【ハラレIDN=ジョフリー・モヨ】
ジンバブエの首都ハラレにある人口密度が中程度の郊外で、かつては森林が豊かな土地であったグラウディナでは、木々が消えゆく中で住宅の建設が進んでいる。
ザンビアの首都ルサカに程近いジンバブエ北西部では、かつて豊かな森林だった場所をつぶして、数十年かけてスラムやバラック街が形成されてきた。
国連ハビタットによると、ザンビアでは公的な低コスト住宅が十分にないため、都市部の成長とともに住宅危機が相次ぎ、都市周辺部では無許可の居住地が拡大しているという。
環境活動家によると、ザンビアの都市部の木々がこのために伐採されているという。同国の環境活動家ノムサ・ムレンガ氏は、「人々がよりよい経済的機会を求めて村を去っていくため、都市部の人口が増えている。人々は残り少ない都市部の木々を伐採して、住宅のためのスラム街を形成しています。」と語った。
6人の子を抱える未亡人ポーリーン・チャンダさん(56)も、そうして都市の木々を容赦なく伐採して都市部に定住してきた多くのザンビアの人の一人だ。
チャンダさんはIDNの取材に対して、「20年前にこの地にやってきたときに自生していた木々を、子どもたちと切り倒しながら生きてきました。当初は、まずは自分たちが住む家を建てるために、木々を伐採するところから始めました。」と語った。
土地・天然資源・環境保護省によると、ザンビアでは毎年、25万~30万ヘクタールの森林が失われ森林破壊が進んでいるという。
「グローバル森林ウォッチ」(GFW)によれば、昨年、ザンビアでは20万1000ヘクタールの木々が失われたが、これはCO2排出量7830万トン分に相当するという。
GFWは、最新の技術を利用し、森林の状況を監視するデータとツールを提供して、世界の森林がどこでどのように変化しているのかを誰でもリアルタイムに把握できるオンラインサイトを運営している。
非政府科学機関である国際森林研究センター(CIFOR)によれば、ザンビアでは電化が進んでいないため、約9割の世帯が薪燃料のみに依存している。
モザンビークでも、都市化の進展が森林を蝕み、遠隔地での経済的困難から逃れるために、都市部の土地を求め、しばしば違法に住居を建てる人々が後を絶たない事態が進行している。モザンビークではかつて、都市と農村の両方に豊かな森林があったが、現在では徐々に森林が絶滅の危機にある。
昨年、海岸沿いの国であるモザンビークでは27万8000ヘクタールの森林が失われたが、これはCO2排出量1億900万トン分に相当する。
ジンバブエの北側にあるマラウィでも、同様に森林破壊の影響が町や都市を襲っている。
マラウィの首都リロングウェの独立系環境専門家であるニコラス・カソンゴ氏は、IDNとの電話インタビューで、「マラウイの多くの都市部では、木材燃料の需要の増加が、100キロメートル圏内まで森林破壊の輪を広げています。」と語った。
人口2000万人のマラウィでは都市の人口が12%程度だが、政府によれば、昨年だけでも1万4700ヘクタールの森林(CO2排出量530万トン相当)が失われたという。
マラウィの開発専門家らは、都市を襲っている森林破壊を引き起こす農村部から都市への大量移住を非難している。
マラウィの開発専門家アジボ・ブウェラニ氏は、「多くの人々が都市への移住を選択するようになり、都市部のサービス低下が顕著になっています。結果として、住宅で電力が利用できないために、木材を燃料として使うようになってきています。」とIDNに語った。
ジンバブエでは、農村から都市への移住者の多くが、経済的な機会を求めて仮設住宅を建てるために木を切り倒し、環境保護活動家らによると、これが森林を絶滅の危機に晒しているとしている。
しかし、ハラレの東南25キロのところにあるチトゥングウィザ郊外の町デマのトライノス・ガバさん(46)のような都市への移住者は、同じような境遇の人々がいくら木々を切り倒していたとしても後悔はないと語った。「生計を立てたいのです。畑を耕さないといけないし、毎日のように停電している近くの町チトゥングウィザに燃料用の薪を売りに行かなきゃならない。12年前に田舎からここに出てきてから、ずっと仕事がないのです。」と、ガバさんは語った。
ジンバブエのネリスワ・チョンベ氏のような生態学者は、都市化の進展が南部アフリカの森林を破壊するにつれ、この地域の自然生態系も脅威に晒されていると指摘している。「都市にやってきた人々が家を建てることで森林が破壊され、生態系にも影響が出てきています。」
ジンバブエ森林委員会によると、同国では毎年26万2000ヘクタールの森林が消失している。
この中には、ガバ氏のような都市移住者の行為によって失われた森もある。なにしろ彼らは、森林を伐採して建てた小屋に住み続けるために、街で必死に薪を売って生計を立ているのだ。
しかし、環境活動家らによると、ハラレのようなジンバブエの大都市でもまた、緑地帯が急速に消滅していっているという。ハラレの環境活動家リバティー・ムセヤンワ氏は、「公園のような緑地帯をつぶして住居や工場を建設する一方で、その代わりとなる再森林化計画がないためにこのような事態が生じています。」と説明した。
国連によれば、ジンバブエのようなアフリカ南部の国で人口が増える中、世界の都市人口の割合は2050年には70%近くにまで上昇する見通しであるという。
ムセヤンワ氏は「この流れが、都市部の森林破壊を加速することになるだろう。」と語った。
実際、「森林は都市で大規模に破壊されている。建設のための開発も進み、倒された木々を盗んで稼ぎにしようとする者もいます。」とムセヤンワ氏は語った。
現在、ジンバブエのエネルギー供給全体に占める木材利用の割合は6割以上である。
ジンバブエ森林委員会によると、家庭内の料理、暖房、そして主要農産物であるタバコの乾燥加工のために、同国では毎年最大1100万トンの薪が必要とされている。
ジンバブエの森林は現在国土の約45%を森林が覆っているが、近年、毎年約15%~20%のペースで減少している。(原文へ)
INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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