【東京IPS=C・マキノ】
独自のニュース発信を目指し、日本は2月2日に24時間英語ニュースを放送するNHKワールドTV をスタートさせ、英語圏以外の本格的な英語ニュース放送を行う国(インド、ロシア、中国、カタール)に仲間入りした。
NHKの国際事業である日本国際放送(JIB)は、政府の交付金と視聴者の受信料約8,000万ドルで運営されている。JIBの番組はすでに70カ国で視聴可能だが、3月までに北米、欧州、中東、アジアの1億1、000万世帯に拡大していく。NHKワールドTV をアラビア語、中国語、フランス語、スペイン語でインターネット配信する計画もある。
JIBの高島肇久社長は、「世界の視聴者およびインターネット使用者に日本の真の姿を伝えるために努力する」とIPSの取材に応じて語った。日本では国際舞台での日本に関する報道が十分でないと考えられている。「日本は世界に理解される必要がある。英語で主張できるすぐれた人材に世界に向けた発言の場を提供し、日本について広く知らせて行きたい」
最近では海外メディアの日本への関心が低下し、たとえばロサンゼルス・タイムズ紙は東京から撤退してソウルから報道を行っている。高島氏は宣伝や広報ではなく、日本についての誤解の修正に役立ちたいという。NHKの今井義典副会長も、外国特派員の観点が日本人と異なる場合があると指摘する。「日本は顔の見えない国といわれるが、グローバル化の中で相互理解を深めて共生を目指すことは重要である」
マンスフィールド財団(ワシントンDC)の小西ウェストン非常勤フェローは、海外メディアの日本に関する情報が正確でない場合があるという批判に同意する。「物珍しさが強調されることが多かったが、このプロジェクトによって日本への真の関心が高まるのを期待する」
アラブ世界の考え方を発信するアルジャジーラのような国際放送を目指すものと思われるが、テンプル大学日本校のJ.キングストン教授は「競合する放送は多く、成功するにはNHK の官僚的なスタイルや核心を突こうとしない報道姿勢を改善する必要がある」という。
だが国際放送の新規参入者となったNHKワールドTV が、世界における日本のイメージに有利に作用し、日本への関心を高める可能性を否定するものはほとんどいない。
国際放送に新たに参入したNHKワールドTVについて報告する。(原文へ)
翻訳=IPS Japan浅霧勝浩
関連記事:
Q&A:途上国側の意見を反映させたニュース配信を求める