地域アフリカ|スーダン|拷問を受けたとの申し立てで死刑判決に疑念

|スーダン|拷問を受けたとの申し立てで死刑判決に疑念

【ハルツームIPS=ブレイク・エヴァンス・プリッチャード】

2006年にスーダンの著名ジャーナリスト、ムハンマド・タハを殺害した容疑で2007年11月に有罪判決が下った10人について、弁護団が自白は拷問によって強要されたものだとし、免訴を主張。しかし3月8日、控訴が棄却された。 

日刊紙「al-Wifaq」の編集長だったタハ氏は、預言者ムハンマドの出自に疑問を呈した記事を発表したとして2005年に冒涜的な言動を非難されていた。後にこうした容疑は撤回されたものの、死刑を求める一般の声は高かった。 

拷問の申し立ては困難を伴う。人権団体で活動する医師がIPSの取材に述べたように、「刑務所も裁判所も、拷問が立証されないように、身体検査を遅らせる」さらに身体検査は担当裁判官が任命する公立病院の者が実施することが義務付けられており、人権団体や独立した病院による検査は容認されない。

 10人の主任弁護士カメル・オマール氏は、こうした拷問の申し立てを理由に逮捕され、1晩拘留された。彼はIPSの取材に、訴訟について発言を拒んでいる。 

しかし、昨年まで弁護団の一員だったムハンマド・シェリフ氏も、拷問が行われたことは明らかと、IPSの取材に対し述べている。 

スーダンの多くの人権派弁護士が、拷問はスーダンの深刻な問題と主張している。だが、依頼人に対する守秘義務からこうした主張を立証する具体的事例を明らかにできない場合が多い。ロンドンに本拠を置く「拷問に反対するスーダン組織(Sudan Organization Against Torture)」も、「スーダンの拷問者は法執行組織の一員であるため、一般に法の網を逃れる」と主張している。 

IPSの取材に応えた政府機関「人権諮問委員会」の報告者アブドゥール・モネイム・オスマン氏は、「スーダンは拷問の件数がもっとも少ない国のひとつ。人権派弁護士の主張は政治的目的のためであり、国際社会の同情を集めるためのものだ」と話し、タハ事件の公正さを主張した。 

アムネスティ・インターナショナルの最新の報告書によれば、スーダンはアフリカで死刑執行件数が最多であり、2006年には65人以上が死刑に処せられた。 

他の死刑判決についても疑念が生じるスーダンの拷問慣行について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 


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