【ウィーンIDN=オーロラ・ワイス】
国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、オーストリア連邦欧州国際問題省(BMEIA)は11月初旬、「ジャーナリストの安全に関する国連行動計画」の10周年を記念して、「ジャーナリストの安全:民主主義を守るためにメディアを保護する」と題するハイレベル会議に参加した。
この会議には、外務大臣、メディア担当大臣、国際機関、市民社会、学界の関係者など、400人以上が参加した。
ユネスコは会議に先立ち、アフリカ、アジア、欧州、ラテンアメリカ、アラブ地域で地域別・テーマ別の協議を開催した。これらの協議の結果を踏まえ、11月3日、関係者、特に市民社会組織(CSO)、学術界、ジャーナリスト、学生の代表者がウィーンに集まり、国連行動計画の実施を改善するための具体的な勧告を策定するためのプレ会議を開催した。
今年は11月1日までに、すでに76人のジャーナリストが職務中に落命しており、そのうち10人はロシアのウクライナ侵攻を取材している最中であった。2006年から21年の間に、1200人以上のジャーナリストが殺害され、約86%のケースで犯人が処罰されないままとなっている。
会議では、ジャーナリストの保護と報道の自由強化に向けた締約国のコミットメントを再確認する政治宣言を採択した。11月4日現在、53カ国がこの宣言への支持を表明しており、さらなる各国の支持を募っている。
さらに37の国、国際機関、市民社会組織が、報道の自由とジャーナリストの安全を支援する具体的な誓約を表明した。28名の大臣・副大臣が、直接またはビデオメッセージを通じてコミットメントを表明した。
11月3日から4日にかけてウィーンで開催されたハイレベル会合の重要性は、2017年6月に国連が「行動計画」の実施を強化するための世界協議会を開催し、そこで市民社会組織がジャーナリスト殺害に対する不処罰を国家やその他のステークホルダーが今後取り組むべき優先課題として挙げたことを想起すればより理解できるだろう。
この30年間で、ジャーナリストを殺害した犯人と黒幕の両方が捕まった事件の割合が5%という事実が示しているように、国際社会は全体として、必要な対応策を打ち出せていないとの見方がある。
この会議では、人権活動家の一部から、「法執行機関、警察、シークレットサービス、司法制度といった機関は信頼できないパートナーだが、同時に、ジャーナリストの保護と安全確保のために、これらの組織と協力することが必要」との指摘があった。ジャーナリストに対する犯罪の90%は起訴されないままであるため、法制度との協力も重要な役割を担っている。現状では、捜査官も弁護士も裁判官も、襲撃された際にそのジャーナリストはどんな記事を書いていたのか、以前はどんな記事を書いていたのかといった動機を考慮していない。
また、これらの組織の教育、専門化、感化が特に重要であることが指摘された。ジャーナリストに対する襲撃事件で、警察が関与したり、その他の政府職員が関与したりした場合には、第三者機関を設置し、独立した立場で調査を行うことが必要である。
重要なことは、様々な犯罪集団が、警察のみならず政界や法曹界にも影響力を持ち、その結果、証拠の改ざんや目撃者の抑え込み、捜査妨害が行われたり、判決結果そのものに影響を及ぼすことがしばしばあることを念頭に置く必要がある点である。また、検察や司法は、政治指導者などの権力者によって、特に外国人特派員の信用を失墜させる目的で、ジャーナリストを標的にした迫害の道具として利用されることがある。
会議ではまた、ジャーナリストの避難プロトコルや、ある国から別の国へ一晩で避難させる方法、身分の変更、経済的支援、家族の避難、受け入れ国への再統合などについても話し合われた。
残念ながら、政府が解決策として提示した保護メカニズムは機能していない。例えば、オランダ政府は、手続きを始めるには、まず申請して結果を待つ必要があると語った。「シェルター・シティ」という人権活動家を保護する素晴らしいプロジェクトがあるが、残念ながら、生命と安全が脅かされているジャーナリストにとっては選択肢にならない。このような場合、致命的な結果を防ぐために、48時間以内の即時の行動が求められる。恐怖と絶え間ない脅威の中で生活することは、自己検閲、経済的損失、長期的な心理的ダメージ、さらには命の損失など、ジャーナリストという職業に極端な影響を及ぼしている。
様々なNGOが資金を集め、プロジェクトから利益を得ていることも、多くの組織がこの会議に参加した動機となっていた。しかし、(ジャーナリストに対して)いざサービスを提供できるかという議論になると、具体的なリアクションはほとんどなかった。このことは、多くのメディア関係者が目撃している。
したがって、ジャーナリストへの無差別な攻撃に関する恐ろしい統計に関して、政府組織だけを責めることはできないということで意見が一致した。ここでは、この仕事のために経済的利益を得ているすべての人々の共生と具体的な行動が絶対的に重要である。また、ジャーナリストの安全を目的とした資金提供プロジェクトの成果を点検し、管理することが必要である。
外国特派員は深刻な危険に晒されているが、政治家はしばしば彼らを国家の安全保障に対する脅威と決めつけている。
相互依存がますます進む世界では、人々は国境を越えて何が起きているのかについての知識と理解を必要としている。対外的に発信されるジャーナリズムは、このニーズを満たすのに役立つ。いわゆる 「外信」と呼ばれるものは、専門家の検証を経たニュースや情報に基づいた分析を提供し、国内の読者の疑問に答えたり、海外の重要な動向に対する認識を高めたりすることを目的としている。
このような特別なコンテンツを制作するジャーナリストは、例えば、自然災害に対する連帯、気候変動の緩和、新型ウイルスに対する世界的な予防接種の確保、人口移動の管理、世界を変える出来事の重要な証人として戦争と平和の問題に取り組むなど、人類が共通の利害に基づいて行動するために不可欠な存在となり得る。
残念ながら、今日、外国人特派員を含む多くの人々が、その職業上の活動により、暴力的な攻撃、誘拐、恣意的な逮捕や虐待の恐怖の中で生きることを強いられている。特に女性ジャーナリストは、今回の会議を主催したオーストリアのような民主主義国家であっても、悪質な女性差別的嫌がらせ、性的攻撃、脅迫の被害を受けやすい。
ジャーナリストの自己検閲が、表現の自由とメディアの自由に対する深刻な障壁となっていることは、数多くの研究が示している。威嚇や報復が「常態」になると、外国特派員として働く人々にも冷ややかな影響が及ぶ。外国特派員として勤務するホスト国の国民であれ、外国人として仕事をする者であれ、彼らは皆、国家または非国家主体からの深刻なリスクに直面する可能性がある。
政治指導者のなかには、外国人ジャーナリストや外国特派員として働く現地人を、国家の安全に対する脅威や虚偽の情報の拡散者という烙印を押すことによって、信用を失墜させ、委縮させようとする人々もいる。
ウィーンに本拠を置く国際プレス研究所(IPI)によると、2020年10月28日現在、2000年以降、職業活動の結果として殺害されたジャーナリストは1700人を超え、2020年だけでも世界で39人が殺されている(2019年:48人、18年:79人)。
実際の被害者の数は、この職業ゆえに攻撃されたり脅迫されたりしている人たちの数よりも何倍も多いと推測される。特に、批判的なメディアの代表者に対する標的型殺人の増加は憂慮すべきものである。同時に、解決されたケースの数は驚くほど少なく、報告されたケースの約90%は、加害者が事件の影響を恐れることなく行動するため、解決されることはない。
ジャーナリストの安全は、世界人権宣言第19条および市民的及び政治的権利に関する国際規約第19条(2)に規定されているように、表現の自由および報道の自由に対する普遍的で不可侵の権利の実現に必要な要件である。
国家には、安全な労働条件を確保してジャーナリストを保護する明確な責任がある。しかし残念ながら、この責任はあまりにも頻繁に無視されている。ジャーナリストやメディア関係者だけでなく、メディア組織、市民社会の代表、各国政府、国際機関を含む包括的なアプローチのみが、ジャーナリストの効果的な保護につながると、有識者筋は述べている。
特に女性ジャーナリストの保護に重点を置いている。女性ジャーナリストは、とりわけオンライン上で標的とされ、ジャーナリストとして、また女性であることを理由に攻撃されることが多くなっている。2021年、殺害されたジャーナリスト全体に占める女性の割合は、前年の6%から11%へとほぼ倍増している。2022年9月30日現在で入手可能なデータでは、これまでに殺害された記者の11%が女性ジャーナリストであることが再び示されている。
また、このデータは、ジャーナリストに安全な空間がないことを示している。2020-21年に殺害された117人のジャーナリストのうち、78%にあたる91人が、事務所を離れている間に殺害された。ほとんどの殺害はニュースルームの外で起きているが、彼らの職業に関連していたと思われる。路上や車の中で殺害されたジャーナリストもいれば、誘拐されて死体で発見されたジャーナリストもいる。何人かは子供を含む家族の目の前で殺された。
ジャーナリストに対する犯罪の加害者を非難するだけでは十分ではなく、その背後にいる黒幕を非難する必要がある。
欧州評議会のドゥニャ・ミヤトヴィッチ人権担当委員に話を聞いた。ミヤトヴィッチ委員は、加害者を裁くだけでなく、ジャーナリストの襲撃を命じた者についても調査を行うよう主張することが非常に重要だと指摘した。ミヤトヴィッチ氏は、人権担当委員として、また以前はOSCEのメディアの自由に関する代表として、ジャーナリストやその他のメディア関係者が欧州全域、そして欧州以外の各地でいかに脅かされているかを直接目撃してきた。
ミヤトヴィッチ委員によると、欧州では今年、13人のジャーナリストが職務遂行中に殺害されており、そのほとんどがウクライナ戦争の取材中に殺害された。昨年は欧州連合(EU)諸国を含め、さらに6人が殺害された。過去30年間に欧州で殺害されたジャーナリストは150人以上に上る。つまり、2カ月に平均して1人のジャーナリストが欧州の地で殺されていることになるが、視野を世界に移せば、状況はさらに深刻だ。紛争を取材中に殺害された者もいれば、犯罪行為を世間の目に触れさせようとしたために殺された者も少なくない。
ミヤトヴィッチ委員は、2018年に欧州安全保障協力機構(OSCE)で報道の自由に関する代表として、また欧州人権委員としての任期の間に取り組んだマルタのダフネ・カルアナ・ガリジアさんのケースに言及した。ダフネの職業生活は、ジャーナリストが直面している多くの困難(暴力、嫌がらせ、誹謗中傷)がジェンダーの次元で悪化していることを証言するものだった。しかし、ダフネは真実と正義を守るために声を上げることを選択した。彼女は、公共の利益のために自立して考え、行動することを選んだ。この無私の献身が彼女の人生のトレードマークだったのだが、そのために彼女は殺害されることになった。
ミヤトヴィッチ委員は、「私があの事件に取り組み始めたのは、OSCEでの任期の終盤2017年2月のことです。当時、彼女が家族と共に大きな圧力に晒されていて、多くの訴訟が起こされているという情報を得たのです。また、5万ユーロ入っていたダフネの口座も封鎖されていました。当時のマルタ政府のメンバーからの圧力だったのです。」と語った。
何十年もの間、EUは、ジャーナリストが自由に活動できる地域だったが、ダフネの殺害事件や、スロバキアの調査ジャーナリスト、ヤン・クツィアクと婚約者、北アイルランドのライラ・マッキー、オランダの調査ジャーナリストで犯罪記者のピーター・R・デ・フリースなどの殺人事件とその後に起こったことは、まったく新しい雰囲気を作り出した。
ミヤトヴィッチ委員はマルタを訪問中、(事件後に就任した)ロバート・アベラ首相と会談し、ダフネが殺害された場所を訪れた。また、彼女の家族にも接見した。これに先立ち、ミヤトヴィッチ委員はアベラ首相に公開書簡を送り、引き続き実行犯の逮捕起訴に留まらず、この暗殺を指示し組織した黒幕を捜査していくことと、政府による情報開示・捜査協力を要請した。これに対して、情報公開と協力を約束したアベラ首相からの回答は公開されている。ここでは1つの事例を挙げたが、これだけではない。徹底した捜査と不処罰との戦いが、こうしたジャーナリスト殺害事件の解決にとっては最も重要なことだ。
ミヤトヴィッチ委員は、この忌まわしい犯罪の首謀者を処罰すると同時に、この犯罪を可能にした動機と組織的責任に全面的に光を当てることが重要であると主張している。
ダフネの暗殺事件に関する公開調査は、彼女の死について国に責任があることを明らかにした。報告書は、「国は記者の生命に対するリスクを認識し、それを回避するための合理的な手段を講じることができなかった。その結果、最高幹部によって生み出された不処罰の雰囲気が醸成された。」と指摘した。
女性ジャーナリストはますます危険な状況に直面しており、ジェンダーに配慮したアプローチの必要性が浮き彫りになっている。専門的な職務を遂行する上で、彼女らはしばしば性的暴力の危険に晒される。それは、しばしば仕事の報復として狙われる性暴力、公共のイベントを取材するジャーナリストを狙った暴徒による性暴力、あるいは拘留中や監禁中のジャーナリストに対する性的虐待という形のものである。さらに、こうした犯罪の多くは、強力な文化的・職業的スティグマの結果、報告されない
「ジャーナリストに対する犯罪は、常に腐敗と権力に絡んでおり、セクハラや暴力があれば、裁判の段階に至る可能性は、行動や証拠が増えるごとに低くなります。」と、ウィーンでの会議でコロンビア人ジャーナリストのヒネス・ベドヤ・リマは強調した。
ボゴタのラ・モデロ刑務所の入口で準軍事組織のリーダーを取材するために待っていた彼女は、拷問を受け、誘拐した3人の男たちにレイプされた。彼女は罠に誘われたのだ。彼女はジャーナリストであることが命取りになるという想定はしていなかった。前年に最初の襲撃を受け、この襲撃に至るまで何度も脅迫されていたにもかかわらず、彼女は犯人がこれほど大胆になるとは思ってもみなかった。ベドヤは、その日まで、準軍事組織、ゲリラ闘士、コロンビア治安部隊のメンバーによって組織された武器取引と人身売買のネットワークを非難し続け、自分こそが大胆な人間であったと語っている。
2000年、26歳のジャーナリスト、ベドヤは、国家公務員と右派民兵組織「コロンビア自警軍連合」による武器取引について調査していた。彼女は「ベーカー」と呼ばれる準軍事組織のリーダーへのインタビューの約束を取り付けてボゴタのラ・モデロ刑務所を訪れた。彼女はエル・エスペクタドールの編集者とカメラマンを連れていたが、刑務所に入る許可を待つ間、二人が一瞬離れた隙に姿を消した。彼女は右翼準軍事組織によって誘拐され、集団レイプされ、拷問され、監禁された。誘拐犯らはベドヤをレイプする際に「よく覚えておけ。これはコロンビアの報道陣に対するメッセージだ。」と語った。
それから4年も経たないうちに、こんどは左派民兵組織「コロンビア革命軍(FARC)」に誘拐され、拷問を受けた。分裂した国の手によって信じられないような恐怖を味わった後、ベドヤは沈黙を破った。2009年、彼女は、過去10年間に戦争と紛争の名の下にレイプと拷問に晒された50万人以上の女性の代弁者として、その権利を主張した。
ベドヤは、「もし私が男性だったら、迷うことなく殺害命令を実行したことでしょう。つまり、殺し屋に頭を撃たれて終わりだったと思います。しかし、私が女性であったために、彼らは私を誘拐するだけでなく、これだけのことをする勇気のある女性に屈辱を与えるために私を利用する必要があったのです。」と述べ、勇敢にジャーナリストとしての仕事をしたためにレイプされたことを説明した。
べドヤにとってとりわけ辛かったことは、同僚たちが彼女に汚名を着せたことだ。同僚たちは彼女を被害者と見なさず、彼女に起こったことの責任は彼女だけにあるとした。彼女が事態の全体像を理解するのに時間がかかったのは恐らくこのためだろう。
「私は何年もの間、検察庁での無数の公聴会で証言し、私がレイプされたことを証明しようとしました。当時はジャーナリストとして、組織からの支援もなく、さらに悲しいことに自分のメディア仲間からの支援もないという過酷な状況でした。そんな疲弊した日々が続いた2009年のある日の午後、まだ始まってさえいない司法手続きの追求を諦めようかと検察庁の階段に座って泣いていた私に、『報道の自由のための財団』の元理事が声をかけてきました。彼は私を信じ、私を襲った犯人を特定することが可能だと考えていた唯一の人でした。これが不処罰との戦いの転機となりました。」とベドヤは語った。
その後、彼女は亡命を拒否し、ジャーナリストとしての仕事を続けた。現在、彼女はエル・ティエンポの記者兼編集者として、性暴力のサバイバーが感じる非難を根絶するために精力的な活動を続けている。「被害者に自分の体験を名乗り出る勇気を与えることが、性暴力に直面した女性の現実を変える手段です。」とベドヤは語った。
「未だに道のりは長い。私の事件では3回も検察官が交代したのに未だに犯人は処罰されていません。加害者が裁かれることはないかもしれない。コロンビアの裁判所を通じての進展はありません。」と、べドヤは数年前に指摘していた。
ベドヤが米州人権委員会に提訴するまで、この事件はコロンビア検察庁で10年以上停滞したままだった。2011年5月、準軍事組織の兵士が逮捕され、ベドヤを襲った3人のうちの1人であると自白した。21年10月、地域の人権裁判所は、ベドヤの誘拐、拷問、レイプについてコロンビア政府の責任を認めた。
明らかに世論喚起が必要
「不処罰の主な理由は、政治的な意志の欠如です。沈黙を破り、不処罰の連鎖を断ち切ろうと真剣に考えるなら、政治的な意志の欠如をいかに断ち切るかに目を向けなければなりません。」と、 フリー・プレス・アンリミテッドのレオン・ウィレムス前事務局長は、市民社会の視点から語った。
対談の中でウィレムス前事務局長は、不処罰を減らすという意味で有効なポイントをいくつか挙げた。
例えば、目撃者が公式に保護されれば、彼らは名乗り出るでしょう。ジャーナリストが殺される事件では、目撃者が次の標的になることを恐れて話さないケースが多く見受けられる。だからこそ、証人保護制度は重要だ。
また、証拠がきちんと収集され確保されても、迅速な反応が得られないということもある。だからこそ、迅速な対応が必要だ。それだけでなく、迅速な世論喚起も重要である。つまり、現地の市民社会、メディア、国際機関のすべてが連動して世論喚起を組織しなければならない。政治家はそれに最も敏感なのである。
メディア関係者が、職務故に標的にされないようにするためのメカニズム、つまり、国や地方の司法機関に、より迅速に行動するよう強制できるシステムが必要だ。
「次のステップは、警察の捜査員に、ジャーナリスト殺害はただの殺人ではなく、沈黙と弾圧を目的とした特定の動機に基づく殺人であることを理解させることです。つまり、この問題とジャーナリストの安全確保の必要性を理解するよう警察の捜査員に指導する警察署長、政府高官との関わりが必要です。しかし、警察はジャーナリストを理解していないので、これは長い道のりです。」と、ウィレムス前事務局長は強調した。
ジャーナリストが殺されたりレイプされたりすることへの認識を高め、捜査過程や訴追を改善することは、長い道のりだ。だからこそ、法の支配、司法、内政、国際NGO、監視団、EUのメカニズムが連携できるよう、効率的で誠実なつながりを作る必要がある。
紛争地でのジャーナリストの殺害はメッセージではなく、戦争犯罪である。
2022年5月30日現在、2014年にロシア・ウクライナ紛争が始まって以来、少なくとも15人の民間人ジャーナリストやメディア関係者が殉職している。その内訳は、ロシア人6名、ウクライナ人4名、イタリア人1名、米国人1名、リトアニア人1名、アイルランド人1名、フランス人1名である。
さらに、少なくとも6人のウクライナ人ジャーナリストが職務外または曖昧な状況で殺害されている。
「私は10日間ウクライナに滞在し、国内外のジャーナリストと会いましたが、彼らの話では、出版社は十分な注意を払っていないとのことでした。彼らは、紛争地帯で働く人々、つまり、他の人々が行けないところに行き目と耳となる人々を保護することを考えなかったのです。」
「犯罪に光を当て、何が起きているのかを指摘すること。機材だけでなく、十分な保険や心理的な支援も必要です。紛争や紛争地域に対処する際には、これは非常に重要です。」と、ミヤトヴィッチ委員は強調した。
ロシアのジャーナリストで2021年ノーベル平和賞受賞者のドミトリー・アンドレーエヴィチ・ムラトフ氏は、ウィーン会議での講演で、「過去にはプレスラベルはジャーナリストを保護するために役立ちましたが、今では標的にされています。ジャーナリストの殺害や、彼らが巻き込まれる組織的な罠は、政治的なメッセージを発信する手段になっているのです。このような場合、調査を主張し、犯人を戦争犯罪法廷に引きずり出すことが必要です。」と語った。
ウィーン会議では、国連行動計画を実施するために設けられた制度的枠組みを把握し、ジャーナリストに対する犯罪の不処罰と戦うための行動を拡大するために、既存の人権メカニズムの活動やSDG16.10.1に関する各国の自主報告といかにうまく結びつけるかについて検討された。
これは、国連システム内のアクターやメカニズムだけでなく、他の地域・国際機関や、司法、立法者、検察、治安部隊、国内人権機関、その他のステークホルダーを含む国内機関にも言及するものである。また、デジタル化に関連する課題や、ジャーナリストに対する組織的な嫌がらせなど、過去10年間に出現した新たな課題についても議論された。(原文へ)
INPS Japan
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