【アブダビWAM 】
アブダビの情報問題センターは本日、「アラブ首長国連邦における宗教的寛容と世界における共存の精神を広めるうえでのバチカンの役割」と題したシンポジウムを開催した。
主要講演者は駐アラブ首長国連邦ローマ教皇大使のMounged El-Hachem大司教とアラビア半島地区教皇代理のPaul Hinder聖ジョセフ大聖堂司教で、その他研究者が数名発表を行った。
Mounged El-Hachem大司教は、「世界に寛容の徳義を広めるバチカンの役割」と題した論文を発表した。同師は、アラブ首長国連邦大統領兼アブダビ首長のハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下、閣僚各位、及び同首長国連邦の国民に向けて同会議開催の喜びと共に、ローマ法王ベネディクト16世のメッセージを伝えた。
同師はまた、ナヒヤーン殿下がバチカンに対して、宗教を守り人道と道徳的価値観を世界に広める活動を共に協力し合って推し進めていくことを呼びかけたことに言及した。そして、同師がローマ教皇大使として、アラブ首長国連邦とバチカン間の良好な関係を更に強固なものにできることを望んでいること。そして在アラブ首長国連邦のカトリック教会が、カトリック信者への世話に加えて、同国の市民、在住者に対して、教育、健康、開発、自由、平和の分野で貢献することを付け加えた。
同師は、宗教間対話に関して、「ヨハネ23世の呼びかけで1959年に開催された第2次バチカン公会議は、信教の自由とキリスト教徒以外の信者との関係を促進する意味で急進的な変化をもたらした。」と語った。
同師は3つの聖なる宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、信者間の数百年に亘る抗争の後-そうした抗争は今も完全に途絶えてはいないが-対話、接触、結束、精神的な経験の交流を通じて、時代と共に変革を重ねながら互いの勢力拡大を進めてきたと述べた。しかしながら、時代の進展と共に信者の意見も徐々に変化し、抗争よりも対話が重視されるようになり、今日では殆どの信者が異教徒間でお互いに認め合い、寛容と共存、愛と平和の文化を受け入れる必要性を確信するまでになっている。」と語った。
一方でPaul Hinder司教は、バチカンの諸宗教対話評議会とグループ138(現在は241にメンバーが増えている)間で両者の会合の後に発表された共同声明に則り、11月4日から6日にかけて最初のカトリック信徒、イスラム教徒間のフォーラムが「神への会い、隣人への愛」と題してローマで開催されることに言及した。
同司教は、11月の会議にはローマ法王が自ら出席すること、そしてイスラム教徒側からは英国ムスリムアカデミックトラストのSheikh Abdal Hakim Murad理事長が出席することが述べられた。
翻訳=IPS Japan 浅霧勝浩