【カイロIPS=アダム・モロウ】
改革派の裁判官による抗議が高まるなか今週、諮問議会は司法の独立を強化するための改正法案を原則的に承認した。国際問題を扱う国立研究機関Al-Ahram Centre for Political and Strategic Studiesのモハメド・サイド氏は「改正法案は従来のものと変わらない。今回の議会での法案承認により、裁判官は司法の独立性を求めた闘いに敗れたことになる」と語った。
司法権法(Judicial Authority Law)は、野党議員からの強い反発にも関わらず、与党国民民主党の党員に広く支持された。マフムード・アブーライル法務大臣は「法案通過は、司法の独立を実現に向けた大きな成果となった」と賞賛した。
今回の改正法案では名目上、法務長官の任命は政府の権限ではないことや、司法の予算決定権の独立を保障することが盛り込まれている。しかし、司法相は今後も裁判官に関する事項を掌握し、高等司法評議会の議員任命も政府が引き続き行うことになるだろう。
司法権の独立性を強く求めるH.el-Bastawisi裁判官は、今回の法案を厳しく批判。「この酷い法案は我々に何も利益ももたらさないだろう。政府は改革や自由選挙、裁判官の独立性など全く無視している」と非難した。
一方で、H.el-Bastawisi裁判官は「我々は今後、エジプト国民をはじめ世界中の人々に(司法改革を掲げながらも全く実行する意図が見られない)同国の恥ずべき対応を伝えていくつもりだ。我々はこれからも独立を求めて闘い続ける」とIPSの取材に応じて語った。
エジプトで司法権法が承認されたものの、実際の司法改革は期待できないと疑問を呈する専門家たちの諸議論を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan