地域アフリカスーダン大統領訴追をめぐり問われる国際法廷の合法性

スーダン大統領訴追をめぐり問われる国際法廷の合法性

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国際刑事裁判所(ICC)による逮捕状を受けてのスーダンのオマル・ハサン・アル・バシール大統領の行為は好ましくない。しかし、米国をはじめ世界の大国がICC非加盟であるのはいかがなものか」。コロンビア大学法学部のマイケル・ラトナー助教授は述べた。 

ICCは異例とも思われる現職大統領への逮捕状発行に踏み切った。これに対しバシール大統領は猛反発。外交官や外国人活動家をスーダンから国外退去をさせると脅し、先週13のダルフール支援団体を国外追放した。 

一方、ICCが設立されて6年になるがこれまでに起訴されたのはコンゴ民主共和国のトマス・ルバンガ(Thomas Lubanga)被告ただ1人。有罪判決は未だに出された事もない。逮捕状が出された13名の被告のうち4名は拘留されており、残りは逃亡中あるいは死亡したと見られている。

 このような現状に、専門家からはICCの存在に疑問を投げかける声も出始めた。「ICCが起訴するのはアフリカを中心とした途上国の人間だけ。米国や欧州に戦争犯罪人はいないのか」。 

米国では国連平和活動への参加を条件に戦犯の訴追から免責を受ける事ができる。スーダンの特使は、「米国はICCに加盟もせず、ICCを上手く利用しているだけ」とし、豊富な天然資源を有するスーダンに対して米国が石油利権獲得を狙っていると非難した。 

ヒューマン・ライツ・ウォッチのリチャード・ディッカー氏は国際司法制度の『ダブル・スタンダード(2重規範)』について、「国際法上まだ歴史の浅い制度であるため、西側諸国とその他の国々の間に不公平が生じてしまうのは否めない」と語った。国際司法制度のあり方について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 


関連記事: 
ICCの告訴がもたらす希望と不安 

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

「G7広島サミットにおける安全保障と持続可能性の推進」国際会議

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN
IDN Logo

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken