【ローマIPS=サビーナ・ザッカロ】
世界中で増加している女性農民の発言権を確保するという使命を背負って、新しい国際農業開発基金(IFAD)の代表が就任した。IFADには世界165ヶ国が加盟している。
代表に就いたのはナイジェリアのカナヨ・ヌワンゼ。パキスタン、ドイツ、イスラエル、ニジェール、インド出身の候補者を破って当選した。任期は4年。
IFADの専門家によると、世界的な統計は不十分だが、この10年間で女性農業労働者は3分の1増えたという。また、アフリカでは、小規模農家の3割ほどが女性によって運営され、食料全体の6~8割が女性によって産出されている。
にもかかわらず、女性たちにはまだ十分な権利が与えられていない。女性たちは、資金不足や市場開拓の困難といった男性と共通の問題を抱えているが、その上に、家事との両立を強いられたり、資産への権利を与えられなかったりという女性特有の問題が加わるのだ。
「持続可能な農村開発のためのアジア農民連合」のエストレラ・ペヌニア事務局長は、職業訓練や意思決定において女性に少なくとも30%の席が与えられていなくてはならない、と話す。
フィリピンや韓国では、女性が一般的な農業団体とは別に女性だけの団体を結成している。また、フィリピンでは、開発予算の5%がジェンダー関連に割り当てられる。同国では、農民に土地の権利が与えられるときに権利書に男性の名前のみが記載されるという差別的な慣行があったが、女性団体からの要求によって、女性の名も記されるようになってきたという。
農業における女性差別の問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
関連記事:
|人権|2つの法律の間で揺れる女性の権利