【カイロIPS=アダム・モロー&カーリド・ムッサ・アル・オムラニ】
カイロから車で2時間の所にあるマハラ市の国営繊維工場の労働者が、食糧価格高騰に見合った賃金の引き上げを要求するストライキを計画。イスラム系の労働党、民主化を求めるケファヤ運動がこれに参加して、4月6日マハラ市では実際にデモは行われなかったものの、別の町で緊急経済支援、政治変革を要求する大規模な抗議行動が勃発した。
治安部隊はデモ鎮圧にゴム弾、催涙ガスを使用。死者3人、けが人多数を出す騒ぎとなった。(カイロを始めとする多くの都市でもデモが計画されたが、治安部隊の出動で実現が阻まれた)
当局は、デモ鎮圧後数日間で労働組合リーダー、政治活動家、政治主張を掲載するブログ関係者など数百人を逮捕。その内200人は釈放されたが、依然450名が騒乱罪で拘束されている。
4月半ば、検察庁長官は、20人(その半数は、インターネットを通じデモ参加を呼びかけた所謂オンライン活動家)の釈放を命じたが、内務省は緊急事態法を盾に彼らの再逮捕と無期拘束を命令した。カイロに本部を置くエジプト人権組織(Egyptian Organization for Human Rights)のハフェズ・アブ・サエダ事務局長は、「非暴力の活動家の拘束、再逮捕は許されない。政治活動家の大量逮捕は、政府が表現の自由の権利を認識していないことの表れ」と憤る。
しかし、この逮捕にも拘わらず、活動家はムバラク大統領の誕生日に当たる5月4日に第2の全国抗議行動を行うべく、市民に当日の職場放棄、不買運動を呼びかけている。11万5000人のメンバーを有するエジプトの人気ブログ“フェイスブック”の支持グループ2つは既に支持を表明している。今回は、抗議の内容を社会/経済分野に絞り、生活費高騰に見合った賃金の引き上げ、インフレ/市場寡占対策、拘束者の釈放を要求。スト指導者に対しては、大量の逮捕者を出さないよう、一か所に多数の人員を集めないよう指示している。
この動きに対し、政府は目下沈黙を守っているが、アブ・サエダ氏は、「内務省によるフェイスブックのシャットダウン、同サイト設立メンバーの逮捕はあり得る」と語っている。
食糧価格高騰が引き金となったエジプトの社会不安について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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