【ワシントンIPS=ガレス・ポーター】
米国のディック・チェイニー副大統領に近いとみられる米政府「高官」筋が、アフガニスタンで活動するタリバンに対してイランが武器支援をしているとの説を各種メディアに流している。
しかしながら、この見方に対しては、即座に否定的な反応が出てきた。ロバート・ゲーツ国防長官は、イランがタリバンに武器を密輸している証拠は何もない、と6月4日の記者会見で語った。
また、北大西洋条約機構(NATO)のアフガニスタン現地司令官であるダン・マクニール大将も、イラン領土内からの武器密輸は、イラン政府ではなく私的集団によって行われているものだとの見方を示した。
ゲーツ氏もマクニール氏も、アフガニスタンからイランへ向けたヘロインの流れが対タリバン武器密輸と関連があるとみている。つまり、ヘロインを売却して得た資金で武器を買い、自衛のために使うというわけである。
「イランがタリバンを支援している」というチェイニー氏らの説は、「イランがイラクのシーア派武装集団を支援している」という同グループが今年はじめに流したうわさの焼き直しであり、いずれも根拠が薄い。チェイニー氏らは、イラン諜報筋とタリバン司令官が接触を持っているとの情報を米諜報筋から得て、その情報だけを頼りに「タリバン支援説」を宣伝しているものと思われる。
しかし、歴史的にみるとこうした見方には無理がある。イランは長年にわたってタリバンを敵だとみなしてきた。それは単に、シーア派のイランがスンニ派のタリバンを嫌っているということではなくて、イランとの関係が良好でないパキスタンがタリバンを支援しているということがイランにとっては問題なのである。
チェイニー米副大統領らによる「イランによるタリバン支援説」について検討する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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