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世界の「市民空間」が縮小―民主主義の危機とZ世代の抵抗

【ニューヨークIPS=マンディープ・S・ティワナ】 2025年は、民主主義にとって惨憺たる年だった。世界人口のうち、組織し、抗議し、声を上げる権利が概ね尊重されている場所に暮らす人々は、いまやわずか7%強にすぎない。市民的自由の状況を世界的に測定する市民社会の調査パートナーシップ「CIVICUS Monitor(シビカス・モニター)」によれば、これは昨年同時期の14%超からの急落である。 市民的自由は健全な民主主義を支える基盤であり、市民社会の締め付けがもたらす結果は明らかだ。21世紀最初の四半世紀を終えようとするいま、世界は19世紀並みの経済的不平等に直面している。最富裕層である上位1%の資産は急増する一方で、世界人口の約8%に当たる6億7000万人超が慢性的な飢餓に苦しむ。ガザ、ミャンマー、スーダン、ウクライナなどで死と破壊が続くなか、政治エリートと密接に結び付いた兵器製造企業は莫大な利益を得ている。こうした紛争を煽る政治指導者たちが、自らの動機を問われるのを避けるために市民的自由を抑圧しているとしても、驚くにはあたらない。 リマからロサンゼルス、ベオグラードからダルエスサラーム、ジェニンからジャカルタに至るまで、あまりにも多くの人々が、自らに関わる意思決定に参加する力を奪われている。だが同時に、これらの場所は今年、政府に抗議する重要なデモの舞台にもなった。権威主義が台頭するなかでも、人々は自由を求めて路上に出続けている。本稿執筆時点でも、ブルガリアの首都ソフィアでは蔓延する汚職に抗議する大規模デモが続き、政府は辞任を余儀なくされた。 歴史が示すとおり、大規模デモは社会の大きな前進をもたらし得る。20世紀には、市民運動が女性参政権の実現、植民地支配からの解放、人種差別に対処する公民権立法の採択を後押しした。21世紀に入ってからも、婚姻平等を含むLGBTQI+の権利拡大、気候危機や経済的不平等を可視化する抗議行動など、前進は続いてきた。だが2025年、抗議の権利は、まさにそれが効果を持ち得るがゆえに、権威主義的指導者から攻撃を受けている。世界各地で記録される市民的自由の侵害のうち、最も多いのは抗議参加者の拘束であり、次いで、汚職や権利侵害を告発するジャーナリストや人権擁護者の恣意的拘束が続く。 この後退は、主要な民主主義国でも起きている。今年、CIVICUS Monitorは、アルゼンチン、フランス、ドイツ、イタリア、米国を、市民の活動空間の評価で「妨げられている(obstructed)」へと格下げした。これは、当局が基本的権利の十分な享受に重大な制約を課していることを意味する。こうした後退を押し進めているのは、憲法上の抑制と均衡を弱め、少数者に経済・政治・社会生活で公正な発言権を与えない「選挙多数を盾にする政治」を進めようとする、反権利のナショナリスト/ポピュリスト勢力である。 反権利勢力による民主主義の劣化は、長年にわたり進められてきた動きが、いま表面化しつつある。今年、ドナルド・トランプの政権復帰によって、その流れは加速した。トランプ政権は、国際的な民主主義支援プログラムへの支援を直ちに停止し、その一方で、市民的自由を抑圧し、深刻な人権侵害が指摘されてきた指導者との関係を強めた。トランプは、エルサルバドルのナジブ・ブケレ、ハンガリーのヴィクトル・オルバン、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ、ロシアのウラジーミル・プーチン、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマンらを相次いで厚遇し、価値や規範よりも力を優先する外交姿勢を鮮明にしている。これは、市民社会が何十年もかけて積み上げてきた成果を損ないかねない。 影響はすでに表れている。従来、市民社会活動の資金を担ってきた多くの富裕な民主主義国が、拠出を大幅に減らしている。同時に、残る支援についても、軍事・経済上の狭い戦略的利益に結び付ける傾向が強まった。これは、中国、エジプト、イラン、ニカラグア、ベネズエラといった強権国家が、国内で説明責任を求める動きを弱めようとする試みに、結果として手を貸す形にもなっている。エクアドルやジンバブエなどでは、市民社会組織が海外から資金を受け取ることを制限する法律が導入された。 こうした動きは、平等、平和、社会正義のために取り組む市民社会の努力に悪影響を及ぼしている。だが2025年には、粘り強い抵抗と一定の成果もあった。Z世代(Gen Z)の抗議者が示した勇気は、世界中の人々を鼓舞している。ネパールでは、ソーシャルメディア禁止令を契機とした抗議が政権の退陣につながり、政治の立て直しに向けた希望を示した。ケニアでは、国家暴力にもかかわらず、若者が政治改革を求めて街頭に立ち続けた。モルドバでは、逃亡中の寡頭政治家が潤沢な資金を背景に展開した偽情報キャンペーンが、国政選挙を人権の価値から遠ざけることに失敗した。米国では、「No-Kings(ノー・キングス)」抗議に加わる人の数が増え続けている。 世界人口の90%超が、制度的に十分な市民的自由を否定されて暮らしている現実を前に、反権利勢力は勢いづいているのかもしれない。しかし、民主的な抗議は、とりわけZ世代の間で醸成されつつある。政治的・経済的機会を奪われる一方で、より平等で、公正で、平和で、環境的に持続可能な別の世界が可能だと理解している世代である。事態は決して終局ではない。困難な時代であっても、人々は自由を求める。そして突破口は、すぐそこにあるのかもしれない。(原文へ) マンディープ・S・ティワナは、世界市民社会アライアンスCIVICUSの事務総長。 INPS Japan/IPS UN Bureau Report 関連記事: デジタル時代に抗議を再定義するZ世代(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長) 市民社会が沈黙させられる中、腐敗と不平等が拡大 デジタル封建主義の時代には、批判的なジャーナリストの声が必要

国連から見た2025年米国家安全保障戦略

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】 2025年版「国家安全保障戦略(NSS)」は、単なる政策文書ではない。これは世界観である。研ぎ澄まされ、硬質化し、米国がかつて擁護した戦後国際秩序そのものに、真正面から照準を合わせている。 多国間主義が活動の前提となっている国連の内側から読むと、まるでこの家の設計者が数十年ぶりに戻ってきて、ブルドーザーとメジャーを手に、「修理」すると言いながら、住む側が何とか住み続けてきた構造そのものを壊しにかかる―そんな光景に見える。 この国家安全保障戦略の冒頭は、過去30年の米国外交を「甘い」「誤った」ものと断じ、「グローバリスト」が主権を「国境を越える制度」に外注したと切り捨てる(p.1~2)。意味するところは明白だ。協調にもとづく地球規模のガバナンスという土台そのものに対する、正面からの思想攻撃である。 国連は「責任の共有」を重視する。だがNSSはそれを「目的がぼやける」とみなす。国連は「相互依存」を前提とする。だがNSSはそれを「弱み」だと捉える。国連は「外交」を解決の手段と考える。だがNSSはそれを「内政への干渉」に近いものと見る。 これは口調の違いではない。哲学の断絶である。 移民:国連の人道の柱と、米国の新たな「要塞」 多国間主義との衝突が最も露骨に現れるのは、移民に対する文書の断定的な姿勢だろう。NSSは「大量移民の時代は終わった」と宣言し、国境管理をほぼあらゆる国家安全保障上の優先事項の上位に置く(p.11)。 これは、国連のアプローチと正反対である。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、避難や強制的な移動を「保護」と「権利」の問題として捉える。国際移住機関(IOM)は、移民を地球規模で管理すべき課題と位置づけ、共有された解決策を重視する。「移住に関するグローバル・コンパクト」も、一方的な壁ではなく、国際協力を前提としている。 これに対しNSSは、移民を戦略的脅威として位置づける。テロやフェンタニルと同列の「不安定化要因」として描いているのだ。率直に言えば、この文書は、脆弱な人々を国際的安定の担い手ではなく、「安全保障を脅かす存在」として扱っている。 この認識の転換は、今後何年にもわたり、あらゆる人道交渉に影響を及ぼすだろう。 蘇るモンロー・ドクトリン―今度は「牙付き」 次に登場する西半球に関する章は、あまりに急進的で、警鐘を鳴らさざるを得ない。NSSは「モンロー・ドクトリンに対する『トランプ補則』」を掲げ、テキサス以南の港湾、鉱物、海底通信ケーブルに至るまで、域外勢力に「手を出すな」と警告する(p.15~18)。 これは婉曲表現ではない。配慮すらない。要するにトランプ政権はこう宣言している―「この半球は我々のものだ。以上」。 国連にとって、これは単に「居心地が悪い」などというレベルの話ではない。構造的に両立しない。多国間秩序は、大国が特定地域を私有地のように扱うことを防ぐために築かれてきた。ところが、この補則はそれを正面から覆し、西半球を戦略的に「囲い込む」発想へと転じてしまう。 中南米諸国は、投資を歓迎する姿勢を公には示すかもしれない。だが国連の内側では、こうした声が漏れてくるだろう。 「米国が私たちのパートナー選びにまで実質的な拒否権を持つのなら、私たちの主権はどこから始まるのか」 このドクトリンは、次の枠組みを後景に押しやる。・国連の開発支援・地域機構・多国間の資金供与・ワシントンの承認を前提としない対外連携 結果として、多国間主義は「米国の裏庭」では、存在感を大きく削がれる。 欧州:対話の相手ではなく、「診断」の対象 欧州に関するNSSの語り口は、戦略文書というより文明論に近い。NSSは欧州について、「文明の消失(civilizational erasure)」「人口の先細り」「アイデンティティの喪失」「規制による息苦しさ」を並べ立てる(p.25~27)。 それは分析というより、追悼文に近い。 この見立ては、国連が維持してきた「西側の統一的な外交姿勢」を弱めかねない。安保理の力学、制裁の運用、人道決議の形成において結束は不可欠だ。もしワシントンがブリュッセルを「パートナー」ではなく「問題」と見なすなら、1945年以降の自由主義秩序を支えてきた結束の土台は、確実にひび割れる。 中国:多国間システムのストレステスト この文書の通底音を最も強く支配している国があるとすれば、中国である。NSSは中国を、供給網、AI、レアメタル、知的財産、移民、宣伝工作、さらには医薬品に至るまで、あらゆる戦略領域を左右する中心的な対抗対象として描く(p.20~24)。これは競争ではない。構造的な対立である。 だが、動かしがたい事実がある。国連は中国抜きでは機能しない。中国は国連予算の主要な拠出国であり、安保理常任理事国であり、PKOにも重要な貢献をしている。さらに、保健、気候交渉、開発金融でも要の一角を占める。 米国が中国を全領域にまたがる「実存的脅威」と位置づければ、多国間主義は巻き添えになる。最大のリスクは単純だ。互いに完全には両立しない2つの国際システムが形を取り始め、国連の普遍性がその狭間で圧迫されることである。 中東:まれで、脆い一致点 意外にも、中東に関してはNSSが示す方向性が、国連の優先課題と一部で重なる。緊張を和らげ、安定を確保し、人質解放を進め、地域戦争への拡大を防ぎ、新たな外交枠組みを支える――といった点である(p.27~29)。これは、一定程度は活用可能な一致点だ。 ただし、動機は大きく異なる。国連が目指すのは、権利、統治、人道法に根ざした持続可能な平和である。一方、NSSが求めるのは、米国の負担を軽減し、対抗勢力を抑え込むための「安定した環境」に近い。 この一致は有用だが、脆い。ガザ、レバノン、シリア、紅海のいずれかで次の火種が上がれば、思想の違いは容易に再び表面化する。 アフリカ:協力か、資源狩りか NSSはアフリカを「投資の最前線」と位置づけ、鉱物とエネルギーを米国の主要な関心事に据える(p.29)。 アフリカの指導者の中には、資源をめぐる競争が投資や交渉力の向上につながるとして、一定程度歓迎する向きもあるだろう。中国、ロシア、トルコ、EU、湾岸諸国はすでに深く関与している。 しかし、国連がアフリカを見る視野はそれより広い。国連が重視するのは、資源の確保そのものではなく、社会が安定して回り、人々の暮らしが底上げされ、紛争が再発しにくい土台が築かれることだ。具体的には、次のような課題である。・汚職を抑え、透明で説明責任のある行政を育てること(統治)・教育、保健、雇用など生活の基盤を強くすること(人間開発)・紛争の予防と停戦後の社会の立て直しを支えること(平和構築)・一次産品頼みから脱し、現地で付加価値を生む産業を育てること(産業化)・環境と将来世代を損なわない形で成長を続けること(持続可能な成長) 要するに、NSSが焦点を当てるのは「アフリカが何を持つか」であり、国連が重視するのは「アフリカがどのような社会になろうとしているか」だ。この視点のずれこそ、多国間機関が役割を発揮すべき領域である。 結論:衝突は避けられない。それでも機会は死んでいない NSSは、国連発足後の米国戦略の中でも最も「主権第一」であり、多国間主義に懐疑的な文書である。国際協力を当然の前提とせず、世界を「共有されたシステム」ではなく、国家が競い合う舞台として捉えている。 しかし、どれほど一国主義的な米国であっても、地球規模の現実から逃れ切ることはできない。・感染症の世界的流行(パンデミック)・気候変動がもたらす被害・供給網の分断や脆弱性・AIなど新技術のルールづくり(技術ガバナンス)・国境を越えて連鎖する危機 これらは、いかなる国であれ―たとえどれほど強大でも―単独では解決できない問題である。 ゆえに衝突は避けがたい。だが崩壊が必然というわけでもない。 国連と多国間システムはいま、ひび割れの中に活路を見いだし、残された余地を生かしながら、ワシントンに、近代史が繰り返し示してきた真実を思い出させなければならない。 一国の意思だけが支配する世界は不安定である。責任を共有する世界こそ、持続可能である。 そして結局、米国自身も再び理解することになるだろう。機能する国際システムの価値を代替できるほど高い壁は、いかなる国にも築けないのだと。(原文へ) INPS Japan Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/a-national-security-strategy-caught-between-america-first-and-a-multilateral-world 関連記事: 欧州には戦略的距離が必要だ──米国への盲目的同調ではなく NFUは維持、核戦力は拡大―中国の核ドクトリンが軍縮と戦略的安定に与える影響 米国がベネズエラを攻撃、国連が警鐘 世界は賛否分かれる

軍事支出の増大を止める機会を逸してきた代償

【ニューヨークIPS=アリス・スレーター】 国連は年末、ファクトシート「世界の軍事支出の増大(Rising global military expenditures)」を公表し、昨年の世界の軍事支出が過去最高の2兆7000億ドルに達したと報告した。ファクトシートは、こうした支出の拡大が人々の福祉や環境、気候危機への対応余力を圧迫し、雇用創出、飢餓・貧困対策、医療、教育などへの十分な財源確保を困難にしていると指摘している。 このファクトシートは、各国の軍事支出がいかに偏在しているかを示すとともに、同じ資金があれば飢餓と栄養不良の解消、安全な水と衛生、教育、環境修復などに何を実現し得たかを具体的に浮かび上がらせている点で意義がある。だが今こそ国連は、軍事支出の拡大を止め、地球を癒やすために「これまで何を取り逃がしてきたのか」に焦点を当てたファクトシートを出すべきではないか。 というのも、第二次世界大戦終結80年と国連創設80年の節目に当たる2025年夏、ロシアと中国は「世界戦略的安全保障に関するロシア連邦と中華人民共和国の共同声明」を発出した。同声明は、国家や国家の枠組みが「他国の安全を犠牲にして自国の安全を確保してはならない」とし、「各国人民の運命は相互に結び付いている」と付け加えている。 米国とその核同盟が、ロシアや中国に対する軍事的優位を確保しようとしてきた経緯をたどるだけでも、平和や軍縮に向けた交渉提案を受け入れる機会をたびたび逸してきたことが分かる。もしそれらの提案が受け入れられていれば、長年にわたり数兆ドル規模の資金が軍事以外の分野に回り、いま私たちが直面する「地球上のすべての生命を守る」危機への対応に充てられた可能性がある。 筆者が直近の「失われた機会」として挙げるのは、中国とロシアが共同声明で、米国の「ゴールデン・ドーム」宇宙計画を批判し、宇宙空間を武力対立の場にしないよう各国に求めた点である。筆者は、この主張が西側メディアで十分に報じられていないとして、軍需産業との関係を背景に挙げて批判している。 中ロはさらに、宇宙空間における兵器の配備や武力行使を防ぐため、ロシアと中国が軍縮会議(CD)で提案してきた条約草案(2008年および2014年)に基づく交渉を求めた。軍縮会議では条約交渉の開始に全会一致が必要だが、米国が合意に同意せず、議論は前に進まなかった。 また中ロは、宇宙での軍拡競争を防ぎ、宇宙の平和を促進する措置として、「宇宙に兵器を最初に配備しない」国際的なイニシアチブ(政治的コミットメント)を世界規模で推進することで一致したと述べた。言い換えれば、「先に宇宙配備しない」という立場である。 筆者は、宇宙の平和をめぐる提案を最新の「逸失の機会」と位置付ける。一方、最初の「逸失の機会」は1946年にさかのぼる。ハリー・トルーマン大統領が、ヨシフ・スターリンによる提案―新設された国連の下で原爆を国際管理に移す―を拒否し、その結果、ソ連が核兵器を保有するに至った、というのが筆者の見立てである。 筆者は、ロナルド・レーガン大統領が、冷戦終盤の転機―ベルリンの壁崩壊と、ミハイル・ゴルバチョフによる東欧の解放へと至る過程―において、核兵器の全廃を視野に入れた交渉条件として「スター・ウォーズ」計画(戦略防衛構想)の放棄を求める訴えに応じなかったと位置づける。こうして、核兵器庫を廃絶する機会は失われた、というのである。 さらに続く「逸失の機会」として筆者が挙げるのは、ベルリンの壁崩壊後、再統一ドイツをめぐる協議で「NATOは東方に拡大しない」との趣旨の説明があったにもかかわらず、NATOがその後ロシア国境に迫る形で拡大していった点である。 ・ビル・クリントン大統領は、プーチンによる提案――双方が核弾頭を各1000発に削減し、その後、全核保有国を招いて全廃交渉に入る。その代わり米国がルーマニアでのミサイル関連施設の開発を止める――を退けた。・ジョージ・W・ブッシュ大統領は、1972年の弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)から離脱し、ルーマニアに基地を設置した。トランプ大統領はポーランドに基地を置いた。・バラク・オバマ大統領は、プーチンが提示した「サイバー戦を禁止する条約」を交渉する提案を退けた。[i] 筆者は、米国が長年にわたり協力により開かれていれば、軍事以外の分野に回り得た資源は拡大し、「住み続けられる地球」を守るという切迫した課題にも、より大きな能力で対処できたはずだと訴える。宇宙の平和に関する中ロ提案を取り上げるのに、まだ遅すぎることはない。より賢明な判断が勝ることを願う。(原文へ) [i](参考)https://pirm.medium.com/why-no-international-treaty-for-cybersecurity-to-ban-cyber-attacks-5a53d8b3fdd1 (参考資料)国連ファクトシート「世界の軍事支出の増大」https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/milex-docs/MILEX_UN_Fact_Sheet.pdf アリス・スレーターは、World BEYOND WarおよびGlobal Network Against Weapons...

凍てつく寒さの中で壁を破る:マムダニ氏、NYC初のイスラム教徒市長に就任

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】 華氏20度台前半(摂氏で約マイナス5度前後)まで冷え込む厳しい寒さの中、ゾーラン・マムダニ氏が2026年元日、ニューヨーク市の第112代市長として宣誓就任した。既存政治を揺さぶる劇的な躍進を遂げ、自らを「民主社会主義者」と称する新市長が、米国最大の都市のかじ取りを担うことになった。 元日、市庁舎周辺の通りには重いコートとマフラーに身を包んだ数万人の支持者が集結した。氷点下の寒さに耐えながら、厳粛な式典と街頭集会の熱気が交錯する就任式を見届けた。ロウアー・マンハッタンには音楽が響き、参加者は足踏みして体を温め、プラカードを振り、マムダニ氏が市政の新時代を誓うたびに歓声を上げた。 https://www.youtube.com/watch?v=iazY_UDQdck&t=2s 「今日から、私たちは広く、大胆に統治する」とマムダニ氏は、白い息を吐きながら群衆に語った。「いつも成功するとは限らない。しかし、挑む勇気がなかったとだけは、決して言われないだろう。」 マムダニ氏は34歳。ニューヨーク市を率いる人物として、初のイスラム教徒であり、南アジア系としても初となる。市庁舎前の階段で行われた公開の儀式では、連邦上院議員のバーニー・サンダース氏が宣誓を取り仕切り、連邦下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏が紹介した。マムダニ氏はこれに先立ち、家族が同席する小規模な非公開の場で、日付が変わった直後に正式な宣誓を済ませていた。 集会さながらの「寒中就任式」 凍える寒さにもかかわらず、公開の式典は伝統的な就任式というより、大規模な政治集会に近い雰囲気で進んだ。支持者は、Jay-Zやダディー・ヤンキー、ボリウッドのヒット曲、「ニューヨーク・ニューヨーク」を織り交ぜた選曲に合わせて踊り、強風にあおられて市旗や各区の旗が激しくはためいた。 「Tax the Rich(富裕層に課税を)」などのスローガン入りのニット帽やジャケットを身につけた参加者もいた。富裕層のニューヨーカーや企業への増税で財源を確保するという、マムダニ氏の提案を映したものだ。手作りの看板やネオンカラーのプラカードが群衆のあちこちに見え、運動体としての勢いを保ったまま勝利へ突き進んだ選挙戦を象徴していた。 マムダニ氏の台頭は、政治を追う関係者を驚かせた。2025年、民主党予備選でアンドリュー・クオモ前州知事を破り、その後の本選でも勝利した。生活費、住宅、公共サービスを主要争点に押し上げ、経済不安が深まる局面で、市長選の構図を塗り替えた。 全米が注目する進歩派アジェンダ 就任演説でマムダニ氏は、自身の市政運営がニューヨーク市の枠を超えて注視されることを認めた。「左派が統治できるのか、彼らは見定めようとしている」と述べ、こう続けた。「自分たちを苦しめる問題が解決できるのか。再び希望を抱くことが正しいのか。彼らはそれを知りたがっている。」 政策公約には、数百万人規模の借家人を対象とする家賃凍結、無料バスの拡充、保育を誰でも利用できる仕組みの整備、そして公的補助のある家賃抑制型住宅の供給を大幅に増やすことなどが含まれる。支持者は、家賃と生活費が高騰する都市にとって、こうした提案は「遅すぎたくらいだ。」と訴える。一方、批判側は、今後数年で数十億ドル規模の財政赤字が見込まれる中、計画の財政的な持続可能性に疑問を投げかける。 サンダース氏は、市民が就任式後も関与し続けるよう呼びかけ、マムダニ氏の政策は過激ではなく必要だと強調した。「世界史上最も豊かな国で、人々が手の届く住宅に住めるようにすることは、過激ではない。」この発言に、氷点下の寒さが続く中でも、群衆から「Tax the Rich」の唱和が起きた。 信仰と象徴性が前面に 式典では、マムダニ氏のイスラム教徒としての信仰も目立った。宣誓では、家族が所有していたクルアーン(コーラン)に手を置いた。祈祷(インヴォケーション)では、イマームのハリド・ラティフ氏が、複数宗教の代表とともに祈りを捧げた。 「この職務が、人々に仕えるためにあるのであって、人々の上に立つためではないことを、決して忘れさせないでください。」ラティフ氏は祈りの中でそう述べた。 同じく民主社会主義者を自任するオカシオ=コルテス氏は、労働者層のニューヨーカーに焦点を当てたマムダニ氏の姿勢を評価し、「私たち全員のための市長だ」と称賛。勝利を「偏見と極端な不平等」への拒否として位置づけた。 待ち受ける難題 マムダニ氏は、エリック・アダムス前市長の後任となる。アダムス氏の単一期は、汚職捜査や内部の混乱に影を落とされた。アダムス氏は式典に出席し、後継者が群衆に語りかける間、寒空の下で静かに立っていた。 新市長に突きつけられるのは、公約を政策に落とし込む作業である。同時に、厳しい財政環境、住宅不足、社会サービスへの圧力にも向き合わなければならない。今月後半に公表が見込まれる最初の暫定予算案は、野心と財政制約のバランスをどう取るのかを測る初期の試金石となる。 日が傾き、冷え込みが増す中でも、支持者たちは市庁舎周辺にとどまり、コーヒーカップに手をかざして温まりながら写真を撮り、この瞬間を記録した。「仕事は、友よ、まだ始まったばかりだ。」マムダニ氏の言葉は、冬の空気を切り裂くような歓声で迎えられた。(原文へ) INPS Japan Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/breaking-barriers-in-freezing-weather-mamdani-becomes-nyc-s-first-muslim-mayor-video 関連記事: ニューヨーク新市長マムダニ氏―多文化の尊厳のために 人口は増加する一方で雇用は減少──米国の消費主義に左右される世界の雇用市場 関税と混乱――トランプ貿易戦争がもたらした持続的な世界的影響