【ブリュッセルIPS=デイビッド・クローニン】
欧州連合(EU)によるチャドへの欧州連合部隊( Eufor )の派遣をめぐり、チャドの独裁政権を支持しているとの非難が高まっている。Euforはダルフール難民および国内避難民の保護を目的に作られたが、その大部分はフランス人が占めている。
旧フランス植民地であったチャドでは、国民のフランス人に対する感情は決して良いとは言えない。また、「すでにチャド国内で別の軍事行動を展開しているフランス軍との区別ができない」との意見も出ている。
今年に入ってから首都のヌジャメナでは、反政府勢力と政府軍との戦闘が激化。その間、フランス軍はイドリス・デビ大統領率いる政府軍を支援し、攻撃型ヘリコプターが待機する空港で警備を行った。
また、2006年の反チャド政府組織『United Front for Democracy』による攻撃の時も、フランス軍はデビ大統領政権の後方支援にあたっている。
ドイツ人欧州議会議員(MEP)のTobias Pfluger氏は「Euforの派遣は場当たり的なものであり、その目的も明確でない」とEuforの活動停止を訴えた。
これに対して、チャド・スーダンのEU代表である外交官Torben Brylle氏は、Euforが国連安保理の指示のもと活動している点を強調し「派遣について、チャド国内の多くの指導者からの十分な理解は得られている。我々は治安の確保と人々の保護のために、ここに留まるのである」と説明した。
ドイツ人保守派MEPのMichael Gahler氏は「チャドの人々は『中立の立場にいる』白人兵士と、『政府軍の側にいる』白人兵士とを見分けることができるのだろうか」と懸念を示した。
EUはすでに派遣が予定されているEufor要員3,700人のうち、ほぼ半数の派遣を3月中旬までに完了した。残りは6、7月の雨季に入る前に配備する予定になっている。
チャドへの欧州連合部隊(Eufor)派遣をめぐる諸意見を報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩