【ソウルIDN=R・キム】
チェルノブイリ原子力発電所の惨事から今年で25年。3月11日、日本をマグニチュード8.9の地震が襲った[IPSJ注:のち9.0に訂正された]。この地震によって、日本の科学技術の粋を集めた原子力発電(原発)は大きな試練に直面している。
日本は原爆の恐怖を味わった唯一の国であるが、電力供給のかなり多くの部分を原子力で占めている。54基の原子炉で約30%の電気をまかなっているが、2017年には少なくとも40%、2030年には50%まで伸ばす予定であった。
しかし、11日の東北関東大地震で福島第一原発と第二原発が受けた被害を極小化すべく、懸命の努力が続けられている。原子炉は地震の揺れによって自動的に停止し、非常用のディーゼル発電機を使った[燃料棒の]余熱の除去が開始されたが、1時間後になぜか発電機が止まってしまった。
冷却システムの機能不全により、燃料棒からの崩壊熱で冷却水が蒸発している。冷却系内で高まった圧力はバルブを通じて調整することが可能だが、それによって建屋内の汚染レベルはあがってしまう。
では、そもそもなぜ日本は原発に依存しているのか。
ひとつには、天然資源を外国に依存しているということがある。とくに、1973年の石油危機以降、海外依存をやめるべく、原発が強力に推進された。
経済産業省は、原発推進によるCO2削減効果を宣伝し、2100年には一次エネルギー源のうち原発の占める割合を60%にまで拡大しようとしていた(現在は10%)。
他方で、日本の原子力基本法では原子力の軍事使用は禁止されており、1976年には核不拡散条約(NPT)にも加入している。日本は、非核兵器国としては有数の核サイクル施設運用国であり、六ヶ所再処理施設は、国際原子力機構(IAEA)の完全なる検証を受けることになった初めての施設だ。
福島原発の事故と日本の原子力政策を振り返る。
翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩