【タショロトショ(ジンバブエ)IPS=イグナチウス・バンダ】
ブラワヨ市内から南東へ約150km、マタベレランド州の辺境地の1つタショロトショ(Tsholotsho)では職を求めて周辺国へ出稼ぎに行こうとする若者で溢れている。しかし、家族を養うために故郷を離れた彼らを待ち受けているのは、HIV/エイズの脅威である。
WHO(世界保健機関)など現地の専門家によると、サハラ以南諸国での移民の増加はHIV/エイズの感染拡大を助長する原因になっており、移民労働者の生活の長期化や(農村部での)コンドーム使用率の低さなどがその背景にあるという。
国連の統計では、ジンバブエの平均寿命は女性が34歳、男性が37歳と世界で最も低い。
『南部アフリカ地域貧困ネットワーク( Southern African Regional Poverty Network: SARPN )』が発表した報告書(『Mobility and HIV/AIDS in Southern Africa』)も、ジンバブエの移民労働者は複数の性交渉相手を持つ場合が多いことや、男性のコンドーム利用が定着していないことを指摘。
ジンバブエでは経済危機のあおりを受けて多くの人々が職を求めて近隣諸国に移動している。同国政府は昨年、HIV/エイズの罹患率が減少したと発表した。しかし、国連開発計画(UNDP)やWHOは移民の増加の影響で正確な数値を得ることは難しいとして、政府側の公式発表には疑問があると論じた。
タショロトショで活動するNGO職員Maria Guyu氏は、若者の移民労働者の急増がHIV/エイズの感染を一層拡大させていると主張している。「タショロトショのような町には、(抗レトロウイルス薬など)十分な治療薬も無ければ、医者や看護士、(患者に必要な)食料さえも不足している」と農村部を取り巻く厳しい現実を嘆いた。
HIV/エイズの蔓延が深刻化するジンバブエの辺境地について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩