【カトマンズIPS=マーティ・ローガン】
ネパールのギャネンドラ国王が2005年2月1日にクーデターで政権を掌握してから約1年がたつ。その後、昨年9月からの約3ヶ月間の停戦期間を除き、国王派と反政府勢力の毛沢東派共産ゲリラ(マオイスト)との戦いはやむことなく続いている。にもかかわらず、国王は自らの設定したロードマップにこだわっている。
2月8日には58の町での地方選、2007年には国会選挙、そして3年以内に多党制民主主義へと復帰するとされている。しかし、マオイストをはじめとする反政府勢力は、地方選をボイコットし妨害する意図を明確にしている。マオイストはすでに、1人の立候補者を1月24日に殺害し、別の1人を1月30日に銃撃している。翌31日には、マオイストと国軍・警察の間で大規模な戦闘になり、20人の警官と50名の反乱軍側兵士が死亡した。
すでに、600名以上の立候補者が、マオイストからの報復を恐れて立候補取り消しを申し出ている。元カトマンズ市長ケシャブ・スタピット氏は、王党派打倒のために自らの率いる小政党から立候補しようとした。しかし、政府側が彼を国王寄りの候補者と宣言する動きがあったため、立候補をあきらめざるを得なかった。彼の元には、立候補をやめるようマオイストから毎日電話があったという。
こうしたネパール情勢に対して外国はどう関わっているのだろうか。中国は当初、ネパールの危機を「内政問題」と評していた。しかし、1月になってから態度を変え、関係各党派に歩み寄りを求める姿勢を打ち出した。インド・イギリス・米国は国王への軍事支援を停止しているが、国王側はこれを意に介さず、中国やパキスタンとの関係を構築しようとしている。また、米国政府は、太平洋軍司令官のウィリアム・ファロン大将をネパールへ送り、米政府の深刻な懸念を伝えさせている。
混乱の収まらないネパール情勢について伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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