【リオデジャネイロINPS=ファビアナ・フレシネット】
パラ州の刑務所内で、15歳の少女が1カ月にわたり、20人の男性服役者に強姦され続けた。少女は窃盗の疑いで連行されたまま、法的な手続きなしに、拘留されていた。
パラ州のカレパ知事は、同州の刑務所の状況が憂慮すべきものであることを認めた。同事件について十分調査すると述べた上で、同州の市営刑務所132カ所のうち男女別に収監できるのは、6カ所だけであると報道陣に伝えた。
ブラジル法務省の統計によれば、女性服役者は5%のみであるが、アムネスティ・インターナショナルは、その比率は上昇傾向にあるとし、政府の対応を早急に求めている。
当局の発表によると、根本的にブラジルの刑務所は過密問題を抱えており、暴力や暴動の原因となっている。1,050カ所の施設は定員26万2千人のところ、42万人を収容している。
アムネスティのブラジル研究者ティム・ケイヒル氏は、「今回の事件は特別なものでなく、我々が受けてきた報告と一致している。多くの女性服役者が性的暴力、拷問、健康管理の欠落など、非人間的状況におかれている。訪問調査で生後11カ月の赤ん坊や病気の幼児が、母親といっしょに収監されているのを見た。手錠をはめたまま、出産した者もある。」とIPS記者に語った。
「当局やメディアはより年少者に刑事責任を問うことを訴えているが、今回の事件で明らかになったように、ブラジルの現状では収監した若者を最低限保護することもできない。刑事責任年齢を下げても、犯罪は減らない。ブラジルの更正制度が服役者を非人間的にし、より多くの暴力的な人間を生み出している。」と同氏は主張する。
超法規的、即時、恣意的処罰に関する国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏は、今月ブラジルを11日間訪問し、予備報告で、ペルナンブコ州だけでもこの10ヶ月間に61人が刑務所内で殺害されていると伝えた。「70%が集団による殺害と思われ、その集団の多くが、現在または以前の警察官である。」
国連の拷問禁止委員会でも、ブラジルの刑務所では拷問が「広範囲に渡り、組織ぐるみである。過密、不衛生、高温、暗室、永久収監などの劣悪な条件に加え、暴力が一般化しており、監督がいないため、告発されない。」という報告がされている。
さらに米州人権委員会にも、ブラジル国立司教会議によって、同様の内容が報告され、5つの州において、女性服役者への暴力が認められたと訴えた。
ダ・シルバ内閣も状況改善に動いている。タルソ・ゲンロ法務大臣は、今回の「野蛮な」事件は特別なものでなく、服役施設に対する公的投資が「慢性的に」不十分であったためと述べた。最近立ち上げられた「安全保障と市民権の国家プログラム」によって、パラ州には1200万ドルが拠出され、2カ所の女性用収監施設が建設される。
ケイヒル氏は数十年に渡って、国内外のNGOが、拷問や暴力について訴えてきたことを指摘し、行政の対応は遅いと言う。メディアで注目されたこの事件だけに対応するのでなく、すべてのケースに対応する対策が必要であると訴える。
ブラジルの刑務所問題が、少女輪姦事件で注目を集めている。(原文へ)
翻訳/サマリー=INPS Japan浅霧勝浩