【チャアム(タイ)IPS=マルワーン・マカン-マルカール】
東南アジア諸国連合(ASEAN)が「バリ・プロセス」と呼ばれる地域メカニズムをビルマの少数民族ロヒンギャに対する人権侵害の問題で利用する可能性が出てきた。
同メカニズムは、アジア太平洋地域における人身取引の問題解決のために2002年2月に創設され、現在50ヶ国が参加している。ロヒンギャ問題の大元であるビルマはこのプロセスに参加していないが、4月14日から15日にかけて、この問題に関する会合がバリで開かれる予定だ。
ロヒンギャは、ビルマ軍政によって強姦や虐待、強制労働、土地の接収、強奪などの厳しい人権侵害にあっている。自由に移動したり、同民族間で結婚することすら禁じられている始末だ。
1962年に始まった軍政の下でも、かつてロヒンギャには政治的権利が与えられていた。公営のビルマ放送では、ロヒンギャ語の番組もあった。しかし、1982年になって軍政はロヒンギャから市民権を奪ったのである。
ロヒンギャの多くは、苦しみに耐えかねて、インドネシアやタイ、マレーシア、バングラデシュ、インドなどの周辺諸国に逃亡しはじめた。周辺国がロヒンギャ問題を取り上げるようになったのはこのためだ。
国際移民機関(IOM)アジア太平洋支局のクリストファー・ロム報道官は、あらゆることが議論の俎上に上せられるであろうバリ・プロセスの動きを歓迎している。
タイのピロミャ外相によると、ビルマのニャンウィン外相は、「ロヒンギャはミャンマーの(100以上ある)少数民族のリストの中に入っていない」とかつて発言したそうである。
「バリ・プロセス」では、ロヒンギャに対する社会調査を行って、誰をビルマ市民とみなすことができるかを確定するものとみられている。
ビルマの少数民族ロヒンギャの問題に対する国際的反応について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリ=IPS Japan
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