【ヨハネスブルクIPS=スティーブン・リーヒ】
食料価格が高騰し、世界の数億人が飢えに苦しむなか、食料安全保障を守るための新しい方法が模索されている。これについて、「開発のための農業科学技術国際評価」(IAASTD)をめぐる国際会議が4月7日から12日まで南アフリカのヨハネスブルクで開かれる。
昨年は、食料価格が猛烈な勢いで高騰した。たとえば、トウモロコシは前年比31%、大豆が87%、小麦が130%といった具合である。世界の食糧備蓄はわずか40日分しかない。他方で、2050年までの間に人口がさらに30億人拡大するとみられている。
IAASTDには、30ヶ国の政府代表、バイオ技術産業、農薬産業、グリーンピースやオックスファムなどの国際NGOが参加している。彼らの報告は、人々を貧困から救い出すには地元の伝統的な知と定式的な知識を組み合わせることが必要だと結論づけた。
しかし、2つの巨大バイオ技術企業であるシンジェンタ社とBASF社が、IAASTD報告草案が遺伝子組み換え作物に対して警戒的すぎるとしてIAASTDプロセスから降りることになった。
ハーバード大学の農業政策の研究者であるロバート・パールバーグ氏は、IAASTDは1960年代の「緑の革命」をたんに失敗としてのみ描いていると批判し、バイオ技術を中心とした科学を貧しいアフリカ農業にもっと適用すべきだと主張している。
これに対してトロント大学のハリエット・フリードマン氏は、IAASTDはたんなる「意見」ではなく明確に「科学」的知見に基づいたものであると反論する。「バイオ技術産業は農業科学に対する視野が狭すぎる」と氏は批判した。
貧困層を救うための新しい農業のあり方について考察する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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