【パリIPS=フリオ・ゴドイ】
7月13日、EU27カ国、中東/北アフリカ13カ国の首脳、政府代表が地中海連合(UfM)設立について討議するためパリに集結する。
フランスのニコラ・サルコジ大統領が提唱するUfM設立は、EUと北アフリカ12カ国間の経済、安全保障、移民/司法分野における協力体制作りを目指し1995年に開始されたバルセロナ・プロセスの拡大を目指すもの。(しかし、このバルセロナ・プロセスは実質的には成功していない)大統領は今回、バルセロナ・プロセスを環境、貿易分野にまで拡大し、地理的にはヨーロッパの西側諸国だけでなく、旧ユーゴスラビアやアルバニア、更にはイスラエル、パレスチナ、ヨルダン、シリアといった地中海の南部および西部の全ての国に拡大しようとしている。
今回の会議に出席を予定している非EU加盟国は、モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、エジプト、イスラエル、シリア、レバノン、トルコ、アルバニア、モンテネグロ、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ。パレスチナ代表も出席の予定である。
しかし、リビアはフランス提案を拒否。カダフィ大佐は会議不参加を表明している。同大佐は、7月9日の記者会見で、「UfMはアラブ、アフリカ諸国を分断するもので、EUには、アラブ連合やアフリカ連合を後退させる権利はない」と述べた。また、「同計画の目的はアラブ天然資源へのアクセスおよびアラブ諸国をイスラエルとの交渉テーブルに着かせることにある。UfMは、イスラム国家に対するテロの危険を高めるだけ」と語った。
カダフィ発言より重要なのは、ヨルダンのアブドラ国王の不参加である。同国王は、長い間計画していたバケーションと重なるとの理由で会議出席を辞退した。
トルコにとって、UfM参加はEU加盟に次ぐチャンスである。フランスはトルコのEU参加に強く反対してきたが、トルコ外交筋によれば、7月13日調印予定のUfM共同宣言についてフランス政府から大きな譲歩を引き出したという。
一方、ドイツ外務省は、フランスがUfMの主導に固執すれば、ドイツは2008年第2半期のフランス欧州政策全てに拒否権を行使すると警告している。同様の抗議はスペインからも寄せられており、一部アナリストはサルコジ大統領の外交的不手際を批判。立場が大きく異なる各国の合意は難しいのではないかとしている。サルコジ大統領のUfM構想について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan