【キャンベラIPS=ボブ・バートン】
11月初頭に、鳥インフルエンザ問題を話し合うアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれる予定であるが、ジェネリック薬の製造を推進する必要性について討議がなされる見通しはない。
そんな中、ブディーマ・ロクージ博士らが、鳥インフルエンザ用の医薬品製造の特許を持っているロシュ社が米国において生産量を拡大させているものの、多くの国にとってそれは不十分であると主張する論文を『オーストラリア医療ジャーナル』に掲載した。とくに、ラオス・ベトナム・カンボジアなどのような被害が拡大する可能性が高い国にかぎって、医薬品を購入する資金が不足していると指摘されている。
現在のところ、鳥インフルエンザ用の薬のわずか1%がアジア諸国向けに販売されているに過ぎない。ロクージ博士らによれば、現在の価格のまま十分な量の薬を確保しようとすると、オーストラリア・カナダ・米国のような先進国においては、医療予算のわずか1%を必要とするだけである。しかし、途上国に目をやると、中国の医療予算の28%、カンボジアは54%、インドネシアは67%、ベトナムは75%、ラオスにいたっては173%が必要となる。
オーストラリアのハワード首相は、10月26日、パプア・ニューギニアにおいて開かれた太平洋諸島フォーラムの場で、今後4年間にわたって太平洋諸国に対して行なう鳥インフルエンザ対策支援を発表したが、わずか150万ドルが準備されたに過ぎなかった。これに対してオーストラリア緑の党のボブ・ブラウン上院議員は、ハワード政権は「テロとの闘い」にばかり執着して、流行病の発生予防に力を尽くすことを怠っていると批判している。
オーストラリアより、鳥インフルエンザ対策用のジェネリック薬をめぐる攻防を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan