Error 404 - not found
We couldn't find what you're looking for. Browse our latest stories or try searching using the form below:
Browse our exclusive articles!
血と巨利―米・イラン衝突の背後にある戦争ビジネス
「戦争はペテンである。それはおそらく最も古く、間違いなく最も利益を生み、そして確実に最も残虐な営みである。国際的な規模を持つのはこれだけである。利益はドルで計算され、損失は命で計算される唯一のものなのだ」―スメドレー・バトラー少将
【メルボルンLondpon Post=マジッド・カーン】
現代の地政学の核心には、主流メディアの見出しにはほとんど現れない冷厳な損得計算がある。すなわち、武力紛争は限られた勢力に莫大な利益をもたらすという現実である。米国とイランが互いに威嚇を交わし、代理戦争を展開し、あるいは全面戦争寸前まで緊張を高めるたびに、金融市場は動き、契約が結ばれ、使い尽くされた兵器や弾薬の備蓄は公費で補充されていく。
米国の防衛産業は世界最大であり、防衛支出は近年、一貫して年8000億ドルを超えている。ロッキード・マーティン、レイセオン・テクノロジーズ、ノースロップ・グラマン、ボーイング・ディフェンス、ゼネラル・ダイナミクスといった企業は、合わせて毎年数千億ドル規模の収益を上げている。その相当部分は、中東への展開、湾岸同盟国への武器売却、そして継続中の紛争で費消される弾薬の補充と結びついている。米国とイランの緊張が高まるたび、これら企業の株価は決まって上昇する。これは偶然ではない。戦争への備えと戦争そのものが、景気循環と見分けのつかないものとして組み込まれた体制の下で、市場原理が作動しているのである。
2020年のカセム・ソレイマニ暗殺は、その構図を端的に示した。攻撃から数時間のうちに、防衛関連株は急騰した。無人機攻撃で使用されたヘルファイア・ミサイルを製造するレイセオンの株価は大きく上昇し、暗殺を実行したMQ-9リーパー・ドローンを製造するロッキード・マーティンも同様に値を上げた。これらの企業はワシントンで積極的にロビー活動を展開し、民主・共和両党に多額の政治献金を行い、さらに批判者が「回転ドア」と呼ぶペンタゴンと民間部門の人材循環を通じて、元軍・情報当局者を多数雇用している。その結果、紛争は解決されるよりも維持されやすい構造となる。解決は契約の減少を意味するからである。
見出しを飾る大手防衛企業だけでなく、イランとの緊張は民間軍事・警備産業にも巨額の利益をもたらしてきた。基地警備、情報分析、兵站、湾岸同盟国や米軍への訓練支援を担う企業は、地域展開の拡大とともに大きく成長してきた。物議を醸したブラックウォーターの創設者エリック・プリンスは、かつて民間軍事部門の規模を年間1000億ドル超と見積もったことがある。米国の石油・エネルギー企業もまた、イランの弱体化から利益を得る立場にある。対イラン制裁によってイラン産原油の輸出が抑え込まれることで、世界の原油価格は米国のシェール生産業者にとってより有利な水準に保たれるからである。複数の政権の下で維持・強化されてきた制裁体制そのものが、イランを罰しつつ、同時に米国のエネルギー企業を利する一種の経済戦争として機能している。
米・イラン対立の経済を論じるうえで、湾岸協力会議(GCC)諸国、特にサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を抜きに語ることはできない。両国は、この地域における米国の武器供給網の主要な仲介役を果たしている。1979年の革命によってイランが米国とサウジアラビア双方の敵対国となって以来、湾岸君主国は米国製兵器システムに巨額の資金を注ぎ込んできた。サウジアラビアは長年にわたり一貫して米国製兵器の最大の購入国であり、過去10年間だけでも1000億ドルを超える米国製兵器を購入している。イランの核開発能力や、イエメンのフーシ派、レバノンのヒズボラ、イラクのシーア派民兵組織などを通じた地域的影響力に対する実存的な恐怖が、湾岸諸国を米国製兵器の有力な顧客にしているのである。
この武器取引は、米国の経済的・地政学的利益を同時に満たしている。米国の防衛関連雇用を支え、ペトロダラーを米国経済へ還流させ、世界貿易におけるドルの役割を強め、さらにこの地域での米国軍事技術の優位を維持する。歴代政権は、人権や地域の安定をどれほど唱えようとも、その経済的・戦略的論理が圧倒的であるがゆえに、湾岸諸国との巨額の武器取引を承認してきた。オバマ政権がイラン核合意を成立させた際でさえ、湾岸諸国の不安はむしろ武器購入を加速させた。彼らは、それをイランに対する米国の外交的軟化への「保険」と受け止めたのである。逆説的ではあるが、平和交渉は直接的な衝突と同じほど武器購入を引き起こし得る。
UAEは、この戦争経済の中で独自の位置を占めている。金融ハブであるドバイは、長年にわたり、米国の制裁に違反してイランに流入する物資の積み替え拠点として機能してきた。その一方で、UAEは、トランプ政権下で交渉され、その後も長く外交上の争点となったF-35戦闘機取引を含め、米国およびフランスの先進兵器の主要購入国としての地位も築いてきた。UAEは、イランとの水面下の関係を維持しながら、表向きにはワシントンと歩調を合わせるという、米・イラン間の緊張をめぐる巧みな均衡戦略をとっている。この戦略的曖昧さは外交上の不整合ではない。より大きな対立がどのように展開しようとも、自国の影響力と商業的機会を最大化するための、計算された経済・安全保障上の立ち回りなのである。
イスラエルは、米・イラン対立の戦争経済の中で特異な位置を占めている。イランから最も直接的な脅威を受ける敵対国として、イスラエルはイランの核兵器の脅威をてこに、10年間の覚書に基づく年間約38億ドルという巨額の米国軍事援助を確保してきた。エルビット・システムズ、ラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズ、イスラエル航空宇宙産業などを中核とするイスラエル自身の防衛産業もまた、イランの脅威を前面に押し出すことで、世界的な輸出拡大を実現してきた。イスラエルのドローン技術、ミサイル防衛システム、サイバー能力―その多くはイランの脅威への直接的な対応として開発された―は、欧州、アジア、アフリカで強い需要を集めている。言い換えれば、イランの脅威はイスラエル防衛産業にとって強力な輸出促進要因となってきたのである。
戦争の利益を得るのは、防衛請負企業や武器商人だけではない。金融部門もまた、その受益者である。エネルギー市場を専門とする商品トレーダーやヘッジファンドは、米・イラン間の緊張が原油価格にもたらす変動から莫大な利益を上げてきた。世界の石油供給のおよそ20%が通過するホルムズ海峡で海上の事件が起きるたびに、原油を買い持ちしているトレーダーに利益をもたらす価格急騰がただちに生じる。2019年にサウジアラビアの石油インフラが攻撃され、広くイランまたはその代理勢力の関与が指摘された際には、史上最大級の1日当たりの原油価格上昇が起きた。適切なポジションを取っていた金融機関にとって、こうした出来事は災厄ではなく利益を得る好機なのである。
サイバーセキュリティもまた、米・イランの敵対関係を背景に拡大してきた産業である。イランは、国家として世界有数のサイバー能力を持つ主体の一つと見なされている。イランの核遠心分離機を標的としたスタックスネット攻撃―その背後には米国とイスラエルの関与が広く指摘されている―への報復の一環として、イランは米国の銀行、重要インフラ、政府システムに対するサイバー作戦を展開してきた。これにより、米国企業や政府機関による防御的サイバーセキュリティ支出は数十億ドル規模で押し上げられた。クラウドストライク、パロアルトネットワークス、さらに多数の小規模サイバー企業は、イランの能力を強調する脅威評価を追い風に、政府契約や民間需要を獲得し、米・イラン対立のサイバー領域から直接利益を得てきた。
そして再建産業は、おそらく最も辛抱強い戦争利得者として、その機会を待っている。米国の軍事介入、あるいはそれに連なる紛争がイラク、シリア、リビアに破壊をもたらすたびに、米国および同盟諸国の建設・インフラ企業は、国際援助機関、多国間銀行、さらには破壊された当事国自身が資金を拠出する復興契約を獲得できる立場を確保してきた。ベクテル、フルアー、そして多くの子会社・提携企業は、第二次世界大戦後のドイツや日本にまでさかのぼる戦後復興の長い実績を持つ。もし米国とイランの直接衝突がイランのインフラを壊滅させ、あるいは軍事行動の後に体制転換が起きるなら、人口9000万人、膨大な石油埋蔵量と強固な産業基盤を持つイランの復興は、21世紀最大級の経済機会の一つとなるだろう。国を壊すビジネスと、それを立て直すビジネスは、結局のところ、同じ手によって進められることが少なくない。(原文へ)
INPS Japan/London Post
関連記事:
勝利なき戦争―イラン・イスラエル対立が世界の利害を支える構造
世界の軍事紛争で「真の勝者」とは誰か?
軍事衝突と内戦の続発で、武器売上と死者数が急増
欧州と多国間主義
【バルセロナ IPS=マニュエル・マノネレス】
「欧州はもはや、失われ、二度と戻らない旧来の世界秩序の管理人であってはならない。(中略)より現実的で、国益に根ざした外交政策が必要である。」
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が1週間前、ブリュッセルでのEU大使会議で語ったこの発言は、大きな波紋を呼んだ。欧州理事会のアントニオ・コスタ議長はほぼ即座に反論し、欧州議会では不信任動議のうわさまで飛び交った。複数の欧州首脳からも、公然・非公然の批判が相次ぎ、委員長自身もほどなく全面的に発言を撤回した。
だが、問題はなお残る。これは、常に時流に乗ろうとすることで知られる委員長の一時的な判断ミスだったのか。それとも、トランプ流の混沌や、中国、ロシアなどから発せられる権威主義的衝動が形づくる新たな「無秩序」に、より深く同調していることの表れなのか。
前者であるなら、深刻ではあっても、なお過誤として処理できる。だが後者であるなら、はるかに重大で、しかも危険な問題に直面していることになる。
EUでは、これをフォン・デア・ライエン氏による明らかに失敗した試み、すなわち、当時ドイツのメルツ首相―同国出身で同じ政治的系譜に属する人物―が唱えていた、トランプ路線により近い政策へとEUを誘導しようとしたものだと受け止める向きもある。
もっとも、そのメルツ氏自身もここ数年で立場を変えてきた。就任から1年足らずで支持率が26%に落ち込むという、自らの極めて脆弱な政治基盤を踏まえての変化であり、その数字はトランプ氏と並ぶほど低い。
しかし欧州委員長の発言をめぐって本当に憂慮すべきなのは、現代の主要な地政学的課題―イランと中東全域での戦争、ウクライナ戦争、ベネズエラ情勢―をめぐってすでに深く分断されている欧州において、EUの「顔」として世界的に認識されている人物が、欧州統合の創設理念とここまで鋭く食い違う演説を行ったことである。
欧州プロジェクトは、その強みと同時に限界を抱えながらも、第二次世界大戦の灰燼の中から築かれた。1920年代から30年代の全体主義体制がもたらした破局の記憶と、「鉄のカーテン」の向こう側に広がったスターリン主義的全体主義への対抗という歴史的経験の上に成り立っている。
その基盤にあるのは、ヒューマニズム、人権の尊重と擁護、そして共有された社会的権利と価値である。同時にそれは、多くの欠陥を抱えつつも、なお混沌と弱肉強食の世界から私たちを遠ざけ得る唯一の現実的な仕組みである「ルールに基づく国際秩序」の必要性に立脚している。いま世界の主要大国の一部は、まさにその反対方向へと私たちを引きずり込もうとしている。
国連は危機にあるのか。疑いようもなく、そうである。多国間主義は後退し、国際法の尊重は歴史的な低水準にあるのか。これもまた否定できない現実である。だが、その暗い状況への対応として、この劣化を招いた当事者たちの思考様式そのものを取り込むべきだということになるのだろうか。率直に言えば、それは理性の放棄にほかならない。
私たちは激動の時代を生きている。欧州はたしかに、より大きな戦略的自律性を追求しなければならない。しかし、その自律性は防衛分野に限られるべきではない。とりわけ急務なのは、技術財やサービスの分野における真の自立である。この領域で米国への依存が続く限り、欧州は隷属に近い立場に置かれ続けるからだ。
さらに、伝統的な大西洋横断関係がかつてないほど緊張している現在―その主因は、現ホワイトハウスの主とその周辺による、ほとんど強迫的ともいえる姿勢にある―欧州は、通商を含むあらゆる分野で戦略的連携を築き、あるいは強化する必要がある。これはすでにインドとの間で進みつつあり、メルコスールとも可及的速やかに実現されるべきである。
しかし、欧州の将来―言い換えれば、本当に重要な意味での欧州の将来―が、国際秩序と国際機関システムをさらに弱体化させる方向にあるかのように語ることは、はっきり言って無責任である。
多国間主義は、単なる理念の問題ではない。それは責任の問題であり、同時に効率性と実効性の問題でもある。気候変動、移民の流れ、世界的公衆衛生、AIの影響といった、欧州が直面する主要課題に、欧州は本当に単独で対処できると考えているのだろうか。
欧州が欧州であり続けるためにも、多国間主義は不可欠である。だからこそ欧州は、いまこそこれまで以上に多国間主義にコミットしなければならない。無邪気な理想主義ではなく、現実主義をもって。しかし同時に、欧州プロジェクトの将来と、大国を含む諸国の間に最低限の秩序と協力が維持されることとの間に、深い相互依存関係があることを十分に認識しながらである。
そのために必要なのは、混沌という選択肢に抗し、協力を可能にする空間と制度を擁護し、強化することである。無視し、脇に追いやることではない。(原文へ)
マニュエル・マノネレス氏は、スペインのブランケルナ=ラモン・リュイ大学准教授(国際関係論)。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
関連記事:
アメリカ・ファーストと多国間主義の狭間で揺れる国家安全保障戦略
一部の勢力を除き、世界の指導者らは多国間主義を支持
一杯のエスプレッソがもたらしてくれる未来への希望(マニュエル・マノネレス「平和の文化財団」代表)
中東戦争が北朝鮮の核戦力増強に拍車
【国連IPS=タリフ・ディーン】
米国、イスラエル、パレスチナ、イラン、レバノンを巻き込む中東の軍事衝突が、間接的に北朝鮮の核戦力増強を後押ししている。北朝鮮の金正恩総書記は、米国によるイラン攻撃が自国の軍事力強化を正当化するものだと主張し、トランプ大統領の外交政策によって形づくられる世界の中で、それが最終的に自国の安全確保につながるとの認識を示したと伝えられている。
先週のニューヨーク・タイムズ紙は、「中東戦争から教訓、北朝鮮が新兵器を実験」との見出しで報じた。記事によれば、実験された兵器には、クラスター弾や黒鉛爆弾の弾頭を搭載したミサイルも含まれていた。いずれも中東で使用が確認されている兵器に類似しているという。こうした動きは、北朝鮮が中東戦争から軍事的教訓を引き出そうとしていることをうかがわせる。
トランプ大統領が金総書記との会談に意欲を示す中、金総書記は、米国が北朝鮮を正式な核保有国として認めるのであれば会談に応じる考えを示した。また、イラクやリビアの指導者たちは、もし核抑止力を持っていれば米国の攻撃を受けずに済んだはずだとも主張した。昨年2月の演説では、「米国が対朝鮮敵視政策を撤回し、われわれの現在の(核)地位を尊重するなら、米国とうまくやっていけない理由はない」と述べている。
トランプ氏は第1次政権期の2017年から2021年にかけて金総書記と3度会談した。2018年6月のシンガポール、2019年2月のハノイでの首脳会談に続き、同年6月には非武装地帯(DMZ)で短時間の会談も行った。この際、トランプ氏は現職の米大統領として初めて北朝鮮に足を踏み入れた。
一方、ワシントンのスティムソン・センターは、主として国連安全保障理事会を通じて課された厳しい国際経済制裁にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発や核ドクトリンの整備は著しく進展してきたと指摘している。特に、トランプ政権との交渉が2018~2019年に停滞して以降、その傾向が際立っているという。非核化は交渉の対象ではないとの北朝鮮の立場は、2026年2月に開かれた最近の党大会でも改めて強調された。
カナダのブリティッシュコロンビア大学で公共政策・グローバル問題大学院の暫定院長を務めるM・V・ラマナ博士はIPSの取材に対し、米国とイスラエルによるイラン攻撃は挑発を受けていない一方的なものであり、各国が核兵器の取得に向かう誘因をさらに強めていると語った。
ラマナ博士は、「そうした核兵器の取得が、常に国家を守る保証になるわけではない。とりわけ、米国のような軍事大国がこれほど好戦的に振る舞う状況では、なおさらだ。」と指摘した。そのうえで、「進むべき道はそこではない。各国が軍事的暴力や他国への攻撃に訴えるのではなく、相違を平和的かつ外交的手段で解決することにこそ、努力を集中すべきである。」と述べた。さらに、各国指導部の多くは必ずしもそうした方向を向いていないかもしれないが、政府をより平和な方向へ導くうえで、市民社会や社会運動の役割は重要だと強調した。
英紙ガーディアンによれば、国連の原子力監視機関トップは、北朝鮮がさらなる核兵器製造能力の面で「極めて深刻な」進展を遂げていると述べた。これは、体制維持のために核戦力を活用しようとする北朝鮮の姿勢を示す新たな兆候だという。
北朝鮮は約50発の核弾頭を保有しているとみられているが、それらを長距離弾道ミサイルに搭載できるほど小型化しているとの主張には懐疑的な専門家もいる。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長はソウル訪問中、北朝鮮の主要核施設である寧辺で活動が急速に活発化しているとの報告を確認した。グロッシ事務局長によれば、寧辺の5メガワット原子炉、再処理施設、軽水炉などで作業が強化されており、北朝鮮は数十発規模の核弾頭を保有しているとみられる。
一方、「World Beyond War」および「宇宙における兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク」の理事を務め、「核時代平和財団」の国連NGO代表でもあるアリス・スレーター氏はIPSの取材に対し、イラクやリビアを破壊した米国の行動を踏まえれば、北朝鮮が軍事力強化を正当化するのは理解できるにもかかわらず、今回もまた北朝鮮だけが「ならず者国家」として扱われていると語った。
スレーター氏によれば、北朝鮮は2016年、国連総会第1委員会で核兵器禁止条約の交渉開始を支持した唯一の核保有国だった。だが、その事実はほとんど報じられていない。この交渉を経て、2017年に核兵器禁止条約が採択された。これに対し、すべての核保有国と米国の「核の傘」の下にある国々は交渉会議をボイコットし、例外は議会の採決で出席を義務づけられたオランダだけだったという。スレーター氏は、「本当のならず者国家はどちらなのか。」と問いかけた。
スレーター氏はまた、退役軍人情報専門家協会(Veteran Intelligence Professionals for Sanity)の創設者レイ・マクガヴァン氏が、軍・産業・議会・情報機関・メディア・学界・シンクタンクの複合体(MICIMATT)の一角とみなす報道が、核兵器のさらなる拡散の危険性ばかりを喧伝していると批判する。その一方で、加速する核軍拡競争や、米国による宇宙兵器化の動きに歯止めをかける機会には、ほとんど目が向けられていないという。そうした動きの象徴として挙げられるのが、今後数年間で1500億ドル規模に達すると見積もられる米国の「ゴールデン・ドーム」構想である。
スレーター氏はさらに、「宇宙を平和の場として維持することと、ロシアと中国が核軍縮交渉に応じる意思との間には、明確なつながりがある」と指摘する。それは、ゴルバチョフがレーガン大統領に対し、米国が『ビジョン2020』に示した宇宙支配構想を放棄するのであれば、米ソ両国の核兵器廃絶に応じると提案した時代にまでさかのぼる。だがレーガン大統領は、核廃絶の考え自体には好意的だったものの、「スター・ウォーズ」構想を断念しようとはしなかった。
ロシアと中国は2014年と2018年、ジュネーブの国連軍縮会議で、宇宙空間への兵器配備と武力行使の防止に関する条約案を提出した。だが、米国はこれを阻み、協議そのものにも応じなかった。さらに両国は、2025年5月の第2次世界大戦終結80年に際して、世界的な協力を呼びかける提案を公表し、「国連の中心的な調整役割」を支持するとともに、「戦略的安定性」を高めるための複数の措置を打ち出した。とりわけ、米国の「ゴールデン・ドーム」計画を批判し、自ら提案してきた条約案に基づく法的拘束力のある多国間文書の締結に向けた交渉を早期に開始する必要があると訴えた。さらに、「宇宙空間に最初に兵器を配備しない」との国際的な誓約を推進していく姿勢も示した。
スレーター氏は、世界の平和運動と軍備管理運動がこの呼びかけを真剣に受け止め、宇宙を兵器や戦争のない空間として維持するための条約交渉に各国政府が参加するよう促せば、核兵器廃絶に向けた新たな道が開かれる可能性があると述べ、「いまこそ平和に機会を与える時だ。」と訴えた。
一方、核不拡散条約(NPT)の締約国は、2026年4月27日から5月22日まで国連本部で開かれる2026年NPT運用検討会議に臨む。今回の運用検討会議は、核兵器保有国が関与する武力紛争、とりわけロシアによるウクライナ侵攻と米国・イスラエルによるイラン侵攻によって核の脅威が高まる中で開かれる。
核不拡散・軍縮のための国会議員連盟(PNND)は、「このため、ニューヨークでの審議と交渉はきわめて困難になるだろう。しかし同時に、きわめて重要でもある」と指摘している。PNNDは、核リスクの低減、核軍備管理、共通の安全保障、そして核兵器の世界的廃絶の前進を通じてNPTを支えるため、各国議会での活動とも連携しながら、今回の運用検討会議に積極的に関与していく方針だ。(原文へ)
INPS Japan
関連記事:
「力こそ正義」の新世界秩序
軍事支出の増大を止める機会を逸してきた代償
世界の核保有国による核実験の後遺症は、膨大な数に及ぶ被害者に壊滅的な影響を与え続けている
NPT再検討会議が開幕、イランめぐる対立で「コンセンサス」の脆弱性露呈
【国連本部INPS Japan/ATN=アハメド・ファティ】
核兵器不拡散条約(NPT)の2026年再検討会議が4月27日(月)、ニューヨークの国連本部で開幕した。世界が再び核の危険に向かいつつあるとの警告が相次ぐ中、開幕早々、イランの副議長職をめぐる対立が表面化し、NPTのコンセンサス重視の枠組みの下に潜む政治的脆弱性を露呈した。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は各国代表に対し、核時代をめぐる記憶が危険なほど風化しつつあると警鐘を鳴らした。かつて子どもたちは机の下に身を隠す訓練を受け、核攻撃に備えたシェルターが建設され、核実験は地域社会と環境に甚大な被害をもたらした。核の脅威や軍拡競争、不信が再び強まる中で、そうした記憶は薄れつつある、とグテーレス氏は指摘した。
グテーレス氏は各国に対し、NPT上の義務を履行し、保障措置を強化し、核戦争を防止するとともに、人工知能(AI)や量子コンピューティングを含む新たなリスクに対応できるよう条約を適応させることを求めた。その訴えは明快だった。世界は、知らぬ間に再び核の危険へと向かう余裕などない、というものである。
第11回再検討会議の議長を務めるベトナムのドー・フン・ヴィエト大使も、冒頭から強い危機感を示した。世界の軍事支出は過去最高水準に達し、核兵器は近代化・増強され、軍備管理の枠組みは弱体化している。核兵器使用の可能性は、もはや外交官や軍事計画担当者が想定する最悪のシナリオの中だけにとどまらない、と同氏は述べた。さらに、NPT締約国がコンセンサスに基づく最終文書に合意できたのは2010年が最後であることも指摘した。
「これは単なる会議ではない」とヴィエト氏は各国代表に語り、その成否は国連の壁の内側にとどまらず、今後5年間を超えて影響を及ぼすと警告した。
しかし、最初の本格的な試練は、軍縮に関する文言や最終文書をめぐるものではなかった。焦点となったのはイランだった。
米国は、イランが会議の副議長の一人に選出されたことに異議を唱えた。米国は、保障措置や国際原子力機関(IAEA)との協力をめぐるイランの実績を踏まえれば、同国はNPT体制を守ることを使命とする会議で指導的役割を担うにふさわしくないと主張した。さらに、イランは条約上の義務を軽視し、IAEAに十分協力せず、正当な民生上の必要性を大きく超える水準までウラン濃縮を進めていると非難した。
オーストラリアも米国の異議を支持し、イランはIAEAに協力せず、保障措置上の義務を尊重していないと述べた。英国も英仏独3カ国を代表して発言し、イランが会議指導部に加わったことへの懸念を公式記録に残した。
アラブ首長国連邦(UAE)は、地域諸国の中でもとりわけ厳しい異議を表明した。UAEは、イランの行動が再検討会議の信頼性を損なっていると述べ、同国が検証を妨害し、地域を不安定化させ、航行の自由を脅かし、ホルムズ海峡を経済的威圧の手段として利用しようとしていると非難した。
イランはこれらの非難を退け、政治的動機に基づくものであり、会議の進行を操作しようとするものだと反論した。テヘランは、2015年の核合意からの米国の離脱、米国による核戦力の近代化、イスラエルへの支援、さらに、保障措置下にあるイランの核施設への攻撃とされる行為を挙げ、ワシントンの二重基準を批判した。またイランは、米国とオーストラリアの副議長選出についても、同意しない立場を示した。
その後、ロシアはイランを公然と標的にする動きに反発し、会議初日から政治問題化すべきではないと警告した。モスクワは、懸念事項は一般討論や主要委員会の場で扱うべきであり、一締約国に対する政治的攻撃として持ち込むべきではないと述べた。
この対立は採決には至らなかった。代わりに、異議を唱えた国々が異議を公式記録に残すことが認められた。これにより、NPTが長年維持してきたコンセンサスの慣行は守られたものの、政治的な傷口は開いたままとなった。
この問題は、ヴィエト氏が記者会見場に移った後も尾を引いた。
同日遅くに開かれた記者会見で、ATNニュースはヴィエト氏に対し、核問題に関わる主要国、地域グループ、締約国との数カ月に及ぶ協議を経ても、なぜイランの立候補を事前に収拾できなかったのかと質問した。とりわけ、2025年にイランが関与した紛争後の緊迫した政治環境を踏まえた問いだった。
ヴィエト氏は、イランは数カ月前、非同盟運動(NAM)によって副議長候補の一団の一部として指名されたと説明した。ただ、その立候補に対する懸念が表面化したのは、会議開幕の約1週間前だったという。同氏は、規則上、各国は無記名投票を含む採決を求めることができると述べる一方、NPT再検討会議では、手続き上または実質的な問題について、これまで採決が行われたことはないと指摘した。
ヴィエト氏は、多くの締約国の支援を受けながら、採決の回避に努めたと述べた。採決に踏み切れば、条約のコンセンサスに基づくプロセスに有害な前例を残す可能性があったためである。その結果、各国は決定に同調しない立場を記録に残すことで合意した。
この説明は、会議が抱える中心的なジレンマを端的に示していた。NPTが権威あるメッセージを発するにはコンセンサスが不可欠である。一方で、コンセンサスは外交上の圧力弁にもなり得る。各国が決裂を回避しつつも、根底にある対立を未解決のまま残すことを可能にするからである。
ヴィエト氏は、NPT体制が平穏な状況にあるとは見ていなかった。同氏は記者団に対し、NPT体制はその歴史上、最も困難な局面の一つに直面しており、条約の存在意義と信頼性が問われていると述べた。また、過去2回の再検討会議が成果文書でコンセンサスに達しなかったことを踏まえ、今回の会議では、履行を強化するための実践的かつ具体的な措置を打ち出す必要があると強調した。
合意に基づく成果文書を得られない会議でも成功とみなし得るのかと問われると、ヴィエト氏は、コンセンサスによる成果文書こそが締約国間の合意を最も明確に示すものだと述べた。3回連続で合意に至らなければ、NPT体制の信頼性と強さについて極めて憂慮すべきメッセージを発することになる、と同氏は警告した。
1970年に発効したNPTは、不拡散、核軍縮、原子力の平和利用という三つの柱に基づいている。核兵器の拡散を抑制する中核的な法的枠組みであり続けている。しかし4月27日の開幕は、これら三つの柱すべてが大きな圧力にさらされている現実を示した。
核兵器国は核戦力の近代化を進めている。軍備管理協定は弱体化している。北朝鮮はNPTの枠外にとどまり、核開発を続けている。イランは、保障措置とウラン濃縮をめぐる深刻な対立の中心にある。ロシアによるウクライナ戦争は、核による威嚇と原子力施設の安全という問題を、国際安全保障の中心課題として再び浮上させた。中東では、1995年NPT再検討・延長会議で採択された「中東に関する決議」が求めた、核兵器およびその他の大量破壊兵器のない地帯の創設がいまだ実現せず、影を落とし続けている。
一般討論では、ウクライナと同国を支持する国々が、ロシアによる戦争、核をめぐる威嚇、ザポリージャ原子力発電所の占拠を非難した。フランスと北欧諸国は、ロシア、中国、イラン、北朝鮮をめぐる懸念を表明した。オーストラリアは、AUKUSに基づく原子力推進潜水艦計画について透明性を強調し、同計画が不拡散体制の強化につながるようIAEAと協力していると述べた。カザフスタンと中央アジア諸国は、非核兵器地帯を実践的なモデルとして示し、途上国は保健、農業、エネルギー、開発のために原子力技術を平和利用する権利を強調した。
今のところ、会議はイランをめぐる手続き上の決裂を回避した。しかし、それを引き起こした政治的亀裂を解消したわけではない。
NPT再検討会議は、コンセンサスという従来の理念の下で幕を開けた。だが初日の終わりまでに、そのコンセンサスは、不信、戦争、二重基準、そして核をめぐる不安によって早くも試されていた。条約は最初の衝突を乗り越えた。抑制よりも抑止へと傾きつつある世界の中で、4週間にわたる外交を乗り切れるかどうかが、今や真の試練である。(原文へ)
Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/iran-clash-tests-npt-consensus-as-treaty-review-opens-at-u-n
INPS Japan
関連記事:
国連、核不拡散条約再検討会議を前に「重大な圧力」を警告
世界の核保有国による核実験の後遺症は、膨大な数に及ぶ被害者に壊滅的な影響を与え続けている。
|中東|核の火種となり得る地域:戦略力学と核リスク
