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気候リスクが多国間主義を進化させている

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています 【Global Outlook=ジャナニ・ヴィヴェカナンダ】 気候外交では、いま新たな潮流が生まれている。大きな影響を及ぼす議論の一部は、もはや正式な国際会議だけで交わされているのではない。公式日程と並行して設けられる、多様な主体による新たな対話の場が、正式な制度がどのような成果を上げられるかを、ますます左右するようになっている。 6月に開催されたロンドン気候行動週間(London Climate Action Week)は、こうした変化を鮮明に示した。それから1か月を経た現在、今後の会議日程を見ても、この流れは一層明らかである。 8月初旬には、関係機関がスリランカのコロンボに集まり、「ベンガル湾・気候・平和・安全保障対話(Bay of Bengal Climate, Peace...

AIはすでに数十億人の現実を書き換え始めている―しかし、その「現実」は女性を正しく映していない

【UNWOMEN/INPS Japan】 133の人工知能(AI)システムを対象とした調査では、44%でジェンダーバイアスが確認され、26%ではジェンダーと人種の双方に関する偏見が認められた。一方、AIが生成した広告やコンテンツを公開前に人間が確認しているマーケティング担当者は、わずか51%にとどまっている。|英語版| 7月6~7日にスイス・ジュネーブで開催される「国連AIガバナンス・グローバル対話(United Nations Global Dialogue on Artificial Intelligence Governance)」、続く7~10日の「AI...

広島からの問い―核の影の下で生き続けるのか

【広島INPS Japan=浅霧勝浩】 被爆81年の平和宣言と国連事務総長メッセージは、崩れつつある核秩序の先に二つの未来を描いた 広島市長による今年の平和宣言は、追悼の言葉だけでは始まらなかった。最初に置かれたのは、核兵器を威嚇の道具に使う軍事侵攻、国際法を軽んじる大国の振る舞い、そして3回続けて成果文書を採択できなかった核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議であった。|英語版| その順序には意味がある。81年前の惨禍は、過去に閉じ込められた記憶ではない。核兵器が再び国家の力を誇示し、相手を屈服させる手段として語られる現在と、直接つながっているからである。 松井一實市長は、不信が報復を生み、報復がさらなる暴力を正当化する世界を描いた。その先にあるのは「第三のヒロシマ・ナガサキ」かもしれない、と警告した。 https://www.youtube.com/watch?v=NMn3bE6JGg4 同じ式典で、中満泉・国連事務次長(軍縮担当上級代表)が代読したアントニオ・グテーレス国連事務総長のメッセージは、その警告を一つの問いに凝縮した。人類は広島から何を学んだのか。平和な未来を選ぶのか。それとも、核による破滅の影の下で生き続けるのか。 これは、式典のための修辞的な問いではなかった。直後に示されたのは、核兵器削減の流れの逆転、核実験禁止規範の動揺、急増する軍事費、そして核による威嚇が横行する世界の姿であった。 一つは被爆者の記憶から語り、一つは国際制度の危機から語った。だが二つのメッセージがたどり着いた場所は同じだった。恐怖によって維持される秩序を安全と呼び続けるのか。それとも、対話、外交、国際法、信頼という、時間のかかる手段を再び安全保障の中心に戻すのか、という選択である。 個人の記憶を、世界の現在へ 平和宣言の中心に置かれたのは、核戦略ではなく人間だった。...

グローバル・サウスの指導者たちが国際協力の新たな設計図を描く

【タイ・バンコクIPS=ベン・フィリップス】 国際協力を支えてきた従来の資金供給システムが突然崩壊した影響は甚大であり、世界各地に被害の連鎖をもたらした。その結果、世界はさまざまな危機に対してこれまで以上に脆弱になり、それに対応する力も低下している。その破綻の爪痕は誰の目にも明らかだ。問題は、次に何をすべきかである。|ENGLISH| こうした損害に警鐘を鳴らすグローバル・ノースの一部の論者は、壊された国際協力の仕組みを元に戻すべきだと主張している。 しかし、それは実現しないだろう。 国際協力の資金危機は、単なる財源不足ではなく、そのモデルへの支持が揺らぎ、さらにそのモデルが体現していた父権主義的な援助観への支持も失われていたことの表れだったからである。 旧来の仕組みがこれほど急速に崩壊したのは、その構造自体がもともと不安定だったからにほかならない。 一方、グローバル・ノースでは、「現実主義者」を自称する別の論者たちが、今後の国際協力について、展望に乏しい二つの案を提示している。 しかし、そのどちらも明るい未来を描くものとは言い難い。 一つ目は、共有すべき世界的課題に投入できる資金が今後も減少し続けることを前提に、「より少ない資源でより多くを実現する(Do more with less)」という発想である。 だが、この考え方は失敗するだろう。 実際には、パンデミック、エネルギー不安、自然災害など、地球規模の脅威に対する共同対応に十分な資源を投入できなくなるからである。 その結果は、人類の存続そのものを脅かしかねないほど危険であり、共有された脅威に早い段階で対処する場合に比べ、すべての国に桁違いのコストを強いることになる。 もう一つの考え方は、これまで政府間で担ってきた責任を民間部門に委ねるというものである。 しかし、このアプローチも失敗するだろう。 世界共通の脅威に対応するための資金が決定的に不足するだけでなく、極端な格差をさらに加速させ、説明責任と権力を寡頭支配に明け渡す結果になりかねない。 こうした三つの実行不可能な発想― 旧来の秩序を復活させようとし続けること。 衰退を管理しながら受け入れること。 民間部門に責任を委ねること。 ―が、現在のグローバル・ノースにおける国際協力論の大半を占めている。 しかし幸いなことに、グローバル・サウスの多くの政府は、共有された地球規模課題のための新たな資金調達の仕組みづくりに着実に取り組んでいる。 「世界公共投資」連合の誕生 セネガルとコロンビアの外相が共同議長を務める「世界公共投資(Global Public Investment)政府連合」には、すでに30か国以上が参加している。 その目的は、現在の世界的な転換期を、新たな国際協力体制を築く契機へと変えることである。 ウルグアイ国際協力庁のマルティン・クラビホ長官は、こう語る。 「私たちの課題は共通であり、リスクも共通です。そして、それに対する解決策も、ますます共有されるべきものになっています。」 「今必要なのは、協力の考え方そのものを進化させることです。各国が能力に応じて貢献し、必要に応じて恩恵を受け、資源の使い道について対等な立場で意思決定に参加する枠組みへ移行しなければなりません。」 コロンビア外相であり、同連合の共同議長を務めるロサ・ヨランダ・ビジャビセンシオ・マピ氏は、次のように述べる。 「世界公共投資は、各国政府が協力して地球規模の課題や危機を乗り越えるための、21世紀型の最も理にかなった答えです。」 「公共資金を大幅に拡充することが不可欠です。そして、その資金は、より代表性が高く、より効果的な仕組みの下で運営されなければなりません。」 また、セネガル外相で共同議長のシェイク・ニアン氏は、こう強調する。 「私たちは、従来の『援助する国』『援助される国』という発想を超え、対等で包摂的なパートナーシップへ移行しようとしています。」 「開発段階に関係なく、すべての国には貢献できることがあり、同時に正当な要求もあります。」 「国家、地域、世界が抱える課題を解決するために、慈善だけに頼ることはできません。また、民間企業だけが私たちを救ってくれると期待することもできません。必要なのは、より多く、そしてより質の高い公共資金です。」 2030年へ向けたロードマップ この連合は、2025年7月、第4回開発資金国際会議で発足した。 同年9月には、国連総会の機会に第1回会合を開催した。 2026年には、3月にボゴタ、5月にナイロビで会合を開き、9月にはニューヨークで再び会合を開く予定である。 グローバル・サウスを基盤としながらも、グローバル・ノース諸国にも参加を呼びかけている。 ガーナの外相サミュエル・オクゼト・アブラクワ氏は、次のように語る。 「私たちが求めているのは慈善ではありません。求めているのは対等なパートナーシップです。」 レソト外相リンフォ・タウ氏も、こう述べる。 「これからの国際協力は、責任の共有と共通の利益をよりよく反映した仕組みへと進化しなければなりません。」 市民社会とも連携 各国政府は、市民社会とも密接に連携している。 クラブ・デ・マドリード(Club de Madrid)の事務局長、マリア・エレナ・アグエロ氏は次のように評価する。 「ここに結集している指導者たちは、多国間主義を再生し、つくり直そうとする先駆者です。」 「彼らがともに築こうとしている仕組みは、前世紀から引き継がれてきた手法よりもはるかに公平なものになるでしょう。すべての国が発言権を持ち、当事者として関与できるからです。」 「それはまた、世界中の人々の暮らしを改善するうえで、はるかに効果的な国際協力にもつながるでしょう。」 「危機の管理」ではなく「転換」を 参加国の指導者たちは、現在の混乱を単に和らげるだけでは不十分だと強調している。 彼らは、従来の手法はもはや戻ることはなく、戻るべきでもないと明確に認識している。 その代わりに目指しているのは、危機を突破口へと変え、相互依存が深まる世界にふさわしい国際金融の仕組みを、各国が対等な立場で再設計することである。 ケニア外務省のコリル・シンゴエイ筆頭次官は、次のように述べる。 「今日の世界の現実により即した、より包摂的で、より代表性が高く、より適切に機能する新たな国際金融アーキテクチャーが、緊急に必要とされています。」 また、パナマ外相のハビエル・エドゥアルド・マルティネス=アチャ・バスケス氏は、こう問いかける。 「私たちは、危機を管理した世代として記憶されたいのでしょうか。それとも、国際協力の流れを変えた世代として記憶されたいのでしょうか。」 「世界公共投資は、国際協力を変革するだけでなく、人類の未来そのものを変える力を持っています。」 各国の指導者たちは、2030年までに国際協力を変革するためのロードマップも策定している。 セントルシア外相のアルバ・バプティスト氏は、次のように述べた。 「適切なモデルを提示するために、長年にわたり多大な知的努力が積み重ねられてきました。」 そして最後に、こう締めくくった。 「今、私たちはそれを実行に移す責務を負っています。」 ベン・フィリップス氏は、『How...