【ハバナIPS=パトリシア・グロッグ】
今年1・2月におけるキューバ観光産業の好調ぶりは、この産業部門への熱い期待を甦らせている。1・2月期の観光産業は、前年比で5.2%成長した。昨年3回もハリケーンに見舞われ、さらには世界経済不況の只中にあっては、朗報だ。
経済学者のパベル・ビダルは、米国政府による米国民のキューバ渡航禁止措置が解かれれば、観光産業はキューバ経済牽引の役割をふたたび果たすことができるだろう、と話す。
先週、米国議会は、米国居住のキューバ人がキューバ国内の家族を年に1度訪問することを認める法案を成立させた。前ブッシュ政権が2004年にキューバ渡航規制を強化して以来、キューバ行きフライトは75%も減少していたが、また便数が復活することが見込まれる。
米国による対キューバ渡航規制が緩和されれば、初年度で米国から少なくとも100万人の観光客が訪れるものと見込まれている。
1990年以前のキューバの主要産業といえば、砂糖であった。東側諸国による需要も安定していた。しかし、共産圏崩壊に伴って、観光産業の重要性が増すことになる。1990~2006年において、観光産業は対キューバ投資の7分の1を占めていた。
観光産業は、農業・建設・製造・通信など、他の産業部門の成長を誘発する性質を持っており、その分だけ期待も大きいのだ。
他方、最近では、ベネズエラへの医師派遣などの例に見られるように、海外への技術輸出も注目されている。国家統計局によると、2008年度にはこの部門で84億ドルの収入があった。観光産業による収入の実に3倍である。しかし、同部門は、上で見たような他の産業部門の成長を促す効果が弱い。
キューバ観光産業の成長ぶりは、他のカリブ海諸国と比べても際立っている。2008年には、230万人以上がキューバを観光で訪れたが、これは、前年比9.3%増であった。
キューバ観光産業の成長について報告する。
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩