【ソウルIPS=アン・ミヨン】
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は3月1日、日本の植民地時代の抗日運動の記念式典の演説で、北朝鮮の指導者に対し隣国諸国を脅かすミサイル開発は北朝鮮政府にとって逆効果だと警告し、「北朝鮮を守るのは、核兵器でもミサイルでもなく、韓国や国際社会との協力だ」と述べた。
北朝鮮は、実験通信衛星の打ち上げを予告しているが、しかしこれには長距離ミサイルにも利用できる「軍用・民生用二重用途」の技術が関わっている。
評論家によれば、北朝鮮政府は、西側に圧力をかけ、可能であればさらに譲歩を引き出すための手段としてミサイル威嚇を利用するとともに、この技術をイランやシリアなどの国に売却して資金を得たい意向だ。
だが韓国政府は、北朝鮮は楽観的な考え方をやめ、もはや瀬戸際外交は許されないという現実を直視するべき時がきたとの考えである。
軍事消息筋は、北朝鮮がミサイルを再発射すれば、抑止力として軍事増強を主張しているソウルとワシントンの強硬派の勢力を強めることになると見ている。
韓国政府は、北朝鮮が核計画を放棄すれば、食糧・燃料援助を含む経済援助を再開すると申し出ている。北朝鮮の天然資源開発のプロジェクトの具体化も進んでいる。製造業者も、中国より経費面でも規制面でも有利な北朝鮮への投資機会を待っている。
中央日報の記者、金永煕(キム・ヨンヒ)氏は社説に「北朝鮮がミサイル発射を主張すれば、核のカードを放棄することで得られるはずのあらゆる富を放棄することになる」と書いている。
一方で、経済悪化に苦しむ韓国では、北朝鮮からの脅威を理由に投資家による資金の引き揚げが進んでいる。
北朝鮮のミサイル発射に自制を促した韓国政府について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩