【ワシントンIPS=ジム・ローブ】
ケニアで起きている選挙後の騒動により、紛争が続く東アフリカ地域で米国が長期にわたり最も信頼していた国の将来が危ぶまれている。ブッシュ政権はフレーザーアフリカ担当国務次官補を首都ナイロビに派遣し、キバキ大統領と野党指導者オディンガ氏との仲介を試みた。
少なくとも600人の命を奪った危機の発端は、12月30日に選挙委員会がキバキ再選を発表したことだった。不正の証拠が認められたにもかかわらず、米国大使はキバキ大統領を祝福した。だが1月2日には、米国のライス国務長官、英国のミリバンド外務相、アフリカ連合(AU)が紛争をやめるようケニアに要請する事態となった。
フレーザー国務次官補の滞在は長引いている。さらにAUのクフォー議長が調停に乗り出す直前にキバキ大統領が一方的に閣僚指名を行ったことが新たな火種となりつつある。米国務省はキバキ大統領に失望の意を表明し、双方の話し合いによる解決の必要性を強調している。
ケニアは東アフリカにおける米国の経済および地理戦略上の重要なパートナーである。ケニアが紛争により機能不全に陥ることは重大な問題だ。1998年のアルカイダによるケニアの米国大使館爆破事件、2002年のモンバサのホテル襲撃事件もあり、米国はケニアを反テロ活動の重要な同盟国として、多額の支援を行ってきた。
だが軍事基地の使用許可やイスラム教徒の容疑者引渡しなどの米国への協力は、ケニアのイスラム社会からは疎んじられ、多くのイスラム教徒は野党に投票したとみられている。
ケニアの港や交通インフラは東アフリア地域の商業および人道支援の中心的役割を担ってきた。2011年に独立する可能性のある南スーダンは、石油を含む交易をモンバサ経由で行う見込みであり、ケニアの重要性はさらに増すものとみられている。
米国政府はケニアを民主主義と経済成長によりアフリカのモデル国として称えてきた。だが実際には汚職や貧富の格差が広がっている。選挙後の混乱が続くケニアの情勢について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan