【ダッカIPS=ファリド・アーメド】
総人口1億5000万人のうち40%が1日1ドル以下の生活を送るバングラデシュでは、この1年間に米、小麦、豆類、料理用油の価格が2倍にも高騰した。米価格の高騰で、人々は1974年の大飢饉以来最悪の米不足に苦しんでいる。
昨年1月非常事態宣言の下、政権に就いた元世界銀行高官のファクルッディン・アーメド率いる現暫定内閣が時宜を得た施策をとらず、価格高騰を食い止めることができなかったことを非難する声が高い。
補助金を受けている粗末な品種の米の価格すら、この1カ月で24%、1年間で70%も高騰し、貧困層そして中流階級の人々も毎日その米を買うのに長蛇の列に並ぶ。そうした米屋の多くは、食糧暴動をおそれて、武装した自警団が警護に当たっている事態だ。
現在の危機は、昨年の洪水とサイクロンに世界的な価格急騰が加わり悪化したものだ。食料・災害対策大臣はこれが「隠れた飢餓」を生んだと述べている。
しかしエコノミストらは、暫定政権の熱心な不正・汚職対策と治安部隊による「愚かな」市場介入が事態の悪化を招いていると非難する。暫定政権は、今年末までの「自由公正で信頼に足る」選挙実施に向けて腐敗対策を推進している。
バングラデシュの稲作は、異なる稲を使い分けた3期作が行われており、政府は4月末に収穫を迎える品種ボロの豊作に期待をかける。この品種は米の年間総収穫高のおよそ60%を占めるからだ。
国内最大のNGOバングラデシュ農村向上委員会(BRAC)のマハブブ・ホサイン事務局長は、IPSの取材に応えて、政府は補助金による食料配給制度を強化して価格安定を図り、食料市場の変動に苦しむ低所得層を保護する必要があると訴えた。
政府によるさまざまな食料援助策も追いつかず、世帯収入の70%をも食費に充てなければならない事態にまで追い込まれているバングラデシュの状況について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩