【ジンジャ(ウガンダ)IPS=ワンビ・マイケル】
ビクトリア湖には、英国の植民地であった1950年代に、肉食のナイル・パーチが持ち込まれた。以来、在来生態系を破壊している。ウガンダ、ケニア、タンザニアはナイル・パーチを欧州に大量に輸出し、外貨獲得という意味ではコーヒー、綿花といった換金作物をしのぐほどである。例えばウガンダからは20か所の加工工場が年間3万トンを輸出し、1億5,000万ドルを稼いでいた。
しかし乱獲がすすみ、漁獲量が激減し、価格が高騰しているために、近隣4,000万人の生活が脅かされている。ウガンダの漁業担当官によると、2007年の輸出は1億1,730万ドルで前年より1,940万ドル減少した。輸出も2005年以来、6,000万ドルの減少である。同担当官によると、地域の加工工場は稼働率が30-50%で、輸送費と燃料費の上昇が追い打ちをかけている。
すでに食糧危機によって、ウガンダの首都カンパラでは、1キロ0.5ドルだったナイル・パーチが3.5ドルになっていた。そのため人々は欧州向け輸出に切り身を取った後の、頭や骨を買っていた。しかしそれすら今では買えなくなっている。コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、南スーダンへ輸出されるようになったのだ。
東アフリカ共同体とウガンダ、ケニア、タンザニア3カ国によって1994年設立されたビクトリア湖漁業機構(Lake Victoria Fisheries Organization:LVFO)は、ビクトリア湖の資源管理を目的とする。LVFOのニエコ氏は、「2005年以来登録船舶数は16%増加し、加工工場の稼働を挙げるために、より遠くまででかけ、違法な漁法を用いてさえいる。」と指摘している。かつては一度に100キロの水揚げのあった漁師も、今では20-30キロしか獲れない。湖の島々で薪を集め、売るようになった人もある。
ビクトリア湖内の領域はウガンダが43%、ケニアが6%、タンザニアが51%有する。ケニアの船舶は毎日推定300隻がウガンダ領域に入っている。逮捕され、乗組員が拘留されたこともあった。ウガンダはケニア及びタンザニアが無策で、多くの協定が無視されていると批判している。昨年10月、LIVOの大臣レベル協議では、保護区を作ることも検討された。
資源の枯渇が地域経済を圧迫し、近隣国との間で紛争の種ともなりかねないビクトリア湖の漁業について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩