【サント・ドミンゴIPS=ディオゲネス・ピナ】
ドミニカ共和国政府は7月24日、強力な犯罪取締りに乗り出し、およそ15,000人の警官と兵士が夜間、主要都市の街頭パトロールに当たった。この背景には、殺人事件を含む犯罪率の急増がある。公式統計によれば、殺人事件の件数は2001年の1,086件から2005年には2,382年に増加、その間の殺人事件総件数は9,300件にのぼっている。
政府は、日曜日から木曜日までは午前0時に、金曜日と土曜日は午前2時にアルコールの販売を停止する法令を発布。年間400万人近くもの観光客が訪れ、観光が主要収入源であるドミニカのスーパーマーケット、バー、レストランに大打撃を与えている。
全国ホテル・レストラン協会は、売上が25~40%落ち込んだとし、制限規定の緩和を政府に求める公開書簡を発表した。
政府は、パトロール要員を増強するため、従来は警察が担当していた公共機関の警備を陸海空軍部隊に任せ、さらには公人の警護も警察ではなく軍の職務とすることを発表した。
重装備の兵士が街頭を警備するこの防犯策は直ちに効果を見せた。最初の1カ月で逮捕者は10,303人にのぼり、取り調べにあった車両は29,525台、1,179台が適切な書類がないとの理由で押収された。
サント・ドミンゴ技術大学の社会学部長エルサ・ロペス氏は、IPSの取材に応え「戦争でもないのに、街には兵士が溢れている。住民は外出もできない」、まるで「非常事態」にあるようだと述べた。
フェルナンデス大統領は、取締りの効果を評価し、人命第一を理由に取締り強化の意向を強調しているが、専門家からはこうした「軍事化」は犯罪防止の解決策にはならないとの批判が上がっている。保健・教育・住宅サービスの不足と高い失業率が犯罪の要因と指摘する専門家らは、政府がこうした基本サービスへの予算を増大し、地域社会自体が自らの治安に関わることが有効と訴えている。
犯罪の取締りに警察と軍の連携を進めるドミニカ政府の施策について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan