【オスロIPS=タルジェイ・キッド・オルセン】
2月28日、オスロ警察はテロリスト支援容疑で3人のソマリア人を逮捕。その内1人は依然拘束されている。当局によると、3人は、国連支援のソマリア暫定政府と戦っているテロリスト集団に資金を送っていたという。
ノルウェーには約1万8,000人のソマリア人が暮らしているが、その多くは暫定政府に強硬反対しており、一部には、今回の逮捕はソマリア移民に対するノルウェー・メディアおよび治安当局の偏見/差別によるものとの批判も出ている。
ソマリアでは、1991年以降中央政府が機能していない。2006年にはイスラム法「シャリア」を奉ずるイスラム法廷連合が、モガディシュおよび南部ソマリアを支配したが、エチオピア軍の支援を得た暫定政府は、戦闘の末同年12月にイスラム法廷連合を打ち負かした。
今回逮捕された3人は、このイスラム法廷連合内の一部過激派「アル・シャバブ」に資金を提供していたというのだ。逮捕者の内、2人は尋問に対し、彼らの行動は、ロンドンに亡命しナチス占領に抵抗するため資金を送っていたノルウェー人と同じだと主張したという。
これについて、ノルウェー都市/地方研究所のハンセン上級研究員は、アル・シャバブの性格からしてこの主張は正しくないとしながらも、ノルウェーに住むソマリア人の多くは、アル・シャバブの実態を知らず、単にエチオピアおよび暫定政府に対する反対行動の一部としか理解していないのではないかと語っている。
しかし、エチオピア軍および暫定政府側も、民間人殺傷、略奪、メディア弾圧といった犯罪行為を行っていることが事態をより複雑にしている。(モガディシュでは、そのため市民の60%が避難を余儀なくされたという)
イスラム法廷連合による安定した時代を惜しみ、暫定政府およびその支援国に対するソマリア人の反感は強まるばかりだ。(米国は、東アフリカを対テロ戦争の新たな前線として、エチオピア軍によるソマリア侵攻を支持した)ハンセン氏は、「エチオピア/暫定政府の虐待を見過ごしアル・シャバブのみを非難する国際社会のダブル・スタンダードがソマリア人の怒りをかっている」と語っている。ノルウェーのソマリア移民逮捕について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan