地域アフリカ│ジンバブエ│多剤耐性結核拡大のおそれ

│ジンバブエ│多剤耐性結核拡大のおそれ

【ハラレIPS=スタンリー・クウェンダ】

ジンバブエでは、医療システムが崩壊し、多剤耐性結核(MDR-TB)や超耐性結核(XDR-TB)がかなり広がりつつあるのではないか、と恐れられている。 

ハラレ市立の2つの感染症病院の院長であるクレメンス・ドゥリ博士は「実際に何を治療しているのかわからない。まるで闇の中で決闘しているようなものだ」と話す。ドゥリ博士によれば、患者に関する記録収集ができないために、MDRやXDRのケースがどれだけあるかはわからないという。

 ジンバブエにおける患者発見率はわずか42%で、世界保健機構(WHO)の目標とする70%にはるか遠く及ばない。また、治療成功率は68%で、これもWHO目標の85%に届いていない。 

こうした状況を導く一因となっているのが、人的資源の不足である。ジンバブエ人権医師の会(ZDHR)によると、この9年間で国内から10万人もの医療関係者が流出した。残っている医師や看護士についても、昨年8月に始まった給与をめぐるストの影響で、実際に職務に就いている者が少ない状況だ。 

治療薬も不足していて、政府系病院は、国際援助機関からの支援を受けた農村部の病院に患者を送らざるを得なくなっている。 

首都ハラレにある国内唯一の結核実験施設パリレンヤトワ病院も、診断機器の劣化や破壊のために、まったく機能していない。 

そのため、医師らは、患者の症状と自らの「勘」だけをたよりに結核を診断している。 

昨年8月以降、コレラの蔓延によって3500人以上が死亡し、さらに状況は悪化している。英国の「福祉トラスト」からの支援を受けてベアトリス感染症病院で開始された結核に関する研究も、コレラ対処にすべての資源を奪われる中で、立ち行かなくなってしまっているという。 

ジンバブエにおける結核蔓延の現状について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩 

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