【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】
キューバのグアンタナモ収容所を閉鎖する仕事がオバマ次期大統領に任されたのは知られているが、アフガニスタンのカブール近郊のバグラム収容所の問題についてはあまり知られていない。もうひとつのグアンタナモと呼ばれるこの収容所には、現在600~700人が拘束されている。
米軍が2001年のアフガニスタン侵攻でタリバンを転覆させた後、バグラム収容所は拘束者の暫定的審査を行う施設として設立された。収容者は現在、グアンタナモの3倍である。2005年に収容者の待遇が問題になり、米国はこの施設をアフガニスタン政府に委譲しようとしたが、さまざまな事情により現在も米軍が管理している。
最近の赤十字国際委員会(ICRC)の機密報告書によると、収容者の虐待が続いているという。アメリカ自由人権協会(ACLU)のH.シャムシ氏は、「バグラムはグアンタナモと同じように劣悪で、悲劇を繰り返さないために実態調査を行うべき」とIPSの取材に応じて語った。
司法の介入が期待される中、昨年6月に米最高裁は、米軍がテロ容疑者としてグアンタナモに拘束している外国籍の人々に、拘束を不服として裁判所に訴える権利を認めた。この決定がバグラムにも適用されるかどうかが検討され始めている。グアンタナモと同様にバグラムもテロとの戦いのために軍が管理し、米国の司法が及ばない外国に設立されている。
バグラムにはグアンタナモでの判断は適用されないというのが大方の見方だが、バグラムの収容者の弁護士は、法廷で拘束の是非を問う権利とともに人身保護令状請求権を求めている。この訴えを受けた地裁のJ.D.ベイツ判事は、バグラムは戦闘地域であり訴えを棄却すべきという政府の申し立てにまだ判断を示していない。
バグラムの弁護士は、収容所が暫定的施設ではなく、テロとの戦争という永続的な状況における常設刑務所になっているという。拘束の当否を審査する戦闘員審査法廷(CSRT)もない。司法省は拘束者の釈放が、あるいは訴訟を検討するだけでも、安全を脅かすことになると主張している。
裁判所の裁定の進行は定まっておらず、バグラムの問題もグアンタナモと同じように新しい大統領に解決を委ねられることになるだろう。
アフガニスタンの米軍のバグラム収容所の問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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