【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】
アムネスティ・インターナショナル米国(AIUSA)、憲法権利センター(CCR)およびニューヨーク大学ロースクール人権センター(CHRGJ)の人権擁護3組織は、米国防省とCIAがテロ容疑者の秘密収容所への移送、身元隠ぺい、釈放遅延で協力関係にあったことを証明する資料を公開した。これら組織は、2004年に政府を相手取り情報公開法に基づく訴訟を起こしていたもの。
CHRGJのマーガレット・サッタースウェイト所長は、「開示された資料で、CIAの権力乱用行為に手をかすため、国防担当官が法の捻じ曲げを行っていたことが、徐々に明らかになってきた」と語る
公開された資料の殆どは新聞記事であるが、国防省資料の一部により重大な事実が明かされた。
国防省輸送司令部メンバー宛ての2006年2月付eメールは、収容所施設に対する批判報道を如何にかわすか論じている。同メールは、グアンタナモ収容所に関する国連報告官のレポートとアブグレイブ刑務所の写真で、米国の人権侵害が批判の的になっているとした上で、状況沈静化のためグアンタナモ収容者の釈放を遅らせるよう指示している。人の噂も45日という訳だ。更に同メールは、これら囚人の輸送にはT型尾翼の大型機の代わりに小型機を使用する方が良いと述べている。
CCRのジタンジャリ・グェティレス弁護士は、「政府が批判報道をかわすためにグアンタナモ収容者の釈放を遅らせたとは驚きだ。オバマ政権は、この違法行為を繰り返すことなく無実の人々を直ちに釈放すべきだ」と主張する。
塗りつぶし箇所の多い第2の資料は、バグラムの秘密収容所施設について言及している。
第3の資料は、CIAと国防省が如何にして国際赤十字委員会(ICRC)の視察を回避しようとしたかを示している。「イラク拘束者の身元隠ぺいのためのジュネーブ協定解釈」と題された資料により、国防省がジュネーブ協定の「セキュリティー抑留者」条項に基づき拘束者の身元隠ぺいは可能と考え、ICRCへの拘束者身元届け出を14日間、最高30日間行わず、その間に情報収集の徹底を図ったことが明らかになった。
AIUSAの人権・テロ対策政策担当のトム・パーカー部長は、「今回提出された数千ページの資料は、量からすれば透明性が確保されたかに見えるが、それは氷山の1角に過ぎず、政府機関はオバマ大統領の情報開示命令の精神に従っていない。我々はエリック・ホルダー司法長官およびオバマ政権に情報開示法の徹底を要求する」と語っている。
人権擁護団体に提出されたテロ容疑者拘束に関する政府資料について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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