地域アフリカジェノサイド容疑者、ヘイトスピーチ犯罪を裁く国際法廷を拒絶

ジェノサイド容疑者、ヘイトスピーチ犯罪を裁く国際法廷を拒絶

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

ルワンダの実業家で大量虐殺者とされる人物が、1994年のルワンダ大量虐殺の首謀者と資金提供の容疑で裁判を受けている法廷に現れなかった。

フェリシエン・カブガ(87)は、ハーグの国連法廷に提出された告発状によると、ツチ族を虐殺した勢力(フツ至上主義の政党や党の民兵組織、インテラハムウェ等)を幇助し、「千の丘自由ラジオ」として知られるラジオ局を利用して憎悪を扇動したとして訴えられている。(ヘイトスピーチ例/Youtube)

1994年の大量虐殺では、約100日間で少数民族のツチ族と穏健派フツ族約80万人が殺害された。

裁判の冒頭、裁判長は、カブガが法廷に出頭せず、拘置所からビデオリンクで審理を見守ることに決めたと述べた。カブガは声明を発表し、裁判所が自分で弁護士を選ぶことを拒否したため、現在の法的代理人に「信頼がない。」と述べた。

カブガの弁護団は、2020年の法廷への初出廷時に、依頼人の無罪を主張した。彼らは、カブガが裁判を受けるにはあまりにも弱っていると主張したが、裁判官は、審理時間を短縮したうえで裁判の続行を決めた。

ルワンダで最も裕福で影響力のある人物であったカブガは、23年間も逃亡を続け、偽名で暮らし、アフリカや欧州で国や住居を変え、2年前にパリからほど近い郊外のアパートでついに逮捕された。

「千の丘自由ラジオ」は、ルワンダ全土の聴収者を扇動し、殺人キャンペーンを開始した。ルワンダ国際刑事裁判所によるカブガの起訴状によると、市民がどこで道路封鎖をすべきか、どこで「敵」を探すべきかという情報を放送していた。

 Photographs of Genocide Victims - Genocide Memorial Centre - Kigali – Rwanda/ By Adam Jones, Ph.D. - Own work, CC BY-SA 3.0
 Photographs of Genocide Victims – Genocide Memorial Centre – Kigali – Rwanda/ By Adam Jones, Ph.D. – Own work, CC BY-SA 3.0

カブガに対する起訴状には、多くの殺戮を行った民兵グループに訓練の費用を支払い、ナタやその他の武器を配給したことが含まれている。

ヘイトスピーチの結果に焦点を当てたこの裁判は、政治的右傾化の中で言論の自由を制限してきた多くの国々で、この問題がより大きな意味を持つようになったため、通常よりも多くの聴衆を集める可能性がある。

この裁判をハーグで開催しているルワンダ法廷のスティーブン・ラップ元訴訟部長は、「これはまた、強力な経済的アクター、裕福なビジネスマンが、自らが引き起こした犯罪の責任を問われる珍しいケースです。」と語った。

以前の裁判では、裁判官は、ラジオ局の2人の幹部と新聞社の経営者を大量虐殺扇動罪で有罪判決を下し、1994年の殺害に拍車をかけたとして長期刑を宣告している。

2003年に出された判決の要旨は、「人間の価値を創造し破壊するメディアの力には、大きな責任が伴う。従って、メディアを支配する者は、その結果に対して責任がある。」と述べている。

農民の息子であるカブガ氏は、ルワンダ北部の村で古着やタバコの行商からスタートした。その後、徐々に土地を購入し、紅茶農園を始め、巨万の富と政治的影響力を手に入れた。

しかし、カブガは現在、彼の財産は裁判所によって押収され、ベルギーとフランスで凍結されたため、なくなってしまったと主張している。カブガの13人の子供たちは、資産は銀行のものであるとして、ほとんどの口座の凍結を解除するよう法廷に要求している。

この法廷には、ヒューマン・ライツ・ウォッチや他のグループから、ジェノサイドの最中や後に大規模な復讐殺人を行ったルワンダ愛国戦線のメンバーの過剰行為も訴追するという任務が果たされていないとの非難が寄せられている。その結果、少なくとも3万人、おそらく5万人が殺害されたと報告されている。

一方、ジンバブエでは著名な作家らが扇動罪で有罪に。

Photo taken in November 2006 during a UK tour organised by David Clarke, Ayebia, CC BY-SA 3.0

別の展開として、ジンバブエの小説家、劇作家、映画監督であるツィツィ・ダンガレンブガは、政治改革を求める平和的な抗議活動を行ったにもかかわらず、暴力を扇動したとして、裁判所に有罪を宣告された。

ダンガレンブガと共同被告人のジュリー・バーンズは、9月29日(木)、ハラレ治安判事裁判所において、暴力を扇動する意図をもって公共の集会に参加した罪で有罪判決を受けた。二人にはそれぞれ7万ジンバブエドルの罰金刑が科せられた。受賞作家は6ヶ月の執行猶予付き判決を受けたが、彼女は、自分の事件が、ジンバブエで表現の自由の余地が縮小し、犯罪化されていることを証明していると主張した。

ダンガレンブガは2020年7月、「私たちはより良いものを求めています。我々の制度を改革せよ」と書かれたプラカードを持ち、平和的な抗議行動を行った際に逮捕された。アムネスティ・インターナショナルや作家団体PENインターナショナルなどの人権団体は、起訴を取り下げるよう求めていた。

PENインターナショナルはこの有罪判決を速やかに非難し、ジンバブエ当局に対して「人権に関する義務を守り、反対意見を迫害することをやめるよう」呼びかけた。

バーバラ・マテコ判事は、2人が暴力を扇動する意図を持ってデモを行ったことを、疑う余地なく証明したと述べた。

ダンガレンブガは、裁判所の決定に抗議し、高等裁判所に上訴すると述べた。ダンガレンブガは、小説家、劇作家、映画監督。彼女のデビュー作「Nervous Conditions」は、ジンバブエ出身の黒人女性によって初めて英語で出版された作品である。2018年にBBCによって「世界を形作った本トップ100」の1冊に選ばれている。その他にも文学的な栄誉を獲得している。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

ルワンダの「ジェノサイド」、フランスの裁判所でついに有罪判決

なぜジンバブエの女性は政治に無関心なのか

|国連|戦争も平和もメディア次第

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

「G7広島サミットにおける安全保障と持続可能性の推進」国際会議

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN
IDN Logo

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken