【ワシントンIPS=ジム・ローブ】
23日にR.ルーガー上院議員がキューバ政策の見直しを訴えたことで、米・キューバ関係がオバマ大統領の選挙戦での約束以上に変化する兆しが出てきた。元上院外交委員会議長のルーガー氏は外交政策に経験豊かな共和党議員で、キューバへの禁輸は「米国の国益にならない」と報告した。
「The Cuba Wars(キューバ戦争)」の著者でシンクタンク米州対話フォーラムのキューバ専門家であるD.エリクソン氏は、「ルーガー議員の発言はキューバ政策の変更に好意的な環境を作り上げた」といい、人権団体ラテン・アメリカ・ワシントン事務所(WOLA)のキューバ専門家G.テイル氏も「変化の機運をもたらした」とエリクソン氏に同意した。
ルーガー氏は23日に提出した報告書の冒頭で、「米政府は現在の政策を効果がないと認め、米国の国益を強化するようにキューバに対応すべき」と述べた。
『Changing Cuba Policy – In the United States National Interestキューバ政策の転換―米国の国益のために』と題された報告書は、47年を経て一方的な禁輸はキューバの人々に民主主義をもたらしていないと指摘している。
フィデル・カストロから弟のラウルに政権が移って一周年に発表されたこの報告書は、先月の代表団のキューバ訪問に基づき、麻薬阻止と移住に関する二国間の対話の再開、代替エネルギー開発の協力強化、旅行と貿易の規制緩和を求めている。さらにキューバ政府が世界銀行や米州開発銀行等の国際機関に復帰すれば米国との関係改善に役立つとした。
キューバ専門家の間では新政権の方針について憶測が高まっていた。オバマ氏は選挙戦では旅行や送金の規制解除を約束したが、民主的な改革を求めて禁輸は継続すると示唆していた。クリントン国務長官はキューバ政策を見直すと述べたが、その担当官が決まっていない。
ルーガー氏を含む議員団は米国人のキューバ旅行に関する規制をすべて解除する法案を提出している。可決されれば禁輸解除への大きな一歩となり、その成否はオバマ大統領の思惑にかかっている。米国貿易振興会(NFTC)のJ.コルヴィン副会長は、産業界は大統領に転換を促すだろうと語った。
報告書はキューバを孤立させる政策は民主化を妨げるだけでなく世界との不調和となり米国の利益にならないと主張し、中南米やEUとともに新たな多国間戦略を作る超党派委員会の設立を奨励した。
見直しの機運が高まる米国のキューバ政策について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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