【カトマンズIPS=ダマカント・ジェイシ】
ネパールの和平プロセスに対する共産党(毛派)の注文が日ごとに強くなってきている。まず問題になったのが、毛派兵士の動員解除だ。
毛派は、06年5月25日時点で18才未満か、同日以降に入隊した兵士は、同派のキャンプを離れなくてはならないという条件にかつて合意していた。しかし、国連ネパールミッション(UNMIN)の監視の下で行われているこの動員解除プロセスを毛派は妨害し、動員解除よりも先に、治安部門改革の中に毛派元兵士を組み込む計画の策定がまず先だとの条件を突きつけてきた。
7つの主要宿営地および21の副宿営地における第1段階の調査では、毛派の兵士が3万892人、武器が3428個あることがわかった。しかし、兵士数に比して武器数が少ないのではないかとの疑問が他政党やネパール軍などからは出されている。
他方で、毛派のプラチャンダ議長は、UNMINが毛派の人民解放軍の兵士40%を動員解除するという目標をあらかじめ設定していることを非難した。また、DDR(disarm, demobilise and reintegrate=武装解除、動員解除、再統合)モデルを適用して人民解放軍を破壊しようとしていることについても非難した。
しかし、UNMIN側は、毛派を含めた8党派の間で昨年合意されたことを実行しているに過ぎないと反論している。毛派が宿営地査察の一時停止を求めて以降、毛派を含めた与党各党派とUNMINの間で何度か協議が行われた結果、7月18日、毛派のナンバー2であるバブラム・バッタライが、査察プロセスをあらためて容認することを示唆した。
ジャーナリストのカナック・マニ・ディクシット氏は、こうしたプロセスの中で毛派が世間の目を徐々に気にしだしていることを好意的にとらえ、「毛派はひとつの政治政党へと脱皮しつつあることをこれは示している」と話した。
ネパールでは、毛派の動員解除に加えて、新憲法制定という大きな政治課題も待っている。制憲議会のための選挙は、11月22日に予定されている。
ネパール毛派の動員解除の問題について伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan