【ヨハネスブルグIPS=ザヒラ・カルサニ】
UNAIDS(国連合同エイズ計画)の最新報告書によれば、エイズで苦しんでいる人々は世界で約3,300万人。アフリカのサハラ以南の国々だけで2,200万人を数えるという。感染者は2007年で約270万人増加した。しかし、感染率が高かったアフリカの一部の国では、予防策の成果が上がっている。
例えば、アフリカでエイズ被害が最も多い10カ国の1つルワンダでは、影響の重大さに気づいた政府が、胎児感染の予防に男性パートナーの参加を呼び掛けるなどの予防および治療に強いコミットメントを示した。
ルワンダ・エイズ管理委員会のアニタ・アシインベ事務局長は、「2004年には妻のエイズ検査に同行する夫は僅か6パーセントだったが、現在では64パーセントに達している。女性は、もし病気が発見されても夫の協力が得られると知って安心している」と語る。同氏は、「例えば、感染した女性が授乳を避けていることに家族の批判があっても、男性がそれは致し方ないのだと説明すれば解決する」と言う。
政府統計によれば、ルワンダの2008年エイズ感染率は、2000年の7パーセントから3パーセントに減少した。エイズに感染した母親から生まれた新生児の感染率は2年前には40パーセントだったが、今では10パーセントに低下している。
一方、ケニアでは患者は増加傾向にある。2003年に行われた健康調査では、感染率は6.7パーセントであったが、「ケニア・エイズ指標調査」は、2008年は7.8パーセントに増加した。
「ケニア・エイズワクチン計画」のオム・アンザラ氏は、「エイズに対する一般の理解は90パーセントに達したので、予防キャンペーンの中心を性産業等で働く高リスク者に移行する」と語る。しかし、「抗レトロウィルス治療が依然鍵だが、ビールス検査や肝臓機能検査などの重要なテストを行わずに抗レトロウィルス剤の使用を拡大すれば、近い将来新たな問題を生むことになる」と警戒する。
南アフリカ・エイズ研究プログラムセンター(CAPRISA)のカリム科学副部長は、年上の男性と性的関係にある18歳から24歳の女性に新たな感染の危険が増大しているという。彼女たちは、年上の男性に安全なセックスを求めることも、彼らの性生活についても問いただす立場にないというのだ。「我々は、禁欲・貞節・コンドーム使用というお決まりのアプローチを取っており、男性の包皮切断手術のエイズ予防効果などについての議論はなされていない」と語っている。
アフリカのエイズ感染についての最新報告を紹介する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩