Error 404 - not found
We couldn't find what you're looking for. Browse our latest stories or try searching using the form below:
Browse our exclusive articles!
神権政治家と治安主義者―イラン・イスラエル間エスカレーションの危険な構造的論理
【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】
イスラエルとイランの最新の応酬は、中東を再び地域戦争の瀬戸際に追いやった。メディアは空襲警報、ミサイル攻撃、報復のドローン攻撃といった派手な見出しを並べているが、真に注目すべき語られざる物語は、軍事戦略や外交的失敗ではなく、むしろ「エスカレーションを前提とする統治構造」そのものにある。
これは、中庸派や外交官によってではなく、「神権政治家」と「治安主義者」という2つの強大な権力集団によって支配される体制同士が作り出した戦争である。
イランにおける二重権力構造:神と銃
イランでは、権力は「宗教的権威」と「軍事的支配」に分かれているが、それは決して均衡が取れているわけではない。最高指導者アリー・ハメネイ師は宗教的正統性を与え、イスラム革命防衛隊(IRGC)がその命令を実行することで国家を支配している。
IRGCは単なる軍隊ではない。石油輸出からテクノロジー監視に至るまで、多くの経済的利権を有する「国家の中の帝国」である。
イランの軍事的対応は単なる報復ではなく、自国の統治体制を示す手段でもある。IRGCは危機によって生き延びる:戦争は国内弾圧を正当化し、制裁は自立を促し、孤立はイデオロギー的純粋性を強調するために利用される。
神権政治家たちは、イスラエルや西側諸国との対立を「神聖な抵抗」として描くことによって、この体制を支えている。そしてこの神話が機能する限り、国内の反対意見や異論は「裏切り」あるいは「異端」として排除できるのだ。
イスラエルの極右治安主義者たち
イスラエルもまた、制度的な転換の途上にある。現首相ベンヤミン・ネタニヤフの連立政権には、超国家主義者や宗教的強硬派が含まれており、イランとの対立を単なる政策ではなく「運命」として捉えている。
モサド(諜報機関)、IDF(イスラエル国防軍)、エリートのサイバー部隊などは、従来は戦略立案に関与してきたが、現在では外交政策そのものを動かすようになっている。
彼らの方針は単純だ――「優位性による抑止」。先制攻撃は警告ではなく、この地域におけるイスラエルの永続性を宣言するものである。
しかしこれは単なる軍事戦術にとどまらない。ネタニヤフにとってイランは、自身の政治的生存のための「外部の脅威」として利用されており、それは国内の分断や司法問題、民主主義の後退から国民の目をそらす道具となっている。エスカレーションは失策ではなく、「制度の一部」なのである。
戦略的誤算ではなく、構造的エスカレーション
我々が目にしているのは、従来の「安全保障のジレンマ」ではなく、「統治のジレンマ」である。
テヘランでもエルサレムでも、紛争は支配の正当性を支えている。神権政治家は実存的脅威を叫び、反対意見を封じ込める。治安主義者たちは、非合理な敵に対しては武力しか通じないと主張する。いずれの場合も、戦争やその脅威は失敗ではなく、「国家運営の手段」となっている。
互いを常に緊張状態に置くことは、双方の利益になる。これは偶然ではなく「構造」そのものである。どちらの体制も、緊張の緩和には報いない。逆に、平穏こそが危険である。それは問いを生み、改革を促し、権力構造を揺るがすからだ。
米国政府は外交戦略を根本から見直すべきだ
米国の対イラン・対イスラエル政策は何十年にもわたり、「イランを制裁し、イスラエルを武装させ、混乱を抑える」という機械的な公式に頼ってきた。しかしこの公式はもはや時代遅れである。なぜならそれは、永続的な対立を生み出す「国内の権力メカニズム」を理解していないからだ。
米国と欧州の同盟国が本気で解決を目指すのであれば、ミサイルや遠心分離機を「病の根源」ではなく、「症状」として捉える必要がある。
長期戦略には以下が必要だ:
武装経済構造を標的にすること:戦争によって利益を得る制度や機関への圧力を強化する。
市民社会への投資:包囲されているというナラティブに異を唱える声――イランの女性人権活動家やイスラエルの人権擁護者などを支援する。
外交の再構築:外交交渉を取引の手段とするだけでなく、和平を不可能にしている国内構造そのものに焦点を当てる。
結論:戦争という論理を無効化せよ
国際社会が「封じ込め」ではなく「構造的関与」に戦略を転換しない限り、この悪循環は続き、さらに悪化するだろう。今日のミサイルの応酬は異常事態ではない。それは、「脅威の中でこそ生き延びるよう設計された政権」の必然的な帰結である。
この連鎖を断ち切るには、単に「自制」を呼びかけるだけでは不十分だ。エスカレーションの論理そのものを「非正当化」しなければならない。
神権政治家と治安主義者が平和を選ぶことはない――少なくとも、戦争が彼らに与える「力」の方が、和平よりも大きい限りは。
だからこそ、政策立案者は次のように問い直さなければならない。「次の攻撃をどう防ぐか」ではなく、「この絶え間ない包囲状態から利益を得ているのは誰か――そして、どうすればそれを終わらせられるか」と。
私たちは今、「平和ではなく、恒久的な危機の中でこそ生き延びるよう設計された」政治システムと向き合っているのだ。(原文へ)
INPS Japan/ATN
Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/theocrats-securocrats-iran-israel-escalation
関連記事:
米国が世界の舞台から後退する中、軍事衝突が歴史的水準に
イランにおける女性の生活と自由: 1年後の成果、損失、教訓
核の「曖昧政策」のなかで活動する「イスラエル軍縮運動」
女性と戦争:暴力の犠牲者、そして平和の声
【国連IPS=ジュリアナ・ホワイト】
2023年、約6億1200万人の女性と少女が、紛争地帯から半径50キロ圏内に暮らしていた。これは10年前と比べて50%以上の増加である。戦争中、女性や少女は性暴力をはじめとするジェンダーに基づく暴力の犠牲になりやすい。
現在、120を超える国が武力紛争に関与しており、約1億1730万人が家を追われている。そのうち、女性と少女はほぼ半数を占めており、世界の難民の大多数を構成している。
UN Women(国連女性機関)によれば、武力紛争における女性の死者数は2022年から2023年にかけて倍増し、戦争による死者全体の40%を女性が占めている。
戦争中、女性や少女は拷問、レイプ、性的奴隷、人身売買、栄養失調、必要不可欠なケアへのアクセスの欠如など、過酷な暴力にさらされる。こうした暴力は、スーダン、ナイジェリア、パレスチナ、エチオピア、コンゴ民主共和国(DRC)といった国々で蔓延している。
国連事務総長の「紛争下の性的暴力に関する報告書」によると、2023年には3688件の性的暴力が確認された。そのうち女性と少女が占める割合は95%に達し、前年に比べて50%の増加となった。
残虐な性的暴行を生き延びた後でさえ、当事国の多くは被害者に十分なケアを提供していない。病院は本来、紛争下においても安全が保障されるべき場であるが、多くは攻撃によって破壊され、閉鎖を余儀なくされている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、性と生殖に関する健康サービスの中断により、女性と少女が望まぬ妊娠や妊産婦死亡、深刻な性的・生殖器損傷、感染症にさらされるリスクが高まると警告している。
また、UN Womenの報告では、紛争下にある国々では1日あたり約500人の女性と少女が妊娠・出産に関連する合併症で死亡しているとされている。
戦争の影響を受けるのは病院だけではない。多くの学校も、軍による占拠や破壊により閉鎖を余儀なくされている。
「教育への攻撃2024」報告書(GCPEA発行)によると、2022年から2023年の間に学校への攻撃は約6000件にのぼった。
その攻撃では、死亡、負傷、レイプ、拉致、建物の深刻な損壊などが報告されており、特に女子生徒は学習を再開するのがより困難な状況に置かれている。
「教育は、子ども自身にとってだけでなく、世界の平和、安定、そしてすべての人々の繁栄にとって不可欠です。学校は聖域として扱われるべきであり、たとえ戦時下であっても、すべての子どもが教育を受ける権利を確保することは私たち全員の責任です」と、ヴァージニア・ガンバ国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)は2017年の国連会合で語っている。
戦争中、男性からの圧倒的な不平等を受けながらも、平和への解決策を担うのは女性である。調査によれば、女性が和平交渉に参加することで合意の実行率が高まり、合意の持続期間も男性のみで結ばれたものより長くなる傾向がある。
昨年、2024年10月15日には、コロンビアの和平合意の実施から8年を迎えた。同合意は、策定段階から女性を参加させた点で新たな基準を打ち立てたものの、依然として女性の代表性は大きく欠けている。
2020年から2023年の間に行われた和平交渉のうち、8割には女性が関与しておらず、調停の7割でも同様だった。明確な成果があるにもかかわらず、女性はいまだに和平プロセスから排除されている。
女性の平和活動への参画を促進するため、国連などの人権機関は女性の権利を擁護し、各国に対し包摂的な環境の整備を求めている。
しかし、紛争当事者、交渉者、その他関係者が国際的な約束を果たさなければ、女性の平等かつ実質的な参加は実現しない。資金不足や男性優位の軍事・政治権力構造が、依然として大きな障壁となっている。
「女性たちは、男性による戦争の代償を支払い続けている」とUN Womenのシマ・バフース事務局長は語る。「これは、女性に対するより広範な戦争の一環として起きている。女性の権利が意図的に標的とされることは、紛争国に限らず、戦時下では一層深刻になる。私たちはジェンダー平等の“兵器化”を多くの場面で目撃している。この現状に立ち向かい、変化を求めなければ、その代償は何十年にもわたって続き、平和は永遠に手の届かないものとなるだろう。」(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Bureau
関連記事:
地球全体の問題:女性に対する暴力というパンデミック
|ルワンダ虐殺|レイプ被害者のトラウマ、依然強く
|エチオピア|「紛争に絡んだ性暴力に国際司法裁判所の裁きを」と訴え
危機に直面する国連、ニューヨークとジュネーブを離れて低コストの拠点を模索
【国連本部IPS=タリフ・ディーン】
米国では、ビジネスの成功や不動産の価値を左右する要因として、「ロケーション、ロケーション、ロケーション(立地がすべて)」という決まり文句がよく使われている。
現在、国連はシステム全体の構造改革を進める中、深刻な資金難に直面しており、主要な議題の一つとして国連機関の再配置が交渉のテーブルに上っている。高コストの拠点にとどまるのか、より安価な勤務地に移転するのかが問われている。
国連の二大拠点であるニューヨークとジュネーブは、「世界で最も物価の高い都市」とされており、現在の予算内での運営が困難となっている。
ニューヨークには、国連本部のほか、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、UNウィメン、国連児童基金(UNICEF)など複数の国連機関が拠点を置いている。
一方、ジュネーブは「世界外交の中心地」とされ、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)、国際労働機関(ILO)、国際移住機関(IOM)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界気象機関(WMO)など、40を超える国際機関・国連機関が集積している。
こうした中、国連がジュネーブから一部撤退する可能性が報じられると、スイス政府は「ジュネーブにおける国連の存在を支えるための寛大な財政支援パッケージ」を発表した。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は「スイス連邦評議会の決定に非常に感謝している。スイスとの連携により、多国間主義の推進に引き続き取り組む」と述べた。
また、「ジュネーブにおける国連の存在は、国連システムの不可欠な一部である。スイスの支援は、この継続的な取り組みにとって極めて重要である」と語った。
ロイターによれば、スイスは2025年から2029年にかけて、ジュネーブを国際外交の拠点として維持するために、2億6900万スイスフラン(約3億2937万ドル)を支出する計画である。
このうち1億3040万フランについては、年内に議会の承認を求める予定で、前回期間から5%の増額となっている。政府はすでに2150万フランを「ジュネーブ拠点の国際機関への緊急支援」として承認済みである。
ステファン・デュジャリック国連報道官は記者団に対し、「スイス政府の寛大な支援を歓迎する。ジュネーブにおける国連の存在は極めて重要であり、歴史的な意味もある」と述べた。
元国連エイズ合同計画(UNAIDS)代表で、かつてニューヨークの国連に勤務していたソマー・ウィジャヤダサ氏は「この措置は確かに寛大だが、スイス政府にとって年約6000万ドルの支出は“微々たるもの”である。ジュネーブに拠点を置く40の国連機関がスイスにもたらす経済的貢献は計り知れない」と指摘している。
国連は「UN80」構想に基づき、全機関の官僚機構を監査し、重複を統合する中で、一部のプログラムを運営コストの低い地域へ移転することを模索している。
例えば、UNAIDS(国連エイズ合同計画)は、1995年にエイズ・パンデミックの最中に創設され、当時330万人がHIVに感染し、100万人近くが死亡していたが、現在ではHIV/AIDSは治療可能な病気として管理されている。
ウィジャヤダサ氏は「UNAIDSはWHOと再統合され、運営コストの低いグローバル・サウスの国々に拠点を置くべきである。これらの国では依然としてHIVの行動的感染の課題が深刻であり、より地域に根ざした啓発活動に焦点を当てた軽量なプログラムが有効である」と述べた。
また、ニューヨークとジュネーブに分かれて存在する国連軍縮局(UNODA)も例に挙げた。国連は米国、ロシア、インド、中国などの年間軍事予算の増加を抑えることができておらず、軍縮に失敗している。
たとえば、国連は核兵器禁止条約(TPNW)という法的拘束力のある条約を採択したが、核兵器を放棄した国はなく、核武装を目指す国も存在する。
ウィジャヤダサ氏は「現代の通信技術をもってすれば、ニューヨークやジュネーブにある高コストの部局を維持する必要はない。開発途上国に拠点を移しても、効率的かつ効果的に業務を遂行できるはずだ」と主張した。
一方、国連の再配置計画の一環として、UNFPA(国連人口基金)とUNウィメンをニューヨークからケニアのナイロビへ移転する案も浮上している。ナイロビはグローバル・サウスで唯一の主要な国連本部であり、第4の国連拠点とされている。
ナイロビには、国連環境計画(UNEP)、国連人間居住計画(UN-Habitat)の本部があり、その他にもUNICEF、UNDP、FAO、UNIDO、UNODC、UNV、WHOなど多くの国連機関が活動している。
しかし、現在のケニアは政治的危機に見舞われており、混乱が続けば、さらなる国連機関のナイロビ移転に慎重になる可能性がある。
『ニューヨーク・タイムズ』2025年6月26日付の記事「ケニア人、致命的な税制抗議から1年後に再び警察と衝突」によると、少なくとも8人が死亡し、数百人が負傷したとされており、「ウィリアム・ルト大統領政権に対する国民の怒りが露わになった」と報じている。
同日、国連人権高等弁務官事務所は「ケニアでのデモにおいて複数の死者および多数の負傷者が出ているとの報告を深く憂慮している」と声明を発表した。
「一部のデモ参加者に銃創が確認されている。国際人権法において、法執行機関による致死的武力の使用は、生命の保護または切迫した危険の回避が必要な場合に限られるべきである」と述べている。
ステファン・デュジャリック報道官も6月26日、記者団に対し「ケニアでの暴力に深く懸念を抱いており、状況を注視している。命が失われたことに悲しみを感じる。独立かつ透明性のある調査が行われることを期待する」と語った。
ヨーロッパにおいて国連機関をホストしている国々は以下のとおりである:
オーストリア(ウィーン):国連ウィーン事務局(UNOV)、国際原子力機関(IAEA)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)
オランダ(ハーグ):国際司法裁判所(ICJ)
フランス(パリ):国連教育科学文化機関(UNESCO)
イタリア(ローマ):国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)、国際農業開発基金(IFAD)/ブリンディジ:国連グローバルサービスセンター(UNGSC)、国連人道支援備蓄庫
ドイツ(ボン):国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局、国連ボランティア計画(UNV)、国連防災機関(UNDRR)
デンマーク(コペンハーゲン):国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)
イギリス(ロンドン):国際海事機関(IMO)
スペイン(マドリード):世界観光機関(UN Tourism)
ベルギー(ブリュッセル):国連地域情報センター(UNRIC)、人権高等弁務官事務所欧州地域事務所、国連人道問題調整事務所(OCHA)リエゾン事務所
また、ナイロビ以外で国連が移転先として検討している都市には、カタールのドーハ、ルワンダのキガリ、スペインのバレンシアが含まれている。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN BUREAU
関連記事:
|視点|またしても国連改革?(パリサ・コホナ元国連条約局長、スリランカ元国連常駐代表)
国連の未来サミットに向けて変革を求める青年達が結集
米国の再編計画、世銀・IMF・国連機関に影響も
再定住が人生を変えた―今、彼女は他の人々にも同じ機会を求めて闘っている
【INPS Japan/ 国連ニュース】
かつてアフガニスタンで、法的地位も教育を受ける権利も持たずに生きていた10代の少女、マディハ・アリ・チャンゲジさん。今では、難民再定住の重要性を訴える当事者として、国際社会に向けて積極的に発信している。
現在、彼女はニュージーランドで難民および人権を専門とする弁護士として活動しており、14歳で故郷を追われた自身の経験と、その後に続いた不安定な生活について、6月26日の会合で証言した。
「世界から見えない存在だった」
「私は世界にとって“見えない存在”として育ちました」とアフガニスタンでの生活を振り返る。「権利も、機会も、安全もありませんでした」。
転機が訪れたのは2018年。家族がニュージーランドへの再定住を認められたことで、尊厳と希望、そして未来を取り戻すことができたと語る。
現在は法律家として難民支援に取り組むとともに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が支援する「再定住および補完的経路に関するコア・グループ(CRCP)」のアドバイザーとして、国際的な政策形成にも携わっている。
彼女の証言は、UNHCRが発表した『2026年版 世界再定住ニーズ予測』の公表に先立ち、場の空気を引き締めるものとなった。
シリア情勢の変化と再定住ニーズ
UNHCRは、2026年に再定住を必要とする難民の数を約250万人と見積もっており、2025年の推定290万人からはやや減少している。この変化は主に、シリアの一部地域で自主的帰還が可能となったことによるものだが、依然として再定住ニーズは歴史的に高い水準にある。
再定住が必要とされる主な出身国には、アフガニスタン、シリア、南スーダン、スーダン、ミャンマー(ロヒンギャ)、コンゴ民主共和国が含まれる。イラン、トルコ、パキスタン、エチオピア、ウガンダといった主要な受け入れ国では、引き続き多くの難民が滞在しており、緊急の再定住ニーズに直面している。
UNHCRの報道官シャビア・マントゥ氏は、「再定住は、単に保護を提供するだけでなく、尊厳と社会的包摂への道を切り開くものです」と述べ、「それは国際社会による真の連帯の証です」と強調した。
深刻な減少傾向への懸念
一方で、UNHCRは懸念も表明している。2025年の再定住枠は、過去20年間で最も低い水準にまで落ち込む見通しであり、新型コロナウイルスによる混乱期をも下回ると予測されている。この減少は、これまでの進展を後退させ、特に脆弱な立場にある難民をさらに危険に晒す可能性がある。
そのような中で、チャンゲジさんの証言は、単なる個人的な経験談を超え、行動を促すメッセージとなった。「再定住は、単なる人道的行為ではありません。それは、私たちが共有する未来への戦略的な投資なのです」と彼女は語った。
受け入れ社会に貢献する難民たち
チャンゲジさんは、難民を単に「脆弱な存在」として捉えるべきではないと強調する。世界各地で再定住した難民たちは、新たな地域でコミュニティを再建し、ビジネスを立ち上げ、社会・経済の活性化に貢献している。「私たちは解決策を提供し、イノベーションを牽引しているのです」と語った。
UNHCRは各国に対し、現在の再定住プログラムの維持に加え、迅速かつ野心的な拡充を求めている。また、地域や状況に応じた多様なニーズに柔軟に対応できる制度の整備も求めている。
困難な状況にもかかわらず、2024年には11万6,000人以上の難民がUNHCR支援のもとで再定住を果たしている。
2026年の国際目標は12万人の再定住。UNHCRは、各国が断固たる意思をもって行動すれば、十分に達成可能な数字であると強調している。
「私の物語を何百万という人々に当てはめてみてください。その影響は、難民だけでなく、彼らを受け入れる社会にとっても計り知れないものになるのです」とチャンゲジさんは述べた。(原文へ)
INPS Japan
関連記事:
|米国|新天地で新たな人生を踏み出すソマリア難民
ロヒンギャ難民、バングラデシュにもミャンマーにも安全な居場所はない
正義のためのグローバルな戦い: ジェノサイド防止はいかにして法制化されたか