【コトヌーIPS=アリ・イドリス・トゥーレ】
西アフリカのベナン共和国の人々は、ケレク大統領が2006年の大統領選での再選を断念したことを喜んでいる。だが同氏は自ら進んでこの決断を下したわけではなかった。
ケレク大統領は1972年から89年まで軍指導者として国を率いた。(この間マルクス・レーニン主義に基づく社会主義を国是としたが、経済状況が悪化し、1989年の東欧における社会主義崩壊を受けて1990年3月に国民革命議会を解散した:IPSJ)1991年の大統領選でM.ソグロ氏(元世銀理事:IPSJ)に敗れたが、1996年3月の大統領選で返り咲き、2001年3月に再選し2期目を務めている。
ベナン共和国では1990年2月に憲法で大統領の任期を2期10年までと定めているが、2001年にケレク大統領と同時期に再選を果たしたウガンダのムセベニ大統領とチャドのデビー大統領はそれぞれ大統領の任期を2期までと定めた憲法を改正し、来年の大統領選で3期目を目指している。
この2年間、ベナンのマスコミでは同じように憲法を改正すべきか否かという議論が白熱し、国を2分してきた。しかし7月11日に教員団体との会合において、ケレク大統領は初めて任期を2期で終わらせるという意向を示した。
民間新聞数紙はケレク大統領の決定を支持しつつ、「憲法改正に対して民衆が一斉に異を唱えたこと」がこの決定をもたらしたとする記事を掲載した。憲法改正に必要な議会の5分の4の賛成、あるいは国民投票の承認を得ることが難しいと同氏が自ら判断しなければこの決定はなかった。
市民社会団体連盟のスポークスマンのR.グベグノンビは「市民団体が一致団結して声を上げていなければ、憲法はずっと前に改正されていただろう」と述べ、NGOのELAN代表R.マドゥマドゥ氏も「国益が危機に晒されたときには市民が一斉に異を唱えなければならない。今回成果を上げたことを誇りに思う」と述べた。市民グループは、統治中の独断からマスコミによって「カメレオン」と呼ばれるケレク大統領の監視を怠ってはならないと警告している。
アフリカではトーゴのエヤデマ大統領、チュニジアのベンアリ大統領、ガボンのボンゴ大統領、ギニアのコンテ大統領と憲法を改正して再選を果たす大統領が大勢いる。このような動きを抑制するベナンの状況について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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