【ワシントンINPS=ジム・ローブ】
クリントン・ブッシュ両政権で成し得なかった問題にいよいよバラク・オバマ新大統領が挑む。温暖化対策防止に向けた京都議定書をめぐって、クリントン前政権では調印にまでは漕ぎつけたものの上院で否決され、一方のブッシュ前大統領は同議定書が米経済を損なうとして支持しない姿勢を固持してきた。
しかし、前政権の路線修正に踏み出すためオバマ新大統領は26日、気候変動政策について2つの具体策を打ち出した。
まず、連邦環境保護局(EPA)に対し、カリフォルニアと他の13州が採用を求めている新たな自動車排ガス規制の認可に向けて検討を行うよう指示した。元々、この排ガス規制は連邦基準よりも厳しいものであったため、ブッシュ前政権は差し止めを決定。しかし、先週シュワルツェネッガー州知事はオバマ大統領に認可の再検討を求め、同大統領もカリフォルニア州の温暖化政策への積極的姿勢を評価しこれを認めた。
次に、オバマ大統領は運輸省に対しても既存の燃料基準を2011年度から40%にまで徐々に引き上げるよう規制強化を指示。「全ての自動車がこれに従えば、1日で200万バレル以上の石油を節約できる。これはペルシャ湾から米国への原油の輸入量にほぼ相当する」と語った。
一方、オバマ大統領から地球温暖化防止問題の米政府特使として任命を受けたトッド・スターン氏は「ようやく米国が気候変動問題への取り組みで国際的な交渉の場に堂々と立てる時が来た。我々は前向きで活発な議論を行う必要がある」と述べた。同氏はクリントン元大統領の下で京都議定書策定に携わった人物である。
環境保護団体『グリーンピース』の地球温暖化運動に取り組むSteven Beil代表はオバマ新政権の新たな環境・温暖化政策に期待を示した。「アメリカは8年もの間ブッシュ前政権の反対を受け、温暖化対策に踏み切れなかった。しかし今後は、他国から『環境問題に消極的な米国』と批判・非難されることもないだろう」。オバマ米新政権が乗り出したエネルギー・環境政策について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー= IPS Japan 浅霧勝浩