打撃
【ベルボルンLondon Post=マジェド・カーン】
オーストラリア政府は、住宅問題の緩和と移民流入の抑制を目的とした取り組みの一環として、留学生の受け入れ制限を実施する計画を発表した。政府はオーストラリアへの留学生を惹きつける国際教育プログラムが、移民やビザ詐欺に対して脆弱であることを懸念している。
2023年の公式データによると、オーストラリアには78万7000人の留学生が滞在しており、これはパンデミック前の水準を上回る。政府は、賃貸住宅の負担を軽減し、移民流入を規制するために、留学生の数を制限することを目指している。
2024年7月2日、政府はさらに一歩踏み込み、留学生ビザ申請料を2倍以上の1,600ドルに引き上げた。この動きについて、オーストラリア国際教育協会は、「千の傷の死(小さな不利益が積み重なることで、最終的にその業界が衰退する)」と表現した。
オーストラリアのこの決定は、世界中の大学、企業、そして留学希望者にとってどのような影響をもたらすのか、議論と懸念を巻き起こしている。留学生の急増によって深刻化した住宅不足の緩和を目的としていることは明らかだが、この政策転換は、オーストラリアの経済戦略、教育の競争力、そして国際協力への取り組みに対する、より幅広い疑問を投げかけている。
オーストラリアは長きにわたり、質の高い教育と多文化的な環境で知られ、留学生に人気の留学先となっていた。留学生の流入は学問の分野を豊かにするだけでなく、経済にも大きく貢献してきた。
留学生が支払う学費は、国内学生よりも高い場合が多く、大学やカレッジにとって重要な収入源となっている。これらの資金は、研究、インフラ、奨学金など、さまざまな側面での受け入れ機関の発展に寄与し、同国の教育の地位を世界的に高めてきた。
一方、入学金や授業料はオーストラリア政府の国庫に納められ、多くの場合、ビザは遅延または取り消しとなっていた。学生たちは、支払った金額が数ヶ月から1年間にわたって返還されていないと考えている。
留学生の定員を半減するという政府の決定は、高等教育界に衝撃を与えた。すでに、海外からの移動や学生の入学を混乱させた新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で苦境に立たされていた大学やカレッジは、今、深刻な財政的打撃に直面している。留学生の数が急激に減少したことで、留学生の学費に大きく依存して運営と成長を維持している教育機関の財政的安定性が脅かされている。
その影響は教育機関にとどまらず、キャンパス周辺で留学生のニーズや好みに応える形で発展してきた小規模なビジネスにも及んでいる。これらのビジネスは、多くの場合移民によって所有・運営されているが、留学生の安定した流入と彼らの購買力に支えられて成長してきた。
レンタカー会社のオーナー、アハメド・ハンジャラ氏は、ロンドン・ポスト紙の取材に対し、留学生の減少により、留学生を主な顧客としている我々のビジネスに悪影響が出ていると語った。 リード・エデュケーション・コンサルタントのディレクター、ムハンマド・イムティナン・アリ・ヴィルク氏は、「政府の決定は世界中の何十万もの学生にとって逆風であり、失望でしかありません。 教育コンサルタントとして、我々のビジネスにも悪影響が出ています。」と語った。
宿泊施設やカフェ、書店、専門サービスなど、これらの企業は学生数の減少により先行きが不透明になり、地元の雇用や経済活力が脅かされることになる。
政策立案者たちは、留学生の数を減らすことで住宅供給の圧力がいくらか緩和され、賃貸市場が安定し、オーストラリア国民にとって住宅がより手頃な価格になる可能性があると主張している。
しかし、反対派は、留学生の定員削減は住宅問題への短絡的なアプローチであると主張している。彼らは、オーストラリアの教育分野は経済面だけでなく、文化面や学術面でも留学生の存在から恩恵を受けていると強調している。留学生は、経済的な貢献だけでなく、多様な視点をもたらし、すべての学生の教育経験を豊かにし、相互に結びついた世界においてますます重要性を増しているグローバルなつながりを育んでいる。
さらに、この決定は、オーストラリアへの留学を希望していた世界中の何千人もの学生に多大な影響を与えた。多くの学生は、教育を受けるという夢をかなえるために綿密な計画を立て、多大な投資を行ってきたが、突然の方針転換により、その計画が台無しになってしまった。この不確実性により、学生たちは落胆し、将来の教育やキャリアの道筋に不安を抱くようになり、中には選択肢を完全に再考する人も出てきた。
教育機関、企業、支援団体など、さまざまな利害関係者からの圧力の高まりを受け、政府は決定の見直しと修正を迫られている。反対派は、オーストラリアが留学生にとって魅力的で競争力のある留学先としての評判を損なうことなく、住宅問題に対処できる代替案を主張しています。
その提案には、手頃な価格の住宅への投資を増やすこと、学生の宿泊施設を管理するための的を絞った政策を実施すること、住宅問題の影響を緩和するために大学と地域社会の間のパートナーシップを促進することなどが含まれている。
留学生の定員に関する議論は、オーストラリアがグローバルな教育ハブとしての役割や、国際協力や交流への取り組みについて、より幅広い問題を浮き彫りにしている。
オーストラリアが留学生に対して冷たく、予測不可能な政策をとっていると見なされれば、オーストラリアは競争力を失うリスクにさらされることになり、世界中の才能ある人材を惹きつける国としての魅力に影響が出る可能性もある。
利害関係者は、政府の政策のさらなる展開と修正の可能性を待ち望んでいるが、その結果はオーストラリアの教育業界の行方や、さらには経済全体の構造に大きな影響を与えることになるだろう。
世界は、グローバルな人材の流動性、教育機会、相互に結びついたグローバル経済におけるオーストラリアの位置づけに与える影響を懸念しながら、事態の推移を見守っている。今後数か月の間に下される決定は、オーストラリアの国際教育の当面の未来を形作るだけでなく、さまざまな分野や社会に影響を及ぼし、オーストラリアの開放性や国際的な関与への姿勢に対する認識を形作ることになるだろう。
INPS Japan/ London Post
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