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Institutional Highlights核のない世界への道は険しいが、あきらめるという選択肢はない。(寺崎広嗣創価学会インタナショナル平和運動総局長インタビユー)

核のない世界への道は険しいが、あきらめるという選択肢はない。(寺崎広嗣創価学会インタナショナル平和運動総局長インタビユー)

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】

ATNアハメド・ファティ:今日は、創価学会インタナショナル(SGI)の寺崎広嗣総局長を迎えられて光栄に思います。SGIは核軍縮の分野に焦点を当てた活動をアジアのみならず世界中で展開している主要なNGOです。まずは、世界各地に多くのメンバーを擁するSGIの背景についてお話しいただけますでしょうか。

寺崎広嗣:創価学会インタナショナルというのは、略してSGIと呼んでいますが、日本における創価学会という仏教団体が設立した国際機構です。各国とのネットワークを活かし、様々な活動の連携を図っていますが、特にSGIは国連のNGO、ECOSOCとの協議資格を持つNGOとして、 国連が取り組むイシューに、一貫して国連支援の立場で、大きくコミットしてきました。

戦後日本において、私たちの団体が大きく発展していく時代は、世界は核軍拡の時代でもありました。核兵器は生存の権利を奪う、絶対悪ともいうべき存在。まさに私たちの倫理観、あるいは人間観、生命観からいって、この核兵器という存在は、何としても廃絶をしなければならない。これが戦後一貫した私たちの平和運動の原点となりました。

その根っこにある人類の生存の権利を守るというのは、今日ではもちろん人権やあるいは持続可能な開発目標(SDGs)はもちろん、人道等々、国連のさまざまな活動にも広がってきたというのが今日までの歴史だと思います。

世界中に1200万人ぐらいのメンバーがいますが、まさにこの平和を目指すSGIのネットワークに参加をして、各地でさまざまな活動を推進しています。

資料:ATN

ATN:非常に印象的です。一千万人を超えるメンバーを擁するNGOにお目にかかることはめったにありません。日本での活動目標は何でしょうか。とりわけ今は2022年核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加されている訳ですが、国際社会へのメッセージは何でしょうか。

寺崎:冷戦後では、核兵器をめぐる、もっとも緊張した状況下に現在の世界はあります。そういう意味では今までの核軍縮、核のない世界を目指す取り決めであったこのNPTが、本来の目標に向かって各国が軍拡ではなくて軍縮に本来の道筋を見出せるか、そんな新しい一歩を始められるかどうか。これは本当に大事な局面に私達は立っていると思います。そういう意味で、私たちは各国の主張は尊重しながら学んでいますけれども、しかしもう一度この局面で各国の背中を押すために、核兵器という存在は人類の平和や安定を守るものではないという明らかなメッセージを、市民社会側として発信していきたい。そういう強い気持ちで私たちもこのNPTの再検討会議に参加をしています。

ATN:昨日国際安全保障・不拡散担当国務次官の記者会見に出席した際、私は、米国政府はなぜ、核不拡散・核軍縮の立役者である核兵器禁止条約(TPNW)に協力的ではないのかと質問しました。すると国務次官は技術的な問題があるだけだと答えたのです。つまり、中核的な原理原則には同意しているが、問題の大半は検証システムに関する法的なものだというのです。また国務次官は、米国は過去数十年で、自国の核兵器の80%を処分したと付け加えました。しかし現実には米国とロシアがそれぞれ6000発の核弾頭を保有しています。大国間の利害が対立するこの世界で、いつか本当に核兵器のない世界を見ることができると楽観的に考えておられますか。

寺崎:将来、それはやっぱり人類、あるいは各国の国民である私たち一人ひとりがやはり核兵器という存在がどういうものか。この本質を学んで共有するということがないと、どうしても政治の場で外交上の問題として扱ってしまうだけだと、それはなかなか軍縮への議論が進まないだろうと思います。

Photo credit: Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director of IDN-INPS.
Photo credit: Side event during the 1st Meeting of State Partieis to TPNW held in VIenna. Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director of IDN-INPS.

そういう意味ではTPNWが昨年発効しましたけども、そして6月に第1回目の締約国会議が開催されましたが、改めてやはり核兵器は禁止すべきものである、この理念を共有することは非常に重要なことだと思います。もちろん、現実からそこに至るまでのプロセスをどうやって進めていくのか。これはやはり我々も智恵を出し、声を出していかなければならないと思います。しかし、まず禁止すべきものである、そこを目指す。その強い意志がないとそのプロセスはやはり進まない。NPTが「核のない世界を目指す」のだとすれば、この禁止条約を通過しなければならないということは自明なことです。

NPTが礎石として大事なものだと、各国とも仰っていますが、であるならばそこへいたる一歩一歩を具体的な提案をして議論を深めるべきだと思います。

核兵器は、人類をまさに人質にしていると言っていい。この核兵器の威力が現状の世界を作っている。そのことに 普段、核兵器は我々の目の前にないので、そのリアリティを感じる人が少ない。であるがゆえに、私たちは市民社会における教育の活動を通して、この存在を明確に認識してもらう。それがプロセスを進めていくための最大のベースになると思っています。市民社会側の私たちは辛抱強く、また更に力を入れて進めていきたいと思います。

ATN:私はあなたの志に共感します。ここで、世界の民衆は団結して核廃絶を要求すべきだという主張について質問させてください。たしかに民主主義国である日本や韓国、欧州諸国の間では、核廃絶に向けた対話は可能でしょう。しかし、ロシアや中国、北朝鮮、そしてIAEAの事務局長が「核兵器を保有するために馬のように疾走している」と述べたイランのような新参者を含む全体主義体制を持つ国についてはどうでしょうか。私達は依然として民主主義国家と全体主義・権威主義政権の対立の中にいるという点について、ご認識は共有されていますでしょうか。このシナリオでは、もし民主主義国が核兵器を放棄すれば、核保有国は権威主義政権だけになりますが、こうした現実はあり得ると思われますか。

Photo: UN General Assembly Hall. Credit: UN
Photo: UN General Assembly Hall. Credit: UN

寺崎:もちろん、そのために全体がだんだん軍縮を確実に進めていく、そのためのスキーム、そのための考え方の共有というものがなければいけないと思います。

基本的に核兵器保有国というのはお互いの疑心感、猜疑心があるから、なかなか軍縮の方向に進まない。そのベースにやっぱりもっともっとお互いの安全保障のあり方を語り合うということが、外交の場でなされなければなりませんね。多分、核兵器を持ってる国でさえ(この維持だけでも大変な経費がまずかかりますが)、持ってるがゆえに、恐怖心がある、自分自身が怯える側になってしまいます。その悪循環なのですね。

私たちは今回NPTに来て、まずお互いに核兵器は相手が使わない限りは絶対私たちも使わない。すべての核兵器国がこの先制不使用の政策を採用するだけでも当面の話し合いのスペースができる、時間を確保できる。そこからまずスタートしてはどうかと主張しているところです。

ATN:最後にもう一つ質問させてください。SGIは今日ここ国連本部でサイドイベントを開催し、非常に多くの参加者がありました。このサイドイベントからのメッセージは何ですか。

NPT Review Conference side event "Avoiding Nuclear War: What Short-Term Steps Can be Taken?"/ Photo credit: Katsuhiro Asagiri. IDN-INPS Multimedia Director
NPT Review Conference side event “Avoiding Nuclear War: What Short-Term Steps Can be Taken?”Photo credit: Katsuhiro Asagiri. IDN-INPS Multimedia Director

寺崎:一般討論では、まずリスクをどうやって低減化させるか、このリスクをどのようにしたら低減できるか、多くの国が触れていましたが、今、このためのいろいろな考え方があると思います。皆、何かをやらなければ次にはいけない、これはたぶん共有感があるのだと思います。だからこの危機的状況の中で何かしらの方向に合意が成り立つということを通して、今後の展開に向かって学ぶことの多い一歩というものを、締約国みんなでぜひ作り上げて欲しい。

成功の経験を積み上げていくということの中でしかプロセスは進まないですね。

その執念というのは、核のない世界を目指さなければ、本当に自分たちの平和や安心はないのだと、そこにどれだけ多くの国々が強い自覚を持っているかにかかっています。これは私たち市民社会も同様に持ちながら、執念をもって語り合う側に私たちもいたいと思っています。

ATN:寺崎総局長。大変ご多忙ななか、インタビューに応じてくださり、心より感謝しています。世界の人々と共有される(核なき世界という)共通のビジョン実現に向けたSGIの取組みが成功することを祈っています。NPT再検討会議は始まったばかりで、今後数週間にわたる協議を経て最終文書の合意が、目指されるわけですが、ATNとしても今後のSGIの活動に注目してまいりたいと思います。

寺崎:有難うございます。私達のようなNGO/市民社会の方へ関心を持って頂いて、このようにインタビューをして頂いたことに、心から感謝申し上げます。また励みにして頑張ります。

ATN:光栄です。有難うございました。英文へ)(ATNサイトへ

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