地域アフリカケニア暴動の原因は部族憎悪、選挙だけではない

ケニア暴動の原因は部族憎悪、選挙だけではない

【ナイロビIPS=ナジュム・ムシュタク

アナン前国連事務総長は1月27日、12月の選挙以来続いている暴動の犠牲者と懇談の後記者団に対し、「混乱の背景にある資源の平等配分といった根本的問題に対処しなければ、3、4年後には再び同じような事態になる」と述べた。

アナン氏の調停によりキバキ大統領と野党リーダー、オディンガ氏との対話の構造が出来上がり、両者は先週対話継続を誓い握手を交わしたが、暴力の波は激しさを増している。

キクユ族のキバキ大統領、ルオ族のオディンガ氏が和解し、合意に沿って権力分割を行っても、長期に亘る部族間暴力の経済的/政治的根本原因は去らないだろう。

 リフト・バレーで緊急アセスメントに当たっているデンマークの救援ワーカーは、「部族間憎悪を原因とするのは余りにも単純な解釈である。土地、住宅、水へのアクセスが真の原因である」と言う。

ナイロビのメディア企業に勤めるミリセント・オグトゥ氏は、「不正選挙に対する抗議に加わっているのは、貧困者、失業者、土地を持たない者達のみだ。この階層の人々だけが暴力を働き、選挙に異議を唱えている」と語る。

実際、ナイロビで暴動が起こっているのは、キベラ、マターレ等のスラムやその他の貧困地区だ。オディンガ氏の出身地であるニャンザ州キスムなどでも同様の現象が見られる。
 
 ラジオ・ジャーナリストのラファエル・カランジャ氏は、「キバキ、オディンガに反対を唱えている中産階級がいるだろうか。選挙の効力を信じ、土地、住宅、飲料水といった基本問題の改善に繋がると期待した人々が抗議に立ち上がったのだ」と語る。

ナイロビには中産階級は存在しない。スラムか富裕地区だけだ。ナイロビ大学のある教授は「モイおよびキバキ政権の下、富裕層はスーパー・リッチになり貧困層は更に貧しさを増した。中間層は薄くなり、その殆どは貧困へ転落していった。部族間闘争の様相を呈している暴動は、実は広がる社会格差を根本原因としているのだ」と説明する。不正選挙に端を発するケニアの暴動について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan
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