【ダッカIPS=カリンガ・セレヴィラトネ】
南アジアのメディアや学者は、国連と国際人権機関が提唱する知る権利(RTI)を全面的に是認してはいない。今月初めのRTIの価値と適用性を話し合う会議では、RTIはメディアが享受すべき権利だとされながら、責任を持って行使すべきという意見もあった。
会議の開催国バングラデシュについては、バングラ・アカデミー会長のハルン・オル・ラシド教授が、現行のRTI法には情報の自由な入手を妨げる条項があるとして見直しを求める一方で、ユナイテッドニュース社のA.カーン社長は、暫定政府による同法の成立および司法と国家の分離を称え、良い統治と国民の権利拡大の鍵になると述べた。
インドの著名なジャーナリスト、A.バハル氏は、5年前にRTI法を導入してからインド国民は政府に異議を申し立てる権利を得たという。バハル氏は政府と外部業者の汚職摘発に貢献したことで知られている。またネパールのラジオ局、ラジオ・サガルマータのG.ルイテル局長は、自由の抑圧について「政府以外の扇動的組織からの脅迫がある」と述べた。
議論の大半を占めたのは、国家安全保障問題をメディアの自由の制限に対する正当な理由とできるかどうかということで、反対意見が多かった。
内戦の続くスリランカからの参加者は、国家安全保障問題の報道は制限があってしかるべきと考える。「報道の自由には責任が伴わなければならない、銃弾によって自由を奪われないようにする責任である」
パキスタンの「デイリー・バロキスタン・タイムズ」紙の編集者、S. F. イグバル氏は、「ムシャラフ大統領に対して立ち上がった法律家の運動がパキスタン社会に民主主義、そしてメディアに自由をもたらした。ムシャラフ政府は国家安全保障問題を言い訳に言論の自由を抑圧したが、新たな連立政府は情報入手法を復活させた」という。
バングラデシュの軍が就任させた文民政権は市民の声を取り上げる地域社会のラジオ放送の導入を検討し、スリランカ政府は国家安全保障を理由に内戦に関する報道を抑えようとし、パキスタンの新政府はメディアへの制限を解除しようとしている。南アジア各国の知る権利に関する異なる見解について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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