【ジュネーブ/ニューヨークIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
3つの国連機関が、支援を必要としているすべての民間人が制限のない人道支援を利用できるようウクライナにおける即時戦闘停止を求めた。「ウクライナで紛争を終わらせるための平和的解決は可能だ。」と、国連児童基金(ユニセフ)、国連人口基金(UNFPA)、世界保健機関(WHO)が発表した共同声明は述べている。
3月13日に発表された共同声明は、「恐ろしい攻撃によって、患者や保健・医療従事者が殺害され、重傷を負い、重要な保健インフラが破壊されている。膨大なニーズがあるにもかかわらず、数千人が保健・医療サービスの利用を諦めなければならない状況にある。」と指摘したうえで、「医療機関に対するあらゆる攻撃の即時停止」を訴えた。
声明は、ロシアを名指しすることは避けつつ、「乳幼児、子供、妊婦、病人、人々の命を守るために自らの命を危険に晒している医療従事者など、最も脆弱な立場にいる人々を攻撃することは、非情な残虐行為だ。」と述べている。
ウクライナにおける紛争が激化して以来、WHOの医療への攻撃に関する監視システム(SSA)を通じて、31件の攻撃が報告されている。そのうち24件では保健・医療施設が破壊され、5件では救急車が被害を受けた。こうした攻撃により、少なくとも12人が死亡、34人が負傷し、必要不可欠な保健・医療サービスの提供とアクセスに影響が出た。WHOは、保健・医療施設に対する攻撃が続く中、確認作業を進めている。
「保健・医療や医療従事者に対する攻撃が人々、特に女性や子供、厳しい状況に置かれている人々が必要不可欠な保健サービスを利用できるかどうかに直接影響する。ウクライナでは、女性、妊産婦、幼い子供達、高齢者の医療ニーズが高まっているにもかかわらず、暴力行為により保健・医療サービスへのアクセスが著しく制限されている。」と声明は述べている。
例えば、ウクライナでは紛争の激化以降4,300人以上の赤ちゃんが生まれており、今後3カ月でさらに8万人の女性が出産すると予想されている。妊娠・出産時の合併症の対処等に必要な医療用酸素や医療物資が、危険なほど不足している。
声明はまた、「ウクライナの医療システムは明らかに逼迫しており、この医療崩壊は大惨事につながる恐れがある。あらゆる努力をしなければ、こうした事態は避けられないだろう。」と指摘したうえで、「国際人道法と国際人権法は順守されなければならないし、民間人の保護が最優先である。」と述べている。
「人道支援パートナーや医療従事者が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やポリオの予防接種、ウクライナ難民の命を守る医薬品の供給など、必要不可欠な保健・医療サービスの提供を安全に維持し、強化しなければならない。また国境地域では、子供や妊婦のための迅速なケアや照会プロセスを含む保健サービスを、体系的に利用できるようにする必要がある。」
「人道支援者が、支援を必要としているすべての民間人に、どこにいようとも、安全かつ制限のない支援を届けられることが重要だ。ユニセフ、UNFPA、WHOはパートナーと協力し、命を守るサービスや緊急の保健ニーズに対応するための支援の規模を拡大している。産科や新生児ケアに必要なものを含む緊急医療物資を、保健センター、仮設の医療施設や地下シェルターに安全に届けられるようにしなければならない。」
保健・医療ケアとサービスは、あらゆる暴力行為や妨害行為から守られるべきである。現在も続くCOVID-19のパンデミックによって、保健・医療システムとその従事者に既に大きな負担がかかっている中、こうした攻撃が起こることで、民間人にさらに壊滅的な影響が出る恐れがある。保健員・医療従事者のために、そして彼らが提供する命を守るサービスを必要とするウクライナのすべての人々のために、すべての医療施設およびその他の民間インフラへの攻撃を停止しなければならない。」(原文へ)
INPS Japan
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