地域アフリカ│セネガル│もっと簡単に手を洗う

│セネガル│もっと簡単に手を洗う

【ダカールIPS=アマンダ・フォルティエ】

もし手を洗うのが楽しいことだとしたら?セネガルでは、ユニークなしくみを使って、簡単に、安く、環境に優しい形で手を洗う試みが始まっている。それどころか、手を通じた感染症の予防にも役立つという。

ダカール市内のクレア・ソレイユ小学校の休み時間。子どもたちが、色の褪せたぶかぶかのベストを着て、追いかけっこをしたり、砂場で遊んだり、泥を蹴り上げたりしている。世界中のどの学校でも見られる光景だ。そこにベルギー人医師のベノワ・ファンエルッケ博士が正面ゲートから入ってくる。

 「ベノワ先生だ!」子供たちは「ワー」と大喜びでファンエルッケ医師の周りに駆け寄った。そして医師の手を取って、モザイクタイルの壁に掛かったカラフルな鉄の箱が並んだ所に連れて行った。箱の中は水で満たされている。アンタ(Anta)という名の女の子が、茶色の石鹸を手にとって泡を出す。すると、クラスメイトが箱のレバーを3回引いて、出てきた水で手を洗うのだ。子どもたちは出てきた水に狂喜して「カナクラ(Canacla)!」と口々に叫んでいる。手を洗うことがこんなに楽しかったとは。

「カナクラ(Canacla)」とは、レストラン、学校、モスクの外など、ダカール各地で広く見かけるようになったセラミックと鉄でできた手洗い用の噴水のことを指す。この名前は、アフリカ大陸の多くの地域で水を蓄えるために一般に使用されている陶器製の水瓶「カナリ(Canari)」と弁(バルブ)のフランス語「クラペット(Clapet)」に由来している。

これは、ファンエルッケ医師の息子ジャックが考案したものである。ある日ジャックは父の手を引いて、砂に仕組みのデザインを指で書いたのである。これによって、アフリカの水不足、手を通じた感染症の拡大、環境汚染などの問題に解決策がもたらされることになった。しかも、地元の資源を使い、地元の職人の雇用にもつながる。

「私はこの30年間、便利、安価で、かつ環境に優しい方法で公衆衛生の問題に取り組むことができないか思案を続けてきました。」と言うファンエルッケ博士は、今は定年退職しているが、熱帯病の専門医として長年に亘ってアフリカ各地で活動してきた。

「カナクラ(Canacla)」は、まさにそうした解決策を提供するものかも知れない。ファンエルッケ博士によると、「カナクラ」はダカール市内の戦略的に便利な個所に設置されているため、通行人はさして意識することなく自然に「適切なタイミングで」手洗いができる。またその際、石鹸を使う習慣も身につけられるのである。ファンエルッケ博士は、「30秒あれば、健康に害を及ぼすバクテリアを手から除去することができる。」と語っている。

「ポイントは、手を洗う際に水を出しっぱなしではないということです。通常私たちは水道で手洗いをする際に、約3リットルの水を消費します。ところが、このしくみを使えば、30分の1の水量で済むのです。つまり『カナクラ』を使うことで水と費用を節約でき、しかもより衛生的にできるメリットがあるのです。」とファンエルッケ博士は実際に目も前で「カナクラ」で手洗いを実演しながら語った。

ファンエルッケ博士は、石鹸で泡立てた手を水で流すと手を振って水を切り、さらに両手の指を組んで素早く擦り合わせながら耳の高さまで両手を持ち上げた。その際、「キュッ、キュッ」と音が鳴った。博士は「これは手が喜んでいる音なのです。」と笑みを浮かべて語った。

すると子供たちは、石鹸を次々と手渡ししながら泡立てると、交代で「カナクラ」のレバーを上げ下げし手洗いを始めた。そして手を乾かす際に手を振ってはしゃぎながら水しぶきをお互いに散らした。この様子をクレア・ソレイユ小学校のレオニー・サディオ副校長は、温かく見守っていた。サディオ副校長は、「2007年に『カナクラ』が5台設置されてから、子供たちの手洗いに対する態度が変化してきています。」と語った。

「私たち教師が最も関心を寄せている点は教育的効果です。今日、持続可能な開発について盛んに議論がされており、中でも水が開発プロセスに重要な役割を担っていると見られています。アフリカの水不足は深刻であり、皆が協力して対処していかなければなりません。そうした対処法の一つが水保全に関する重要性を教育していくことです。基本は衛生に関することですので、そうした教育を早期に開始することで、成長しても水保全の重要性を踏まえた手洗い習慣を身に付けさせることが可能です。」とサディオ副校長は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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