【サントドミンゴIPS=エリザベス・イームス・ローブリング、オーグスト・キャンテイブ】
雨の降るある土曜の夕方、サントドミンゴの労働者街にある雨漏りのする車庫にハイチの移住労働者たちが集まり、住民組織を結成した。彼らはみなドミニカ共和国において差別された共通の体験を持っている。
ある人は、ハイチ人がドミニカ人に殴られ、歯を6本も折るのを目撃した。しかし、目撃していた彼は不法滞在だったため、助けを呼ぶことができなかった。
ある人は、ハイチ人がドミニカ人に殴られ、歯を6本も折るのを目撃した。しかし、目撃していた彼は不法滞在だったため、助けを呼ぶことができなかった。
建設現場で働くフランソワ・フェリペさんはこう言う。「ハイチ人に対するいじめは毎日のようにある。建設現場はハイチ人を労働者として必要としていて、ドミニカ経済にとってハイチ人は重要なのに、私たちの権利は侵害され続けている」「他の外国人なら、お巡りから身分証明を求められても、『家においてきた』といえば、それで見逃してもらえる。でも、ハイチ人はそうはいかない」。
ハイチ人移民の教育程度は低く、身分を証明するものを何も持たないというイメージは、今回ここに集まった人々に関しては誤っているようだ。住民組織結成の集まりに来た54人のうち、ハイチのパスポートを持っていないのはわずか1人だけ。20人は、ドミニカ共和国の正式なビザを持っていた。
しかし、ハイチ人がドミニカで居住権を得るのは非常に困難だ。第一ステップは1年間の暫定居住権を得ることだが、手続きはきわめて煩雑である。申請者は、資格を持った翻訳者がスペイン語に訳した出生証明、有効なパスポートから必要部分のコピー、HIV・結核の感染や麻薬使用などがないことを証明する血液検査、写真4枚、ドミニカ警察からの善行証明、ドミニカの合法的な住民からの身元保証などをそろえなくてはならない。さらに、少なくとも2800ドルの預金が必要だ。
こうして初めて1年間の暫定居住権がえられるが、永住権を獲得するには、1年後にまた同じ手続きを踏まなくてはならない。
ハイチの移住労働者たちの集まりは、ハイチで皆がそうするように、祈りの儀式に始まり、祈りの儀式に終わった。
ドミニカ共和国での差別と闘うハイチ人移住労働者について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩